ベラの飼育方法~初心者におすすめのベラ&向かないベラ

ベラの飼育方法~初心者におすすめのベラ&向かないベラ

ベラの仲間は釣りをされている方ならもう、おわかりでしょう。あの派手な魚です。熱帯や亜熱帯の海には派手で小型、カラフルなベラの仲間がたくさん生息しています。そのベラの仲間を上手く飼育するために必要なポイントをまとめました。




ベラの仲間の分類

ベラ科は海水魚の仲間でも極めて数が多いグループで、世界中の暖かい海域でみることができます。ベラ科は3~4つの亜科に分かれています。

観賞魚として人気があるのはカンムリベラ亜科、モチノウオ亜科です。カンムリベラ亜科には投げ釣りの対象魚として、また食用魚として人気のキュウセンや、イエローコリスの愛称で知られるコガネキュウセン、幼魚から成魚への「色変わり」が楽しめるが大型になるので初心者にはおすすめできない、ツユベラカンムリベラを含むカンムリベラの仲間、南太平洋から来る人気種ブルーストライプトオレンジタマリン(サウスシーズラス、フェミニンラス)やニューギニアベラをふくむススキベラの仲間、磯釣りではお馴染みのニシキベラを含むクギベラの仲間、ほかホンソメワケベラタレクチベラノドグロベラシロタスキベラカミナリベラ…このほかさまざまな種類が知られています。

モチノウオ亜科はアクアリストに人気のイトヒキベラクジャクベラなどが含まれるグル―プです。ニセモチノウオハシナガベラなどの小型種も多く、これらもアクアリストに注目されていますが、ベラ科最大の種で2mを超えるメガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)などの種類もこの亜科に含まれます。

タキベラ亜科もシロクラベラコブダイなど1m近くになる大型魚を含みます。観賞魚としてはタキベラ属のものが何種か輸入され、特に深場のホグフィッシュの仲間はベテランアクアリストに高い人気を誇りますが性格は強めです。

Xyrichtynaeはテンスの仲間などを含む小さなグループで、観賞魚として注目されることは多くないのですが、ホシテンスオビテンスモドキなどユニークな魚が知られています。

ブダイベラ亜科は両顎に幅広い門歯状の歯があるのが特徴的です。1種のみが知られる、小さなグループです。

なお、ベラ科魚類の分類は流動的であり、今後変わっていくことが予想されます。

ベラ科を含むスズキ目・ベラ亜目にはこのほかにもブダイの仲間や、オーストラリア周辺に生息するオダクス科の魚なども知られていますが、これらをベラ科に含める意見もあります。

一般的に飼育に適したベラの仲間はインド-太平洋の亜熱帯に生息する種です。日本にやってくる熱帯性の魚、その多くの魚の故郷であるフィリピンやインドネシア、ベトナム、そして勿論沖縄にはベラの仲間も極めて多くの種類が生息しています。

初心者におすすめのベラTop5

初心者にお勧めのベラは、以下の条件を満たすものです。

  1. 丈夫で飼いやすいこと
  2. 病気になりにくいこと
  3. カクレクマノミや他の強めの魚と飼育可能であること
  4. 餌付きがよいこと
  5. 初心者におすすめの45~60cmの水槽で飼育できること
  6. 25℃前後の水温で長期飼育できること

1位 小型のイトヒキベラ・クジャクベラの仲間

▲ソーシャルラスはファイティングラスなどの異名でも呼ばれる。

初心者にとくにお勧めしたいベラの仲間は、小型のイトヒキベラやクジャクベラの仲間です。

イトヒキベラやクジャクベラの仲間は丈夫で飼育しやすいものが多く、他の仲間の魚との混泳も容易なので初心者にもおすすめです。この仲間には大きくなる魚もいて、それらの飼育には広いスペースが必要です。おすすめなのはラボックスラス、イエローフィンラス、ソーシャルラス、クジャクベラなどの小型種です。注意した方がいいのはラボウテスフェアリーラスやクロヘリイトヒキベラ、レッドヘッドフェアリーラス(ソロールフェアリーラス)のような大型種(よく泳ぎまわるので広い水槽が必要)、アールズフェアリーラスのようなやや深場にすむ種類(高水温に弱い)です。夜間は砂に潜らず、岩やサンゴの隙間で休息します。

2位 ニセモチノウオ

ニセモチノウオの仲間は小型種が多く丈夫で飼いやすいです。サンゴ礁の海水魚らしい、派手な模様とかわいい泳ぎ方は魅力たっぷりです。エビなどの甲殻類を食べてしまうこと、結構気が強いことが難点です。夜間は砂に潜らず、岩陰で眠ります。

