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2020.12.04 (公開 2018.11.07) 海水魚図鑑

ウツボの仲間の飼育基礎~注意すべきポイント・餌・拒食対策など

クモウツボ

「ウツボ」はウナギ目・ウツボ科に属する魚類の一種の標準和名ですが、この科に属する魚類の総称としても使われます。

その見た目のかっこよさやかわいさ、他の魚とは異なる生態から観賞魚として人気がある魚たちです。しかしながらウツボの飼育方法は他の魚と大きく異なるところがあり、実際に飼育する前に理解しておきたい点がたくさんあります。

どんな魚でもそうなのですが、衝動買いでは上手く飼育できるはずがありません。ここではウツボをうまく飼育するためのポイントをご紹介します。

ウツボ科魚類の特徴

その見た目からもわかるように、ウツボには他の多くの硬骨魚類とは異なる特徴があります。

歯・顎

アミメウツボ

▲鋭い歯をもつアミメウツボ

ウツボといえば「海のギャング」などと呼ばれ「危険」「怖い」というイメージがどうしてもつきまといますが、実際に海の中でウツボを見かけても何もしなければ大人しいままです。

網を向けたらウツボの仲間は逃げていくことも多く、海のギャングというのは誇張された表現といえます。しかしながらウツボの仲間は多くの種が鋭い歯を持っているということは事実なので、取扱いには注意しなければなりません。

歯の配列はウツボの種類によって違いがあります。ウツボ科魚類の中には、歯の並び方を見なければ同定できない種もいるほどです。また、クモウツボのようには雌雄によって歯の形状が異なる種も知られています。

ウツボの仲間はかなり大きな獲物を飲み込むことができます。喉の奥にかぎ状に曲がった歯列(咽頭顎)があり、とらえた大物を飲み込むのに使います。

ウツボには胸鰭がない

▲ウツボには胸鰭がない

キカイウツボ亜科の魚は鰭が尾の端付近にしかない

▲キカイウツボ亜科の魚は鰭が尾の端付近にしかない

ウツボの仲間は硬骨魚類の中でも鰭が退化的なのが特徴です。その中でも特に顕著なのはウナギ科、アナゴ科、ハモ科、ウミヘビ科の多くの種類には胸鰭があるのに対し、ウツボ科魚類は知られている限り胸鰭を欠くという点です(ただし近縁とされるヒレウツボ科は胸鰭がある)。

またウツボ科は2亜科に分けられ、キカイウツボ亜科(アミキカイウツボ属、キカイウツボ属、タカマユウツボ属など)は背鰭・臀鰭がいずれも尾端付近にあることにより、ほかのウツボの大多数が含まれるウツボ亜科の魚と区別できます。

ウツボの吻の先端には細長い鼻孔があります。とくにハナヒゲウツボの前鼻孔は著しく大きいのでほかの種類と簡単に見分けられますが、ほかのウツボも吻端に管状の鼻孔をもちこれでにおいをかぎ分けることができるようです。ウツボの仲間はどの魚も夜行性ですので、暗い海で餌を探すのに役立つのでしょう。

食と毒

ウツボのタタキ

▲ウツボのタタキ

ウツボは食用魚としてもよく知られています。主に千葉県、和歌山県、高知県などでは好んで食べられます。一方、日本海側ではウツボの仲間はほとんど見られないのであまり食されません。食べ方はタタキ、かば焼き、干物、唐揚げなどですが、いずれも極めて美味です。

ウツボの仲間を食するのに、通常は大型個体が好まれますが東京都青ヶ島では地元で「かんべぇめ」と呼称される小型のウツボ(種類は不明)を食する文化があります。琉球列島ではドクウツボなど大型種を食用にしていますが、このドクウツボやニセゴイシウツボなどの大型種はシガテラ毒をもつことがあるため注意が必要です。ウツボの仲間はサンゴ礁における食物連鎖ピラミッドでは上位にあり、毒を蓄積しやすいといえます。

大きさ

ウツボは小さいものでは全長20cmほど、大きいものになると全長3mに達するものがいます。小型種は標準的な60cm水槽での飼育も可能ですが、大型種は巨大水槽でないと飼育できません。また大きく成長すると気性が荒くなる種もおり、混泳が難しくなることもあります。もちろん、大きく成長したからといって海に逃がすようなことは、絶対にやめましょう。

