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2020.12.04 (公開 2018.10.28) 海水魚飼育の基礎

初心者におすすめの海水魚~飼育しやすい・基礎が学べる魚種一覧

スズメダイ属

海水魚ラボ推奨、初心者におすすめの海水魚飼育しやすくマリンアクアリウムの基礎が学べる魚を紹介します。

「初心者が飼育しやすい」と言われる魚には一定の条件があります。また、飼育が容易でも他の魚との相性(混泳)も考えなければなりません。それら魚種ごとの特徴を踏まえた「おすすめの海水魚」をまとめました。

何も知らずに魚を選んで購入すれば、すぐに魚を死なせてしまい悲しい思いをすることになります。最初のうちは海水魚店の店員の方と相談しながら、初心者にも飼育しやすい魚から飼育をはじめるとよいでしょう。

「初心者が飼育しやすい海水魚」の条件

「初心者が飼育しやすい海水魚」というのは、多くの専門書にも掲載されていますが、一体その魚はなぜ初心者向きなのでしょうか。まずはその魚がなぜ初心者にとって飼いやすいのか考えていきます。

水質悪化に強いこと

魚水槽の一例

▲魚の多い水槽では排せつ物の量が多くなりやすい

初心者アクアリストはどうしても魚を水槽にたくさん詰め込んでしまいがちです。

魚を多く詰め込んでしまえば排せつ物は多くなり、生物ろ過が追い付かなくなってしまい、水質が悪くなります。魚の種類によっては硝酸塩の蓄積に弱いものもいます。そのような水質低下にある程度耐えられるような魚が初心者に適しているといえます。

もちろん、水質悪化に強いからといって水換えを怠ってはいけません。硝酸塩があまりにも多すぎるような環境では、新しい魚を入れたときに魚が死んでしまうこともあります。

配合飼料をよく食べること

チョウチョウウオは最初のうちはアサリを与える必要がある

▲チョウチョウウオは最初のうちはアサリを与える必要がある

海水魚の餌としては配合飼料を与えるのが一般的ですが、魚の中には最初からすんなり配合飼料を食べないものも多くいます。例えばチョウチョウウオの仲間、キンチャクダイ(ヤッコ)の仲間、カサゴの仲間、ヨウジウオやタツノオトシゴ、フグやハコフグの仲間です。

これらの魚にはまずアサリやエビなど生の餌を与え、徐々に配合飼料に慣らす必要があります。ヨウジウオやタツノオトシゴなど、配合飼料を食べない魚もいます。フグやハコフグの仲間も餌を食べるスピードが遅いです。これらの魚は手間がかかり、初心者にはなかなか難しいといえます。

また、チョウチョウウオやキンチャクダイ、フグの仲間はサンゴを食べてしまうことがあります。サンゴも入れたいのであればこれらの魚の飼育はやめた方がよいでしょう。

小型の水槽でも飼育できること

フエダイ科

▲フエダイの仲間は大型になる

観賞魚店で「初心者向け水槽セット」として販売されている水槽や機材は45cm以下であるものが多いです。しかし個人的には海水魚飼育を始めるなら60cm水槽でのスタートが理想です。

初心者であっても「魚を多く入れたい」という誘惑に打ち勝つことができればこのような小型水槽の水槽セットで飼育可能ですが、45cm水槽では飼育できる魚の種類に制限があります。

当然45cmを超えるサイズに育つ魚は飼育できませんし、遊泳性の強い、よく泳ぐ魚は飼育しにくいものです。「小さい水槽=初心者向け」というのは大きな間違いであり、水槽が大きくなるほど水質が安定するため、実は初心者が管理しやすいのです。

病気にかかりにくいこと

チョウチョウウオは病気になりやすい

▲チョウチョウウオは病気になりやすい

魚の中には病気にかかりやすい魚もいます。たとえばチョウチョウウオの仲間、フグの仲間、ツノダシ、ニザダイ(ハギ)の仲間などは、白点病などの病気にかかりやすいといえます。

白点病の治療には硫酸銅やグリーンFゴールドなどの薬品を使用するのが一般的ですが、薬品の濃度を間違えたら魚を殺す恐れがあることグリーンFゴールドは発がん性のある物質であることなどから扱いに注意が必要です。

海水魚の飼育で重要なことは、病気になるような環境をつくらないことですが、それでもチョウチョウウオなどは白点病にかかってしまうことがあります。そのような魚は初心者には向いていないといえるでしょう。

