あこがれのオーバーフロー水槽~設置・立ち上げ前に考えること

あこがれのオーバーフロー水槽~設置・立ち上げ前に考えること

海水魚飼育において、オーバーフロー水槽は憧れです。

水槽に好きな魚を沢山、サンゴの合間に泳がせて見たいと思うでしょう。しかし普通の水槽と上部・外部ろ過槽では限界は早く訪れてしまいます。それにこれらのろ過槽を使用していたら見た目もあまりよいものではありません。すっきりした水槽周り、そしてその中には多くの魚を泳がせられる…。そんな夢を近づけてくれるのが、オーバーフロー水槽です。




オーバーフロー水槽とは

上に観賞するための、フロー管が通った水槽を、下にサンプ(水溜め)をおき、サンプから循環するためのポンプで水槽に水をくみ、水槽から水が溢れたら、フロー管のパイプを通い水が流れ、それを再び循環ポンプでくみ上げるというシステムです。

サンプにろ過槽を置くのですが、このほかプロテインスキマーという器具で排せつ物や食べ残しなどをハイパワーで取り除いたり、海藻や海草をサンプ内のろ過スペースで飼育するなどして自然なシステムを作ってみたりと、拡張性に優れているのも特徴です。

オーバーフロー水槽のメリット・デメリット

どんな水槽システムにもメリットとデメリットがあります。オーバーフロー水槽にもデメリットはありますが、それを簡単に打ち消すことができるくらい、大きなメリットがあります。

オーバーフロー水槽のメリット

オーバーフロー水槽の最大のメリットは、水槽の下方にサンプ(水溜め)を置くことができ、豊富な水量、とくにサンプでろ過を行うならば大量のろ材を入れることができるということです。海水魚の飼育には豊富な水量が求められることも多いのですが、このオーバーフロー水槽ではその豊富な水量を確保することが容易な点があげられます。もちろん水槽周りの外部ろ過槽、上部ろ過槽を使用しなくてすみ、見た目がすっきりしますし、サンプの中で海藻をそだてるなどのこともできたり、さまざまな機材を接続しやすいというのもまたメリットといえます。

オーバーフロー水槽のデメリット

オーバーフロー水槽の最大の問題点は、水の音です。

フロー管からの落下音、汲み上げた水の水流音など想像以上にうるさいのです。フロー管に紐を垂らしておくなどして落下音を緩和させるなどの工夫をしたりするとよいでしょう。また夜間の睡眠時に誰もいなくなる部屋などに水槽を置くことも対策の一つと言えます。

▲フロー管からの落下音。汲み上げた水が水槽内に流れ込む音。

また水槽は非常に重く、小型水槽とは全く異なり、移動させることは困難です。オーバーフローでは水槽の重さだけでなく、サンプの重さも考慮しなければなりません。

そしてもちろん高価であるということです。水量も多く、ポンプもパワフルなものを使わなければなりませんし、プロテインスキマー、紫外線殺菌灯、そしてそれらによってあたたまった水温を冷やす水槽用クーラー。これらの購入にはかなりの予算が必要になることもあります。

しかしアクアリストにとってはオーバーフロー水槽を購入するというのは、一般の人にとってはクルマを購入するのと同じようなもの。しっかり投資して、長く楽しめる趣味にしてほしいと思います。

水槽購入前に考えておくこと

置き場所はどうする?

▲お勧めできない例。水が跳ねてコンセントに罹らないように気を付ける。

どこに置くかまず決めます。オーバーフロー水槽というのは、上記のように水を入れてしまえば動かすのは困難なものとなります。置き場所はコンセントが近く、電化製品やコンセントに水がかからないところ(濡れると困るものがあるところ)、直射日光が当たりにくいところなどは避けるようにします。

強制ろ過 or ナチュラルシステム

まずはシステムから考えてみましょう。ろ材を用いて、排せつ物や食べ残しなどをろ材に繁殖するバクテリアが分解し、発生するアンモニア、亜硝酸もバクテリアに分解してもらい、水替えで硝酸塩を排出する生物ろ過を用いた「強制ろ過」の方式をとるのか、それともろ材を用いず、プロテインスキマーを用いて、排せつ物や食べ残しをバクテリアに分解される前に取り除きのこりはライブロックなどに繁殖したバクテリアに取り除いてもらう、ベルリンシステムの様な方法を採用するのか。

基本的に魚を多く入れるのであれば前者、サンゴ、特にミドリイシの仲間を飼育するのであれば後者が採用されます。

ただしサンゴでも多くのLPSやソフトコーラルは前者でも飼育できます。特にソフトコーラルは若干栄養塩があった方が望ましいという人もいます。このほか、ろ材を使って生物ろ過を行うものの、それと併用して、プロテインスキマーを使い排せつ物などを強力に取り除いたり、サンプの中で海藻を飼育したりする等、様々な方式を取ることが出来るのもまた、オーバーフロー水槽のメリットといえるでしょう。

