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2020.02.27 (公開 2017.10.06) 海水魚図鑑

クダゴンベの飼育方法~拒食・エビとの混泳など注意点まとめ

ゴンべ科魚類はカクレクマノミやスズメダイ、小型ヤッコほどではないのですが、鮮やかなカラーリングやユニークな顔つきなどから、マリンアクアリウムではある程度の人気を集める魚です。その中でも人気なのがクダゴンベです。クダゴンベは吻部が長いという独特の顔、体側のきれいな網目模様が特徴的で、とくに人気が高い種です。しかし動物食性がつよいところや拒食に陥ることもあるなど、飼育には注意が必要な魚です。今回はこのクダゴンベの飼育方法をご紹介します。

標準和名 クダゴンベ
学名 Oxycirrhites typus (Bleeker, 1857)
分類 スズキ目・スズキ亜目・ゴンベ科・クダゴンベ属
全長 10cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッド冷凍イサザアミシグマグロウD
温度 22~26度
水槽 45cm以上
混泳 甲殻類はNG
サンゴ飼育

クダゴンベってどんな魚?

ゴンベの仲間は背鰭に糸状の突起をもつ。写真は別の種のゴンベ(ヒメゴンベ)のもの。

ゴンベの仲間は太平洋、インド洋、大西洋に広く生息し、世界で33種、そのうち日本には和名がないものも含め15種が知られています。ゴンベの仲間の特徴は背鰭に糸状の突起があること、大きな胸鰭をもつことで、この胸鰭と腹鰭を起用に使って岩やサンゴの上で休息します。

英語名では「ロングノーズホークフィッシュ」という名前の通り、口(吻)が著しく突出しているのが特徴の魚です。分布域は極めて広く、南アフリカ東岸から南米コロンビア西岸に至るインド-汎太平洋域の熱帯・亜熱帯域にかけて分布します。日本では千葉県以南に分布し、やや深場でヤギやイソバナといったのサンゴの間で見られることが多いです。

クダゴンベの飼育に適した環境

水槽

クダゴンベは大きいものでは全長15cmとそれなりの大きさになる魚ですので、大きめの水槽で飼育してあげるとよいでしょう。45cm水槽でも飼育できないわけではないのですが、60cm水槽が安心です。

またゴンベ独特の泳ぎ方も考慮すると、60×30×30(cm)の水槽よりも、高さ(と奥行き)のある60×45×45(cm)の水槽が適しているかもしれません。60×45×45(cm)の水槽は100リットルを超える豊富な水量をかせぐことができますが、重量も重くなり、また水槽台も60×30の水槽台に置くことはできませんので注意が必要です。

水質とろ過システム

ゴンべの仲間としてはきれいな水を好みますので、しっかりしたろ過槽が必要になります。60cm水槽ならば上部ろ過槽を使うとよいでしょう。もちろん多数の魚と一緒に飼うのであれば上部ろ過槽と外部ろ過槽を併用して使用したり、ろ過能力の高いオーバーフロー水槽を使用するなどして、常に清浄な飼育水をキープしたいものです。

クダゴンベはサンゴに悪影響を与えることもほとんどなく、サンゴを飼育するためのベルリン水槽での飼育も楽しめます。ただしベルリンシステムでは魚を多く飼うことはできず、クダゴンベを入れると小型の甲殻類とは飼育することができなくなりますので、注意が必要です。

水温

カクレクマノミなどと同様、25℃前後で問題ありませんが、水深10m以深の若干水温が低めの場所に生息するので、あまりにも高い水温は苦手です。クーラーやヒーターを使用して25℃の水温を常にキープするように心がけましょう。もっと低めの水温22℃くらいで飼育するのもよい方法です。

フタ

ゴンベの仲間は鰾(うきぶくろ)を欠き、独特の動きをします。たまに水槽から出てしまいそうになることもありますので、フタはした方がよいです。

跳び跳ねたりすることはありませんし、動きが俊敏というわけでもないのですが、比較的水槽の上部をひらひら泳いでることが多いため念のため設置してください。

ライブロック

クダゴンベは自然の海ではヤギやイソバナなどのサンゴの上に乗っかっています。水槽でも、ライブロックやサンゴ岩、レプリカライブロックなどでレイアウトを組んで、クダゴンベが乗れる場所を作ってあげるようにするとよいでしょう。