トラブルを招きやすい魚ではないこと

ハコフグの仲間は毒を出すおそれあり

▲ハコフグの仲間は毒を出すおそれあり

魚の習性はさまざまで、その中には初心者アクアリストには対応が難しいものもあります。簡単に言うと「世話のかかる魚」ではないことが条件です。

フグやハコフグの仲間はかわいい姿から人気が高いのですが皮膚から毒をだし、他の魚を殺してしまうこともあります。さらに先ほども述べたように白点病にかかりやすいこと、小食で餌付けがしにくいこともあり初心者にはおすすめできません。

モンガラカワハギは飼育自体はしやすいのですが、強い歯をもっており問題を起こすこともあります。ほかの魚やサンゴをかじったり、飼育者にかみついたりすることがありますがこれはまだよい方で、水槽に突進してガラスを割ったり、ヒーターなどのコードをかじるおそれもあります。

これらの行為をしてしまえば惨事は免れません。魚が本当に好きなアクアリスト以外飼育すべきではないでしょう。

初心者におすすめ・飼育しやすい海水魚一覧

前置きが長くなりましたが、大切な魚の命を奪ってしまうことがないよう、しっかり学んだ上で水槽に入れる魚を選んでください。具体的に当サイトで推奨する「初心者におすすめ・飼育しやすい海水魚」は以下です。

  • スズメダイの仲間
  • クマノミの仲間
  • 共生ハゼの仲間
  • 遊泳性ハゼの仲間
  • カエルウオの仲間
  • ベラの仲間
  • メギス(ニセスズメ)の仲間
  • ゴンベの仲間
  • ハナダイの仲間
  • テンジクダイ(イシモチ)の仲間

スズメダイの仲間

スズメダイの仲間

▲スズメダイの仲間は気が強いものの、飼育は容易かつ色鮮やか

デバスズメダイ

▲デバスズメダイは比較的おとなしく飼育も簡単

スズメダイの仲間は水質悪化に強く、初心者アクアリストが初めて水槽に入れるのに最適な魚といえます。

しかしながら性格はきつめのものが多く、混泳には注意が必要です。45cm以下の水槽では1匹しか入れられない種類もいます。スズメダイ科としてはやや大人しめの性格をしているデバスズメダイなどが最初に飼育するのに適しているでしょう。

特に初心者アクアリストは多くの種類の魚を入れたがるものですので、他の魚との協調性があるデバスズメダイを飼育するのが最適といえます。

クマノミの仲間

カクレクマノミ

▲あの映画で人気の魚もこの仲間!

映画でもおなじみのカクレクマノミが含まれる仲間で、スズメダイ科の中のクマノミ亜科に含まれる魚です。

天然のもの、養殖のものいずれも出回っており、後者については体が真っ黒なカクレクマノミや模様乱れのペルクラなど、改良品種も多く出回ります。基本的にどの種も丈夫で飼育しやすいですが、入荷直後に発生しやすいトリコディナなどの病気にだけは注意した方がよいでしょう。

購入する際には、あまりにも小さいものは避け、入荷してある程度時間が経ったものをおすすめします。

なお、私のTwitter上でアクアリスト向けに同様のアンケートを行った結果、なんだかんだカクレクマノミが初心者に適しているという結果になりました。

また、クマノミの仲間はイソギンチャクとの共生で有名ですが、初心者にはおすすめできません。というのも、イソギンチャクは飼育が難しいからです。クマノミの仲間は飼育下ではイソギンチャクがなくても問題ありません。

共生ハゼの仲間

共生ハゼ

▲水槽内でも簡単に共生が楽しめる!

共生ハゼはテッポウエビと共生するハゼの仲間です。観賞魚としてはギンガハゼ、ダテハゼ、ヤノダテハゼ、クビアカハゼ、ヒレナガネジリンボウ、ヤシャハゼ、ホタテツノハゼなどがよく知られています。

ハゼはテッポウエビの巣穴の中にすみかを提供してもらうかわりに、巣穴の見張りを行います。共生ハゼと共生するテッポウエビは初心者でも容易に飼育できますので、イソギンチャクとクマノミの関係と異なり水槽内でも容易に共生を再現できます。