水槽・用品を考える

水槽サイズ

他の一般的な水槽と同様、45cm、60cm、90cm、120cm…とあります。オーダーメイドもある程度は可能なのですが、水槽台や機材などに合うサイズが無かったりすることも多いので注意が必要です。

水槽の素材

▲ガラス製オーバーフロー水槽(プレコ社製)

水槽はガラス製、アクリル製とあります。ガラス製は独特の色味があり、比較的安価、コケ取りの際に傷がつきにくく、長いこと透明な水槽を楽しめるというメリットがあり、逆に重い、注意しないと割れてしまうなどのデメリットがあります。アクリル製の水槽は軽いこと、透明感が強いことなどのメリットがありますが、傷がつきやすく長期間飼育していると観賞に適さなくなってしまうというデメリットもあります。観賞用の水槽ですから、観賞できなくなっては困ります。

フロー管

▲3本の管。写真では真中のパイプは写っていない。一番外側のパイプは黒いパイプ。先端が透明なのはもっとも内側のパイプで、水をくみ上げ水槽に届ける役割をする。

▲この角度からだと中の配管も見える。赤い矢印の穴から見えるパイプからサンプに水を落とす。

水槽の端にフロー管を置き、そこから水を落とします。管は主に3本からなり三重管ともいいます。外側のパイプは魚の排せつ物や残り餌を吸い取り、真中のパイプが実際にサンプに水を落とすパイプ、そして最も内側のパイプは先端が突出しポンプによりくみ上げられた水をメインの水槽に届ける役割をします。このほか三重管のうち最も外側の管を外し、コーナーの部分にカバーを付けたタイプもあります。

このフロー管やカバーに大きな異物がつまらないように注意します。ここが万が一詰まってしまうと、水があふれてしまう危険があります。オーバーフロー水槽の水の落下音対策に紐を垂らしている人もいますが、紐が詰まってしまわないように注意が必要です。

フランジ

▲サンプから水がもどる様子。飛び跳ねを防ぐのにフタをしておきたい。

▲フランジの有る水槽は簡単にフタができるのでおすすめ。

水槽の内側にある出張った部分です。これがあると水のはねを(少しは)防ぐことができたり、ふたを上手くのせることが出来ます。小さな隙間も埋められるので、ハゼの仲間などの飼育には適しているといえるかもしれません。

アクリル水槽ではたいていこのフランジはついているように思うのですが、ガラス水槽ではついていないこともありますので注意します。

シリコン・ワームプロテクト

最近はブラックシリコンが人気です。ブラックシリコンはドイツのもので、これを水槽に使用すると耐久性が違うのだそうです。また、最近は接合部に「ワームプロテクト」を施しているメーカーもあります。これはシリコンの部分に加工をして、ワーム(ゴカイ)や貝などがシリコンをかじって劣化させてしまうことを防ぐものです。最近の高級水槽では多く見られるものです。

サンプ

▲多くのろ材を入れることが出来るのはオーバーフロー水槽の大きなメリット。販売されているアクリル製のろ過槽。社長さんの水槽だ。

▲既存の60cmガラス水槽を使ったサンプ。海藻を育てて水質浄化を狙う。これは筆者の水槽。

サンプ(水溜め)には二つのタイプがあります。一つは市販のアクリル製のろ過槽をサンプとして使用する、もう一つは既存の水槽をサンプとして使用するというものです。前者は多くのろ材を入れるための魚水槽に適した水槽で、後者は強力なプロテインスキマーを使うベルリンシステムなどのナチュラルシステムの方式や、サンプの中で海藻を飼育するときなどの使い方をする時に向いています。

配管

▲場合によっては工具が必要になることも。写真はろ過された水を水槽に戻す配管。

普通のパイプやエルボ、チーズの他にもピストル管と呼ばれるフロー管の直下につなげる配管パーツや、水量を調節するバルブなどがあります。オーバーフロー水槽を組み立てるのは難しい事ではないのですが、ドライバーや接着剤などが必要になるものもあります。

ポンプの種類

循環ポンプはまさしく水槽の「心臓」。強い力とすぐれた耐久性が求められますので、安価なものを安易な気持ちで選んではいけません。日本で一般的に入手できる循環ポンプは水中ポンプと、マグネットポンプに絞られそうです。どちらのポンプも長所もあれば短所もあります。お店の方とよく相談して決めないと、後々痛い目を見るかもしれません。

