サビウツボの飼育方法~鋭い歯に注意!餌・混泳のポイント

 サビウツボは頭部が紫色で、眼が白くてかわいいウツボの仲間です。性格は比較的温和な種といえ、初心者にも最適です。

餌は甲殻類や小魚、イカなどを好んで食べます。また、全長50cmほどでウツボの仲間としては小型種といえますが、それでも大きめの水槽で飼育したいものです。

標準和名 サビウツボ
学名 Gymnothorax thyrsoideus (Richardson, 1845)
英名 Greyface morayなど
分類 ウナギ目・ウツボ科・ウツボ亜科・ウツボ属
全長 50cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 イカや小魚の切り身など
温度 25℃
水槽 90cm~
混泳 小魚を捕食するおそれがあるので不可
サンゴ飼育 あまりおすすめできない
そのほか 飛び出す恐れがあるのでフタは必須。歯が鋭いので取扱いに注意

サビウツボってどんなウツボ?

▲高知県で採集されたサビウツボ

サビウツボは全長50cmほどの中型のウツボです。頭部は紫色で、体には褐色の模様が入り、眼が白いことでほかのウツボの仲間と見分けることができます。日本では三重県以南の太平洋岸に分布しており、琉球列島では浅瀬でごく普通に見られる種類で、沖縄などでは潮溜まりに入ることもあるようです。国外ではインド洋から中央太平洋に分布しています。

水族館でもよく飼育されている種であり、新潟県上越市の上越市立水族博物館で飼育されていた有名な「たらこ唇のウツボ」は本種です。その個体は感染症にかかった、あるいは何らかの理由で上下の吻端が変形しており、まるでたらこ唇のように見える有名な個体です。

近縁種

インド洋西部や紅海に生息しているジオメトリックモレイGymnothorax griseusという種類はサビウツボに非常によく似ています。しかしながらサビウツボと異なり、頭部に黒い斑点があるのが特徴です。

このほか体に黒い小さな斑点が散らばるアセウツボも近縁なようです。この3種類のほかに、オマーンやイエメンのソコトラ島近海に生息するGymnothorax flavoculusという種とともにSiderea属という属にされていましたが、現在はウツボ属の中に入れられています。この仲間は比較的浅いところに生息し、水深1mほどの場所でも見ることができます。小~中型種が多いのですが、アセウツボは全長1.2mにもなる大型種です。

クモウツボとの違い

▲クモウツボ

サビウツボは「ウツボ飼育の入門種」のひとつで、ほかに初めてのウツボ飼育に適した種にはクモウツボがいます。どちらも全長50cmほどの中型種で比較的おとなしい性格のウツボで、大きめの水槽であれば、この2種類を同じ水槽で飼育することもできます。

クモウツボに代表されるアラシウツボ属の魚は歯があまり鋭くないのですが(といっても雄では鋭い歯をもちますが)、このサビウツボはウツボ属で、クモウツボよりも鋭い歯を持っており、咬まれると怪我をするおそれがあります。取扱いには注意しなければなりません。もし咬まれたら、止血し、傷口を洗い(雑菌による感染症を防ぐため)、ばんそうこうなどで患部をふさぎます。もし傷が大きいようであれば医師の手当てを受けるようにします。

サビウツボ飼育に適した環境

水槽

サビウツボはウツボ科としては比較的小型で、60cm水槽で飼育できないこともないのですが、うまく飼育するのであれば90cm以上の水槽を用意しておきたいところです。ウツボの仲間は脱走することがあるのでしっかりとしたフタをできるということも水槽選びのポイントとなってきます。水槽はガラス製とアクリル製がありますが、ガラスや壁面のコケ掃除の際、水槽に手を入れるのがイヤというのであれば掃除しやすいガラス水槽が適しているでしょう。

ろ過装置

ウツボ飼育には強力なろ過装置が欠かせません。ろ過装置はしっかりしたものを選択して使わなければなりません。上部ろ過槽、外部ろ過槽を使用しますが、外掛けろ過槽はやめた方が無難です。外掛けろ過槽は水槽の上部に隙間ができやすいので脱走しやすいウツボの仲間の飼育には適していないからです。また外掛けろ過槽はろ過能力が足りないため、この点もウツボ飼育には適していないといえるでしょう。

また上部ろ過槽や外部ろ過槽もポンプ室などの隙間を埋めるなどの対策が必要で、外部ろ過槽は酸欠になりやすいのでそれらの対策も欠かせません。

水槽を置くスペースに余裕があるならば、オーバーフロー水槽を使用してもよいでしょう。ウツボは脱走するおそれもあるので、フロー管にフェンスをつけ、脱走を防ぐようにします。

水温

サンゴ礁域の浅瀬に生息するため、25℃で問題なく飼育できます。それよりも高水温に耐える丈夫な種ではありますが、水温が上がったり下がったりでは体調をくずしてしまうおそれもあり、よくありません。

