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2020.09.21 (公開 2018.09.14) 海水魚図鑑

シマハギの飼育方法~コケ対策としてもおすすめ!混泳・餌の注意点まとめ

シマハギ

シマハギはその名の通り黒い横帯が5本あるのが特徴の魚です。キイロハギやナンヨウハギなど派手な色彩の魚が多いニザダイ科魚類のなかで、派手ではありませんが落ち着いた色が美しい魚です。

藻類食性が強く浅いサンゴ礁域や岩礁域でコケを食み水槽でもコケ取りとして入れられることがあります。分布域は極めて広く、幼魚は本州~九州太平洋岸の磯でも夏の終わりから秋にかけて出会うチャンスがある魚です。

なお、ニザダイ科(ハギ)の飼育方法の基本についてはこちらをご覧ください。

標準和名 シマハギ
学名 Acanthurus triostegus (Linnaeus, 1758)
英名 Convict surgeonfish
分類 スズキ目・ニザダイ亜目・ニザダイ科・クロハギ属
全長 20cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 海藻70メガバイト グリーンなど
温度 25℃
水槽 60cm~
混泳 強すぎる魚・弱すぎる魚との混泳は注意
サンゴ飼育 可。ただし弱ったLPSなどはつつくおそれあり

シマハギってどんな魚?

シマハギは、白っぽい体で背中が薄い緑色、体には5本(眼を通るものを含まない)の横帯がある、派手ではないのですが落ち着いた色彩がきれいなニザダイ科の魚です。

本種が含まれるクロハギ属はニザダイ科の最大の属で、インド-汎太平洋、大西洋の熱帯域から39種が知られています。大型種が多いのですがシマハギはその仲間ではやや小型であり、大きくても20cmほどにしかなりません。

英名のConvictは「犯罪者」とか「囚人」という意味があります。これは体側にある横帯の模様を囚人服に見立てたことのようです。Surgeonfishとは「外科医の魚」ということでニザダイの仲間の総称です。こちらは尾にあるメスのような棘から来ているようです。熱帯域では食用として市場に出回ることもあります。

鰭棘に毒、取扱に注意

ニザダイの仲間には背鰭などの鰭棘にがあるものがいます。シマハギの鰭に毒があるかは不明ですが、素手で触らないようにします。また尾鰭の付け根には大きな棘があり、この棘に刺されるとやはりけがをするおそれがあります。本種については素手で触れるのは避けた方がよいでしょう。

シマハギの近縁種・亜種

シマハギにはよくにた魚がいます。ブラックバードサージャンフィッシュ、もしくはモーリシャスコンビクトタンと呼ばれるシマハギによく似た魚です。その名の通りモーリシャスやコモロ諸島など西インド洋の島嶼に生息しています。特徴はシマハギよりも体側の横帯の数が多いことで、鰓蓋の後方に8本前後の横帯があります。また鰓蓋の下に黒い線や斑点があり、シマハギとはだいぶ異なる印象を受けます。ごくまれに入ってきますが生息場所が僻地なためかなり高価です。

シマハギはインド―汎太平洋の熱帯域に分布していますが例外があります。例えば紅海には生息していませんし、ハワイ諸島のものは別亜種とされることもあります。日本近海に生息する個体とは、胸鰭下部の模様が少し異なっています。

シマハギに適した飼育環境

水槽

遊泳性が強いため、60㎝以上の水槽で飼育したいものです。できれば90㎝以上の水槽で飼育したほうが飼育も混泳も容易になるでしょう。

水質とろ過システム

ニザダイ科の魚は大食いなので多量に排せつをすることで水を汚しやすいといえます。そのためろ過装置はしっかりしたものを選ばなければなりません。外部ろ過槽や外掛けろ過槽だけを使用するのはだめで、これらを複数組み合わせたり上部ろ過槽などと組み合わせるようにしましょう。このほかプロテインスキマーもろ過を助けてくれるのでおすすめです。

予算と設置場所が許すのであればほかのろ過槽と比べて圧倒的な能力をもつオーバーフロー方式がおすすめといえます。またプロテインスキマーを用いたベルリンシステムで飼育することもできます。ただしベルリンシステムで魚を飼育するのであれば魚は多くは入れられません。

水温

サンゴ礁の魚ですので25℃で飼育するのが望ましいですが、本種は浅瀬のタイドプールにも生息しやや高めの28℃くらいでも悠々と泳いでいます。ただし水槽で飼育する場合は病気にかかったり体調を崩したりするのを防ぐために水温を一定にキープするようにしなければなりません。

水流

ニザダイの仲間はどの種もよく泳ぎ、自然下では強い水流のサンゴ礁に見られますので水中ポンプなどを使って強めの水流をつくってあげましょう。

フタ

何かに驚くと勢いよく泳ぎ、そのはずみで水槽の外に飛び出してしまうこともあります。ですから水槽にはしっかりフタをして飛び出しを防ぐようにしなければなりません。

シマハギに適した餌

レタスを食べるシマハギ

▲レタスを食べるシマハギ

シマハギは海の中では海藻や岩にはえたコケを捕食しています。水槽内でもコケを食べてくれるのですがそれだけでは足りませんので餓死してしまうおそれがあります。ですから給餌は必須です。

