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2020.01.31 (公開 2017.10.09) 海水魚図鑑

エビと混泳できない・エビを食べてしまう海水魚と飼育の注意点

海水魚をエビと一緒に飼育しているアクアリストはとても多いです。しかし海水魚とエビの関係は、種類によっては捕食するものと捕食されるものの関係になるおそれがあり、一緒に飼育するのは危険な組み合わせもあります。今回はどのような魚がエビを食べてしまうのか、どのようなエビが魚に食べられやすいのかをご紹介します。

エビと海水魚の混泳に必要なもの

まずエビの仲間は夜行性の種類が多く、昼間は岩の下や海藻の陰などに隠れていることが多いです。そのため多くの魚が捕食活動を行う昼間に隠れる場所が必要となります。

具体的にいえば、

  • ライブロックを複雑に組み合わせ、エビが隠れる場所を作る
  • セラミック製土管や塩ビパイプなどを水槽に入れ、エビを隠れさせる
  • 海藻を繁茂させ、エビが隠れられるようにする

などの方法がありますが、基本的にはエビが襲われないようにライブロックを組みあげるときに、エビが隠れられるスペースを確保するくらいでよいと思います。ただし、甲殻類を好むタイプのベラやゴンベなどが水槽にいると、徐々にエビの数が減っていくことになります。

砂に潜るクルマエビなどの種類や他の生物と共生するカクレエビの仲間などは、砂を敷いたり共生する生き物を飼育したりするようにします。共生するタイプのエビは共生相手がいないと飼育が難しいことがあります。

エビを食べやすい海水魚一覧

海水魚のなかには、エビを食べてしまいやすい魚、そうでない魚がいます。とくにベラの仲間やカワハギの仲間は、エビが大好物です。今回ここで紹介する魚のほか、タコやイカなどの頭足類などはエビを好んで食べます。

ベラの仲間

▲カンムリベラ属やホンベラ属の魚はエビを好んで捕食する。

ベラの仲間はエビが大好物です。派手な色彩から人気の高いベラの仲間ですが、この仲間とエビとの飼育は難しいものです。コガネキュウセン(イエローコリス)やツユベラ、カンムリベラなどのいる水槽にキャメルシュリンプやペパーミントシュリンプなど入れても、餌にしかなりません。

ほか初心者アクアリストにおすすめとされることが多いタキベラの仲間やニセモチノウオの仲間のうち、大きくなる種類もエビを好んで食べます。一方、小型のイトヒキベラやクジャクベラの仲間、あるいはホンソメワケベラなどの種類とエビの仲間の混泳は問題ないケースが多いです。筆者の家ではフシウデサンゴモエビを飼育していますが、ベラの仲間であるラボックスラスと平和に暮らしています。

ゴンベの仲間

▲ゴンベはエビを好んで食べる。要注意だ。

ゴンベの仲間もエビは大好物です。クダゴンベなど、細長い口をしているのに、捕食の際には大きく口を開けて獰猛なハンターに変貌してしまいます。かなりきつい性格のものもおり、アカシマシラヒゲエビなどのクリーナーを襲撃することもあるほどです。

サラサゴンベなどのように、安価で販売され、鮮やかな色彩と丈夫で初心者でも飼いやすいという特徴をあわせもつ魚ばかりなのでつい水槽に入れてしまうことが多いのですが、ゴンベの仲間を飼育するときはエビは入れられないと思っておいた方がよいでしょう。

ハタ・バスレット・メギスの仲間

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▲メギスの仲間は気が強くエビや小魚を襲うことも

ハナダイの仲間はエビを襲うものとあまり襲わないものがいます。水槽の底の方に生息するイズハナダイの仲間は小型甲殻類を食べてしまう恐れがあります。一方でキンギョハナダイやケラマハナダイなどはそれなりのサイズのエビを襲うことはないですがそれでも極小サイズのカクレエビなどは食べてしまう恐れがあります。それより大きなハタの仲間はエビが大好物で当然一緒に飼育するのは困難になってしまいます。