フタ

サビウツボに限らず、ウツボ飼育にはフタが必須です。ウツボの仲間は力が強く、フタを除けてしまうこともあります。サビウツボはそれほどではないものの、念のため重石として蓋の上にペットボトルなどを乗せておくことをおすすめします。文字通りの重い石を水槽の上に置いておくとガラスフタが割れてしまうこともあり、あまりおすすめできません。

隠れ家

▲塩ビパイプの中に隠れている

ウツボの仲間はふつう、岩の隙間などに隠れて頭部だけを出していることが多いです。水槽でもウツボが隠れるためのものを用意しておきたいところですが、サンゴ岩やライブロックなどは崩されてしまい、魚が潰されたり最悪の場合ガラスが割れたりするおそれがあるので注意が必要です。味気ないのですが塩ビパイプなどを入れておくとよいでしょう。内径5cm前後は欲しいところです。

サビウツボに適した餌

▲イカは入手しやすくおすすめの餌

▲餌のイカを食べるサビウツボ

海の中では甲殻類やイカ、タコなど軟体動物、小型の魚類を捕食しています。先ほども述べたようにこれらの餌は「生餌」なので、水を汚してしまいます。しかし餌を少なくしてしまうのもよくありません。生の餌を少々与えたくらいでは水質を悪化させないよう強力なろ過装置を使用するべきです。

状態がよければすぐに餌を食べるようになります。食べない場合は夜間にイカの足などを数個いれてやります。本種は甲殻類をメインに食するようですが、イカやタコの足はどんなウツボでも好んで食べてくれます。どうしても食べないようであれば隠れ家を入れる、ほかのウツボを別の水槽に移すなどの工夫をしてみましょう。もちろん水質や水温についてもチェックしなければなりません。

ほかのウツボと飼育するときは、餌のイカをサビウツボが丸のみできるようなサイズにカットし、ピンセットなどを使ってサビウツボの口もとまで持っていくようにします。こうしないと水槽内のウツボに公平に餌がいきわたらなかったり、サビウツボが餌を咥えているときにほかのウツボに横取りされたり、ひどいときにはそれによってウツボがけがをするおそれがあるからです。

サビウツボの入手方法

採集する

▲愛媛県産のサビウツボ

サビウツボは沖縄はもちろんのこと、運が良ければ和歌山や四国太平洋岸(宇和海など)でも出会うことができます。生息水深は極めて浅く、先述のようにタイドプールにも出現します。サビウツボを見かけたら、2本の手網をうまく使い追い込むようにして採集します。

購入する

通常は観賞魚店で購入して入手することになります。お値段は3000円前後と安価な種類です。病気にもあまりならず飼いやすいといえますが、背肉がおちげっそりしているもの(やせている、拒食が長いこと続いている可能性がある)、入荷したばかりのものは購入してはいけません。できればお店でも餌をよく食べている個体を選ぶようにします。

サビウツボと他の生物との混泳

ほかの魚との混泳

▲モヨウモンガラドオシやウツボとの混泳例。隠れ家は多めに入れてあげたい

サビウツボはウツボ科の魚としては比較的温和ですが、夜間ほかの魚を捕食してしまうことがあります。そのため小魚との飼育は避けた方が無難です。ほかのウツボとの混泳は、強すぎる種類(ニセゴイシウツボ、グリーンモレイなど)は避けクモウツボやゼブラウツボといった、本種と同様に比較的おとなしい種類と組み合わせるようにします。またサイズをそろえておくことも上手く混泳するためのポイントといえます。

サンゴ・無脊椎動物の相性

サンゴを捕食したりすることはないウツボの仲間ですが、そのパワーでサンゴをひっくり返す、あるいは土台を崩したりするおそれもあります。また、イカやタコの足、魚の切り身などの生餌を与えると水が汚れるおそれがあり、そのような意味でもサンゴ水槽での飼育はすすめられません。甲殻類はサビウツボに捕食されてしまうおそれがありますので、甲殻類との同居も避けるようにします。アカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)などクリーナーを入れるのもよいのですが、「食べられない」という保証はありません。

サビウツボ飼育まとめ

  • 全長50cmほどの中型種
  • 琉球列島ではごく普通に見られる
  • 頭部は紫色で、眼は白く、体には黄色の模様がある
  • 水槽は90cm以上が望ましい
  • 上部ろ過槽がおすすめ
  • 水温は25℃を保つ
  • フタはしっかりする
  • 塩ビ管などの隠れ家を入れる
  • 餌はイカの足や魚の切り身を与える
  • 生の餌なので水質悪化にはとくに注意
  • 安価で購入できるが痩せているものなどは避ける
  • 小魚との混泳は避ける
  • サンゴとの飼育はしにくい

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