ライブロックで水槽立ち上げ~注意すべき生き物や組み方のコツ | 海水魚ラボ

ライブロックで水槽立ち上げ~注意すべき生き物や組み方のコツ

海水魚飼育で重要なものが「ライブロック」。

「ライブロックは海水魚飼育の必需品です」と言われても、初心者の方はその有用性・必要性が分からない方も多いでしょう。また値段もkgあたり数千円と中々高価。本当にライブロックは海水魚飼育で必要なのでしょうか。そしてどのような効果があるのでしょうか。この疑問を解決します。

ライブロックとは

ライブロックというのは英語で「Live Rock」、つまり「生きている岩」のことです。

その正体は、サンゴ礁の海底に沈んでいるサンゴが死んで骨格だけになってしまったもの。

サンゴの死骸にバクテリアや藻類をはじめとしたさまざまな生物が付着したもので、このライブロックについているバクテリアがフィルターのろ材などについてくれますし、このライブロックについているバクテリアだけでもろ過の助けをしてくれます。ろ過の重要な役目を担う不思議な岩です。

また水槽レイアウトの要にもなります。色々な形や大きさのライブロックをうまく組み合わせて立体的に組み合わせることにより、ほんものの海を切り取ってきたかのようなレイアウトを作ることが出来ます。

そのライブロックの隙間に魚などが群がり、危険や問題があるとかくれたりします。ろ過バクテリアの住処でもあり、また魚にとっても住処を提供します。

これ以前はサンゴ岩などにろ過バクテリアがつくのを待つ必要がありましたが、その後ろ過バクテリアがついたろ材が販売されるようになり、そして現在はこのライブロックの普及により、簡単に海水魚水槽を立ち上げることができるようになりました。

ライブロックはいつ水槽に入れればいいの?

水槽を立ち上げて砂と海水を入れた後、2~3日そのまま回しておきます。その後このライブロックを入れます。

ライブロックも「生き物」ですから海水がないと生存できません。ですから、水槽・海水の購入とライブロックの購入が前後してはなりません。

注意したいのはライブロックを入れてもすぐに魚を入れられるわけではないということです。できればライブロックを入れた状況から更に数日~できれば1週間ほど置いたあとに魚を入れるようにします。

なお以上は「立上げ」に関することであって、すでに魚が棲みついた状況で新たにライブロックを追加する場合は、後述する「危険な生物」がライブロックに付着していないか確認し、ゆっくり投入するようにします。

ライブロックの値段はどうしてこんなに高いの?

沖縄ではライブロックの採捕は禁止されており、通常はインドネシアなどから輸入されます。

ライブロックに付着しているバクテリア、ほかさまざまな生物を生かしたまま輸送する必要があるために、海水を入れたり湿らせたりして運びます。そのためサンゴ岩(死んだサンゴの骨格をそのまま販売したもの)と比べて高価になります。

なお、輸入されたライブロックは多くの場合そのまま販売されることはなく、軽く掃除をしてから水流ポンプの有る水槽で循環させ、問題なければ販売開始となります。

一見、海からそのまま持ってきて販売しているだけに見えますが、かなり手間がかかっているのです。

ライブロックの選び方

ライブロックも「生き物」ですから、購入する前に注意しなければならないポイントがあります。よいライブロックは、写真のような石灰藻とよばれるピンク色、あるいは赤紫色の物体が多数付着しているのが特徴です。

悪いライブロックは簡単にいえば、においをかいでみて腐ったようなにおいがするもの、表面が不透明な膜の様なものでおおわれているものなどです。

このようなライブロックは、付着した生物が死滅してしまっているので、購入したりしてはいけません。石灰藻は時間が経つ、あるいはウニなどがいると剥がれてしまうこともありますので、石灰藻が全くないからといって必ずしも悪いライブロックとは言えません。

この写真のライブロックは古いものであまり石灰藻が生えていませんが無事に使えます。

またライブロックの形状も重要です。枝状のライブロックはサンゴや他のライブロックを支えるのに使うことができます。枝状ライブロックを使うと水の流れがよくなります。固まり状のライブロックは、水槽の下の方においてレイアウトの基礎として活用します。

お店によってはセルフサービスで自分でライブロックを選んで購入することができます。そのようなお店で自分で手に取ってじっくり観察してみましょう。通販などで購入すると、レイアウトのイメージもしづらく、質の悪い安価なものが入れられたりギャンブル要素が強いためおすすめできません。