カクレクマノミと混泳するのであればダテハゼやギンガハゼなどの丈夫で強めの種がおすすめです。小型水槽ではヒレナガネジリンボウなどの小型種が最適でしょう。テッポウエビは種類によって共生する種がある程度決まっており、ダテハゼやギンガハゼの仲間はニシキテッポウエビやコシジロテッポウエビを、ヒレナガネジリンボウなどネジリンボウ属の小型種やヤノダテハゼなどはコトブキテッポウエビ(ランドールピストルシュリンプ)を好むことが多いようです。飼育下では必ずしも共生相手が必要というわけではないのですが、共生相手がいないとほかの魚から狙われやすくなることがありますので、注意が必要です。

ただし、共生を見るのが楽しいからといって、共生ハゼをたくさん入れてしまうと争いが絶えなくなってしまうので、小型水槽では共生ハゼとテッポウエビはそれぞれ1匹、もしくは1ペアにとどめておきましょう。また、意外なほど飛び出し事故が多いですので、フタはしっかりしましょう。

遊泳性ハゼの仲間

ハタタテハゼ

▲飼育しやすく性格もおとなしい

主にクロユリハゼ科の魚です。アクアリウムで人気のハタタテハゼの仲間や、ゼブラハゼなどが含まれます。飼育しやすいのはハタタテハゼやアケボノハゼ、ゼブラハゼなど。オグロクロユリハゼやハナハゼは臆病すぎるのでクマノミなど強い魚との混泳は避けた方が無難です。

注意すべき点としては大きなクマノミなど強い魚と混泳すると岩陰から出てこなくなるおそれがあること、飛び跳ねて死んでしまうおそれがあることです。事故を防ぐために水槽の上にフタを乗せるなどの対策が必要です。病気にもなりにくく丈夫で飼育しやすい魚です。また同種同士の混泳も比較的しやすい仲間です。

カエルウオの仲間

眼の上の皮弁がかわいいヤエヤマギンポ

▲眼の上の皮弁がかわいいヤエヤマギンポ

イソギンポ科・カエルウオ族の魚です。観賞魚店ではヤエヤマギンポやフタイロカエルウオ、モンツキカエルウオなどの種類がよく販売されています。食性は主に付着藻類で、水槽の壁面や岩に生えるコケを食べてくれ、顔もかわいいので人気があります。ただしセダカギンポはコケを食べず、サンゴを捕食するので注意が必要です。

飼育の注意点としては、きちんと餌を与えることが重要、ということがあげられます。よくこの魚はコケ取りに入れられることが多いのですが、自然発生するコケだけでは長期飼育は難しいのです。「海藻70」など、藻類食魚用の餌も与えるようにします。また、浅い磯に生息するカエルウオなどは水槽から飛び出してしまうこともあり、フタもしっかりしなければなりません。

ほかの魚との混泳は難しくはありませんが同種同士で激しく争うことがあり、小型水槽では同じ種は1匹のみにしておくのが賢明といえるでしょう。

ベラの仲間

▲イトヒキベラやクジャクベラの仲間はとても飼育しやすい

▲キュウセンの仲間は砂に潜るので砂を敷いてあげたい

ベラの仲間は種類が非常に多く、ひとことで述べることは難しいです。その中で初心者におすすめのベラは、イトヒキベラの仲間クジャクベラの仲間キュウセンの仲間です。

小型水槽ではクジャクベラやマッコスカーズラス、ラボックスラスといった小型種がよいでしょう。混泳もしやすく丈夫で飼育しやすいため、初心者にはとても適しているベラといえます。一方クロヘリイトヒキベラやローズバンドフェアリーラスといった種類は大きくなるのでやめたほうがよいでしょう。同種同士、とくに雄同士では激しく争うので、一つの水槽に同じ種の雄は1匹のみ入れるようにします。

キュウセンの仲間は砂の中に潜るため、夜間の寝床用の砂を敷いてあげましょう。飼育自体は簡単ですが、小型の甲殻類は捕食してしまいますので注意が必要です。

ニセモチノウオやタキベラの仲間のフタホシキツネベラも初心者におすすめといえるベラですが、これらの種はやや気が強くなるため同じように強めの魚と混泳させるのがベストです。なお、ベラの仲間はどの種も遊泳性が強いためフタはしっかりとして飛び出し事故を防ぎましょう。

メギス(ニセスズメ)の仲間

▲小さいが性格はきつい。飼育そのものは簡単で色も鮮やか。

メギスの仲間はどの種も丈夫で飼育しやすく、養殖された個体も入ってくるので入手も飼育も楽です。クレナイニセスズメヤオーキッドドティバック(フリードマニ)など色彩も鮮やかな紫のもの、あるいはバイカラードティバックのように紫と黄色のツートーンカラーが美しいものなど色々と知られています。

