サラサエビの飼育方法~クリーニングはせずサンゴを食べることも

サラサエビはマリンアクアリウムで人気のアカシマシラヒゲエビや、シロボシアカモエビ(いずれもモエビ科)と異なり、サラサエビ科に含まれる小型種です。見た目から熱帯性のエビのように思われがちですが、男鹿半島・房総半島~沖縄まで広い範囲に分布しています。飼育は難しくはないのですが、ほかのエビ同様水質の急変に弱く、水槽に入れるときには慎重に水合わせをするようにしたいものです。また、サンゴが弱ってしまうとサンゴの共肉をむしって食べてしまうこともあるので注意が必要です。

標準和名 サラサエビ
学名 Rhynchocinetes uritai Kubo, 1942
分類 十脚目(エビ目)・サラサエビ科・サラサエビ属
全長 約5cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッド
温度 20~25℃
水槽 45cm以上
混泳 クリーニングしないため大型の魚には捕食されるおそれも
サンゴ飼育 可。ただし弱ったサンゴをむしるおそれもある

サラサエビってどんなエビ?

▲サラサエビ

マリンアクアリウムで飼育されるアカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)、シロボシアカモエビ(ホワイトソックス)、ペパーミントシュリンプなどのモエビ科Lysmata属とは異なるサラサエビ科のエビです。体には赤色で、濃い赤色の細い線と小さな白い斑点が入る美しいエビです。美しい=熱帯種と思いがちですが、サラサエビは主に温帯の岩礁域に生息しており、南日本太平洋岸では普通に見ることができます。

サラサエビと似たエビ

▲スザクサラサエビ(キャメルシュリンプ)

サラサエビによく似たものに、スザクサラサエビという種がいます。この名前で販売されていることはほとんどなく、一般的には「キャメルシュリンプ」の名前で販売されます。キャメルとは「ラクダ」のことで体の背中が盛り上がっていることからこの名前がついたものと思われます。このほかスザクサラサエビによく似た色に、黒い点があるヤイトサラサエビという種類も知られています。ほかにも何種かいるようですが、あまり輸入されることはないようです。

サラサエビに似ているものの、赤い体に入る白色線が目立つ美しい種類です。本種は熱帯―亜熱帯の海域に生息し輸入もされており、多くの観賞魚店で販売されていますので、入手は難しくはありません。残り餌をよく食べてくれますが弱ったサンゴの共肉を食することがあること、魚のクリーニングは行わないので注意が必要です(ただし自然下ではウツボなどの大型魚をクリーニングすることがある)。もちろんエビを好んで食べる魚と入れることはできません。

サラサエビ飼育に適した飼育環境

水槽

サラサエビはよく泳ぎ回るようなエビではないので、小型水槽での飼育も可能です。ただし初心者はある程度(45cm以上)の大きさの水槽で飼育した方がよいでしょう。これは45㎝未満の水槽では水温や水質などが安定しにくいからです。もちろん資金的に余裕があれば60㎝以上の水槽で飼育したいところです。60cm水槽であれば複数飼育もおとなしい魚との飼育も楽しめるでしょう。

水質とろ過システム

カクレクマノミやスズメダイ、ハタタテハゼなど一般的な海水魚が上手く飼育できているような環境なら、サラサエビも上手く飼育することができます。ろ過装置は外掛け、外部、上部ろ過槽いずれも使用できます。ただし外掛けろ過槽は小型水槽用であまり高いろ過能力は望めず、外部ろ過槽はある程度パワーはありますが密閉式のろ過槽のため酸欠に陥りやすいというデメリットがあります。これらのろ過槽を使用するならほかのろ過槽と組み合わせて使用するとよいでしょう。

サンゴ水槽で用いられるベルリンシステムでの飼育も可能です。ただしサラサエビはサンゴが弱ってしまうと共肉をむしって食べてしまう、という悪癖をもっているおそれがあるので注意が必要です。また、ベルリンシステムで飼育するならば魚などの水を汚しやすい生物は入れられません。

水温

温帯域に多い種ですが高水温にも耐性があるようで、クマノミやヤッコなどを飼育するような25℃前後の水温でも飼育可能です。もちろん低水温にも耐えられるようですが、できるだけ一定の水温を保つようにしましょう。

隠れ家

サラサエビが落ち着けるような隠れ家を用意しておきましょう。海の中では大きめの岩などの下に隠れていることが多いです。飼育水槽でもライブロックやサンゴ岩などを入れるようにしましょう。

サラサエビに適した餌と添加剤

▲アサリのむき身を食べるサラサエビ

餌はエビ専用のものでなくても、海水魚用の配合飼料をよく食べてくれます。ヤッコやチョウチョウウオの餌付け水槽で飼育し、残ったアサリなどをサラサエビに食べさせるという方法もあります。ただし豆サイズのチョウチョウウオなどはサラサエビに傷つけられたり、最悪の場合はサラサエビに捕食される可能性もあるので注意します。逆にチョウチョウウオが大きいと、サラサエビが脱皮したてのときに突いて食べてしまうおそれがあるので注意が必要です。

