2018.09.14 (公開 2017.06.18) 海水魚の買い方
健康な海水魚・サンゴの選び方~安全に購入するためのポイント
海水魚を販売するのには、動物取扱業登録などは必要なく、基本的に自由に販売することができます。そのため個人で経営しているお店から、会社組織された大型店舗など、さまざまな業態があります。
どんな店で買うのがいいの?
個人で経営するお店
個人、またはその家族などが経営する事が多い、小規模なお店です。元々有名なアクアリストだった人がはじめたケースも多いのです。流石に用品のストックや魚の種や量など大型店にかなわないところもあるのですが、ある種に特化したお店や、美しいサンゴを扱うようなお店などもあります。
大型店
会社として組織されたようなお店は大型で、用品も大量に販売されています。魚の数も種類も多いのですが、魚の数は多くてもメンテナンスや管理がイマイチという店もあるので十分気を付けなければなりません。また淡水魚について積極的にやっていても、逆に海水魚は全くいまいちという店舗もありますので、その辺の見極めは重要です。
通信販売
個人、会社問わず現在は通信販売に力を入れているお店が多いです。他にも通信販売限定なんていうところもあります。近くに海水魚店がない、あるいはあってもいいお店がないときに重宝しますが、魚の通販は、注意しておかなければならないポイントも多いので、また別項でご紹介します。
魚を購入するときのポイント
さて、観賞魚店で欲しい魚を見つけました。お店の人を呼びたくなりますが、まずは買いたいと思っている魚の体をチェックしてみましょう。
眼
眼がキラキラして、よく人の動きに反応するものを選びます。逆に眼が濁っていたりするのは避けます。勿論眼がなくなっていてその周辺が腐っているようなものもありますがそのようなものは絶対に選ぶべきではありません。
鰭
鰭が少し切れているくらいでは問題ないのですが、明らかにぼろぼろになっていたり、鰭の縁辺の透明な部分が濁っていたり、あるいは白い点がついているのは避けます。
口
口に傷があったり赤くただれているものは絶対に避けます。お店の水槽で死魚をつつくなどして病原菌が入った可能性もあります。できればその水槽の魚を飼育するのをやめておきたいところです。
背中
背中に肉がついておらず、げっそりとしているのはかなりやせた個体です。このような個体は回復に時間がかかる為避けます。遊泳性ハゼなどは痩せやすいので特に注意します。
色
なるべく濃い色の個体を選ぶようにしましょう。もちろん、濃い色で綺麗でも口に傷やただれがあったり、泳ぎ方がおかしいのは、選んではいけません。
体表
体表が赤くにじんでいるようなもの、膜が被っているように見えるもの、体に白や黄色の斑点がついているようなものは絶対に避けます。
泳ぎ方
カクレクマノミやスズメダイなどは隅でじっとしているもの、逆に他の個体と比べて激しく不自然に泳ぐものは避けます。ただしカクレクマノミではなく遊泳性のハゼなどは強い魚がいる場合、サンゴ岩や土管の中にじっとしている…なんてことはあります。
魚のいる水槽をチェック
魚のいる水槽で魚の死体が落ちているままになっていて、しかもその死骸が腐っているようなところは管理が行き届いていないと考えて良いでしょう。もし細菌の感染症にかかって魚が死んでしまっていた場合、それをつつくなどした魚も感染する恐れがあり、購入は避けます。
魚を水槽に入れる順番
強い魚を先に水槽に入れた場合、後から弱い魚を入れたら蹴散らされてしまいます。まず混泳したい魚をリストアップして、弱い順から水槽に入れるようにしていきます。
初めて海水魚を飼育するときに勧められる魚としてはクマノミを含むスズメダイの仲間、ハゼの仲間などがいますが、その中ではハゼの仲間はスズメダイの仲間よりも温和で臆病なので、例えば、ハタタテハゼとカクレクマノミの混泳ではハタタテハゼを一番最初に水槽に入れるようにします。そしてハタタテハゼが水槽になれて、自分の「なわばり」を持つようになってからカクレクマノミを入れるようにします。
クマノミの仲間以外の魚の組み合わせは魚ごとにいちいち述べるわけにはいきませんので、大体弱い魚から順番にいれていきます。強い魚同士を組み合わせる場合は、新しく魚を追加するときはもともといる魚より大きいものを選ぶのが理想です。また同種同士でかなり争う小型ヤッコの仲間や、甲殻類を食べることも多いゴンベやベラの仲間などもいますので、そのような組み合わせは十分気を付けます。