ハナスズキやヒメスズキなどのバスレット類は小型のエビを好んで食べてしまいますので危険です。またメギスの仲間も、気が強くエビや小魚を食べてしまうものがいますので注意が必要です。

フグ・カワハギの仲間

▲モンガラカワハギはエビや小魚を好んで食べる

フグやカワハギの仲間も甲殻類は好物で、大きな歯と強力な顎を使って大きめのエビでもばりばり食べてしまうので危険です。エビだけでなく貝やウニ、小魚なども種類によっては食べてしまうことがあります。フグやモンガラカワハギの仲間は強い歯をもつため人間が咬まれてもおおごとになってしまうおそれがありますので、扱いには注意が必要です。

タイ・フエダイの仲間

▲肉食性が強いフエダイの仲間はエビや小魚とは飼えない

「海老で鯛を釣る」ということわざがあるように、タイの仲間やよく似たフエダイの仲間は、エビは大好物です。成魚はもちろん、幼魚であっても肉食性が強く、エビが襲われてしまうケースがあります。特にフエダイの仲間は幼魚でも結構なサイズのエビを捕食することもあり注意が必要です。

トラギスの仲間

▲トラギスの仲間の大型種オグロトラギス

トラギスの仲間はハゼに似た姿をしていますが、かなり肉食性が強く、小魚や甲殻類が入っている水槽で飼育するのはおすすめできません。種類によっては25cmほどとそこそこのサイズになる種もおり、小型水槽での飼育は要注意です。

テンジクダイ・キントキダイ・マツカサの仲間

▲テンジクダイの仲間は夜行性。夜に活発になるエビの仲間を襲うことも

温和な種が多いのですが、大きくなる種類は小型のエビを襲って餌にしてしまうことがあります。テンジクダイもエビも夜行性であることが多く、活発に活動する時間が同じであるために襲われてしまうことがあるようです。写真のヤクシマダテイシモチや、リュウキュウヤライイシモチ、シボリといった大きくなる種はエビと一緒に飼育するのは危険といえます。

またキントキダイの仲間やアカマツカサなどイットウダイの仲間も夜行性でエビを食べてしまうおそれがあります。マツカサウオは生きたエビが大好物で、飼育には生きたエビを与え続ける必要があります。

ウツボ・カサゴなど

▲カサゴの仲間は餌にエビの仲間を与えることが多い

ウツボの仲間やカサゴ・オコゼの仲間、あるいはカエルアンコウ、サメ・エイといった魚はエビなどを餌に与えることが多くエビとの飼育には向きません。ウツボの仲間と、スカンクシュリンプやオトヒメエビなどのクリーナーとの共生はよく見られますが、たまにそれらのエビを捕食してしまうことがありますので要注意です。

その他エビとの混泳に注意したい海水魚

▲タツノオトシゴは小さなエビを捕食するが、エビに襲われることもある

他にもエビを好んで食べる魚はたくさんいます。オジサンなどのように大きくなると肉食性が強くなる魚もいたりします。またチョウチョウウオなども個体や種類によってはエビをつつくことがあり注意します。

タツノオトシゴはスカンクシュリンプやキャメルシュリンプの成体を襲うことはないのですが口に入るサイズのエビを捕食するため、注意が必要です。

食べられやすいエビ

エビの種類によっても、食べられやすいエビとそうでないエビがいます。やわらかい体をした、クリーニングをしない種類は、魚に捕食されやすいと言えます。

スザクサラサエビ(キャメルシュリンプ)

▲スザクサラサエビ

サラサエビの仲間で派手な色彩からマリンアクアリウムではお馴染みのエビの一種です。美しい色彩をもち、魚の残り餌などを捕食してくれます。魚へのクリーニング行為もわずかに行うようですが、積極的なクリーナーではないため、大きな魚には襲われてしまうことも多く、上記のような魚との飼育は困難です。なお、日本の本州沿岸で採集できるサラサエビについても同様です。

