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2019.12.04 (公開 2017.06.23) 海水魚図鑑

クビアカハゼの飼育方法~餌・混泳・個体の選び方

クビアカハゼはその名の通り体に赤い横帯が入るダテハゼの仲間です。ダテハゼの仲間はテッポウエビと共生する習性がありますが、このクビアカハゼはコシジロテッポウエビや小型のコトブキテッポウエビなどのテッポウエビと組み合わせらることができます。今回はこのクビアカハゼの飼育方法をご紹介します。

標準和名 クビアカハゼ
学名 Amblyeleotris wheeleri (Polunin and Lubbock, 1979)
分類 スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ハゼ亜科・ダテハゼ属
全長 約7cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッド
温度 23~25度
水槽 35cm以上
混泳 気が強い魚とは注意が必要
サンゴ飼育

クビアカハゼって、どんなハゼ?

標準和名に「ダテハゼ」とついていませんが、ダテハゼ属の魚です。ダテハゼ属の魚のほとんどの種類は、体側に横帯がありますが、本種はその横帯が赤い、あるいは赤紫色のような色彩をしているのが特徴です。販売水槽で見る個体は体が薄い灰色っぽい体で、地味な感じですが、飼いこむと体の帯が美しくなります。このほか背鰭にも赤や白の斑点が入り、極めて派手になる種類です。全長も7~8cmほどでやや小型、小型水槽でも飼育しやすいハゼといえるでしょう。

クビアカハゼと共生するテッポウエビ

コトブキテッポウエビと共生するクビアカハゼ

自然界では主にコシジロテッポウエビと共生しますが、飼育下ではコトブキテッポウエビ(ランドールズピストルシュリンプ)などと共生することもあります。ニシキテッポウエビとの共生は今のところ確認できていないのですが、ニシキテッポウエビとも共生すると思われます。ハゼのサイズに合うテッポウエビと共生させるとよいでしょう。

クビアカハゼの生息する海域

紅海、南アフリカの東岸~フィジーまでの広い範囲に生息しています。日本においても沖縄や小笠原諸島、四国の海などで見ることができます。他の共生ハゼと同様に海底にあるテッポウエビの穴の中に生息しますが、水深については水深2~40mと幅広い範囲に生息しているようです。日本にも分布するのですが、観賞魚としてはフィリピンやインドネシアなどの東南アジアから来ることが多いです。

クビアカハゼ飼育に適した環境

水槽

全長7~8cmになるハゼの仲間です。水槽は35~45cm位の小型水槽でも飼育できますが、他の共生ハゼ、もしくは複数個体を飼育するならば、60cm水槽が望ましいでしょう。

水質とろ過システム

クビアカハゼは比較的水質悪化に耐えるハゼですが、できるだけ綺麗な海水での飼育を心がけます。ろ過槽はきちんとしたものを用います。隙間から飛び出し死んでしまうという事故が起こりやすいですので、外掛けろ過槽や外掛けプロテインスキマーは避けます。上部ろ過槽か外部ろ過槽の使用がよいでしょう。ただし外部ろ過槽は酸欠になりやすいので注意が必要ですので外掛けろ過槽との組み合わせが最適です。またオーバーフロー水槽もおすすめです。

クビアカハゼはサンゴには無害ですのでサンゴを飼育ただし共生ハゼの仲間は全般的にDSBやモナコシステムとの相性はよくありません。

水温

水温は25℃をキープします。基本的に丈夫な魚ですが、水温の変動があるといくら丈夫で飼育しやすいクビアカハゼといっても病気になるおそれがあります。砂中に巣穴をほるテッポウエビと共生することを考えるとそういう意味で病気になる可能性もあるといえます。ですから体調を崩さないよう水温を安定させるのは大事です。

底砂

底砂はパウダー状~若干粒が粗めのサンゴ砂を敷き、その上に粗い大粒のサンゴ砂を敷いてテッポウエビが巣の建材に使えるようにします。底砂にコケが生えてきたなくなると、ハゼも次第に濃い色になっていくようです。

フタ

クビアカハゼをはじめ共生ハゼは飼育しやすいですが、臆病な面もあります。そのため何かに驚くと水槽から飛び出しそうになることがあります。そのためフタはしっかりしておきます。

クビアカハゼの餌

ダテハゼの仲間の餌は配合飼料をメインにします。副食としてコペポーダやイサザアミ、イカなどを与えるのもよいでしょう。ただしそのような餌を与えるときは、水の汚れに注意します。

