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2020.09.21 (公開 2018.10.13) 海水魚図鑑

バートレットアンティアスの飼育方法~ハナダイ同士の混泳は注意!

バートレットアンティアス

バートレットアンティアスは西~中央太平洋にすむハナダイの仲間です。ハナダイの仲間としては餌もよく食べ、丈夫で、飼育しやすい魚ですが、けっこう気が強い面もあるため、ほかのハナダイの仲間や、弱い魚との混泳は難しいので注意が必要です。

標準和名 なし
学名 Pseudanthias bartlettorum (Randall and Lubbock, 1981)
英名 Bartlett’s anthias
分類 スズキ目・スズキ亜目・ハタ科・ハナダイ亜科・ナガハナダイ属
全長 10cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッドS など
温度 23~25℃
水槽 90cm~
混泳 ほかのハナダイや弱いハゼなどとの混泳は要注意
サンゴ飼育
そのほか 飛び出すおそれがあるためしっかりフタをする

バートレットアンティアスってどんな魚?

バートレットアンティアス

バートレットアンティアスは西~中央太平洋のサンゴ礁域に生息する、ハタ科ハナダイ亜科・ナガハナダイ属の魚です。ナガハナダイ属の中にはキンギョハナダイケラマハナダイ、ハナゴイ、アカネハナゴイといったアクアリストに人気のハナダイが多く含まれています。

体の特徴としては体高がやや低めで細長いこと、背鰭第2棘が伸びること(雄で顕著)などがあげられます。雌雄差はキンギョハナダイほど顕著ではありませんが、背中の黄色の入り方などに違いが見られます。

ハナゴイの仲間

バートレットアンティアスは吻部が尖るのが特徴的

▲吻部が尖るのが特徴的

ナガハナダイ属はいくつかのグループに分かれています。本種はハナゴイのグループとされており、吻部がやや長めで、吻の先端がとがっていることも特徴です。このハナゴイの仲間にはアカネハナゴイやオオテンハナゴイ、アサヒハナゴイ、パープルクイーンなどが含まれ、その中には臆病で極めて飼育が難しい種類もいますが、バートレットアンティアスは飼育は難しくありません。

逆に臆病なハナゴイの仲間は蹴散らすおそれもありますので、混泳は避けるようにします。

バートレットアンティアスの飼育に適した環境

水槽

▲600×300×450(mm)オーバーフロー水槽での飼育例

バートレットアンティアスは最大で全長10cmほどですが、遊泳性は強めなため、飼育にはそれなりの大きさの水槽が必要になります。60cm水槽での飼育もできますが、できれば90cm水槽で飼育した方がよいでしょう。

また水質の悪化に弱いハナダイの仲間を飼育するのであれば、水量を少しでも多くして水質を安定させたいため、そのような意味でも90cm水槽の方が望ましいと言えます。

水質とろ過システム

ハナダイの仲間はスズメダイやハゼの仲間と比べると綺麗な水を好みます。そのためろ過が中途半端なようではいけません。できるだけ強力なろ過槽を使用して飼育したいところです。また、サンゴにいたずらをしないため、ミドリイシなどを飼育しているベルリンシステムや、ゼオビットなどのバクテリオプランクトンシステムなどでの飼育もできますが、そのような水槽で飼育するのであれば魚は多くは入れられません。

水温

水深4~30mの場所に生息するハナダイですので水温は23~26℃くらいに保っていれば問題ありません。ただし水温が一定していることが重要ですので、クーラーとヒーターを使って水温を常に一定に保つ必要があります。

水流

ハナダイの仲間は海では水流が強めの場所を好み、流れてくるプランクトンを捕食する習性をもちます。そのため水槽内でもポンプを使用して水流を作りたいところです。水中ポンプをうまく使いましょう。

ライブロック

バートレットアンティアスはライブロックの岩陰に隠れて夜を過ごします。アーチや空間を作り、うまくバートレットアンティアスの寝床となる隙間を作れると良いです。

フタ

ナガハナダイ属の魚はどの種も遊泳力が強く、勢い余って飛び出てしまうおそれもあります。そのため、フタは確実にしましょう。

バートレットアンティアスにおすすめの餌・添加剤

餌は配合飼料でも問題ありません。基本的にすぐに餌を食べてくれると思います。与え方としては成魚であれば1日1回でもよいのですが、幼魚であれば1日複数回与えた方がよいでしょう。勿論それによる水質悪化には注意が必要です。どうしても配合飼料に餌付かないときはコペポーダやホワイトシュリンプなど、冷凍の餌を与えることになりますが、こちらも水質を悪化させるおそれがあるので与えすぎないようにします。とくにサンゴをメインとしたベルリンシステムなどで本種を飼育する場合は注意が必要です。