水中ポンプ

▲小型OF水槽用水中ポンプ。ポンプは出来れば大きいものを使うようにしたい。

水中ポンプの最大のメリットとしてはサンプの中に入れるだけで使用可能なところです。マグネットポンプを使うときはサンプに加工が必要だったりしますが、水中ポンプはサンプに入れるだけでそのまま使うことができます。デメリットは熱源が水中にあるため水温が上昇しやすいことです。また、Hz指定がありますので、注意が必要です。

マグネットポンプ

大型でパワーが強いもので、120cm以上の大型オーバーフロー水槽に向いています。熱源が水中にないため、水温が上昇しやすいと言えるマリンアクアリウムに非常に適したポンプと言えます。デメリットはサンプに穴をあけたりする加工を行う必要があることで、これがうまくいかないと、飼育どころではなくなります。初心者には水中ポンプの方が向いているかもしれません。

殺菌灯

紫外線殺菌灯はろ過の補助を行ったり、魚の病気軽減に役に立ちます。特にヤッコ(キンチャクダイ)の仲間やニザダイの仲間、あまり初心者向きではないのですが、チョウチョウウオやハコフグ、フグの仲間のような白点病に罹りやすい魚には必須の装備と言えます。

注意したいのはこの殺菌灯が熱源になること。水温の上昇を招いてしまう恐れがあります。この殺菌灯で殺菌され、あたためられた海水がクーラーで冷やされるように、配置に注意します。

プロテインスキマー

水槽のシステムについてろ材を用いないナチュラルシステムでは絶対に必要になる器具で、循環ポンプとならび水槽の心臓部を担う機材です。ろ材を用いた強制ろ過の水槽であっても、排せつ物や食べ残しなどを取り除きろ過の補助をさせるとか、ろ過バクテリアに空気を供給するとか、色々メリットがある器具です。

主にエアリフト方式、ダウンドラフト方式、ベンチュリ方式などがありますが、オーバーフロー水槽ではベンチュリスキマーが扱いやすいでしょう。プロテインスキマーについてはまた別項でご紹介します。

水槽用クーラー

先ほどご紹介した殺菌灯やプロテインスキマー、水中ポンプは水の中に入れて使うため水温の上昇が発生する恐れがあります。海水魚飼育というのは常に機材をアップデートしたくなるもの。

クーラーの容量には余裕を持たせるようにお店の人が言っていたり、専門の書籍などで「大容量のクーラーが必要!」と書かれていたりするのはそのためです。もっともこれはオーバーフロー水槽に限りません。とにかく、クーラーは適合水量よりもかなり大きめのものを買うのが大事です。

一般的に、クマノミの仲間などサンゴ礁の魚を飼育するのに適した水温は23~25℃といわれています。 サンゴ礁域の浅場で水温30℃近くにな...

ヒーターとサーモスタット

その水量に適したヒーターとサーモスタットが必要です。ヒーターは冬には万が一のために2本入れておくと安心です。

注意したいのはアクリル製のサンプを使用するときで、ヒーターを直置きしてしまうと溶けてしまう場合もあります。必ずヒーターカバーを付けるようにしましょう。テコ社のクーラーのように、ヒーター内臓の製品もあります。そのような商品を使用するのもよいかもしれません。

水槽台

▲コトブキ製の水槽台

必ず専用の水槽台を使います。オーバーフロー水槽となると水量が膨大になるため、普通の台では置くのが困難です。つぶれてしまっては観賞どころではありません。

オールインワンOF水槽

レッドシーからオールインワンの大型水槽「レッドシー マックス」が販売されています。これは照明やプロテインスキマーなど必需品の多くがセットされた水槽セットで、多くの目障りなものが目立たなくなっていたり、隠れてしまっていたりするので観賞面でも優れています。

観賞面で優れている理由はもう一つ、ウルトラクリアーガラスを採用していることも挙げられます。クーラーや殺菌灯は別売ですが、簡単に接続できるようになっていて、初心者でも安心してオーバーフロー水槽での海水魚飼育をスタートすることができます。

まとめ

  • 豊富な水量、拡張しやすいこと、見た目がすっきりするのが利点。
  • 欠点は音がうるさい、動かすのは困難、価格が高い。
  • 材質はガラス、アクリル
  • ガラスは割れやすい、アクリルは傷がつきやすい。
  • フランジの有る水槽がお勧め。
  • ブラックシリコンは耐久性に優れる。
  • できればワームプロテクトも欲しい。
  • ポンプも水中ポンプと陸上でつかうマグネットポンプがある。
  • 殺菌灯、スキマー、ポンプで水があたためられやすい。クーラーも欲しい。
  • オールインワンのオーバーフロー水槽も。







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