ウツボの仲間の生息環境

琉球列島の海には多くの種のウツボが生息する

▲琉球列島の海には多くの種のウツボが生息する

ウツボの仲間が多く生息するのはサンゴ礁域です。とくに西太平洋のサンゴ礁域には全世界の半分近くの種類のウツボ(100種ほど)が生息しています。また、日本のウツボやトラウツボ、南西太平洋のイエローモレイ、地中海に生息するメディテラニアンモレイなど温帯域に生息する種や、水深100m以深に生息する種類も少ないながらも知られています。

なお、ウツボは基本的に海水魚ですが、種類によっては汽水域でも見られますし、中にはインドネシア産のフレッシュウォーターモレイ(学名Gymnothorax polyuranodon通称ヤマウツボ)のように淡水に生息する種類もいます。ここではこれ以降、海に生息するウツボの飼育方法を解説します。

ウツボの仲間に適した水槽

ウツボは大きく育ちますので水槽もそれなりのサイズが必要です。できれば90cm水槽を用意してあげるべきでしょう。しかしすべてのウツボに90cm以上の水槽が必要かといえばそうでもありません。クモウツボなど60cm水槽で長期飼育できる種類もいます。

ウツボの仲間の温度管理

ウツボの仲間のうち、一般的に観賞魚店で見られるような種(クモウツボ、ゼブラウツボ、ハナヒゲウツボ、ニセゴイシウツボ)はサンゴ礁域に生息するものが多いため、水温は25℃前後をキープします。

一方温帯性の種(ウツボ、トラウツボなど)や大西洋・東太平洋産の種(グリーンモレイ、チェインモレイ)などはやや低め23℃前後がよいかもしれません。このほかアミウツボやユリウツボといったやや深い場所に生息する種も低めの水温を好むようで、高水温には特に注意が必要です。

ウツボの仲間に適したろ過システム

ウツボ飼育水槽(上部ろ過槽を使用。ペットボトルは脱走防止の重石)

▲上部ろ過槽を使用している様子。上に乗っているペットボトルは脱走防止の重石

ウツボは生の餌をよく食べます。その結果水を汚しやすいですのでろ過システムについても考えなければなりません。海水魚のろ過システムは一般的に外掛けろ過槽、外部ろ過槽、上部ろ過槽、オーバーフロー水槽にしてサンプでろ過を行うシステムから選ぶことになりますが、ウツボ飼育に外掛けろ過槽はやめた方がよいでしょう。

コンパクトで設置しやすい外掛けろ過槽ですがろ過能力が不足しやすいことと、水槽上面に隙間ができてしまい、そこからウツボが脱走してしまう恐れがあるからです。

最適なろ過システムは上部ろ過槽と外部ろ過槽です。上部ろ過槽が手軽で安価、扱いやすく便利ですがポンプを置く部分などにどうしても隙間ができてしまいますので、アクリル板などを使用して隙間を埋めます。外部ろ過槽は水槽周りのレイアウトに自由がうまれ、他のろ過槽との併用がしやすいというメリットがありますが、酸欠に陥りやすいというデメリットがあります。

もし可能であればオーバーフロー水槽での飼育がよいでしょう。しかし、オーバーフロー水槽は高価であり、どのような家庭でも置くことができる、というものではありません。また、オーバーフローのフロー管やフローボックスの隙間からウツボが脱走するおそれもあるため、これらにフタをするなどの工夫が必要になります。

なお我が家ではジェックスのデュアルクリーンを使用しています。ポンプ室などウツボが脱走しやすい箇所についてはスポンジやアクリル板を使用して隙間埋めをしています。

ウツボの脱走対策

ウツボの脱走対策(上部ろ過槽の隙間や穴をふさぐ)

▲上部ろ過槽の隙間や穴をふさぐ

ウツボの仲間は小さな隙間からも脱走してしまうことがあり、脱走対策は必須です。上部ろ過槽を使用する場合は綿やアクリル板などで、細かい穴をふさいでおきます。

我が家では水槽のフタを開けられないよう、水を入れたペットボトルなどを重石としてガラス蓋の上に乗せています。

上部ろ過槽としてジェックスの「デュアルクリーン600SP」を使用していますが、このろ過槽はポンプ室に大きな隙間があったり、ろ過槽の水が落ちる部位の横に大きな穴が開いているので、この部分をふさぐための工夫が必要です。我が家ではポンプ室を綿で覆いかぶせたり、右側の穴をアクリル板でふさいだりしています。

“脱走にさえ”気をつければ多くのウツボは長期飼育可能です。病気にもかかることも少なく、飼育そのものの難易度が高いわけでもありません。種類によっては飼育下でも30年以上生きたりします。

