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2020.11.10 (公開 2017.08.02) サンゴ図鑑

マメスナギンチャクの飼い方・増やし方~初心者でも飼育しやすいサンゴ

マメスナギンチャクは、ディスクコーラルや、スターポリプとならび海水魚飼育初心者にもおすすめのソフトコーラルです。

飼いやすいものが多いだけでなく、色鮮やかで、メタリックカラーのマメスナギンチャクに青いLEDを当てて光らせたり、さまざまな色彩のマメスナギンチャクを集めたり、さらに給餌をして増やすなど、さまざまな楽しみ方があります。

マメスナギンチャクとはどんなサンゴ?

▲マメスナギンチャク

マメスナギンチャクは通常、ソフトコーラルとして扱われています。しかしサンゴのうち「ソフトコーラル」「ハードコーラル」というのはあまり学術的な分類とはいえないところがあり、実際にはイソギンチャクに近い種類の六放サンゴの仲間です(トサカやハナヅタなどは八放サンゴの仲間)。

イソギンチャクの仲間、といえば飼育が難しいイメージがありますが、マメスナギンチャクは水質悪化にもよく耐え、餌は必ずしも必要ではないものの与えるとよく食べて増殖します。そのため飼育は簡単なことが多いので、サンゴ飼育初心者にもおすすめできます。またカラーバリエーションも豊富でコレクション性の高いサンゴといえます。同じように飼育しやすいイソギンチャクの仲間とされるサンゴにはディスクコーラルの類やタチイワスナギンチャクなども含まれます。

▲ブルーLEDライトを当てたらイエローが鮮やかに輝く人気なタイプ

▲中心部が緑色のもの。あまり人気は高いとはいえないがそれでも青色LEDで輝く

▲青色で縁辺が緑色のもの。一見地味だがよく見るととても美しい

マメスナギンチャク飼育に適した水槽

水槽サイズ

丈夫で飼育しやすいという点では、初心者向けのサンゴというだけでなく、水質などが変化しやすい小型水槽でも飼育しやすいサンゴということがいえます。小型水槽でもマメスナギンチャクのお花畑を作っている方もおります。ただし、小型水槽では水質が変化しやすいのは初心者には管理がしにくいため、できれば60cm以上の水槽で飼育したいものです。

水槽システム

60cm以下の水槽では外掛け式フィルターや外部式フィルター、90cmまでの水槽なら上部フィルターを採用するのがよいでしょう。硝酸塩などの栄養塩の蓄積には強いものが多いですが、できるだけきれいな水を保つようにします。プロテインスキマーを併用するのもよいでしょう。

ナチュラルシステムのような、栄養塩を低く保つためのシステムでも飼育可能ですが、増殖を早めるために餌を与えると水槽内に硝酸塩が増えますので、ミドリイシやハナヤサイサンゴなどの、栄養塩の蓄積に弱いサンゴと飼うのであればつねに硝酸塩の値に気をつけなければなりません。

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水流

水流については強いものは必要ありません。ごみが土台などにたまらないようにするために若干の水流は必要ですが、水流ポンプからでた強い水の流れがマメスナギンチャクにあたり、マメスナギンチャクが押し倒されるようになっている水流は強すぎます。

水温

これも他の多くのサンゴ同様、熱帯から亜熱帯の海域に多く生息するので、水温は25℃前後をキープするように心がけます。夏はクーラーを使って冷却し、冬はヒーターで保温し、確実に25℃前後の水温をキープしたいものです。筆者は以前にヒーターのトラブルが発生し、水温が上昇してしまったことがあります。29℃くらいで数日は大丈夫でしたが、それより上がると厳しいでしょう。

マメスナギンチャクの餌

光合成をしますが、餌も与えるようにしましょう。餌をあげると、よく増えてくれます。マメスナギンチャクによく似たイエローポリプなどは餌を与えないと弱ってしまうほどで、餌をよく必要としている、といえます。

餌は魚用の配合飼料を水で溶いたものをスポイトで与えるという方法もありますが、冷凍のコペポーダを与えたり、専用の配合飼料を与えるという方法もあります。以前このブログでも2種の乾燥飼料をご紹介しましたが、粒が大きめのカラヌスペレットよりも、粒が細かいポリプラボのリーフロイズの方がマメスナギンチャクに与えるのにはよいでしょう。

マメスナギンチャク飼育に必要な添加剤

マメスナギンチャクに限らず、ソフトコーラル全般にいえることですが、ヨウ素や鉄分、微量元素の添加が効果的です。カルシウムやマグネシウム、ストロンチウムなどもあった方がよいのですが、これらはミドリイシほどシビアに考えなくても良いです。定期的な換水、あるいはリキッドリーフなど、複数の元素が入ったオールインワン添加剤を使用するのもよいでしょう。

