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2018.09.14 (公開 2018.01.14) 海水魚図鑑

ニチリンダテハゼの飼育方法~共生・餌・混泳の注意点

ニチリンダテハゼはダテハゼ属のハゼで、大きく丸い背鰭が特徴的な種類です。

ダテハゼの仲間はテッポウエビと共生することで知られ、丈夫で飼育しやすく、初心者でも水槽で共生を観察することができます。ここではニチリンダテハゼをうまく飼育するためのポイントをまとめました。

標準和名 ニチリンダテハゼ
学名 Amblyeleotris randalli Hoese and Steene, 1978
英名 Randall’s prawn-goby
分類 スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ハゼ亜科・ダテハゼ属
全長 10cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッド
温度 23~25度
水槽 45cm以上
混泳 他の共生ハゼ、気が強い魚とは注意が必要
サンゴ飼育

ニチリンダテハゼってどんなハゼ?

ニチリンダテハゼと他のダテハゼの違い

ダテハゼ属はインド-太平洋の熱帯・亜熱帯に多く生息するハゼの仲間で、未記載のものを含め40種以上が知られており、どの種も砂地でテッポウエビ類と共生する、いわゆる「共生ハゼ」のいちグループです。

このニチリンダテハゼは大きくて丸い第1背鰭を持ち、その中に白く縁どられた黒色斑があるため、ほかのダテハゼの仲間とは容易に見分けることができます。また体にはほかのダテハゼと同じく橙色の横帯があります。この横帯のうち最後の1本が尾鰭の基底にあるのも特徴です。

ニチリンダテハゼの飼育に適した環境

水槽

45cm以下の水槽での飼育も可能ではありますが、他の魚や水質の変化にうるさいサンゴの仲間と飼育するのであれば、60cm以上の水槽で飼育するのが理想的です。ニチリンダテハゼは全長10cmほどになり、この仲間としては大きくなる種ですので、その意味でも大きめの水槽で飼育したほうがよいかもしれません。

水質

ある程度硝酸塩の蓄積に耐えられるのですが、できるだけきれいな水で飼育してあげたいものです。外掛け式ろ過槽や外部ろ過槽を単用しただけでは上手く飼育しにくいので、これらふたつのろ過槽を組み合わせるとか、あるいは酸素がよくろ過バクテリアに供給される上部ろ過槽などを用いるのもよいといえます。

水温

水温25℃でも飼育可能ですが、本種は水深15~50mと、ダテハゼの仲間としてはやや深場に生息する種ですので、低めの23℃ほどで飼育するのもよいでしょう。もちろん水温が一定しない、すぐ上がったり下がったりするようではハゼも病気になってしまうおそれがありますので、よくありません。

フタ

本種に限らず共生ハゼは水槽から飛び出してしまうことがありますので、飛び出しへの対策が必要です。水槽にしっかりガラスふたをしておくことはもちろん、できれば小さな隙間もプラスチック板で埋めるようにしたいものです。

テッポウエビとの共生

ニチリンダテハゼと共生するニシキテッポウエビ

ダテハゼの仲間を飼育する上での最大の楽しみは「テッポウエビとの共生」です。ただし、テッポウエビであればどんな種類でもニチリンダテハゼと共生してくれるわけではありません。海中ではニシキテッポウエビやコシジロテッポウエビなどのテッポウエビと共生しているようです。これらの種類は海水魚店でもよく販売されており入手は容易といえます。

テッポウエビを選ぶときのポイントとしては、体が傷ついていないか、ハサミや脚が多く欠損していないかなどがあげられます。ハサミや脚は再生しますが、欠損が多いと再生するのに時間がかかることもあります。

底砂

ニチリンダテハゼの飼育において、特にテッポウエビとの共生を楽しむのであれば砂は必須です。全部パウダー状の砂を敷くのではなくというよりは、粒の大きさの異なる砂を敷いてあげるとテッポウエビが巣を作りやすくなるのでおすすめです。

ニチリンダテハゼの餌と添加剤

ニチリンダテハゼはよほど状態が悪い、あるいは他に強い魚が水槽内にいて怯えているのでなければすぐに配合飼料を食べてくれるはずです。

おすすめの餌は粒状の沈降性配合飼料です。フレーク状や軽い粒状の餌だと沈みにくい、あるいは沈むスピードが遅いので底の方にいるハゼの仲間には食べにくかったりします。また浮かんでいる配合餌を食べようとして水槽の上の方にいると何かに驚いて飛び出し死んでしまうこともあります。