添加剤

エビの仲間の脱皮不全を防いだり骨格を成長させるのに各種添加剤を添加したいものです。ヨウ素やカルシウム、マグネシウムなどを添加するようにしましょう。もちろんサンゴを一緒に飼育するのであればそのほかの添加剤も必要になってきます。ただし脱皮不全はヨウ素欠乏のほか、水質悪化でも起こりうるため、常に水をきれいにしておく必要があります。また、エビの仲間は海水魚の魚病薬である硫酸銅に弱いため、絶対に使用してはいけません。魚をが白点病になってしまったら、魚を別の水槽に移して治療するようにしましょう。

サラサエビをお迎えする

購入

サラサエビを購入するのであれば近海産の海水魚を取り扱う店舗で購入することになります。輸入されることはまずなく、観賞魚店ではあまり見られないエビといえます。購入する際の注意点としては、体が傷ついている個体を選ばないこと、眼が欠落している個体は選んではいけません。脚は1本や2本欠落している程度であれば脱皮して再生しますが、大部分の脚が欠落しているようであればその個体は購入しない方がよいでしょう。

採集

▲サラサエビを採集した房総半島のタイドプール

日本海岸では男鹿半島、太平洋岸では房総半島以南に生息しますが、本州中部以南の太平洋岸に多いです。生息場所は岩礁性の海岸で、オーバーハングした岩の下などに数匹でいることがあります。また、大きな岩の下に潜んでいることもあります。水深は深くはなく、干潮時に大きなタイドプールになる場所でも見ることができます。

サラサエビが生息するような場所にはイセエビも多いので密漁と疑われるようなことはしないようにしましょう。

水あわせは慎重に

サラサエビの飼育は難しくはないのですが、水質の急変に弱いので、水槽に入れるときなどは注意が必要です。水合わせを慎重に行うことで、ショックで気絶してしまったり、死んでしまうなんていう事態を防ぐことができるでしょう。水合わせの方法は以下のリンクをご参照ください。

サラサエビとほかの生物との相性

同種同士の混泳

サラサエビは複数個体での飼育もできます。ただし若干争うこともあるのでたくさんの隠れ家が必要になります。ライブロックやサンゴ岩などを複雑に組んでエビが隠れられるようにしましょう。

ほかのエビ・甲殻類との相性

同じサラサエビの仲間のエビであるスザクサラサエビ、あるいはモエビの仲間のアカシマシラヒゲエビ、シロボシアカモエビ、ペパーミントシュリンプ、ハゼと共生するテッポウエビなどとほかのエビや、小型のサンゴヤドカリ類、小型のカニ類と一緒に飼育することができます。一方オトヒメエビは性格がかなりきついですのでできれば避けた方がよいでしょう。また磯遊びで採集できるイソスジエビなども意外なほどきつい性格なので注意が必要です。また、イセエビやセミエビなどのエビはかなり巨大で性格も粗暴ですので一緒に飼育するのはやめましょう。

魚との相性

スズメダイやクマノミ、小型ヤッコ、ハナダイ、ハゼの仲間などであれば混泳可能です。ただし、昼間気が強い魚から隠れられる、あるいは脱皮直後で体がやわらかいときにほかの魚からの襲撃を防ぐことができるよう、複雑にライブロックなどを組んで隠れ家をつくってあげましょう。ベラやゴンベ、カワハギ、大型のバスレットなど、エビを好んで捕食する魚には捕食されることもあるため組み合わせないようにします。

意外な魚としては、テンジクダイの仲間も大きいものはエビを食べてしまうことがあります。テンジクダイは夜間活発に泳ぎ回るため、同様に夜間活発に活動するサラサエビを襲うことがあるからです。ただ小型のイトヒキテンジクダイやマンジュウイシモチなどはよほどエビが小さくない、またはテンジクダイがよほど巨大なものでない限り、問題ありません。逆に微小なサイズの魚はサラサエビに捕食されることもあります。

サンゴとの相性

サンゴ水槽での飼育には注意が必要です。普段はサンゴには無害なのですが、サンゴの調子がイマイチだったりすると共肉をむしって食べてしまうことがあります。とくにキッカサンゴやキクメイシ、オオトゲサンゴ系などのLPSは注意が必要です。またソフトコーラルであってもマメスナギンチャクなどを食べてしまうおそれがありますので注意が必要です。

サラサエビの飼育まとめ

  • 美しい色彩で熱帯種と思われがちだが温帯に多い種類
  • 近縁種のスザクサラサエビ(キャメルシュリンプ)も販売されている
  • 残り餌を食べるがほかの魚をクリーニングしない
  • 弱ったサンゴの共肉を食べてしまうこともあるので注意
  • 45cm以上の水槽で飼育できる
  • ろ過は上部ろ過か、複数のろ過槽を組み合わせて使用する
  • 25℃前後で飼育できるがもっと低い水温でも飼育できる。水温が安定していることが重要
  • ライブロックやサンゴ岩などで隠れ家をつくる
  • 魚の残り餌や配合飼料をよく食べる
  • 添加剤はヨウ素やカルシウムなどの添加が重要
  • 硫酸銅には弱いので魚は別水槽に移して治療する
  • 販売されていることはあまりなく磯で採集されることが多い
  • 水あわせは時間をかけて慎重に
  • 同種同士の飼育は可能
  • 小型のエビとの混泳は可能だがイソスジエビは気が強いので要注意
  • 魚との混泳はエビを襲わない小型種のみ可能
  • 弱ったLPSやマメスナギンチャクなどを食べることも

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