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2019.06.25 (公開 2017.11.10) 海水魚図鑑

初心者におすすめの海水エビの種類~クリーナー・カーリー対策に

淡水ではレッドビーシュリンプと呼ばれる赤と白色が美しいエビが人気です。海水水槽でもエビは人気があり、さまざまな色や模様のエビがいます。ただ飼育をするだけでも楽しいのですが、コケを食べてくれる、他の魚の寄生虫も食べるなどのアクアリストの役に立つ習性をもつ種もいます。

エビの分類

一般的に「エビ」と呼ばれる生き物の仲間には十脚目・抱卵亜目のなかのコエビのグループ(コエビ下目)、オトヒメエビのグループ(オトヒメエビ下目)、イセエビのグループ(イセエビ下目)、そして根鰓亜目に含まれるクルマエビ・サクラエビなどがあり、アクアリストにとっては、コエビのグループに含まれる種類が最も一般的といえます。このほか、オトヒメエビのグループやイセエビのグループも一部のアクアリストには人気があります。

クルマエビのグループやイセエビのグループ、コエビのグループは食用としても重要なものが色々と含まれます。

カニやヤドカリもエビの仲間

▲抱卵亜目に含まれる生物たち

人間との関係が深い甲殻類といえば、エビのほかにカニやヤドカリの仲間があげられますが、これらの甲殻類もエビ目(十脚目)のなかに含まれ、広い意味ではエビの仲間とされます。しかしながら一般的にこれらの仲間はアクアリストの間、あるいは一般的にも「エビ」の範疇には入らないことが多いです。このサイトでも、カニやヤドカリの仲間は、別の機会にご紹介します。

初心者におすすめの海産エビの仲間

海産のエビもさまざまな種類がいますが、初心者の方には以下のエビを特におすすめします。

ただ美しいだけでなく、他の魚の体表や鰭につく寄生虫なども食べてくれたりします。ここで記述するエビはどの種類もコエビ下目の種類です。

アカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)

アカシマシラヒゲエビは、その名の通り赤い縞模様の体と白いヒゲが特徴のエビですが、観賞魚店では「スカンクシュリンプ」とよばれて販売されていることも多い種類です。千葉県以南の太平洋側、インド-太平洋の広い範囲に生息しています。

他の魚の体表につく寄生虫を食べてくれることで有名です。大きな牙をもつウツボや、肉食が強いハタなどの魚のクリーニングも行います。また、他の魚の食べ残しなども食べてくれます。

ただしクリーニングしてくれるのは甲殻類系の寄生虫や、魚の体表につくハダムシだけで、白点病などには効果がないので、注意しなければなりません。海水魚専門店ではもっともよく見られるエビです。

シロボシアカモエビ(ホワイトソックス)

シロボシアカモエビは前者と同じヒゲナガモエビ属の種類です。前身が赤い体で、「ホワイトソックス」の通称の通り脚の先端が白く、白い靴下をはいているように見えます。

本種もスカンクシュリンプ同様に、掃除をしてくれるので大型魚の水槽に入れられることもありますが、掃除の能力は本種よりもスカンクシュリンプの方が高いようです。丈夫で飼育しやすいのですが、脱皮してすぐのやわらかい体のときは他の魚に襲われることもあり注意が必要です。

水族館ではその色彩から「サンタエビ」という愛称で呼ばれることもあります。英語圏ではファイヤシュリンプとか、スカーレットクリーナーシュリンプという名前で呼ばれているようです。琉球列島でもみられますが、主にスリランカなどから輸入されてきます。

スザクサラサエビ(キャメルシュリンプ)&サラサエビ

▲スザクサラサエビ

▲本州で採集できるサラサエビ

スザクサラサエビ(キャメルシュリンプ)は日本では主に紀伊半島以南の太平洋岸に分布するサラサエビ科のエビで、鮮やかな赤色と白色が特徴的な種類です。ウツボなどの生息する岩の隙間に生息しており、クリーナーとされていますが、スカンクシュリンプほどクリーニングする種類ではありませんので強い魚に襲われてしまうこともあります。海水魚専門店ではよく見られる種類です。