ペパーミントシュリンプ

▲ペパーミントシュリンプ

ペパーミントシュリンプは、サンゴにダメージを与えるおそれがある水槽の厄介者セイタカイソギンチャク(カーリー)を食べてくれますが、魚の掃除はしませんので強い魚に襲われてしまうことがあります。

筆者もカーリーには悩まされており、何度もこのエビを入れていましたが数日すると消えてしまいました。気が強いテンジクダイの仲間であるヤクシマダテイシモチに食われていたようでした。

モエビの仲間・他

▲ライブロックを掃除するモエビ類

モエビの仲間にはアシナガモエビなどのように水槽に生えるコケを食べてくれるような種類もいますが、大きなベラやゴンベにとってはご馳走でしかありませんので、そのような魚が入っている水槽に入れるべきではありません。

その他にも極小サイズのエビは他の魚に襲われることがあり、上に挙げた魚以外でも、大きめの魚との同居は危険です。

イソスジエビやスジエビモドキ、スネナガエビといったテナガエビ科の種類は透明で綺麗ですが、大型魚との混泳ではまず間違いなく餌にされてしまうでしょう。この仲間はカサゴなどの肉食魚の餌としても多用されているほどです。

脱皮直後のエビの個体は特に襲われやすい

▲脱皮直後のエビの体は柔らかい、襲われないよう注意が必要

脱皮直後の個体は体がやわらかいため、上に挙げた魚のほか様々な魚に襲われてしまうリスクが高まると言えます。さらに他の魚の寄生虫を捕食するクリーナーであるアカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)やシロボシアカモエビ(ホワイトソックス)であっても脱皮直後は魚に襲われる危険があります。

脱皮直後でも生きていけるように、ライブロックでエビが隠れられるような空間を作ってあげるとよいのですが、それでも確実に魚から身を隠すことができる、という保障はありません。このほか脱皮不全で死んでしまうというおそれもありますのでヨウ素(アイオダイン)の添加も忘れないようにしましょう。

魚を食べてしまうエビも

▲テナガエビの仲間は小さな魚を襲うことがあるので注意

▲オトヒメエビも魚を襲う

ここまでは「魚に捕食されるおそれがあるエビ」の話をしてきましたが、逆に「魚を捕食するおそれがあるエビ」というのもいます。

イセエビなどの大型種や小さくてもオトヒメエビの仲間などは小魚を捕食してしまう恐れがあり、小さいサイズの魚だと、磯でよく見かけ、カサゴなどの肉食魚の餌にも多用されるイソスジエビや、スジエビモドキのような種類にまで襲われるおそれがあります。

特に危険なのは夜間で、魚が寝静まっているときに、活発に活動を行っているエビの仲間に襲われてしまうおそれがあります。また夜間は岩陰で休息するイトヒキベラやクジャクベラ、ニセモチノウオといったベラの仲間や、ハゼやタツノオトシゴなど動きが遅い魚は襲われる可能性が高いといえます。魚が襲われていないか十分観察したほうがよいでしょう。

オトヒメエビは海水魚店ではよく見られますが、この種も性格がきつく、大きなハサミで魚を襲ってしまうことがあるのでゆったり泳ぐ底生の魚などとは避けた方が無難です。

エビと海水魚の混泳まとめ

  • 魚がエビを食べたり、逆にエビに魚を食べられることがある
  • エビは夜行性の種が多いので、昼間に隠れる場所をつくるようにする
  • ベラやゴンベ、フグ、カワハギ、タイ、バスレットの仲間はエビを好んで食う
  • テンジクダイ科の大型種も要注意
  • キャメルシュリンプやペパーミントシュリンプ、モエビ類は捕食される恐れがある
  • クリーナーであっても脱皮直後は要注意
  • エビの種類によっては魚を襲うことも。イセエビの類やオトヒメエビは要注意
  • イソスジエビなどの種類も小魚を捕食することがある
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