ウツボの仲間の餌

クモウツボへの給餌

▲クモウツボへの給餌

ウツボの仲間の餌としては生の餌を与えるとよいでしょう。ウツボがタコを捕食するシーンがテレビなどメディアでよく流れることから「ウツボと言えばタコ」というイメージがありますが、魚の切り身イカなどもよく食べます。

また、クモウツボやゼブラウツボなどのように主に甲殻類を捕食する種類もいます。ただ、これらの種類もイカや魚の切り身も与えれば捕食しますし、空腹時はハゼなど細身の魚を捕食することがあります。また種類によっては大型魚用のペレットフードも捕食します。

ハナヒゲウツボなどの餌付きにくい種は慣れるまでグッピーやメダカを与えます。しかしこれらの淡水魚をウツボに与えるのは栄養面で適しているとはいい難く、早いうちにイカなどの餌に慣らしておきたいものです。

慣れると手からも餌を食べるのですが、ウツボの仲間は鋭い歯をもっている種類が多く、咬まれると大けがをすることもありますのでピンセットなどを使用するのが安心です。

拒食対策

ウツボが何らかの理由で餌を食べなくなることがあります。

原因は水質の悪化、水温の極度な低下、逆に水温の極度な上昇などがあげられます。餌を全く食べなくてもひと月ほど生きていることもありますが、当然ながらそれはベストな状態ではありません。早急にこれらの要因を改善する必要があります。

水替え、ヒーターやクーラーのチェック、ろ過の見直しなどを行いましょう。またウツボに限らず魚を中心に飼育した水槽ではpHが低下しやすい傾向がありますので、バッファー剤などを用いてpH 8.1~8.3あたりまで上昇させるようにします。

ウツボの隠れ家

ウツボの隠れ家

▲パイプなどの隠れ家を入れてあげるとよい

ウツボが落ち着けるような隠れ家を入れることも、ウツボ飼育において重要なことです。

ライブロックを入れるのもよいですが、ウツボの力により崩されてしまうことがあり注意が必要です。それにより、他の魚が潰されてしまったりするおそれもあります。塩ビパイプは安心ですが、やや人工的な感じになってしまいます。塩ビパイプを入れておくと、複数のウツボが同じ塩ビパイプから顔を出している…なんてこともあります(それはそれでかわいい)。

ウツボ同士の混泳

ウツボ同士を混泳するときは、①十分に隠れ家を用意すること、②あまりに大きさが違う個体を混泳させないこと、③できるだけ広い水槽で飼育することがあげられます。

比較的おとなしいクモウツボやゼブラウツボ、サビウツボなどが混泳向きといえます。一方ニセゴイシウツボ、グリーンモレイなどのウツボは大型でかなり気が強くほかのウツボを殺してしまうこともあり注意が必要です。これらの魚は単独で飼育するのが安心でしょう。逆に、ハナヒゲウツボのようなややデリケートな種もほかのウツボとの混泳させるのには適していません。単独での飼育が理想といえます。

ウツボと他の魚との混泳

ウツボの種類によっては他の魚との混泳も可能です。飼育しやすく模様も美しいクモウツボなどは性格がおとなしめで、他の魚との混泳もできます。ただし大きめの水槽で飼育することが重要です。また、先述したようにウツボは岩組を崩す恐れがあるので、他の魚が潰されないように十分注意しなければなりません。

サンゴとの飼育

クモウツボとソフトコーラルの一種タチイワスナギンチャク

▲クモウツボとソフトコーラルの一種タチイワスナギンチャク

ウツボはサンゴに悪さをするわけではありません。しかしサンゴとの飼育は難しいといえます。理由はその「食性」です。ウツボは生の餌を好んで食べるため、水を汚してしまいやすいです。そのため水質の汚れを嫌うサンゴの仲間との飼育は難しいといえます。

もうひとつ、ウツボは夜間に活発に泳ぎ回り、餌を探すために岩を動かしてしまうことがあります。サンゴは専用の接着剤を用いてライブロックやサンゴ岩などの土台に接着させておくのは当然ですが、この土台を動かしてしまうことがありますので、そうなっては対処のしようがありません。

無脊椎動物との飼育

クリーナーシュリンプのアカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)

▲クリーナーシュリンプのアカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)

小型のエビやカニなどはウツボに捕食されてしまうおそれがあるのでやめたほうがよいでしょう。スカンクシュリンプなど、クリーナーシュリンプとの飼育は可能ですが、食べられることはない、とはいい切れません。