我慢も大事、すぐに魚を入れない
「欲しい魚が見つかったけど、調子がイマイチ…」
「欲しい魚が見つかったけど、病気が出ている」
と感じたら、購入は避けましょう。
海水魚に限らず、観賞魚の衝動買いは飼育失敗のもとになりがちです。そのような場合はスルーして、いい個体が来るのを待ちましょう。しかし、上記の「魚のいる水槽をチェック!」で書いたような、管理の行き届いていない熱帯魚店では、あまり状態の良い個体には出会いにくいものです。
家に近いお店だけでなく、綺麗なサンゴを扱っているお店、健康な魚を多く扱っているお店など、さまざまなお店を訪問して、わからないこと、疑問に思ったこと、お店の人に相談してみましょう。
サンゴを購入するときのポイント
サンゴの仲間も魚を購入するときと同様に、注意すべきポイントがあります。
入荷してから時間が経っていること
サンゴも魚と同様、入荷して間もない個体は極力避けるようにします。理由は寄生虫や病気をもっているおそれがあるからです。またソフトコーラルも状態が悪いと溶けてしまったりします。溶けてしまうと水質が急激に悪化する恐れがあるので状態には気を付けます。入荷して長く水槽にいる個体が理想です。
骨格が見えていないこと
▲ダメージを受けて骨格が見えてしまったサンゴ。
ナガレハナサンゴの仲間などゆらゆらしたサンゴは綺麗なのですが、ダメージを受けると骨格が見えるような状態になります。他にオオバナサンゴなどやクサビライシの仲間などもダメージを受けると骨格が見えてくるようになります。原因は主に硝酸塩の蓄積で、砂をかぶってしまったとか、あるいは他のサンゴの攻撃などでもダメージを受けます。
寄生生物がついていないこと
▲ウスコモンサンゴは専食する「白いウミウシ」に注意。
サンゴには寄生生物がついていることがあります。最も代表的なものは厄介なカーリーことセイタカイソギンチャクで、このイソギンチャクは毒性が極めて強いためサンゴに有害です。初心者向けのサンゴとは言い難いですが、コモンサンゴの仲間やイボヤギの仲間のように専食するウミウシの仲間がついているものもあります。お店の人にチェックしてもらったり、あるいはサンゴ専用の薬浴剤を使うのも良いでしょう。
サンゴはよく開いている状態のものが綺麗です。ただしサンゴが開いていないから、といって必ずしも状態が悪いというわけではないわけではありません。ソフトコーラルの仲間でもウミキノコの仲間などなかなか開かなかったりします。
購入後は…
魚を購入したあとは、早めに家に帰るようにします。
車で持ち帰るときは、魚はトランクに入れず、冷房や暖房のきいた室内に置いておきたいものです。クーラーボックスなどに入れておければ、なおよいでしょう。電車などで持ち帰るときはあまり動かないように気を付けましょう。
サンゴはあまり転がってダメージをうけないように慎重に運ぶようにします。
魚を水槽に入れる
家に到着したら、魚を水槽に入れます。
- 水槽にいきなり魚を入れず、まずは袋のまま水面に浮かべておき、水温を合わせます。
- 魚を水ごとバケツにいれます。
- バケツの中に水を少しずついれます。
- 魚を水槽に入れます。
お店の水槽の水は原則水槽に入れないようにします。理由はお店の水槽で魚に使っていた薬が水槽に入るのを防ぐためです。
魚を水槽に入れるときは鰭に毒がある魚でない限り、濡らした手ですくって入れてあげます。鰭に毒のあるような魚もいますので、そのような場合は魚を傷つけにくい網を使うか、魚を水ごと容器で掬って、別の綺麗な水をはったバケツの中にいれてからやはり魚を水ごと掬って水槽の中に入れます。初心者向きの魚としては、ニザダイの仲間やアイゴの仲間の鰭に毒がありますので気をつけます。
エビを水槽に入れる
エビは魚に比べて水合わせを慎重にしなければいけません。これはエビは水質の急変に弱いからです。
魚同様温度合わせをした後、小さな容器にエビと水を少しだけいれ、水槽の水を少しずつ容器にうつしてあげて、水槽に入れます。
サンゴを水槽に入れる
サンゴを水槽に入れるときには考えなければいけないポイントがあります。それはサンゴは毒を持っているので、接触しない位置に置いておくということです。特にスイーパー触手をもっているハードコーラル同士の接触には注意が必要です。