2018.09.14 (公開 2017.12.22) 海水魚図鑑
コンゴウフグの飼育方法~混泳・餌・毒の注意点
コンゴウフグは小さいうちはミナミハコフグと同じようなサイコロのような形をしていますが、成長すると頭部や腹部に大きな棘をもつ異様な見た目になります。
ハコフグの仲間ですので飼育は簡単ではありませんが、人にもよくなれ、よいペットフィッシュになります。
標準和名 | コンゴウフグ |
学名 | Lactoria cornuta (Linnaeus, 1758) |
英名 | Longhorn cowfish |
分類 | フグ目・ハコフグ科・コンゴウフグ属 |
全長 | 40cm |
飼育難易度 | ★★★☆☆ |
おすすめの餌 | メガバイトレッド |
温度 | 25度 |
水槽 | 90cm以上 |
混泳 | 単独飼育が無難 |
サンゴ飼育 | 不可 |
コンゴウフグってどんな魚?
▲日本に分布するコンゴウフグ属の魚
本種が含まれるハコフグ科・コンゴウフグ属魚類は眼の上と腹部(腹側隆起)に大きな棘があるのが特徴です。コンゴウフグ属は4種からなり、南太平洋に生息するLactoria paschaeを除き全て日本に分布しています。
日本産のほかの種であるウミスズメやシマウミスズメとは、背中の隆起にある棘が鈍く、眼の上の棘が他の種とくらべて著しく長いのも特徴といえます。コンゴウフグは成長すると眼上の棘は短くなることもありますが、成魚では尾鰭が非常に長くなり、この特徴で区別することができます。他の種との同定方法については、上記の図もご参照ください。
分布は広く南アフリカからマルケサス諸島までのインド-太平洋に広く分布し、日本においては青森県以南の太平洋岸・新潟県以南の日本海岸、琉球列島などで見ることができますが、数的にはあまり多くはありません。
コンゴウフグに適した環境
水槽
コンゴウフグの成魚は顎から尾鰭までの長さが40cmを超えることもあります。水槽内でも30cm近くにまで成長することを考えると、少なくとも90cm以上の大きな水槽がほしいところです。よく30cmキューブなどの小型水槽で幼魚が飼育されている様子を観賞魚店などのデモ水槽で見ますが、小型水槽での長期飼育は難しいといえます。
ろ過装置
フグの仲間で共通していえることですが、餌を口に入れたり出したりしながら捕食するため、水が悪くなりがちです。必ず強力なろ過装置をつけるようにしたいものです。上部ろ過槽単独、または上部ろ過槽と外部濾過槽の併用などでもよいのですが、おすすめはオーバーフロー水槽にしてサンプでろ過をする方式です。ろ過装置の補助としてプロテインスキマーの併用もおすすめです。
水温
基本的に25℃を保つようにします。フグの仲間は白点病にかかりやすいため、水温の変動をいかにして抑えるかも、長期飼育のポイントになります。
コンゴウフグに適した餌
コンゴウフグは配合飼料もよく食べてくれます。ただしできればフレーク状のものよりは粒状の餌を与えた方がハコフグにとっても食べやすくおすすめといえます。またクリルや貝のむき身などの餌も食べるので食いが悪い時は与えてみるとよいでしょう。ただし大型個体はなかなか餌付けるのが難しいこともあります。
幼魚は特に餌をたくさん与えるようにします。小さい時の姿がかわいいからといって、成長を阻害させるような餌のやり方はダメです。またハコフグの仲間はその体のかたちから太っているのか痩せているのかの判断がしにくいため、常に多めの餌をあげたいものです。もちろん、どんな餌を与えるにせよ、水質が悪化しないように注意しなければなりません。
コンゴウフグの毒性
コンゴウフグもハコフグ科の魚で、ハコフグ同様に皮膚から粘液毒を放出することがあります。ハコフグ属と比べると毒性は弱いとされますが、それでも注意が必要です。コンゴウフグが弱っているなら早めに別の水槽に隔離するようにしましょう。
しかしこのような毒も大型魚には通じないのかもしれません。近縁種のウミスズメがマグロの仲間の胃の中から出てきたことがあります。
コンゴウフグの販売・入手方法
コンゴウフグは夏から秋にかけて幼魚が南日本で採集できることもありますが、観賞魚店で入手するのがおすすめといえます。入手する上でのポイントは、鰭が溶けていないこと、鰭や体表に白色点がついていないこと、水槽の隅などでじっとしていないことです。
ハコフグの仲間はその格好から痩せているか太っているかの判別が困難なので、痩せているのか、それとも太っているのかという判別がしにくいという大きな問題があります。お店の人に相談したほうがよいでしょう。
コンゴウフグの病気対策
ハコフグの仲間全般にいえることですが、白点病などの病気にかかりやすいといえます。
予防のためには殺菌灯の設置が有効ですが、いくら殺菌灯をつけていても水温がすぐに上下したり、ろ過がいまいちな状況で飼育していては病気にかかりやすくなってしまいます。もちろん清浄な海水で飼育することも大事です。どんな魚もそうですが、しっかりした設備や魚にとって住みやすい環境を整えなければ、海水魚を上手く飼育することはできないのです。
コンゴウフグの混泳
コンゴウフグと他の魚との混泳
▲コンゴウフグは単独飼育が無難
ハコフグの仲間は餌をとるのが比較的遅いこと、皮膚から毒を出して他の魚を死に至らしめることがあることから、基本的には単独飼育が適しているといえます。
幼魚を複数飼育してみたいところですが、成長すると大きくなり、また同種同士では争いますので基本的に同種同士の飼育は難しくなります。大型水槽であれば複数飼育や他のハコフグの仲間との混泳も不可能ではありません。
コンゴウフグとサンゴ・無脊椎動物との相性
フグの仲間はソフトコーラル、種類にや状態によってはハードコーラルも餌にしてしまうおそれがあります。ですからサンゴとの飼育はやめたほうがよいでしょう。また甲殻類や軟体動物なども捕食されてしまうおそれがありますので、組み合わせは十分注意します。
コンゴウフグの飼育まとめ
- 大型個体は40cmを超える
- 水を汚しやすいのでろ過槽はしっかりしたものを
- 水温は25℃。病気対策のためにも安定した温度で
- きれいな水をキープ、殺菌灯も有効
- フレークよりも粒状餌がよい
- 痩せてるか太っているかがわかりにくい。餌はたっぷり
- 弱ったり他魚に襲われると皮膚から毒を出すことも
- 他の魚との混泳はやめたほうがよい
- サンゴとの飼育も難しい