マガキガイの飼育方法~底砂の掃除・コケ対策に | 海水魚ラボ

マガキガイの飼育方法~底砂の掃除・コケ対策に

サンゴを飼育するためには強い光が必要です。しかし強い光を当てると水槽のガラス面、ライブロックやサンゴ岩、そして砂にコケが生えてしまいます。コケは多くの場合有害というわけではないのですが、見栄えが悪くなるため、早めに水槽から取り除くようにしたいものです。

サンゴ砂に生えたコケの除去、あるいは砂にコケが生えにくいようにするのにはマガキガイという貝が有効です。マガキガイが砂上をはい回ると砂が動いてコケが生えにくくなりますので、海水魚水槽の底砂のコケ対策に最適な貝です。このマガキガイを水槽に入れることにより、底砂が白い状態を長い事キープできるでしょう。

マガキガイってどんな貝?

▲アクアリストになじみのある軟体動物門の生物の例

貝の仲間(軟体動物門)は大きく7または8つの綱に分けられます。無板綱(カセミミズの仲間)、単板綱(ネオピリナの仲間)、多板綱(ヒザラガイの仲間)、二枚貝綱(アサリ、ハマグリ、ホタテガイなどの仲間)、ツノガイ綱、腹足綱(いわゆる巻貝など)、そして頭足類(イカ、タコ、オウムガイなど)です。その中でも腹足綱は種類が多く、海域や淡水域など水中に生息するもののほか、カタツムリの仲間のように陸生のものもいます。また、貝殻のないウミウシの仲間やナメクジの仲間なども含まれています。

マガキガイは腹足綱の中のスイショウガイ科に含まれる巻貝です。スイショウガイ科の巻貝は本種の他、棘が生えている不気味な姿のクモガイや、「水」の字のような形をしており厄除けとして飾られてきたスイジガイなど、貝殻コレクターに人気のある種類の貝を多数含みます。このマガキガイには棘がありませんが、猛毒をもつイモガイの仲間のような姿・形をしており、擬態とも考えられます。

なお、名前に「マガキ」とありますが、重要な食用種である二枚貝のマガキとは全く関係はありません。殻の模様が籬(まがき:竹や柴などを粗く編み作った垣根のこと)に似ていることからこの名前がついたようです。

マガキガイに適した環境

水槽

▲小型水槽で掃除中のマガキガイ

マガキガイだけを飼育するという方は少ないでしょう。小型水槽でも飼育できますが、同じ水槽で他魚の飼育もすることを考えますと、飼いたい魚に合わせて水槽サイズを選ぶ必要があります。

例えばクマノミの仲間を飼育していて、水槽の底の掃除をさせたいのであれば60cm水槽でもよいですが、ハナダイやニザダイなどの水槽底の掃除をさせたいのでであれば、それらの魚をうまく飼育するために90cm以上の水槽が必要になってきます。

ろ過槽

丈夫な生物で水質の悪化には比較的耐えられますが、いくら丈夫な生物とはいえアンモニアや亜硝酸が検出されるような環境では厳しいので、できるだけ綺麗な水で飼育するようにします。

ろ過は外部ろ過槽、上部ろ過槽、オーバーフロー水槽にしてサンプでろ過する方式などなんでもよいのですが、しっかりろ過できているかが重要です。

水温

水温については耐性があり、きれいな水では28℃くらいの水温まで飼育可能ですが、できるだけ25℃前後の水温で飼育してあげるようにします。20℃前後の水温でも飼育可能で近海産の魚との飼育も可能です。もちろん水温が安定していることが重要です。

マガキガイの選び方

▲眼と口を出しているマガキガイ

入荷量は多く、どこの海水魚店でも確実にストックしているのがマガキガイです。値段も安価で1個体でおよそ数百円~1000円前後で販売されますが、複数個体を購入すると安価になることも多いです。

選び方としては、眼や口を出していて、かつよく動いている個体を選ぶのがよいでしょう。砂の中に身を隠してじっとしていることもあり、眼や口を出していないから悪いというわけではなく、逆に死んでいてヤドカリなどにより殻から身が引きずりだされてようとしていることもあります。マガキガイの販売水槽をよく観察してみましょう。

マガキガイと魚・無脊椎動物との相性

▲ベニワモンヤドカリはマガキガイを襲うこともある

▲マガキガイ同士の飼育は可能

マガキガイはクマノミ類、ハゼ類、ニザダイ類など多くの魚と組み合わせられますが、大きなベラの仲間やフグ、モンガラカワハギなどのように貝類を捕食してしまう魚との組み合わせは避けた方が無難といえます。

ヤドカリやエビと一緒に飼育するアクアリストの方も多いようですが、この組み合わせも注意するべきです。とくにヤドカリのうち、ベニワモンヤドカリなどの種類はマガキガイを襲って食べてしまい、亡骸となったマガキガイの殻に入ることもあります。この仲間は平たい体をしており、マガキガイやタカラガイの殻に入っていることが多い種類です。このほかにクリーナーシュリンプとして水槽に入れられることも多いスカンクシュリンプなども、弱ったマガキガイを捕食するおそれがありますので、これらの生物との飼育には注意が必要です。

マガキガイ同士は複数飼育も可能です。何個体かまとめて水槽に入れるのもよいですが、限度というものもあります。マガキガイのサイズにもよりますが、35cm水槽に10匹も20匹も入れるというのであれば、それは入れすぎです。

なお、小型水槽でマガキガイが死亡してそのままにしていると水質が悪化し他の生物も死んでしまうこともあります。また死殻も長いこと水槽に放置していると殻の中に入った水が動かなくなってしまい硫化水素が発生してしまうおそれもありますので死んでしまったものはなるべく早く水槽から出すようにします。

マガキガイとサンゴとの関係

▲砂の中にひそむマガキガイ。サンゴをひっくり返されないよう注意

マガキガイがサンゴを捕食するということはありません。ただ、マガキガイが移動するときにサンゴを動かしたり、あるいはサンゴをひっくり返して死なせるおそれがあります。できるだけサンゴを接着するようにしたり、レイアウトに使うサンゴ岩やライブロックも崩れないように組み、このような事故を防ぐようにしましょう。

サンゴを飼育するのに必要な要素は、清浄な海水、成長や健康維持に必要な成分、適した水温、海流を再現した水流、太陽光のかわりの照明......

マガキガイを食べる

マガキガイは関東地方以南の太平洋岸に広く分布する貝で、食用としても知られています。塩でゆでてつま楊枝を使い身をほじるようにして食べると美味しい種。

高知ではちゃんばら貝と呼ばれていますが、生きた貝をひっくり返すと長いふたを刀のように振り回すためこの呼び名がついたようです。

マガキガイの飼育まとめ

  • サンゴ砂表面を攪拌してくれるため、コケが生えにくくなる
  • 魚の残り餌や微生物などを捕食する
  • 丈夫で硝酸塩蓄積にも強いができるだけ綺麗な水で飼う
  • 水温は20~28℃で、一定にキープしたい
  • 安価で購入しやすい
  • 眼や口を出していて、よく歩いているものを選ぶ
  • ベラの仲間やフグの仲間などはマガキガイを食べることもある
  • ベニワモンヤドカリはマガキガイを襲って食べることも
  • スカンクシュリンプなども弱ったマガキガイを襲うことがある
  • サンゴとの関係は概ね良好だが、しっかり固定しておくこと
  • 高知などでは食用になる

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