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マメスナギンチャクの産地

マメスナギンチャクの仲間はインド-太平洋、大西洋の暖かい海域に広く分布しています。観賞魚店にはほかのサンゴや魚同様、西太平洋のもののほか、フィジーなどからも入ってきます。簡単に増やすことができ、増えたものはフラグに接着されて販売される、あるいはアクアリスト同士での交換をしたりします。このほかインドネシアなどから入ってくる養殖サンゴの土台についていたりすることもあります。

沖縄

マメスナギンチャクなどは造礁サンゴとはみなされないため国内採集も可能です。日本では他のソフトコーラルと同様に沖縄で採集されるものが多く、採集後はトリートメントされ、輸送時間も短いため、状態よく届きやすいといえます。

東南アジア

インドネシアなどからやってくるマメスナギンチャクです。特にインドネシア産は比較的安価ですが、色のバリエーションは豊富で、集めてみても楽しいものです。

中国・ベトナム

マメスナギンチャクの産地として、最近人気がある地域です。輸送に問題があるのか、飼育は他の産地のものと比べてやや難しいという意見も聞きます。緑や黄色など、他の地域とは似たようで違う、独特の色が特徴です。ベトナムのものでも似たような模様がしているものもあります。

マメスナギンチャクを選ぶポイント

まず他のどんな生き物もそうなのですが、お店に入ってきて数日以内のものは避けるようにします。また土台から腐ったような、いわゆる「温泉の臭い」がするようなものもやめたほうがよいです。フラグに接着された個体もよく販売されているのですが、その場合もフラグにつけられてすぐの個体は避けたほうが良いです。寄生生物対策には水槽に入れる前にバケツの中で薬浴をおこなうとよいでしょう。とくに中国産のマメスナは人気ですが、入荷に難ありともいわれます。

フラグマメスナを選ぶポイント

最近はマメスナギンチャクのフラグもよく市販されています。フラグを購入するときは上記の注意点のほか、土台となっているプラグにしっかりくっついていることも選ぶポイントとしたいものです。またできればフラッギングした日をお店に訪ねておきましょう。岩ごとフラッギングしたものは問題が起きにくいですが、それでもその岩にしっかりついていて、群体に委縮したものがついていないものがよいでしょう。

マメスナギンチャクと魚の相性

▲マメスナギンチャクは多くの種の魚と組み合わせられる

▲ハコフグの仲間のウミスズメやなどはスナギンチャクに含まれる毒(パリトキシン)をもつことがある

マメスナギンチャクは多くの魚との飼育も楽しめます。クマノミ、スズメダイ、ハゼ、ハナダイ、多くのベラ、カエルウオなどと一緒にすることができます。しかしヤッコの仲間の一部、チョウチョウウオなどはマメスナギンチャクを食べてしまうことがあります。

またカワハギの仲間やフグ、ハコフグの仲間も注意が必要で、これらの種類はある種のスナギンチャク類を捕食し、内臓にスナギンチャクがもつ、パリトキシンという毒を蓄積してしまうことさえあります。この毒はアオブダイという魚の肝臓からも検出され、肝臓を食した人が亡くなってしまうという事例もあります。いずれにせよマメスナギンチャクを食べてしまう魚との組み合わせはいけない、ということになります。

エビにご注意

▲カーリーを食べるタイプのエビにはご注意

エビも種類によっては要注意です。ペパーミントシュリンプはサンゴ水槽の厄介者「カーリー」ことセイタカイソギンチャクを捕食する「カーリーキラー」として水槽に入れられていることも多いですが、同じイソギンチャクの仲間であるマメスナギンチャクを食べてしまうこともあるので、注意が必要です。アカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)は我が家のマメスナギンチャクには手出ししませんでしたが、ディスクコーラルを食べるということがあったので、マメスナギンチャクをついばむことがあるかもしれません。

コケにも注意

▲アイゴの仲間はコケを食べてくれる

細い糸が絡まったような、もやもやしたコケがマメスナギンチャクやその土台につくことがあります。このような藻は増殖スピードも早く、マメスナギンチャクの上を覆うように繁殖していくので厄介です。一番よいのはキイロハギやアイゴの仲間、あるいはモエビの仲間などに、このコケを食べてもらうことです。ただしアシナガモエビはよいのですがサンゴモエビの類はあまり食べず、それどころかハードコーラルの共肉をむしって食べてしまうこともあります。

また水流がないような環境だとデトリタス(排せつ物や微生物の死骸などに由来する有機物)がたまり、コケも生えやすくなります。適度な水流を心がけます。

マメスナギンチャク飼育まとめ

  • 飼いやすいものが多く、カラーが豊富
  • 産地によって、または種類によって飼育の難易度が違う
  • 栄養塩の蓄積に強いものが多い
  • 餌をあげるので栄養塩の蓄積に弱いサンゴとの飼育には向かない
  • 強すぎず弱すぎずの水流と照明が必要
  • 水温は25℃
  • 粉末状の配合飼料を水に溶いて与え、ヨウ素・鉄分・微量元素を添加する
  • チョウチョウウオやハコフグなどに食べられることがある
  • カーリー退治のエビには注意
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