海水魚やサンゴの飼育が困難になったら~海へ放流?殺処分?

海水魚やサンゴの飼育が困難になったら~海へ放流?殺処分?

最近、日本の海に、その場所には生息していなかったはずの魚が見られるようになりました。最近(2017/平成29年7月)も、和歌山県串本において多数のカクレクマノミやセジロクマノミが放流されるという事態が発生しています。それ以前にも、写真のセダカヤッコが静岡や宮崎などの海で確認されています。飼えなくなった魚を海へ逃がすという行為はどのような問題があるのか、そして飼えなくなった魚はどうすればよいのか、まとめました。




海に放してはダメ

どうしても海水魚を飼育できなくなった、かわいそうだから、と海へ逃がすようなことだけは絶対にやめてください。海に逃がすようなことをするなら、初めから魚を購入しないでください。

とるべき方法

上記のとおり、海に放す方法は間違った方法です。ここでは何らかの事情で海水魚を飼育できなくなった場合、とるべき方法をご紹介します。

誰かに引き取ってもらう

▲お気に入りのキクメイシの一種。飼えなくなったものを譲っていただき、5年になる。

アクアリスト仲間がいるなら、誰かに引き取ってもらうのも手です。ただし引き取ってもらうアクアリストの方にも、どんな魚を引き取ってほしいか理解してもらわないと、引き取った後のトラブルにつながる恐れがありますので、紳士的な対応を心がけます。この方法の欠点は、アクアリスト仲間がいないと使えないという点です。

お店に引き取ってもらう

もっとも確実な方法です。いくつかの観賞魚店では飼育できなくなった魚を引き取るようなことを実施しています。引き取った魚は販売されることが多いです。この方法の問題点はどこの観賞魚店でもやっているとは限らないことです。

ただし、最近は観賞魚店が売れ残りの魚を河川に放つということを行った、との話もあり、観賞魚店を信頼できなくなっているのも事実です。

殺処分する

上記ふたつの方法が使えず、自分で飼育を続けることもできないのであれば、殺処分、もしくは他の魚の餌にするしかありません。

魚がかわいそう、と思うのであれば、はじめから購入しないのが、魚のためであるともいえます。

海に放つことで起こりうる問題

▲ホクロヤッコも2008年ごろ和歌山で採集されたことがある

飼い主が見つからない。お店にも引き取ってもらえない、殺処分は可哀そう、として、海へ放すケースもありますが、これは絶対にやってはいけないことです。

一般的に外来の魚を川や海へ放すというケースは捕食の問題、つまり、外来の魚が在来の魚を食べてしまうという問題があるということが知られていますが、その他にも交雑の問題や、病気、寄生虫の問題など従来はあまり表に出ていない問題があることが明らかになっています。最近はタマカイなどのハタ類養殖種苗を国外から購入していることもありますが、そのような行為も問題を引き起こすおそれがあり放流はやめてほしいところです。

海水魚専門店ではさまざまな魚が販売されていますが、その中には、一般のアクアリストには最後まで飼育できるとは思えないような魚が販売され...

「採集した場所に逃がす」行為の問題

▲さまざまな地域の魚が一緒に泳ぐ水槽。

では採集した場所に逃がすことは問題ないのか、考えてみましょう。写真の水槽では、さまざまな地域の魚が一緒に泳いでいます。具体的に言えば、高知県、三重県、沖縄、そしてマーシャル諸島の魚です。

この魚たちのうち、どれか1匹の魚がその地域特有の寄生虫をもっていると、水槽すべての魚に広がってしまうなどという事例もあります。とくに淡水魚ではこの問題が顕著で、アメリカのギンザケが持ってきた冷水病はアユにも感染し大きな打撃をうけたとか、コイのKHVなどの問題とか、あちこちで深刻な問題を引き起こしています。海水魚の体表や鰭には様々なバクテリアや甲殻類などの寄生虫が付着しがちです。そのような生物の分布を広げないようにするためにも、たとえ採集した場所と同じ場所に逃がす行為であっても、飼育した魚を放流するという行為は慎まなければなりません。

増やしすぎにも注意

▲よく増えているディスクコーラルやタチイワスナギンチャク。増やしすぎには注意。

▲モンガラカワハギは特に気が強いので持て余しやすい。

サンゴの仲間、特にディスクコーラルマメスナギンチャクウミキノコの仲間などは増えすぎて持て余すおそれもあるので、増やしすぎには注意が必要です。

ウミキノコは基本的に自分で切って増やしますので問題は少ないのですが、ディスクコーラルやマメスナギンチャクは環境が合うと爆発的に増えることもありますので、小さな水槽では持て余すケースもあります。

増えすぎたら海に棄てずにイベントなどで販売する、あるいはチョウチョウウオなどの餌にするという方法もありますが、持て余さないように増やしすぎないのが原則といえます。

また魚の中には気が強いなどの理由で持て余しがちな魚もいます。その代表的なのはスズメダイの仲間やモンガラカワハギ、大型のキンチャクダイの仲間です。スズメダイの仲間で、その中でもクマノミに近い仲間のスパインチークアネモネフィッシュが伊豆や三重で見つかっており、三重の件はアクアリストが捨てたものと考えられます。気が強く持て余しがちな魚を「飼育するな」とは言いませんが、そのような魚をきちんと最後まで面倒みられるか、考えることも重要です。

まとめ

  • 飼えなくなった魚は海に放してはならない。
  • 理想はアクアリストやショップに引き取ってもらうこと
  • 最終手段は「殺処分」であり、海へ放すことではない
  • 採集魚を獲った場所に逃がすことも、病気や寄生虫のこともあり、してはならない
  • よく増えるサンゴは増やしすぎに注意
  • 最後まで飼えるか考えることが大事
熱帯の海でみた生き物。水族館でみた美しい魚。その際にふと思うことがあるでしょう。 「連れて帰りたい!」 人間は大昔から、...







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