スザクサラサエビによく似ているサラサエビ関東以南太平洋岸の磯で採集することができます。こちらは温帯性で海水魚店にはあまり並びません。

ペパーミントシュリンプ

▲カリブ海のペパーミントシュリンプ

▲宇和島市の内湾で採集したアカシマモエビ

スカンクシュリンプと同じヒゲナガモエビ属のエビで、あまり魚のクリーニングをしないのですが、海水魚・サンゴ飼育の厄介者であるカーリー(セイタカイソギンチャク)を捕食してくれるので水槽に入れられることも多いです。西大西洋に生息している種類で、基本この海の魚は高水温には弱いのですが、本種は綺麗な水であれば25℃の水温でも飼育できます。

カーリー対策には役に立ちますが、個体によってはマメスナギンチャクなどのような、イソギンチャクに近いソフトコーラルを捕食してしまうことがあること、肉食性の魚に襲われることもあるため混泳できる魚が限られることに注意が必要です。

なお、観賞用として「ペパーミントシュリンプ」として販売されるエビには複数種が含まれているようです。日本産のものとしては本州以南に分布するアカシマモエビはペパーミントシュリンプにとてもよく似ており、同様にカーリーを食べてくれますが、高水温には気をつけなければなりません。海水魚専門店ではたまに入ってくるもので、常時いるものではありません。

フシウデサンゴモエビ

フシウデサンゴモエビは、学名からサロンシュリンプと呼ばれることがあるエビの仲間です。雑食性ですが特に糸状のコケを食べてくれる種類で、コケ掃除のために入れられることもあります。ただし1匹だけでは限界もあるので、複数匹入れておくとよいでしょう。関東地方以南の磯で採集することも可能です。

また空腹になるとソフトコーラルなどを捕食してしまいますので、普段から多めに餌を与えておく必要があります。また肉食性が強い魚と一緒に飼育すると、魚に食べられてしまうこともあるので注意が必要です。海水魚専門店ではたまに見られますが、常時いるわけではありません。

なおこれらのエビの餌は何も心配することはありません。魚用の配合飼料をよく食べてくれますし、残り餌もよく食べてくれます。ただしフレークよりも沈降性のペレット状の配合飼料をおすすめします。

共生を楽しむ

コエビの仲間は他の生き物と共生しているものも多く知られています。先ほど述べたクリーナーのほか、クマノミと同様に大型イソギンチャクの中に生息しているイソギンチャクモエビやイソギンチャクカクレエビなどの種類、そしてテッポウエビの仲間のニシキテッポウエビやコトブキテッポウエビなどのように共生ハゼと共生する種類などが知られています。

イソギンチャクと共生するような種類はイソギンチャクをうまく飼育する必要もあるため、なかなか共生を楽しみにくいのが難点です。テッポウエビの仲間はハゼと共生し、共生相手のハゼも丈夫なものが多いので初心者アクアリストでも容易に共生を楽しむことができます。

脱皮

エビに限らず甲殻類の仲間は「脱皮」を繰り返しながら成長します。スカンクシュリンプやホワイトソックスなど、本当に脱皮の殻が体と同じ色彩や模様をしていて、死んでしまったのかと驚きます。しかし脇からヨチヨチ出てきて脱皮の殻だとわかりホッと肩を下ろす経験を何度もしています。

脱皮の殻は水槽から取り除いても良いですし、そのまま放っておいても問題はありません。エビや他の生き物が食べることもあります。

注意しなければいけないのは、脱皮中や脱皮した後で特に小型の個体は他の魚に襲われるリスクが高くなりますので、注意してあげましょう。また脱皮不全で死んでしまうこともあります。とくにヨウ素や微量元素が不足すると脱皮不全になることがあるようですので、ヨウ素を添加してあげるとよいでしょう。

またこのほか、エビ、特に今回ご紹介しましたコエビ下目のエビを水槽に入れるときは水合わせを時間をかけて行う必要があります。

エビの飼育まとめ

  • カニやヤドカリなども広い意味ではエビの仲間
  • スカンクシュリンプは他の魚をクリーニングしてくれる
  • ホワイトソックスもスカンクシュリンプほどではないがクリーニングする
  • スザクサラサエビもクリーニングをしてくれるが、他の魚に襲われることも
  • クリーニングでは白点病などは取り除けない
  • ペパーミントシュリンプはカーリーを食べるが、マメスナを食べることも
  • フシウデサンゴモエビは藻類を食べるが、ソフトコーラルに手をだすことも
  • 他の生物との共生を楽しめる種類も多い
  • 脱皮を繰り返しながら成長する
  • ヨウ素の不足には注意。定期的に添加を
  • 水合わせも注意が必要
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