添加剤

アイオダイン(要素)添加剤

▲ヨウ素は海水魚にとっても重要な元素

ハナダイの仲間はどの種も比較的きれいな海水を好みます。天然海水の成分に少しでも近づけるために添加剤の添加も有効です。その中でもヨウ素や微量元素などは魚にも効果的な成分ですので、添加してあげるとよいでしょう。もちろんサンゴなどもいっしょに飼育しているのであれば、そのサンゴのためにも添加剤が必要となります。

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バートレットアンティアスの入手方法

バートレットアンティアスの購入時のポイント

バートレットアンティアスは先ほども述べたように吻がとがっており、パープルクイーンなどに似ているため飼育が難しそうに見えますが実際には飼育はそれほど難しくはありません。産地も太平洋上のクリスマス島やマーシャル諸島などから来るので東南アジアなどからやってくるハナゴイの仲間よりもしっかりした状態で来ることが多いといえそうです。

しかし、いくら丈夫な種とはいえ衝動買いは禁物です。とくに入荷直後のまだ疲れが癒えていない個体などは避けた方が賢明です。また購入するときは口、体表、鰭などをよくチェックしてみましょう。口や体表に傷があるもの、体や鰭に白い点がついているもの、鰭がぼろぼろ、もしくは鰭が溶けているものなどは選んではいけません。

またストック水槽の水もよく見てみましょう。水が汚いと体表があれて鰭が溶けてしまい、死んでしまうこともあります。一匹でも鰭が溶けているような魚がいれば、その水槽の生体は購入しない方がよいかもしれません。

一匹5000~8000円程度と安くはない種であるため、できればショップに直接足を運び元気な個体を購入したいところです。

バートレットアンティアスの混泳

他のハナダイとの混泳

キンギョハナダイ

▲キンギョハナダイを蹴散らすことも

バートレットアンティアスと他のハナダイとの混泳は難しいといえます。他のハナダイと飼育すると、このバートレットアンティアスは最強になってしまうことが多いです。

他のハナダイと本種を組み合わせるのであれば、できるだけ大きな水槽で飼育し、岩組を複雑に組み合わせ、ほかのハナダイの仲間が落ち着いたころにバートレットアンティアスを最後に水槽に入れるなどのテクニックが必要となります。また組み合わせる相手もオオテンハナゴイなど臆病でか弱い種はできるだけ避け、比較的タフなキンギョハナダイやケラマハナダイ、アカネハナゴイの大きめの個体などがよいでしょう。もちろんバートレットアンティアスからいじめられていないか常にチェックしたいものです。

バートレットアンティアス同士の組み合わせですが、雄同士の複数飼育はやめたほうが無難です。雌同士であれば複数飼育も可能です。

ハナダイ以外の魚との混泳

バートレットアンティアスの混泳事例

▲様々な魚との混泳が可能

ハナゴイの仲間とは思えないほど性格は強めですのでクマノミやヤッコ、ハギなどとの飼育も可能ですが、弱い魚(小型のハゼなど)は蹴散らしてしまうおそれがありますので注意が必要です。

一方大きなスズメダイなどにはいじめられるおそれもあり、注意が必要です。筆者環境では、気の強いクダゴンベと一緒に飼育していたのですが、バートレットアンティアスの方がいじめられてしまいました。もちろん本種を捕食してしまうおそれがあるハタやカサゴなどの肉食魚と組み合わせてはいけません。

サンゴ・無脊椎動物との関係

バートレットアンティアスとサンゴとの相性

▲サンゴには無害

バートレットアンティアスはサンゴにまったく害を与えませんので一緒に飼育することができます。ただしクマノミの仲間と共生するようなイソギンチャクの仲間はクマノミ以外の魚を捕食してしまうことがあるため注意が必要です。

甲殻類はサンゴヤドカリ、クリーナーシュリンプ、ペパーミントシュリンプなどであれば概ね大丈夫です。ただしクリーナーシュリンプといっても透明のカクレエビの仲間は捕食してしまうおそれがありますので一緒に飼育するのはできるだけ避けたいところです。大きなカニやイセエビ、ヤドカリの類は逆にバートレットアンティアスを捕食することがありますので、これも一緒に飼育しないほうがよいでしょう。

バートレットアンティアスの飼育まとめ

  • 丈夫で飼育しやすい
  • ハナゴイの仲間だが性格がかなりきつめ
  • やや大きくなりよく泳ぐ。90cm水槽での飼育がおすすめ
  • きれいな水を好む。ろ過はしっかりしたものを
  • 入荷したばかりのもの、泳ぎがおかしいもの、岩陰にずっとかくれているものは購入を避ける
  • 鰭がぼろぼろのもの、白点がついているもの、体に傷があるものもだめ
  • ほかのハナダイの仲間、小型ハゼの仲間との混泳は避ける
  • 小型ヤッコやカクレクマノミなどとの混泳は可能
  • サンゴには無害
  • 甲殻類は大型のもの、逆に極めて小さいものは避ける
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