クダゴンベが餌を食べてくれない(拒食)原因

ゴンベは基本的に配合飼料をよく食べるのですが、何故かこの種は拒食状態になることもあります。この原因は正直よく分かっていません。

私もクダゴンベを長く飼育していますが、この現象が定期的に訪れます。

対策としては「待つ」しか方法がなく、餌を変えたり、嗜好性を高めるためガーリックパワーなどを添加しても無理でした。ちょっと心配になりますが根気強く待つしかありません。

クダゴンベの給餌方法

クダゴンベは口が長いため、シグマグロウDやひかりメガバイトレッドなど顆粒状の餌を食べるのがとてもヘタです。ただクダゴンベは人懐っこい性格ですので、どうしても食べられなそうな場合は、手の平に餌を乗せて直接与えることでも食べてくれます。

お店で配合飼料をよく食べ太っている個体が安心ですが、水質の悪化や混泳のストレスなどから拒食になるおそれもありますので、十分とは言えません。

無理な混泳がストレスになっているようなら他の魚を隔離し、それでも配合飼料に餌付かないようであれば、冷凍のホワイトシュリンプや飼育水でふやかしたクリルなどをスポイトでクダゴンベに届けてあげるようにします。餌用に小型のエビやハゼなどの生き餌を与えてみるのもよいでしょう。

クダゴンベにおすすめの配合飼料

クダゴンベにおすすめの冷凍餌

クダゴンベの選び方

まず他の魚と同様、入荷して時間が経っていない個体は避けます。また、体幅がないぺらぺらな個体、背肉が落ちている個体、口に傷がある個体などは決して選んではいけません。また何らかの理由で拒食になっていることもあります。できればお店の人に配合飼料をあげてもらい、よく食べている個体を選ぶとよいでしょう。

ゴンベは胸鰭と腹鰭を使って岩の上で静止していることも多く、鰾がないのでほかの魚とは若干異なる泳ぎ方をします。じっとしていて動かなかったり、変な泳ぎをしていても、病気ではないことが多いです。

クダゴンベの混泳

ゴンベの仲間は同種同士で激しく争いますので、家庭用の狭い水槽ではゴンベを本種1匹のみにし、他の魚と混泳させるようにするとよいでしょう。

クダゴンベと他の魚との相性

意外と口を大きく開くことが出来る

ゴンベの仲間は動物食性が強く、水槽内でも他の魚を襲って食べてしまう恐れがあります。小型のカエルウオやハゼの仲間などは食べられてしまったり、あるいは大きく傷ついたりしてしまいますので、小魚との混泳は避けます。本種の口は細長いのですが、意外なほど大きなものも食べますので注意します。

クマノミ、温和なスズメダイ、大きめのハナダイ、ニザダイ、ベラ、小型ヤッコ、チョウチョウウオなど口に入らないサイズの魚との混泳は可能です。ただしクダゴンベがストレスを感じていないかどうかよく注意して観察してみましょう。

クダゴンベとサンゴ・無脊椎動物との相性

ゴンベ科はこのようにサンゴの上に乗っかっていることが多いです。サンゴを捕食するということもまずないので安心して組み合わせることができます。我が家の水槽では、ウミキノコの上や、オオバナサンゴの上によく乗っかっています。クマノミなどと違ってサンゴに身を擦り付けるようなことはしないので、サンゴが弱ったりする心配もあまりありません。

問題は無脊椎動物の方で、とくに甲殻類は大好物です。ペパーミントシュリンプやキャメルシュリンプなどは襲われやすく、魚の寄生虫を食べてくれるクリーナーであるスカンクシュリンプやホワイトソックスも、脱皮直後などは襲われることがあるので危険です。逆に大きなイセエビなどの甲殻類にはやられてしまう恐れがあります。いずれにせよ、ゴンベと甲殻類の混泳はタブーといえます。

クダゴンベの飼育まとめ

  • ゴンベの中でも口が突出してする、変わった特徴を持つ種類
  • 60cm水槽での飼育も可能だが、60×45×45が理想
  • 上部ろ過槽、上部ろ過槽と外部ろ過槽との併用を推奨
  • 水温は22~25℃。高水温は苦手
  • 餌はよく食べるが拒食になることもある、また食べるのがとてもヘタ
  • 混泳がストレスになっていないか、水はきれいかチェックしたい
  • 入荷して時間が経っていない個体や痩せた個体は選ばない
  • ユニークな泳ぎをしていて病気かと疑われることも
  • 口に入る小魚との混泳は不可
  • 甲殻類は大好物。エビとの混泳は禁物
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