ハナダイの仲間 飼育の基本~餌付けしやすく飼いやすい種類はどれ?

ハナダイの仲間

海水魚の中でも赤やピンク、黄色、オレンジ、ムラサキと暖色系の派手ないでたちをしたハナダイの仲間はとても美しい魚です。綺麗な姿で、サンゴにもいたずらしないので、アクアリストに人気です。

しかし、ハナダイの仲間は丈夫で飼育しやすく初心者にも飼育できるものと、初心者には飼育が難しいものがいます。ここではハナダイの種類や初心者にはどんなハナダイが適しているか、どんな餌を好むのか、混泳はできるのかなどについて解説します。

ハナダイってどんな魚?

タマカイ

▲巨大になるタマカイ。ハナダイの多くと同じハタ科の魚だ

標準和名で「ハナダイ」という魚はいません。ハナダイとは、スズキ目・ハタ科のハナダイ亜科に分類される魚の総称です。

なお、「~ハナダイ」という名前がついていても、ハタ科ハナダイ亜科の魚ではない場合もあります。シキシマハナダイ、ヤマブキハナダイ、テンジクハナダイなどの「シキシマハナダイ科」、カワリハナダイ、ツキヒハナダイなどの「カワリハナダイ科」、ミハラハナダイなど2種を含む「ミハラハナダイ科」の魚は「和名に~ハナダイ」とありますが、顎の特徴や側線の形状など、ハタ科のハナダイの仲間とは異なる特徴をもっている魚たちです。ハタ科ハナダイ亜科ではありませんが、ここでは取り扱います。

このほか釣り人の間で「ハナダイ」というのはタイ科のチダイのことをさす場合が多く、今回ご紹介するハナダイの仲間とは全く関係なく、ここでは取り扱いません。

ハナダイの仲間の生息環境

キンギョハナダイのように水深1m前後の場所に見られる種もいるのですが、多くの種はサンゴ礁域や岩礁のやや深場に生息しています。多くの種は頭を下に向けたり腹を上にしたりして洞窟の中などに潜んでいます。ナガハナダイ属などはサンゴの合間などで群れていたり、イズハナダイ属のように海底にいるような種もいます。ですから同じ「ハナダイ」といっても一緒くたではうまく飼育できません。それぞれの種にあった生息環境を再現しましょう。

ハナダイの仲間の種類

ハタ科ハナダイ亜科といってもいろいろな種がいますが、一般的に「ハナダイ」と呼ばれているものは以下の通りです。

ナガハナダイ属 Pseudanthias

▲丈夫で飼育しやすいキンギョハナダイもナガハナダイ属の一員だ

▲同様にナガハナダイ属の魚であるバートレッツアンティアス

ハナダイ亜科の仲間でもっとも多くの魚種(60種以上)を含みます。観賞魚として人気があるものも多く、キンギョハナダイケラマハナダイ、ハナゴイ、パープルクイーン、ニラミハナダイ(ベントラリス)はいずれもこの属の魚です。

大きく二つか、それ以上のグループに分けられます。一般的にはナガハナダイの仲間とハナゴイの仲間に分けられます。ナガハナダイの仲間は吻があまりとがらず、ハナゴイの仲間は吻がややとがるのが特徴です。分布域は広く南アフリカからハワイ、マルケサス諸島までの極めて広い範囲に分布しますが大西洋とアメリカ西岸では見られません。

代表的な種はキンギョハナダイで、千葉県以南の太平洋岸、インド-太平洋のサンゴ礁域に広く分布しています。しかしながら生息する地域により若干の色彩バリエーションが知られています。綺麗で丈夫で飼育しやすく餌もよく食べ安価で購入できるため、ハナダイ亜科魚類を初めて飼育するのであればキンギョハナダイが最適、といえるでしょう。

その反面ハナゴイ、パープルクイーン、エバンスアンティアス、ニラミハナダイ(ベントラリス)などは飼育がやや難しいので初心者にはおすすめできません。これらの種は大きいものは餌を食べにくく痩せやすい、小さいものは餌をよく食べるがやはり痩せやすいのでこまめな給餌が必要で水を汚しやすいからです。また深場にすむものもおり、そのような種は減圧症にかかっていないか、購入する前によく観察する必要があります。

イッテンサクラダイ属 Odontanthias

従来はバラハナダイ属とも呼ばれていたグループです。ほとんどの種類が深場にすんでいるため、購入の際には減圧症がでていないか注意しなければなりません。また深場から来るものが多い、ということでその分採集は難しく高価になってしまいます。

この属の魚はやや深場に生息しており、かなり高価です。バラハナダイなどは自動車一台が購入できるような値段がつけられることもあります。この属の中ではマダラハナダイがまだ入手しやすいお値段ですが、それでも20000円ほどはします。飼育の際には先ほどのべた減圧症や水温に注意しなければなりません。

イトマンオオキンギョ属 Meganthias

5種ほどが知られる小さなグループです。従来はバラハナダイなどと同属とされていました。学名に「Mega」とあるようにハナダイの仲間としては大型のものが含まれ、全長30cmを超えるような巨大な種がいます。日本ではイトマンオオキンギョと呼ばれる種がいますが、観賞魚として入ってくることはあまり期待できません。大型になるのはもちろんですが、深海性で採集も困難そうです。

イトヒキハナダイ属 Tosanoides

この属には数種がいますが、有名なのは2016年に新種記載されたTosanoides obamaでしょう。当時米国大統領であったバラク・H・オバマ氏の名前がついています。この種は観賞魚として入荷しそうにないものの、同属で日本に分布しているイトヒキハナダイやキシマハナダイといった種はたまに観賞魚店に並びます。しかしながら1匹数10万円を超える値段がつくことが多く、入手は困難といえます。インド-中央太平洋およびブラジル沖の大西洋に分布しています。

サクラダイ属 Sacura

▲サクラダイ

本州~九州沿岸と台湾に生息するサクラダイが含まれる属で、現在はインド-中央太平洋の深場から4または5種ほどが知られていますが、観賞魚として飼育されるものはサクラダイだけと思われます。やや深場に生息するハナダイで、釣りなどで採集されたものが流通しますが、減圧症と高水温に注意が必要です。

イズハナダイ属 Plectranthias

ほかのハナダイの仲間は底から離れたところを遊泳するのに対し、このイズハナダイの仲間は海底にじっとしていることが多いです。種数は現在のところ50種ほどが知られていますが、このほか毎年のように新種記載が行われていて、ハナダイの仲間でもとくに「アツい」グループといえます。インド-太平洋域のほか、西大西洋にも生息します。

やや深い場所に生息するため採集が難しく、お値段も高価なものが多いです。その中ではやや浅い場所からくるチビハナダイやチゴハナダイの近縁種が比較的安価で入手できますが、その一方オシャレハナダイのような極めて高価な魚もいます。

近海に生息するアズマハナダイやカスミサクラダイといった種は釣りによっても獲れるのですが、アクアリストが釣った個体を生かして持ち帰り飼育することは難しいようです。

ミナミハナダイ属 Luzonichthys

ハナダイの中では細い身体つきをしており、背鰭に大きな欠刻があるのが特徴です。ピンクや黄色に染まり美しい見た目をしていますが、やや臆病で飼育は難しいとされます。分布域はインド-太平洋域で、日本にも何種かは分布しているようですが、あまり人気がないのか、お店ではなかなか見ないハナダイの仲間です。

ホカケハナダイ属 Rabaulichthys

雄の背鰭棘条部が著しく大きくなるグループで4種のみが知られています。日本産はホカケハナダイ1種のみで、フィリピン産のものがたまに販売されていましたが最近はあまり見られない、やや珍しいハナダイといえるでしょう。

ハナゴンベ属 Serranocirrhitus

「ゴンベ」の名があるがハナダイの仲間

ハナゴンベ1種のみからなる小さなグループです。その名前の通り、昔はゴンベ科の魚とされていましたが、今ではハナダイ亜科に含められています。観賞魚として人気が高い種で、観賞魚店では比較的よくみかけますが、あまり安価な魚ではありません。

アカイサキ属 Caprodon

▲アカイサキ

ハナダイ亜科の仲間では大型になる種です。太平洋や東インド洋から知られ、日本にもアカイサキが分布しています。世界で3種のみの小さなグループですが、日本のアカイサキにも2タイプがあることが知られており、種類は増えていくかもしれません。

アカイサキは近海産のものがまれに観賞魚として販売されることがありますが、近海魚に強いお店でないと入手することは難しいといえます。一方食用魚としてはよく知られている種で、刺身や焼き物、煮物などにして美味しい魚です。

Anthias

ナガハナダイ属のいない大西洋や地中海を中心に生息するハナダイの仲間です。欧州産のスワローテールシーパーチ(別名チチュウカイハナダイ)が有名ですが入荷はほとんどなく入ってきても極めて高価な魚です。地中海地域の陸地は温暖な気候ではありますが、低めの水槽で飼育したほうがよさそうです。

Baldwinella

西大西洋固有属で2種からなります。代表的な種はレッドバービアーで、この種の雄は背鰭棘が数本と尾鰭の鰭条が伸びるという格好いい姿をしています。深場にすむ魚で、たまに日本にも輸入されるのですが高価な種類です。

Caesioperca

小さなグループで、南オーストラリア固有種であるバーバーパーチと、南オーストラリアからニュージーランドにすむモンツキハナダイの2種のみからなります。どちらも全長20cmを超える大型種で、アカイサキなどに近い仲間かもしれません。観賞魚店では見られませんが、大阪海遊館ではこの属の一種であるモンツキハナダイを飼育しているようです。

シロガネハナダイ属Hemanthias

西大西洋と東太平洋の固有属で3種が知られています。代表的な種は属の和名にもなっているシロガネハナダイで、背鰭や腹鰭、尾鰭などが伸びます。ただし大型になる種で、最大のものでは全長50cmに達します。この特徴と深海性であることからなかなか海水魚としては入ってこないのでしょう。

Holanthias

従来はバラハナダイやイッテンサクラダイなどもこの属の魚とされていましたが、現在この属に含まれる種は大西洋産の2種に限定されるようです。2種ともに大型種で全長20cm以上になります。

オキハナダイ属 Lepidoperca

10種類が知られています。インド-太平洋、南大西洋(ゴフ島)にいますが、ほぼすべての種がオーストラリアやニュージーランドの周辺に生息しており、日本には分布しません。水深100m以深にすむ深海性の魚が多く、観賞魚として入ってくることはまずないと思われます。全長30cmを超えるものが多く、アカイサキの仲間同様に食用に適しているようです。

Nemanthias

英名でスレッドフィンアンティアスとか、スレッドフィンゴルディと呼ばれる、インド洋に生息する1種類のみからなります。この種の特徴は背鰭の前方の棘条が2本よく伸びることです。しかしそれ以外はナガハナダイ属のハナゴイグループの魚によく似ています。観賞魚としてたまに輸入されます。

Pronotogrammus

東太平洋に2種、西大西洋に1種が知られているハナダイの仲間です。西大西洋産のコガネハナダイ(ラフタンバスレット)が輸入され飼育されていることもありますが、めったなことでは飼育できないでしょう。

カワリハナダイ属(カワリハナダイ科) Symphysanodon

▲カワリハナダイ

カワリハナダイ科は2属10数種が知られるのみの小さなグループです。この科の魚は下顎の歯がある面は後半部で盛り上がって、段ができるという形状によりほかのハナダイの名がつく魚と区別されます。観賞魚としてはごくまれに販売されていますが、非常に高価であり、全長20cmにもなるため大きめの水槽が必要であり、かつ低い水温を維持できなければ飼育することはできません。食用としてはあまり流通することはないのですが極めて美味な種です。

シキシマハナダイ属(シキシマハナダイ科) Callanthias

▲水族館で飼育されていたシキシマハナダイ

シキシマハナダイ科の魚は側線の形状がハタ科のハナダイ亜科とは異なります。全長30cm近くになり、アカイサキ同様食用魚としての需要があります(しかもかなり美味しい)が、観賞魚としての需要もあります。しかしながら釣れた際に内臓が飛び出すなど飼育不可な個体も見られます。また飼育可能な状態の個体であっても低い水温でないと長期飼育できません。水温15℃ほどの環境を用意する必要があります。

シキシマハナダイ科はシキシマハナダイ属、テンジクハナダイ属の2属からなり、日本にはシキシマハナダイ属1種、テンジクハナダイ属2種の計3種がしられています。テンジクハナダイ属は全長10cmほどの小型種が多く魅力的ですが採集は難しいようです。

ミハラハナダイ属(ミハラハナダイ科) Giganthias

▲ミハラハナダイ

ミハラハナダイはFishbaseなどではハタ科の仲間に入れられることもありますが、いくつかの特徴によりハタ科と区別できます。下顎の先端に歯塊があること、背鰭第2~4棘と腹鰭の先端が鋸歯状になることによりハタ科と区別することができます。ミハラハナダイ属はこれまでミハラハナダイのみの1科1属1種とされていましたが、2012年にインドネシアのロンボク近辺からもう1種が記載されています。水族館で飼育された例はありますが、生息水深が深く大型(30cm)になるため、滅多なことではホームアクアリウムではお目にかかれない種といえます。深場釣りなどで漁獲されて食用魚として市場に並ぶ種で、かなり美味しい魚です。

ハナダイの仲間を飼育する

初心者向けのハナダイは?

これまでハナダイの仲間を属別に色々紹介してきました。初心者におすすめのハナダイはよく餌も食べ、高水温にもよく耐え多くの魚と組み合わせることができる種です。またあまり高価すぎないこともチャレンジするのに重要な要素となります。そうなればキンギョハナダイやケラマハナダイ、メラネシアンアンティアス、バートレッツアンティアスといった種類がこれらの条件をすべてそろえておりますのでおすすめといえます。

逆に配合飼料をなかなか食べない種や食べていても痩せやすい種、大人しい性格でほかの魚との混泳が難しい種などは初心者には向きません。具体的にはニラミハナダイ(ベントラリス)や、ハナゴイ、パープルクイーン、エバンスアンティアスといった種類です。また丈夫で飼育しやすい種であってもイエローアンティアスやチチュウカイハナダイ、マイカズアンティアスといった高価すぎるものも初心者には向いていません。

水温

ハナダイの仲間はやや深場の20~50mほどの場所に生息しているものも多いため、水温は22℃くらいに設定した方がよいでしょう。ただし、浅瀬にすむキンギョハナダイやケラマハナダイなどは25℃で問題ありません。

給餌

▲餌付けに使えるホワイトシュリンプ

ベントラリスやパープルクイーンなど繊細な種は最初から粒餌を食うとは限りません。最初のうちはコペポーダやホワイトシュリンプなどを与えますが、これらの餌だけでは足りませんので、次に配合飼料を混ぜて与えるなど、何とかして配合飼料に餌付かせるようにします。

一方キンギョハナダイやケラマハナダイといった強健で飼いやすい種は最初から配合飼料を食べてくれる個体が多いため、餌付けは楽といえます。

病気

ハナダイの仲間には深場に生息するような種類も多く、そのような個体は減圧症がでていないか、よくチェックしなければなりません。鰾に異常が出てくるもので、体を水平に保てず、頭を下に向けるなどの泳ぎ方をします。注射針などを用いて治療することもできるのですが、販売されているときから減圧症が出ているような個体は購入しない方がよいでしょう。

また、ハナダイの仲間はクマノミなどよりも感染症などの病気にかかりやすい印象があります。鰭が溶けていたり体にただれがあるようなものは買ってはいけません。ハナダイはサンゴ礁の潮通しのよい場所に多く見られ、清浄な海水を好みます。できるだけきれいな水で飼育することが重要です。ハナダイは淡水浴にはあまり強くないため、しないほうがよいでしょう。

混泳とサンゴの関係

ハナダイの仲間を混泳させるうえで注意したいのは、極端に大きさや性格の違う種を組み合わせることを避ける、ということです。たとえばパープルクイーンのような繊細な種を、バートレッツみたいな気が強めの種類と組み合わせるのはあまり適していません。小型のハナゴイの仲間とアマミハナダイなどとの混泳では、小型個体がアマミハナダイの餌になってしまうこともあります。

丈夫で飼育しやすくほかの魚との混泳にも適したキンギョハナダイやケラマハナダイですが、この種もクマノミや小型のベラなど、他の海水魚との飼育には適しているものの、ほかのハナダイと比べると気が強いため、温和なハナゴイ系との混泳は避けた方がよいでしょう。

温和なハナゴイの仲間をほかの魚と飼育するのであれば、できるだけ広い水槽でハナゴイを最初に泳がし、その後にほかの魚を追加するようにすると上手くいくことも多いのですが、大き目のヤッコや性格のきついスズメダイなど、無理のある混泳は避けましょう。

一方キンギョハナダイやケラマハナダイとほかの魚との混泳は、これらのハナダイを後から追加しても大きな問題が起こりにくいといえます。ただしスズメダイやメギスのデカいのや、肉食性の魚がいないことが条件です。また魚メインで、ほかの魚を飼育していると水が汚くなっていることもあるので、ハナダイの仲間を入れるまえに換水をしたほうがよいでしょう。

ハナダイの仲間はどの種もサンゴに悪戯することはないですが、低い水温で飼育すべき種は熱帯性の好日サンゴとの飼育はやめておいたほうがよいでしょう。また小型のデリケートな種には生餌を与えるため、水が汚れやすいです。この点も注意しましょう。

ハナダイまとめ

  • 「ハナダイ」とはスズキ目・ハタ科ハナダイ亜科魚類の総称
  • 一部ハタ科でないもので「ハナダイ」と呼ばれるものもいる
  • 浅いところから深海までみられ、生活様式は種によってさまざま
  • キンギョハナダイやケラマハナダイなどが初心者向け
  • ベントラリスやパープルクイーンなどデリケートなものは初心者には向かない
  • 深場のものや温帯種は低い水温で飼育する
  • キンギョハナダイなど浅場の種は25℃で飼育して問題ない
  • 粒餌を食わないデリケートな種は冷凍餌からスタートする
  • 深場にすむものは減圧症が出ていないかよくチェックする
  • 丈夫なスズメダイなどよりは病気になりやすいので注意
  • 淡水浴はしない方がよい
  • デリケートな種はほかのハナダイとの混泳を避ける
  • キンギョハナダイなどはほかの魚との混泳向き
  • サンゴにはいたずらしないが低い水温を好むものは好日性サンゴとの飼育には不向き
  • 生餌のやりすぎは水を汚すので注意

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