そしてテッポウエビとの共生を楽しみたいのであればヨウ素を水槽に添加するようにします。甲殻類はまれに脱皮不全を起こして死んでしまうことがありますが、これの原因のひとつはヨウ素不足にあるともいわれています。またヨウ素は魚にも有用な成分であるので、添加してあげましょう。

重要な微量元素であるヨウ素ですがプロテインスキマーを使用していると水槽から取り除かれやすいため、定期的な添加が重要です。

ニチリンダテハゼを入手する

ニチリンダテハゼは、同属のクビアカハゼなどと比べ分布範囲は狭く、西太平洋の熱帯域にのみ分布します。日本においては奄美大島や伊江島、八重山諸島などで観察されています。観賞魚としてはフィリピンやインドネシアなどの東南アジアから入ってきます。

できるだけ入荷してすぐの個体は購入せず、1週間ほどしてから購入するようにするとよいでしょう。体や鰭に傷がないか、泳ぎ方がおかしくないかなど、購入する前に販売されている個体をよく観察するようにします。基本的には丈夫な魚であり、一旦水槽になれれば病気の心配はあまりしなくてよいでしょう。

ニチリンダテハゼと他の生物との相性

共生ハゼとの混泳

▲争いで鰭がぼろぼろになることも

ニチリンダテハゼはほかの共生ハゼよりも大きくなり、気が強いので狭い水槽でほかの共生ハゼと混泳することはおすすめしません。

どうしてもほかの共生ハゼと混泳したいときは最初に別の共生ハゼを飼育し、そのハゼが慣れたら本種を入れるようにするとよいでしょう。ただし、小型のヒレナガネジリンボウなどの種類は本種に駆逐されてしまうおそれもあります。観賞魚店では3cmくらいの可愛いサイズの個体と他の共生ハゼを同じ水槽に入れて販売していることがありますが、大きくなるにつれて気が強くなるので注意しなければなりません。

他の魚との混泳

▲メギスの仲間は気が強い。混泳注意

ダテハゼ属の魚としてはやや強めな性格の種であり、小型ヤッコや温和なスズメダイ、テンジクダイ、カエルウオ、ハナダイの仲間などとの混泳は可能です。遊泳性のハゼを飼育するとテッポウエビとハゼが共生している巣穴に居候する様子を観察することができます。

しかしメギスや大きなスズメダイ、ハギなどあまりにも気が強い魚と混泳すると、自慢の大きな背鰭をぼろぼろにされてしまうおそれがありますので、注意が必要です。特に隠れる場所が無かったりするとこのようなことがおこるおそれがあります。大きなベラやハタ、バスレットの仲間などはニチリンダテハゼやテッポウエビなどを捕食するおそれもあり混泳は不可です。

サンゴ・無脊椎動物との相性

サンゴ水槽でも飼育可能ですが、テッポウエビと共生させると、砂を掘ってサンゴをひっくり返してしまうおそれがあります。サンゴ岩やライブロックをしっかりと組み、サンゴは専用の接着剤で岩組に接着させましょう。

イソギンチャクの仲間は種類によってハゼなどの魚も捕食することがあります。動きが遅めのハゼやカエルウオの仲間は特に捕食されやすいといえます。ひとつの水槽で「イソギンチャクとクマノミの共生」と、「テッポウエビと共生ハゼの共生」を楽しむことは絶対無理ということはないようですが、注意が必要です。

ニチリンダテハゼの飼育まとめ

  • やや大きくなり気が強い。大きめの水槽で
  • ニシキテッポウエビやコシジロテッポウエビと共生する
  • 水温は23~25℃で安定していることが重要
  • 飛び出すことがあるのでふたはしっかり
  • 餌は沈降性のペレットがよい
  • テッポウエビを上手く飼育するためにヨウ素を添加
  • 丈夫だが、入荷してすぐの個体の購入は避ける
  • 他の共生ハゼとは争うが、他の小型魚とは混泳できる
  • メギスや強いスズメダイなどとの混泳は注意。肉食魚との混泳は不可
  • サンゴとの飼育は可能だがレイアウトが崩れないよう注意
  • イソギンチャクとの飼育は避けたい
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