店舗でライブロックを購入すると、水はあまり入れず、濡れた新聞紙にくるまれた状態でパッキングされることが多いです。購入したら早めに帰るようにしましょう。

ライブロックに潜む生き物

ライブロックを水槽に入れる前に、実際に購入したライブロックをよく観察します。ライブロックは無数の穴が開いていますので、その中にシャコやカニ、ウミケムシなどの生き物が潜んでいる可能性も高いのです。見つけたらピンセットで取り除いておきます。

またこの間にライブロックをどのように組むかイメージしておくとよいでしょう。組み方はオーバーハング、アーチ、トンネルなど水の通りが良いように組むのがお勧めです。詳細はまた下に詳しく書きます。

ライブロックからに棲みつく要注意生物

冒頭でも触れましたが、ライブロックというのはサンゴ礁の海底にある「サンゴの死骸」で、それに海藻や石灰藻、バクテリアを含む様々な生物の住処となっています。

サンゴの仲間やカイメンの仲間、海藻の仲間が出てくるのは良いのですが、魚やサンゴに悪影響をおよぼすような生物が出てくる恐れもあります。

シャコ

甲殻類の仲間です。シャコの仲間も色々いて、この写真の様な細身の個体から、もっと太いものなど、種類が豊富です。

シャコの仲間は魚や貝などを捕食する貪欲なハンター。単独で飼うのは面白い甲殻類ですが、他の魚に致命的なダメージを与えることもあり、魚やサンゴを飼っている水槽には向いていません。

シャコ対策

シャコは見つけ次第取り除きます。できれば水槽に入れる前に取り除くのが効果的。罠のようなものも市販されています。

ウミケムシ

釣り餌でおなじみのゴカイの仲間も、ライブロックから色々な種が出てきます。小型の種は水槽の砂中に潜み、有機物を捕食したりしますが、大きいものは小魚を襲うこともあり、要注意です。

ウミケムシは大型種で、ふさふさした毛が特徴的ですが、これには毒があり人間でも刺されると痛みます。またシャコガイなどを襲うこともあり、見つけたら早いうちに水槽から出した方がよいです。

ウミケムシ対策

写真のようにピンセットを使って水槽から出した方が良いです。素手で触るのは危険です。またアローヘッドクラブというカニの仲間が食べてくれます。ピンセットはさびやすいので使用後は真水で洗ってよく乾かして下さい。

カニ

小型のクモガニやオウギガニの仲間、一番最後の脚がオール状になっているワタリガニの仲間など、ライブロックから出てくるカニの仲間も色々おります。

クモガニの仲間はソフトコーラルをちぎって自分の体につけようとしたり、大きなワタリガニの仲間は魚を襲って食べてしまうこともあります。ですからサンゴ水槽ではカニは小さなものでも天敵となります。

カニの仲間には面白い生態のものも多く、飼育してみたくなりますが、魚やサンゴ水槽には適していないものがほとんどです。写真のカニはオウギガニの仲間のケブカガニ(上)と、クモガニの仲間(下)。ケブカガニは水中で見ると、毛がもっとふさふさ。大きめの魚なら一緒に飼育できます。ただしベラの仲間などは甲殻類を好みますので注意が必要です。

カニ対策

大型のワタリガニの仲間ならば見つけたら取り除くのがベスト。ライブロックの隙間に入ってしまい駆除に難航してしまうこともあるでしょう。

そんなときは(あまりおすすめできませんが)、ライブロックをブンブン振り回すと遠心力でカニが飛び出てきます。ライブロックを投入する前にお風呂場などで私がよく実践している方法です。周囲に気をつけて行って下さい。

ウニ

ライブロックに潜むウニの仲間は、コケ取りに用いられることもありますが、アクリル水槽は傷だらけにされてしまうことがあります。写真はツマジロナガウニという種ですが、これと同じ種類がライブロックから出てきて水槽内で発生することがあります。

ウニ対策

ウニの仲間は動きが遅いので見つけ次第ピンセットなどで取り除きます。有毒種もいますので素手で取り除いてはいけません。

セイタカイソギンチャク(カーリー)