3位 コガネキュウセン

体が真っ黄色の美しいベラです。通称イエローコリスと言われますがコリス(カンムリベラ)の仲間ではありません。キュウセンの仲間は丈夫で飼育しやすいのですがエビの仲間は食べてしまうので気をつけます。また性格は結構強めですがカクレクマノミなどと一緒に飼育可能です。夜間には砂に潜って寝るので砂を敷いて、眠れるようにしてあげます。

同じように砂に潜るベラとしては背中に橙色斑がふたつ、背鰭に黒色斑が二つあるカンムリベラや、赤い体のツユベラなどいますが、これらの魚はかなり大きくなってしまいますので初心者にはおすすめしません。

4位 ホシテンス

▲幼魚

▲砂を敷かない水槽にいる成魚。このような水槽で飼育することはあまり勧められない。

テンスの仲間は色々入ってきますが観賞魚店ではあまり姿を見ることはできません。ホシテンスは丈夫で飼いやすく、性格もあまりきつくないのでお勧めです。残念なのは大きいもので25cmとなり、終生飼育するのには最低でも60cm水槽が必要になる点です。夜間は砂に潜って寝ますので、砂を敷いてあげます。また飛び出しにも注意します。

5位 フタホシキツネベラ

タキベラの仲間には全長80cmになるような種もいますが、フタホシキツネベラはその仲間としては小型で大きくても10cm程度。黄色い体が鮮やかなベラです。注意したいのはタキベラの仲間はベラとしては結構気が強く、よく似た形のベラを攻撃することがありますが、カクレクマノミなどとは混泳できます。夜間は岩陰で眠ります。

初心者に向かないベラ

さまざまな理由で、初心者に向いていないベラの仲間がいます。

オグロベラ・ススキベラの仲間

オグロベラやススキベラの仲間は色彩が鮮やかなので観賞魚として人気がありますが、食が細く、ベラの仲間としては飼育が難しい魚です。オグロベラ属、ススキベラ属、いずれも綺麗な魚が多いのですが、あまり初心者には向いていません。気が強い魚のいない静かな環境で飼育したいものです。夜間の睡眠時、昼間でも危急時には砂の中に潜ることがありますので砂を敷いてあげましょう。そして勿論、強い魚との混泳は避けたり、注意するようにします。

クロベラ・マナベベラの仲間

▲特徴的な筒状の口をもつクロベラ

東南アジアから輸入されるベラの仲間です。この仲間はサンゴを専門に食する魚で、口の形が筒状でユニークです。サンゴ専食ということで餌付けが難しく、またサンゴ水槽にも入れられない種類で、あまり飼育向きとは言えません。

ホンソメワケベラ

▲ヒメアイゴをクリーニングするホンソメワケベラ

海の掃除屋さんとして有名な魚で、魚の体表や鰭についた寄生虫を食べてくれます。しかし白点病などは食べてくれないので注意します。逆に本種を白点病で弱らせてしまうこともあります。餌付けも難しいことがありますが、沖縄や自家採集した個体の飼育は比較的容易です。飛び出したり喧嘩したりする恐れがありますのでふたは必須です。夜間は砂の中ではなく岩の陰などで休息します。

標準和名:ホンソメワケベラ 学名:Labroides dimidiatus (Valenciennes, 1839) 分類:スズ...

モチノウオの仲間・ツユベラ・カンムリベラ

▲メガネモチノウオの幼魚。これは3cm位だが、成魚は2mにもなる。

全長2mにもなる、ベラ科最大種のメガネモチノウオ(通称ナポレオン)を含む仲間です。メガネモチノウオは特別枠としてもこの仲間の成魚は40cmを超えることが多く、小型水槽の飼育には適していません。また幼魚は少し気難しいところがあります。しかし成魚は小魚をばりばりと捕食してしまいます。

ツユベラやカンムリベラは派手な幼魚が販売されていますが、これらの種もモチノウオの仲間同様大きくなりますので、初心者向けとは言えません。特にカンムリベラは全長1mにも達しますので、家庭の水槽での飼育が難しいと言えます。

ベラ飼育に適した水槽は、述べることができない

▲60cm水槽でスズメダイの仲間と飼育されるニシキベラ。この仲間は気が強く、スズメダイとの飼育にも向く。ただし本来はもっと大きめの水槽が欲しい。

ベラの仲間の飼育に必要な水槽はここではあえて述べません。小型種のミゼットラスのように小型水槽でも飼育可能なものからメガネモチノウオのようにメーターオーバーになるものまでいます。また大きさはそれほどでなくても遊泳のために広いスペースが必要な種類もいます。このように多様なサイズや生活様式のため、「ベラ」とひとくくりにすることはできません。それぞれの種に適した水槽サイズは今後それぞれの魚種紹介のところで述べたいと思います。

寝床はどこ?

ベラの仲間は夜間の睡眠時に、サンゴや岩の隙間で眠るものと、砂の中で眠るものがいますが、仲間(属)によって異なります。なお、砂の中で眠るものは、緊急時にも砂の中に退避するので常に砂を若干厚めに敷いておくようにします。

ホンソメワケベラなど、夜間は体から粘液をだして「寝袋」を作って眠ることが知られています。

サンゴや岩の隙間で眠るもの

▲サンゴの隙間の中にいるセナスジベラの幼魚。クギベラの仲間は夜間砂に潜らないので砂を敷く必要はないが、泳ぎ回るので広いスペースを確保する必要がある。

イラの仲間 タキベラの仲間 クギベラの仲間 イトヒキベラの仲間 クジャクベラの仲間 モチノウオの仲間 オハグロベラの仲間 ホンソメワケベラの仲間 他

砂の中で眠るもの

▲観賞魚としてよく知られるキュウセンの仲間も砂に潜る。写真はミツボシキュウセンの幼魚

キュウセンの仲間 カンムリベラの仲間 ススキベラの仲間 オグロベラの仲間 カミナリベラの仲間 シロタスキベラの仲間 テンスの仲間 オビテンスモドキ 他

フタは必要

▲ホシテンスのバリエーション。写真で見るより現物は黒い。残念ながら飛び出してしまい…

ベラの仲間は争いなどの際に勢い余って飛び出してしまうことがあります。つねにふたをきちんとしておき、飛び出しの事故に備えましょう。特にベラの仲間を複数種飼育しているときは必須ともいえます。

遊泳のためのスペースを作る

ベラの仲間は強い遊泳性をもち、水槽内でもよく泳ぎまわります。特に大型のイトヒキベラの仲間やクギベラの仲間、シロタスキベラの仲間などは遊泳性が強く、60cm水槽でさえ狭く感じることがあります。単純に大型水槽にするのではなく、ライブロックやサンゴ岩、レプリカライブロックなどの組み方も工夫が必要です。遊泳のスペースを広くとるようにしたいものです。これらの魚は水の流れが強いところにいるので、水流ポンプなどで水流も生み出してやるとより効果的です。

強力なろ過装置が必要

ベラの仲間は餌をよく食べますので、その分生物ろ過をきかせる必要があります。90cm水槽だと水槽上面にぴったりフタができるオーバーフロー水槽が適していますが、そうでない場合は上部ろ過槽がろ材を大量に入れられるのでお勧めです。勿論上部ろ過槽に外部式ろ過槽を追加してろ過能力を向上させたり、補助的にプロテインスキマーや殺菌灯を使うのも効果的と言えます。

ベラの仲間の中には病気に罹りやすい種類もいますので、殺菌灯は有った方が良いです。そうするとクーラーも必要になります。水温の安定も病気の予防には欠かせません。

甲殻類は餌に?

ベラの仲間と甲殻類の飼育は甲殻類が餌になることがあると言われますが、種類にもよります。たとえばイトヒキベラの仲間とベラより大きめのスカンクシュリンプとはあまり問題にならないなど、種類やサイズを考慮すれば可能なケースもありますが、口に入る甲殻類は餌になってしまいます。

逆にオトヒメエビや大型の甲殻類はベラの仲間を捕食してしまうことがあり、おすすめできません。以前私も大きなオトヒメエビに貴重なセイテンベラとミツボシキュウセンの甲殻類を襲われてしまいました。ベラの仲間だから大きな甲殻類でも問題ないだろう…と考えるのは禁物です。

なお、他の魚との混泳はいちいちここで述べることは難しいので各魚種のページで述べるようにしたいと思います。

まとめ

  • ベラの仲間は種類が豊富
  • 初心者には60cm水槽で飼える種がおすすめ
  • イトヒキベラの小型種、ニセモチノウオ、キュウセン類、テンス類、フタホシキツネベラなどは初心者向き
  • ススキベラ、オグロベラ、モチノウオ、ホンソメワケベラなどは初心者には飼いにくい場合あり
  • 夜間はサンゴや岩の隙間で寝る種と、砂中に潜って寝る種がいる。
  • 砂の中に潜って寝る種には砂が必要。
  • ふたがないと干物になる恐れも
  • 遊泳のためのスペースを作るように、岩組も工夫が必要
  • 強力なろ過槽、殺菌灯の設置をすることがおすすめ。
  • 甲殻類と一緒に飼うのは要注意。







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