底の方にいることが多い魚ですので、フレーク状のものよりは粒状のペレットが向いていると言えます。テッポウエビはハゼに与える餌の残り物などを器用に鋏足を使って食べるので、ハゼに与える餌が海底に多めにいきわたっていれば、特別な餌を与えなくても良いです。ただしこのような餌を与えすぎると水が汚れますので、小さな計量カップとスポイトを使ってハゼとエビの巣の周辺に水で溶いたペレットフードを流すという方法もあります。

クビアカハゼをお迎えする

クビアカハゼは高知の磯の浅場でも何度かみており、採集も不可能ではなさそうですが、一般的には海水魚専門店で購入することになります。安価(2000円弱)で販売されていることが多いのですが、それゆえ雑に扱われやすく、状態をしっかりみなければなりません。

クビアカハゼを購入する上での注意点はまず入荷した日をきくことです。入荷直後の個体は状態がイマイチなこともあるためこともあるため、購入を避けます。また背中の肉がげっそりとおちているものは回復が困難なので購入してはいけません。また鰭や体表のに爛れ、白点があるもの、また鰭が溶けているものなどは絶対に選んではいけません。入荷して2,3週間たち、よく餌を食べるものを選ぶとよいでしょう。

クビアカハゼと他の魚との混泳について

クビアカハゼとスミゾメハナハゼ。右はイソミミズハゼ

丈夫で飼いやすい種類でほかの魚との混泳も可能です。他の小型ハゼの仲間、遊泳性ハゼの仲間、カエルウオの仲間、小型スズメダイの仲間、クマノミの仲間、小型のハナダイなど色々な魚と飼育することができますが、小型のスズメダイやクマノミなどの魚と一緒に飼育するのであれば、先にクビアカハゼを水槽に入れて、慣れてからそれらの魚と一緒に飼育するようにします。このあたりはクマノミと他の魚との混泳の注意点と似ています。

クビアカハゼと共生ハゼを共生している水槽に遊泳性ハゼ(特にハナハゼ・リュウキュウハナハゼ・スミゾメハナハゼ)を入れるとこの共生関係に居候する様子が見られ面白いものです。

ハゼをいじめる、またテッポウエビをいじめたり捕食したりするような魚との混泳は出来るだけ避けます。強いニセモチノウオやキュウセンなどのベラの仲間、かなり大型になるスズメダイの仲間、メギス(ニセスズメ)との混泳は困難といえます。さらにはハゼの仲間を捕食するようなカサゴの仲間、カエルアンコウの仲間、ハタの仲間などとの混泳はしてはいけません。

クビアカハゼと他の共生ハゼとの混泳について

クビアカハゼは比較的おとなしい性格で大きめの水槽なら他の共生ハゼとの混泳を楽しむことができます。同じダテハゼ属の種類よりも別の属と組み合わせるのがよいかもしれません。ヒメオニハゼ、ヒレナガネジリンボウ、その他、同じサイズの共生ハゼと組み合わせることもできます。ただし狭い水槽で何種も一緒に飼育することは、あまりおすすめしません。少なくとも60cm以上の水槽が欲しいところです。

クビアカハゼとサンゴ・無脊椎動物との相性

▲ヒレナガネジリンボウ(左)はおとなしい

クビアカハゼを含めダテハゼの仲間はサンゴなどの無脊椎動物には害を与えることは全くないのですが、イソギンチャクの仲間には捕食されてしまうおそれがありますので注意する必要があります。サンゴに問題があるのはテッポウエビの方で、テッポウエビが砂を掘る際にサンゴやライブロックが崩されないように注意します。またテッポウエビは砂をまき散らすので、サンゴに砂がかからないように注意する必要があります。対策としてはサンゴを接着したり、しっかりした土台を組んだり、水槽の底の方にサンゴを置かないようにします。

大型のカニ、大型のヤドカリ、大型のエビなどと組み合わせる方は少ないと思いますが、これもダメな組み合わせです。オトヒメエビも動きが遅いハゼなどの魚を食べてしまうので難しいです。小型のサンゴヤドカリやクリーナーシュリンプなどは問題ありません。なお、クビアカハゼなどのダテハゼ属の魚はテッポウエビが居なくても問題はありません。

クビアカハゼ飼育まとめ

  • やや小型のダテハゼの仲間で丈夫で飼いやすい
  • 小型水槽でも飼育できるが60cm以上の水槽での飼育が最適
  • 上部ろ過槽が最適。隙間ができやすい外掛けろ過槽などはおすすめできない
  • 水温は25℃で安定していることが重要
  • 底砂を敷いてテッポウエビとの共生を楽しみたい
  • フタはしっかりする
  • 沈降性の配合飼料が最適な餌
  • 多くの魚と飼えるが肉食魚や大きなスズメダイはだめ
  • クビアカハゼはサンゴには無害
  • テッポウエビを入れるときはサンゴの配置に注意
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