通称「カーリー」と呼ばれるイソギンチャクの仲間です。ライブロックについていることもありますが、どこからとなく発生します。このイソギンチャクは強い毒性をもち、サンゴを駄目にしてしまうこともあります。また繁殖力も強いため、見つけたら早めに取り除きましょう。

光を求めて上に伸びるためすぐに見つけられると思います。しかしピンセットなどで駆除しようとしても引っ込んでしまうため以下の薬品やエビなどを飼育し対策するのがよいでしょう。

カーリー対策

カーリーを取り除く方法としては、ペパーミントシュリンプというエビが効果的です。またカワハギの仲間にもカーリーを好んで食するものがいます。薬剤で駆除する方法もありますが、薬剤を使う場合は、できるだけ別の水槽を用意して駆除をするとよいでしょう。

おすすめの薬品としては、松橋研究所のセイタカイソギンチャク駆除剤。レッドシーの駆除剤。「アイプタシア」とはセイタカイソギンチャクの、属の学名のようです。

ライブロックからこれらの生き物が出てきてしまったら

これらの生き物が出てきてしまったら、水槽から早急に取り除くことが大切です。駆除した生き物は処分するか、別の水槽で飼育しても良いでしょう。ただし、海に捨てる(逃がす)ことは絶対にしてはいけません。

ライブロックの組み方・レイアウトのコツ

ライブロックを入れる前には少しばかりメンテナンスをします。具体的には軽く飼育水で洗い流したり、海藻などが邪魔になるようでしたら、ピンセットなどを用いて取り除きます。ついている生物の種によってはかぶれることもありますので、ピンセットを使った方がよいでしょう。

さまざまな形のライブロックを水槽にうまく組み合わせてレイアウトをします。

ライブロックの合間を遊泳する魚をイメージしたり、将来的にそこにサンゴを置くことを考えてレイアウトするとよいでしょう。

先ほどご紹介したライブロックを組み合わせてみました。隙間も多く小魚がその隙間に逃げ隠れし、水の通りもよくなります。

ライブロックの組み方のポイントとしては、よくある雛壇のようなレイアウトよりも、オーバーハングの形や、ブリッジ、トンネルの様な形を水槽に取り入れたりするなどして、水が通りやすいようにすることをお勧めします。

またここにあげたような形を採用すると水槽自体の見栄えがよくなります。ただし、ライブロックの岩組がすぐ崩れるようではよくありません。

ライブロック同士、ライブロックとサンゴ岩、それらとサンゴを接着するような接着剤も観賞魚店で販売されています。水槽用品やライブロック、サンゴなど水中に常時あるものを接着する場合は、一般に販売されている接着剤を使わないようにします。一般に販売されているものを使用すると、有毒物質が海水中に溶け出す恐れがあるからです。

なお一度置いたライブロックはあまり動かさないように気を付けます。それはライブロックの下の方に汚れがたまることがあり、動かすと汚れが舞ってしまい美観を損ねるばかりか魚などの生き物に悪影響が出てしまうことがあるからです。

このライブロックを置く前に、ライブロックを置きたい場所に粗い死サンゴを敷いて、その上にライブロックを置くようにする方法もあります。ただし、ライブロックがあまり動かないように注意が必要です。

ライブロックを使うデメリット

ライブロックは良い事ばかりのように見えますが実は大きな欠点があります。

ライブロックを使うと魚に病気が発生したときに薬が使えないという問題です。魚病薬がライブロックについている生き物を殺してしまうのがその理由です。ライブロックに安心とうたう薬もありますが、弱い生物はほぼ死んでしまいます。ライブロックを使用した水槽では薬を使わないのが吉です。

チョウチョウウオの仲間などのように魚病薬を使うことが前提ならば、ライブロックを入れずに、古典的なサンゴ岩で水槽レイアウトを組みます。

ライブロックまとめ

  • ライブロックは今や海水水槽の必需品。
  • 水を入れて輸送するので高価。
  • 良いライブロックは、石灰藻や様々な生物が表面についていて、それが生きている。
  • 悪いライブロックは、付着したライブロックについた生物が死んで腐っている。
  • 石灰藻が生えていないからといって、悪いライブロックとは言えない。
  • 水槽の生物に害を与える生物が出てくることがある。
  • 害を与える生物を、可哀そうだからと、海に逃がしてはいけない。
  • 水通りが良いようにライブロックを組み合わせる。
  • ライブロックがあると、魚病薬は使えない。

シェアしてね

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSやってます