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2020.11.25 (公開 2017.10.30) 海水魚図鑑

大型ヤッコの飼育方法~混泳・水槽サイズ・サンゴの相性などまとめ

大型ヤッコの仲間は、鮮やかな色彩をもちアクアリストにも人気の魚です。青い色で体側に白い線がある幼魚から、独特の模様をもつ成魚への変身を楽しむことができます。寿命も長く、大切に飼育すれば10年以上付き合える魚です。この大型ヤッコを上手く飼育するにはどうすればよいでしょうか。今回は大型ヤッコ飼育の基礎をご紹介します。

大型ヤッコの仲間の分類

「大型ヤッコ」という呼称は分類学上のものではなく、便宜的なものです。シテンヤッコ属やキンチャクダイ属の魚の中にもそれなりに大きくなるものはいますが、一般的に大型ヤッコといえば、サザナミヤッコ属ホラカンタス属のものを指します。

ヤッコの仲間にはほかにアブラヤッコ属、キンチャクダイ属、シテンヤッコ属、シマヤッコ属、タテジマヤッコ属、ニシキヤッコ属が知られ、ホラカンタス属をのぞき、日本にも分布しています。

サザナミヤッコ属 Genus Pomacanthus

▲サザナミヤッコ属の代表種・タテジマキンチャクダイ

サザナミヤッコ属は太平洋、インド洋、そして大西洋に13種が分布し、日本には疑わしいものを含めて5種が分布します。どの種も幼魚と成魚で模様が異なり、成長する過程を水槽で楽しむことができます。成長が早いものも多く、最初から大きな水槽で飼育すると格好いい姿に育ってくれるでしょう。特に背鰭や臀鰭が長く伸びたマクロススやフレンチエンゼルは迫力満点です。

日本近海に生息する種のうち、本州においては、タテジマキンチャクダイやサザナミヤッコを見ることができます。特にサザナミヤッコは毎年初秋に関東の磯でも採集することができます。ロクセンヤッコは本州では見られませんが、沖縄では普通種です。アデヤッコはもっと南にすみ、八重山諸島でその姿を見ることができます。なお沖縄ではサザナミヤッコ、ロクセンヤッコを食用にすることがあります。

サザナミヤッコ属・カタログ

※★は日本に分布する種

★タテジマキンチャクダイ

大型ヤッコの代表的な種です。成魚は黄色い縦縞模様が特徴的です。全長は35cmくらいになりますので、大型水槽でゆったりと飼育したい種です。性格はかなりきつく、ほかのヤッコとの混泳については工夫が必要です。

幼魚はウズマキと呼ばれ、青い体に白い円形の模様が入ります。サザナミヤッコよりも小さい段階で色が完全に変わったりします。太平洋産のものは背鰭後方が伸びますが、インド洋のものは伸びないという特徴があります。幼魚は東南アジアだけでなくスリランカなどからもよく入りますが、インド洋産のものは背鰭後端が伸びないので、背鰭後端が伸びるものが欲しいなら東南アジアや、たまに出る沖縄産のものがよいでしょう。幼魚は比較的餌付きやすいですが、成魚はなかなか餌付かないこともあります。成魚は食用となり、刺身などで美味です。

★サザナミヤッコ

サザナミヤッコの成魚

▲サザナミヤッコ幼魚

サザナミヤッコは関東地方以南の太平洋岸でも毎年死滅回遊してくるなど、おなじみの存在といえます。海水魚店でみる機会も多く、つい手を出してしまいやすいのですが、全長.30cmを超える大型種なので注意が必要です。幼魚は青い横帯(強くカーブすることもある)で、成長するとグリーンのカラーに青い斑点がはいるようになります。

なお本種も琉球列島では食用となっており、刺身などで美味です。タテジマキンチャクダイ同様に生息地で変異があり、インド洋の東アフリカ産のものなどは日本や東南アジアのサンゴ礁に見られるものとは異なる趣の魚です。

★アデヤッコ

▲アデヤッコ

▲幼魚の模様が少し残るアデヤッコ

アデヤッコは国内では八重山諸島で少し見られるだけの種類で、多くは東南アジアなどから輸入されます。英語ではブルーフェイス、もしくはイエローフェイスといいその名の通りの模様が美しいヤッコです。幼魚はほかのヤッコ同様濃い青色の体に白い線が入るという色彩ですが、ある程度育つと眼の周りが黄色くなるのでわかりやすいです。また小型個体でも成魚の模様をしていることがあります。性格は結構きついので注意が必要とされます。おとなしいヤッコとの飼育は注意しましょう。全長30cmを超えます。

★ロクセンヤッコ

大型ヤッコのなかでもとくに大きくなる種で全長50cm近くになります。主に東南アジアから輸入されるほか、国内でも奄美大島以南のサンゴ礁に生息する種で、サザナミヤッコやタテジマキンチャクダイに次いでよく見られます。幼魚はアデヤッコの幼魚に似ています。成魚でも頭部に白い帯が残り、体側に黒い横帯が多数入ります。非常に長寿で水族館で飼育されているものでは40年以上飼育されている個体も知られています。

★?ワヌケヤッコ

▲ワヌケヤッコ

成魚は鰓蓋の上方に円形斑があるのが特徴のヤッコです。日本では沖縄や小笠原諸島にいるとされますが確実な記録はないようです。幼魚は細い青白い横線が多数入り、成長するとその上に青い斜線が入ります。大きな成魚ではタテジマキンチャクダイ同様に鰭が少し伸びます。肌はやや弱いようで常にきれいな海水で飼育してあげたいものです(どんなヤッコでもそうですが)。全長30cmになります。

イナズマヤッコ(マジェスティク エンゼルフィッシュ)

全長20cmくらいでこの仲間では小型、かつやや神経質な種類です。幼魚はほかのサザナミヤッコ属の種とは異なる雰囲気をもち、黒っぽい体に青い横線が入りますが、早いうちに親と同じ色彩になってしまいます。一方成長は遅く、比較的小さめの水槽でも長期飼育はできるのですが、混泳には注意が必要とされます。和名はついているものの日本には分布しておらず、東南アジアのサンゴ礁域に生息しています。

イヤースポットエンジェルフィッシュ(クリスルス)

全長30cmくらいになる種で、大きな特徴は成魚でも幼魚のころのような横帯が残ることがあげられます。また英名の通り鰓蓋に黒色斑があり、尾鰭が黄色っぽくなることも特徴です。成長すると背鰭の後方は伸びます。やや飼育しにくく、産地もインド洋のアフリカよりということで東南アジアのものよりも高価で中~上級者向けといえるかもしれません。

セダカヤッコ(マクロスス)

全長50cmになる大型種です。幼魚はほかのヤッコに似た色彩で紺色の体に白い横線が多数入ります。成長すると体側の中央に黄色く太い横帯が出てきますが、ブリードもので体側の中央の横帯が白いホワイトマクロススと呼ばれる品種もいます。大きくなるので水槽サイズも巨大なものが必要です。たまに放流された個体が日本の沿岸でも記録されていますが、絶対にそのようなことないようお願いいたします。分布域は紅海~西インド洋でやや高価、一部台湾ブリードも。

アラビアンエンジェルフィッシュ(アズファー)

マクロススによく似た種で、より黒っぽい色彩が特徴です。成長はマクロススに比べて遅めです。幼魚は極めて細い青白い横帯が多数あり、成長するとその間に黄色く太い横帯が出てくるのでマクロススに似ます。主に紅海やその入り口のアデン湾に生息し、全長30cmほどになります。性格はやや強め。

オールドウーマンエンゼルフィッシュ

学名の通り変菱形の体が特徴のヤッコですが、分布域がインド洋の南西、モザンビークから南アフリカ東岸に限られるためめったなことではお目にかかれない種です。しかしそれでも日本のアクアリウムシーンに登場したことはあります。また筆者も葛西臨海公園水族園で見たことがあります。幼魚は普通のサザナミヤッコに似た色彩ですが、成長するとツバメウオを細長くしたようなグレー一色の体になってしまいます。飼育は難しくないのかもしれませんが、高水温には注意が必要かもしれません。

コルテスエンジェルフィッシュ

東太平洋に生息する唯一のサザナミヤッコ属です。幼魚は黒い体に黄色い模様が入り大西洋産の種ににます。成長すると黄色い横帯が入ります。東太平洋産ということで高水温にやや弱く長期飼育はやや難しいともされていて中~上級者向けのヤッコといえそうです。全長35cmになります。

ネズミヤッコ(グレイエンジェルフィッシュ)

大西洋に生息する種類で全長50cmになり、この仲間では最大級です。和名・英名の通り灰色の体に黒い斑点が散らばる、地味な種ではありますが意外と人気種です。幼魚は黒い体に黄色い横帯がありますが成長すると白い横帯になり大型個体では消失します。カリブ海に生息し高水温には注意が必要ですが、丈夫で飼育しやすい種です。ただしリムフォシスティス症やHLLE(頭部及び側線浸潤)になりやすいようで注意が必要です。

キホシヤッコ(フレンチエンジェルフィッシュ)

ネズミヤッコ同様大西洋に生息する種で、50cmを超える大型になります。幼魚はグレイエンゼルによく似るのですが、成魚になると黒い体に黄色い斑点が出てくるので見分けやすいといえます。成長が早く巨大な水槽が必要になります。またネズミヤッコ同様にリムフォシスティスなどの病気になりやすいので注意が必要です。

ホラカンタス属 Genus Holacanthus

▲東太平洋にすむパッサーエンゼルフィッシュ

ホラカンタス属は大西洋と東太平洋にのみ生息するグループです。従来はシテンヤッコやスミレヤッコなどもこの属のものとされていましたが、現在では多くの種類が別属となりました。7種類からなり、うち4種が大西洋に、残りの3種が東太平洋に分布します。

大西洋産種と東太平洋産のパッサーエンゼルは比較的よく流通しますが、クラリオンエンゼルフィッシュと、クリッパートンエンゼルフィッシュはなかなか入荷しない珍種です。特にクリッパートンエンゼルフィッシュはその名の通りメキシコのはるか沖に浮かぶ仏領クリッパートン島にのみ生息し、ほとんど入荷が望めない種です。

ホラカンタス属・カタログ

パッサーエンジェルフィッシュ(キングエンジェル)

クリッパートンエンジェルフィッシュ

クラリオンエンジェルフィッシュ

ホクロヤッコ(クイーンエンジェル)

ブルーエンジェルフィッシュ

ヌリワケヤッコ(ロックビューティー)

アフリカンエンゼルフィッシュ(ギニアンエンゼル、アフリカヌス)

大型ヤッコの幼魚

大型ヤッコはどの種も幼魚と成魚で全く違う色彩となります。サザナミヤッコ属の種は青や紺の地色に白や黄色の線が入るのが特徴で、ホラカンタス属のものにも体側に青色や白色の線が入ります。

サザナミヤッコの幼魚(上2枚とも同一の個体)

▲サザナミヤッコの若魚

▲サザナミヤッコの成魚

また幼魚の模様から成魚の模様に変化するサイズは種類によって異なりますが、イナズマヤッコは早いうちから親と同じ模様になっていたりします。一方イヤースポットエンゼル(クリスルス)のように、体側の白帯が終生残る種もいます。

大型ヤッコの基本的な環境

水槽

▲大型水槽でのびのび泳ぐアラビアンエンゼル(写真は水族館で撮影)

大型ヤッコを終生飼育するには、やはり大型の水槽が必要です。一部の種類は90cm水槽での飼育も不可能ではないのですが、できれば120cm水槽を用意したいものです。

なお、120cm水槽というのはヤッコの仲間を1匹で飼育する場合であり、ヤッコ同士の混泳を楽しみたいのであれば、180cm以上の大型水槽が欲しいところですオーバーフロー水槽を選択するのがおすすめです。

なお、「120cm水槽なんておけない!」という方は、大型ヤッコを飼育する資格はありません。

ろ過槽

水槽をオーバーフロー水槽にして、サンプ(水溜め)でろ過をする方法が最適といえます。大型ヤッコはよく餌を食し、よく排せつをするため、大容量のろ材を入れることができるこの方式は大型ヤッコに最適といえます。これに、大型のプロテインスキマーを組み合わせるのもよいでしょう。

水温

種類によって異なります。インド-中央太平洋に生息するサザナミヤッコ、タテジマキンチャクダイ、ロクセンヤッコなどの種類は25℃前後で飼育します。一方、大西洋や東太平洋に生息するホラカンタス属の魚や、フレンチエンゼル、グレーエンゼル、コルテスエンゼルと言った種類は若干低めの22℃前後が望ましいと言えます。

サザナミヤッコなど25℃の水温を好む種類と、ホラカンタスなど22℃を好む種類を混泳させるのであれば、22℃に合わせるとよいでしょう。もちろんこれらの種類を混泳させるのであれば巨大な水槽が必要になりますので、クーラーもハイパワーのものが必要になってくるわけです。もちろん、水温が上がったり下がったりというのではいけません。

ライブロックと底砂

ライブロックに付着するカイメンなどの生物はヤッコなどの餌になりますので、まだ餌付いていない大型ヤッコのために入れてあげるとよいでしょう。

底砂は魚のみを飼育するのであれば敷く必要はありません。サンゴや夜間砂に潜るベラなどを一緒に飼育するために砂を敷くときはパウダー状のものを浅く敷くようにします。厚く敷きすぎると有害物質のたまり場になるおそれがありますので気をつけます。

大型ヤッコの餌

配合飼料

大型ヤッコは雑食性で、配合飼料もよく食べます。ただし種類によっては大型個体を餌付けるのは難しいので、初心者は幼魚から飼育し配合飼料に慣らすとよいでしょう。またイナズマヤッコのような大人しい種はプレッシャーをかけられると餌をあまり食べなくなったりするので注意が必要です。

大型ヤッコは雑食性で海藻なども捕食しますので、植物食魚類用の配合飼料を与えるのもおすすめです。

冷凍飼料など

大型ヤッコは冷凍の飼料も好みます。幼魚期には配合飼料だけでなくプランクトンフードなども与えたいものです。

餌付かない魚はアサリを用いて餌付けする必要があります。餌付け初期は一旦冷凍して、解凍したアサリをそのまま殻つきで与えます。

その後アサリをよく食べるようなら、アサリのミンチを配合飼料と混ぜ合わせたものを殻の中にいれて与える方法を取ります。それで配合飼料を食べるようであれば徐々に配合飼料に切り替えていきます。だめならアサリのみでそのまま飼育していきます。ただアサリは多用しすぎるとビタミン欠乏になるおそれもあるため、できれば他の種類の餌も与えたいものです。

大型ヤッコは植物質の餌も好んで食べますので、海藻類を与えるのもよいでしょう。別の水槽でクビレズタ(ウミブドウ)などの無毒の海藻を飼育してトリミングして与えます。生きた海藻だけでなく、欧米の餌メーカーからは「焼き海苔」状になった餌なども販売されています。

添加剤

基本的に丈夫な大型ヤッコですが、何らかの理由で拒食になることもあります。特に採集された大型個体は最初のうちは配合飼料に見向きをしないことも多いのです。

絶対に食べる!という保証はありませんが「ブライトウェル エンジェリクサー」などのアミノ酸を餌に添加するのもよい方法と言えます。この商品はカイメンの組織と同比率のアミノ酸を魚に供給するのです。

このほかにヨウ素や魚用のビタミン類も添加すれば完璧といえるでしょう。とくにビタミンを添加することはヤッコやニザダイ(ハギ)に多いHLLEを防ぐのに役立ちますので、配合飼料に添加してあげたいものです。

カイメンの組織と同比率のアミノ酸を供給するブライトウェル エンジェリクサー

ヨウ素は全ての生き物に必須

大型ヤッコの混泳

大型ヤッコは大型で迫力があり人気です。迫力のある大型ヤッコを組み合わせてみたくなりますが、ペア以外の同種同士は激しく争うので混泳は難しいです。種類が異なれば多少争いますが混泳は可能です。ただし大型ヤッコの複数飼育には巨大な水槽が必要になります。

大型ヤッコ同士の混泳

大型ヤッコ同士を混泳させるときは、魚のパワーバランスに注意したいところです。たとえばパッサーエンゼルやタテジマキンチャクダイなどのような気が強い種と、イナズマヤッコやロックビューティといったおとなしめのヤッコとは一緒に飼育しにくいです。とくに後2者は大型ヤッコのような丈夫さはなく、むしろ中型ヤッコに準じた扱いをしたほうがよいでしょう。

大型ヤッコと他の魚・甲殻類との混泳

大型ヤッコの幼魚と小型ヤッコの混泳をしている人も多いですが、大型ヤッコの幼魚はあくまでも幼魚であり、弱い立場で、小型ヤッコの成魚におされてしまうこともあるのです。できる限り避けたほうがよいかもしれません。

大型ヤッコの成魚と小型ヤッコの成魚の混泳は可能です。小型ヤッコはシマヤッコなどの温和すぎる種を避け、タフなココスピグミーや、小さくても気が強いフレームバック系など、クシピポプス亜属の丈夫な種をいれるとよいでしょう。

そのほかの科の魚、たとえばチョウチョウウオの仲間、スズメダイの仲間、ツバメウオの仲間、バスレット、ゴンベ、ハタ、ミノカサゴなどとの飼育も可能です。小型のハゼの仲間や温和なハナゴイの仲間との組み合わせはそれらの魚が驚いて岩陰にこもってしまいやすいのでなるべく避けます。

甲殻類は小さなキャメルシュリンプなどは餌になってしまいますが、スカンクシュリンプやホワイトソックス、オトヒメエビといった「クリーナー」も一緒に飼育すると体表につく甲殻類系の寄生虫なども捕食してくれるのでおすすめです。また残り餌も食べてくれます。

大型ヤッコとサンゴとの相性

大型ヤッコは概ね、サンゴとの飼育にはあまり適していません。主な理由は以下の通りです。

  1. サンゴの種類によっては捕食してしまう
  2. 大きくなったヤッコはサンゴを岩組から落としてしまうことがある
  3. 大型ヤッコは大食いで排せつ物で水を汚しやすい

ただ、決してサンゴとの飼育ができないということはありません。とくにLPSは捕食されやすいですが、SPSは比較的食べられにくいです。しかしひっくり返されないように、サンゴ用の接着剤などを使用してしっかり固定しておくことが重要です。そして水槽サイズに対して巨大なプロテインスキマーを用いて常に硝酸塩やリン酸などの栄養塩が低い状態を保つようにしたいものです。

大型ヤッコの病気と対策

大型ヤッコはきわめて丈夫で病気になりやすい種類ですが、気をつけなければいけない病気もあります。

白点病

白点病は原生動物の一種により引き起こされる病気で、魚の体表や鰓などに白い点がつきます。放置していたら白点が体中について真っ白になり死んでしまいます。

そんなことになる前に魚病薬で治療するのがベストです。銅イオンは確かによい治療法ですが、添加の量を間違えると魚を殺してしまうおそれがあること、銅イオンで治療を行うと後述のHLLEを発症するリスクが高まるので、初心者にはグリーンFゴールド顆粒などで治療するのがおすすめです。淡水浴はほとんど効果がないように思います。

リンフォシスティス

リンフォシスティスは通称「カリフラワー病」ともよばれる病気です。ウィルスの感染による病気で鰭の先や体表に白い粒がつき、白点病と見間違えることがありますがそれがどんどん大きくなるものです。薬品は以前あったようですが最近はみません。治療法はなるべく小さいうちに剥がしてしまうだけです。大きくなってから剥がしてしまうと患部に穴が開いてしまうので、なるべく小さなうちに剥がしてしまうことが大事です。

トリコディナ

トリコディナはヤッコやクマノミにでる病気です。これは繊毛虫の仲間で、魚の表皮に取りついて組織を食べてしまう恐ろしい病気です。魚病薬はほとんど効果がなく淡水浴が治療に有効ですが、体力がなくなると淡水浴でも殺してしまうおそれがありますので、まだ元気なうちに、できるだけ早く淡水浴を施してあげましょう。

ハダムシ

ハダムシは寄生する生物の一種です。このハダムシが魚の体表につき皮膚を損傷させます。魚にとってはかゆいようで体をライブロックなどにこすりつけさらに皮膚が損傷してしまいます。そうなると細菌に感染するなどのリスクが高くなってしまいます。これも淡水浴が有効です。非常に伝染しやすく、注意しないと水槽中の魚がハダムシに寄生されている…なんてことになりかねません。水槽に入れる前に淡水浴を行うことをおすすめします。

HLLE

HLLEは頭部や側線が侵食される病気です。原因はいくつかあるようですが、ビタミンやミネラル不足、白点病治療のために銅イオン、活性炭を使った、水が汚いなどの理由で発生することが多いようです。罹ってもすぐ死んでしまうような病気ではありませんが、魚の魅力を大きく下げる病気であることは明らかです。

ビタミンを餌に添加してあたえるなどすると効果的という意見もあります。発症してすぐの個体には効果的でしょう。海外では専用の治療薬もあるようです。

病気の予防

殺菌灯などを使用すると、確かに白点病などの病気の予防に役に立ちます。しかし、水が汚ければ殺菌灯も効果がなく、水温の変動が大きすぎると魚も弱ってしまい病気発生のリスクが高まります。つまり、綺麗な海水と安定した水温こそが魚の病気予防のためにもっとも大切なことなのです。殺菌灯はその綺麗な海水で、さらに安全に魚を飼育するのに使うものです。

大型ヤッコの飼育まとめ

  • サザナミヤッコ属とホラカンタス属の2属
  • サザナミヤッコ属の幼魚は青や黒の地色に白や黄色の線
  • 水槽は小さくても120cm以上。用意できないなら飼育する資格なし
  • 大容量のろ材が確保できるオーバーフロー水槽が望ましい
  • インド-太平洋産の種は25℃、大西洋や東太平洋産の魚はもっと低めの水温で
  • 砂は敷かなくてよい
  • 配合飼料は植物食魚用のものがおすすめ
  • 餌付かない個体はアサリを与える
  • 大型ヤッコの幼魚と小型ヤッコの成魚との混泳は要注意
  • 広いスペースがあれば大型ヤッコ同士の混泳も可能
  • サンゴとの飼育は不向き
  • 白点病、トリコディナ、リンフォシスティス、ハダムシは注意
  • 綺麗な水と一定の水温で病気を予防
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