ホンソメワケベラの飼い方

ホンソメワケベラの飼い方

標準和名:ホンソメワケベラ
学名:Labroides dimidiatus (Valenciennes, 1839)
分類:スズキ目・ベラ亜目・ベラ科・ソメワケベラ属
全長:12cm




ホンソメワケベラって、どんな魚?

▲ヒメアイゴをクリーニング

ホンソメワケベラは「掃除魚」ともよばれ、主に他の魚についている寄生虫や粘液を食べるという変わった食性をもっています。ホンソメワケベラは大型のハタなどの皮膚につく寄生虫を捕食し、大型のハタはホンソメワケベラを食べてしまうことはなく、共生関係の代表的な例として一般にもよく知られています。

注意しなければいけないのは甲殻類系の寄生虫は食べてくれるのですが、白点病などには効果がなく、逆にホンソメワケベラ自身も白点病になるおそれがあるということです。白点病が蔓延している水槽に本種を入れることは避けなければなりません。

ホンソメワケベラを入手する

▲キンセンイシモチをクリーニングするホンソメワケベラの幼魚

海水魚専門店ではほとんど必ず、といっていいほど見ることができます。分布域は非常に広く南アフリカからマルケサス諸島に分布し、日本においては相模湾以南の太平洋岸に分布します。主に東南アジア産のものが販売されますが、インド洋や南太平洋産の個体もたまに輸入されていて、沖縄など国内のものも販売されることがあります。

東南アジアのものは餌付きにくいともいわれますが、安価でザツな扱いをされているのかもしれません。インド洋や国内で採集されたものは比較的飼いやすいです。

色彩については若干、地域的な変異があります。たとえば、フィジーやタヒチなどに生息するものは体側にオレンジ色の模様が出ていたりします。またインド洋のものは日本のものとは体側の黒色線の様子が少しばかり異なります。また幼魚の体は黒っぽく、青い線があり、成魚とはかなり違った印象をうけます。成魚サイズよりも黒と青色をした小さ目の個体が餌付きやすいような感じです。

ソメワケベラ属の仲間ではハワイのハワイアンクリーナーラス、ピンク色の口が綺麗なピーチクリーナーラスとも呼ばれるクチベニソメワケベラ、比較的安価なソメワケベラやスミツキソメワケベラと、ホンソメワケベラの計5種が知られています。

ホンソメワケベラの飼育に適した水槽

水槽

全長10cm前後の小魚ですが、ベラの仲間の多くの種は遊泳力が強く、遊泳のためのスペースを多く確保できる水槽が必要です。幼魚のうちは小型水槽でも飼育できますが、成長することを考えると小さくても60cm水槽が必要になります。さらに普通はホンソメワケベラだけを飼育するのではなく他の魚とも飼育したいでしょうから、90cm水槽が理想といえます。

ろ過槽

ベラの仲間全般、遊泳性が強く大食いなのでろ過槽も大容量のものが欲しくなります。とくに大型水槽ではオーバーフロー水槽がよいですが、それが不可能な場合は上部ろ過槽でもよいでしょう。外部ろ過槽などを単独で使用するのはおすすめできません。オーバーフロー水槽ではサンプに落下しないようにフェンスをもうけるなど工夫したいところです。

砂と飾り

ホンソメワケベラは砂の中に潜って眠る種類ではないので砂がなくても飼育可能ですが、サンゴ水槽での飼育や砂に潜ったりするハゼなどの仲間と飼育する場合は砂を敷いておきます。

夜間は岩陰や岩孔のなかにひそみ、粘膜でつくった「寝袋」の中で寝ますので、ライブロックなども必要になってきます。もちろん飾りサンゴやその他のアクセサリーでもよいのですが、このようなものを水槽から出して洗うとき、隙間にホンソメワケベラがいないかチェックする必要があります。

前回は、ベラの仲間を大まかにご紹介しましたが、今回は「夜間の休息時、砂に潜らないベラ」の仲間を色々とご紹介します。 ただ砂に潜らないベ...