水族館ではニザダイ科の魚の餌としてレタスなどを与えることもありますが農薬などの問題もあり、家庭水槽ではあまりおすすめしません。家庭水槽であればキョーリン「メガバイトグリーン」や「海藻70」など植物食魚類向け配合飼料や、アクアリウムシステムズの「アラカルト」などの天然海藻フードなどがおすすめです。このほかクビレズタ(ウミブドウ)などの海藻を別水槽で飼育し、トリミングして与えるのもよいでしょう。

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シマハギの病気対策~白点病に注意

ニザダイ科の魚はどの種も白点病などの病気に罹りやすいのでその予防にもつとめたいところです。

病気の予防方法としては殺菌灯の設置や魚の抵抗力を高める餌なども有効ではありますが、水温を一定にしておくこと、常にきれいな水をキープしておくことがずっと大事なことです。不幸にも白点病にかかってしまったらグリーンFゴールドを規定量の半分に溶かした水で薬浴させたり、バケツに魚を入れ水を全換水するなどして治療しましょう。

シマハギの入手方法

海で採集する

潮溜まりで採集されたシマハギの幼魚

▲潮溜まりで採集されたシマハギの幼魚

シマハギは死滅回遊魚として、夏の終わりから秋にかけて千葉県以南の太平洋側の磯で幼魚を採集でき、年によっては日本海にも姿を見せます。成魚は大変すばやいのでタイドプールにいる幼魚を採集するのがおすすめです。かなり浅い場所でもオヤビッチャなどの魚と一緒にいる様子を見られます。

酸欠には弱いのでバケツを使って持ち帰るときはエアレーションをするとよいでしょう。

購入する

シマハギは海水魚店で見られることはあまり多くないといえます。ただし値段的には決して高価というわけではありません。東南アジアから輸入されて来るほか、沖縄産のもの、近海の採集ものなどが販売されることがあります。

購入する際は背中の肉がついておらず、体が薄っぺらい個体は回復が難しいため購入するのは避けます。もちろん体表や鰭に白い斑点があるもの、体の一部が赤くなっているもの、岩陰に隠れて動かないもの、眼が白く濁っているものなどは選んではいけません。ただし、水槽内に強い魚がいるときなどコンディションがよくても岩陰に隠れてじっとしていることがあります。逆によく泳いでいても体を岩や壁面に頻繁にこすりつけているときは寄生虫などが付着していることもあるので購入するのは避けたほうが無難です。

シマハギと他の生物との混泳

同種同士・ほかのハギとの混泳

クロハギに追われるシマハギ

▲クロハギに追われるシマハギ

ニザダイ科の魚は餌の多い環境では大きな群れを作っていることが多いものの、水槽内で複数飼育をするとケンカをしやすいので注意します。小型水槽ではハギの仲間、とくに同種の場合は1匹で飼育するのが安全です。

他の魚との混泳

シマハギの混泳事例

▲ほかの魚との混泳は同種同属混泳ほど問題ないことが多い

シマハギと他の魚との混泳も可能ですが温和な小型ハゼなどはシマハギにおびえて隠れ家から出てこなくなるおそれもありますのでできれば避けたほうがよいでしょう。

シマハギはニザダイの仲間としてはおとなしめの性格で、大きすぎないスズメダイ、ベラ、大きめのハナダイ、バスレット、チョウチョウウオ、カエルウオなどとの飼育は可能です。ヤッコは大型・小型とわず飼育可能です。

サンゴ・無脊椎動物などとの相性

サンゴに対しては基本的には無害ですが、弱ってしまったLPSはつついてしまうことがあります。基本的には浅瀬に多く生息する魚なのでソフトコーラルやSPSなどのサンゴもおすすめといえます。

甲殻類はサンゴ礁に生息する小型のものであれば多くの種類と組み合わせられます。スカンクシュリンプやホワイトソックスはもちろん、サラサエビの仲間、フシウデサンゴモエビ、ペパーミントシュリンプなどとの組み合わせも大丈夫です。ただしオトヒメエビやイセエビの仲間は魚を襲うことがありますのでとくに幼魚のうちは避けたほうが賢明といえます。

海藻水槽ではシマハギが海藻を捕食してしまうおそれがあるため入れてはいけません。逆に海藻が生えすぎて困っているような水槽ではシマハギを入れて草むしりをやらせるのはアリといえます。

シマハギの飼育まとめ

  • 体側にある5本の黒色横帯が特徴
  • クロハギ属の魚としては比較的小型種
  • 背鰭や尾の付け根の棘に注意
  • 遊泳性が強いので大型水槽で飼育する
  • サンゴ水槽での飼育もよい
  • きれいな水と安定した水温、殺菌灯で病気予防
  • 海藻などを食べてしまう。餌も海藻由来のものがおすすめ
  • 磯で採集することもできる
  • 同じニザダイの仲間には追いかけられることも
  • ほかの魚との混泳はできる
  • 弱ったサンゴはつつくこともあるので要注意
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