水質にはあまりうるさくはないのですが、あまりよくない水質で飼育していると、紫色の部分があせてしまうこともあり、できるだけきれいな水をキープしておきたいところ。

注意したいのはその性格です。メギスの仲間はかなり性格がきつくほかの魚、特によく似た形の魚を攻撃します。ハタタテハゼなどの遊泳性ハゼや共生ハゼなどとの混泳はやめた方がよいでしょう。もちろん同種同士の混泳も避けた方が無難と言えます。

ゴンベの仲間

▲サラサゴンベは小型水槽での飼育も可能

ゴンベ科の魚は背鰭棘に小さな糸状突起を有するのが特徴で、顔つきも愛嬌があり人気が高い魚です。

初心者におすすめのゴンベはミナミゴンベやサラサゴンベ、メガネゴンベなどです。この仲間はサンゴ礁に生息し色も美しいため人気があります。とくにサラサゴンベは比較的小型の種なので小型水槽でも飼育しやすいでしょう。

クダゴンベは細長い口をしており、体に網目模様がある美しい魚ですが、たまに拒食状態になることがあるので注意が必要です。なお、繊細な色彩で人気のハナゴンベは従来はゴンベ科の魚とされていたこともありますが、ハタ科(ハナダイ亜科)の魚で、ゴンベの仲間ではありません。

ゴンベの仲間はいずれの種も肉食性が強く、魚や甲殻類を捕食してしまうので混泳には注意が必要です。また同種同士でも争うおそれがあり、注意が必要です。またスカンクシュリンプなどのエビも捕食してしまうことがあります。

ハナダイの仲間

▲キンギョハナダイはハナダイの仲間でも特に飼育しやすい種

ハナダイの仲間には飼育しやすいものと飼育が難しいものがいます。観賞魚店でよく販売されているもののうち、キンギョハナダイやケラマハナダイといった種はたいへんに丈夫で、初心者にもおすすめです。

その一方難しいものもいます。ハナゴイやパープルクイーンといったものがそれで、これらの種類は臆病で痩せやすく、大きいものは餌付きにくく飼育は難しいといえます。アカネハナゴイはこれらの魚と比べて飼いやすいですが、小さいうちは頻繁な給餌が必要です。

ハナダイを購入するポイントとしては小さいものや痩せているものを避けること。入荷して時間がたちよく餌を食べて太った個体を選ぶのがよいでしょう。雌同士はあまり争わないので混泳は可能ですが雄同士は争うため注意が必要です。クマノミやデバスズメダイなど大人しい魚との混泳は可能です。

テンジクダイ(イシモチ)の仲間

マンジュウイシモチ

▲マンジュウイシモチは初心者にも飼育しやすい

マンジュウイシモチは非常に飼育しやすく、鮮やかな色彩のため人気が高い魚です。そのほか飼育しやすいテンジクダイとしては、シボリ、オオスジイシモチ、シールズカーディナルフィッシュ、ヒラテンジクダイなどがいます。

キンセンイシモチやスカシテンジクダイ、イトヒキテンジクダイなどもポピュラーでよく観賞魚店に入荷し、入手しやすい種類といえますが、これらの魚は体が傷つきやすいため扱いには注意が必要です。水ごと魚を掬うようにしたり、強い魚との混泳を避けるようにします。同種同士の混泳が可能な種も多いです。

初心者におすすめの海水魚まとめ

  • 初心者は魚を詰め込みがち、水質悪化に強い魚を選ぶか入れる魚の数と種類を先に決める
  • はじめから配合飼料を食べないチョウチョウウオなどは初心者に適していない
  • 小型水槽で終生飼育できる魚が滴している
  • 病気になりやすいハギ系なども初心者に適していない
  • フグやモンガラカワハギなど問題を引き起こすような魚は初心者には向かない
  • スズメダイ・ゴンベ・メギスなどは飼育しやすいが性格がきつめ
  • デバスズメダイはスズメダイとしては温和なため初心者に最適
  • 共生を楽しむなら共生ハゼとテッポウエビを。クマノミとイソギンチャクはやや難しい
  • ベラは種類が多い。おすすめはキュウセン類、クジャクベラ、イトヒキベラなど
  • ニセモチノウオやタキベラ系は性格が強め
  • カエルウオはコケを食べてくれる
  • キンギョハナダイやケラマハナダイなども初心者におすすめ
  • マンジュウイシモチは温和で飼育しやすく複数飼育も可能

編集後記

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