水温

一般的には他のサンゴ礁の魚と組み合わせることが多いでしょうから、23~26℃くらいで飼育するようにします。温帯で採集されたものはもう少し低くてもよいかもしれません。

フタ

ホンソメワケベラの死因で多いのは、飛び出しによる事故死です。本種に限らずベラの仲間は力強く泳ぎますし、同種同士では争いますので、勢い余って飛び出すことも多いのです。ふたをきちんとして、飛び出し事故を防ぐようにします。

水流

遊泳性が強いので水中ポンプを使って適度に水流を作るとよいでしょう。水流を作るうえで注意したいのはポンプです。ポンプをタイマーで制御してしまうと、ポンプの中でベラが寝てしまう恐れがあるということです。そのままポンプが動いたら…なんて考えたくもありませんね。四六時中つけっぱなしでもよいくらいです。

ホンソメワケベラに適した餌

ホンソメワケベラは他の魚についた寄生虫や粘膜などを食べてくれますが、そればかりを食べているわけではありませんので、他にも餌をあげる必要があります。

顆粒状の配合飼料を与えますが、食べない場合はコペポーダホワイトシュリンプといった冷凍餌をガンガン食べさせます。冷凍餌は水を汚しやすいですので、ガンガン与える場合には、水替えを多めにしなければなりません。

他の魚との混泳

▲多くの魚と組み合わせられる。

ホンソメワケベラ同士の混泳は難しいです。大きな個体が小型の個体を追いかけまわす恐れがあります。自然界では群れを作り、雌は性転換して雄になるという面白い生態も観察できるのですが、水槽内のような狭い場所では同種同士では争ってしまいます。これは小型ヤッコの仲間など、他の多くの魚でもよくあるパターンといえます。うまく雌が雄に性転換してペアになればよいのですが。

ハタやフエダイなどはホンソメワケベラと飼育されることが多いのですがたまに捕食されてしまうことがあるようで、注意が必要です。小型・中型のベラ、バスレット、スズメダイ、チョウチョウウオ、キンチャクダイ、ニザダイ、ハナダイ、アイゴなど多くの魚と組み合わせることができます。

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サンゴ・無脊椎動物との関係

ホンソメワケベラがソフトコーラル、ハードコーラルを飼育している水槽に入っている水槽もよく見られます。ホンソメワケベラはサンゴを食するわけではないのようですが、サンゴやライブロックを多少「つんつん」します。

なおホンソメワケベラに近い仲間で、幼魚のみクリーニング行動をとるベラの仲間が何種かいますが、そのような種類は幼魚はクリーニングをするものの、成魚はサンゴを捕食するようになる種もいますので注意が必要です。たとえばマナベベラやミヤケベラ、レッドシークリーナーラスといった種類です。

そっくりさんとそのほかの掃除魚

▲ホンソメワケベラに擬態するニセクロスジギンポ。掃除をしないどころか、寄ってきた魚の皮膚を食いちぎる。

ホンソメワケベラに擬態する魚もいます。海の中では黒と青白い縦帯をした魚は「掃除魚」とされているようで他の魚に襲われにくいのです。ブダイベラの幼魚、ムスメベラの幼魚などは実際にクリーニング行動を行います。しかしこれらの魚は成長すると掃除をしなくなってしまいますし、先ほども述べたマナベベラの仲間のようにサンゴを捕食するようになってしまう魚までいます。

また掃除魚の模様をしていても、ニセクロスジギンポや、ミナミギンポなどのように、他の魚の鰭や体表を食いちぎるという魚も知られています。掃除をしてもらうためによってきた魚に襲い掛かるのです。口の形や側線が体の中央付近にない点などが異なりますが、慣れるとすぐにわかるようになります。

ホンソメワケベラと同属の魚はインド-中央太平洋(南アフリカからハワイ諸島、マルケサス諸島まで)に分布しますが、大西洋や東太平洋には生息していません。これらの海域ではネオンゴビーに代表されるハゼ類や、バーバーフィッシュに代表されるチョウチョウウオの仲間、タキベラの仲間の幼魚などが掃除役を担います。







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