ウツボカタログ

ウツボ科の魚は世界中でおよそ200種が知られています。その中でも観賞魚として人気があるウツボをいくつかピックアップしてみました。

クモウツボ

クモウツボ

▲アクアリストにはもっともお馴染みの種

クモウツボはアラシウツボ属のウツボです。ウツボ科としてはやや小型であり、性格も(ウツボとしては)温和な性格をしています。歯の形状は雌雄によって異なり、雌の歯は鈍いですが雄の歯は鋭く縁に鋸歯を持つようになります。浅いサンゴ礁や熱帯域の潮溜まりに生息する普通種でよく販売されているため入手しやすいウツボといえます。飼育も容易で初めてウツボを飼育するなら本種がよいでしょう。

クモウツボ飼育の詳細については、こちらもご覧ください。

ゼブラウツボ

ゼブラウツボ

体が黒く、体側には細い横帯が多数入るのが特徴です。和名、学名、英語名ゼブラモレイはここから来ています。歯は大部分が臼歯状で魚類よりは甲殻類を主に食べているようです。体はかなり細長く、全長1mを超えるほどになるため、クモウツボよりは大きな水槽が必要になります。ウツボ亜科の種とされていますが、背鰭は低いためキカイウツボ亜科のようにも見えます。

ウツボ

▲日本国民にはもっともお馴染みのウツボ

標準和名でウツボといえば本種のことを指します。「ウツボ」という単語はウツボ科魚類の総称としても使用されることがあり注意が必要です。関東から九州までの太平洋岸までに広く生息しますが、沖縄では慶良間諸島でごくまれにみられる程度で温帯性の種といえます。そのため、高水温には注意した方がよいかもしれません。

学名の種小名kidakoは本種の地方名に由来。神奈川県三崎で「きだこ」と呼ばれたことに由来するとされますが、九州でも「きだか」と呼びます。また東京では「なまだ」とも呼ばれます。本州から九州の太平洋岸において食用とされるウツボはほぼすべて本種といってよいでしょう。

サビウツボ

▲サンゴ礁に生息する普通種

眼は白っぽく、頭部が紫色という可愛いウツボです。全長50cmほどになります。比較的流通量は多い種で、ウツボに強い観賞魚店であれば容易に入手できるでしょう。伊豆諸島・三重県以南の太平洋岸に生息する種類で、紀伊半島や四国などでは磯で採集できるかもしれません。この写真の個体も高知県で採集された個体です。

紅海や西インド洋には本種によく似たジオメトリックモレイというのが分布していますが、これは頭部の孔に沿うように黒い斑紋があることから本種と区別できます。また本種やアセウツボなどいくつかの種はSiderea属とされていたこともありました。

飼育方法はこちらをご覧くださいませ。

ニセゴイシウツボ

ニセゴイシウツボの若魚

▲ニセゴイシウツボの若魚

全長1.8mに達することもある大形のウツボです。白っぽい地色に黒い斑点が散らばる美しい種類です。性格は荒いのでほかのウツボとの混泳は注意が必要です。インド洋にはよく似たインディアンモレイ(Fishbase名ではレースモレイ、従来はニセゴイシウツボと同種とされた)が分布しており、色彩が美しいので人気があります。食用になりますがシガテラ毒をもつおそれがあるため注意が必要です。

ワカウツボ

ワカウツボ

▲ワカウツボ

体には網目模様や小さな斑点が散らばるなど色彩や斑紋にバリエーションが豊富な、全長60cmほどの中型のウツボです。近縁種であるハナビラウツボと似ている個体もおり、学名には混乱が見られますが口の中はハナビラウツボと異なり真っ白ではないことなどで区別できます。千葉県館山湾以南の日本、インド-太平洋域、東部太平洋に生息し、ウツボの仲間でもかなり分布は広いですがやや局所的で、温帯から亜熱帯域に多い感じです。そのため高水温には注意した方がよいでしょう。

トラウツボ

▲トラウツボ

英語ではドラゴンモレイ、レパードモレイと呼ばれる格好いい種です。顎が湾曲しており、口を完全に閉じることができないため、常に口から鋭い歯を覗かせています。インド-太平洋に広く分布する種で、日本においては近海産の個体が観賞魚店で販売されていることもあります。また、千葉県以南の磯で採集することもできます。大きいものでは全長1m近くになり、大型水槽を必要とします。ウツボと違いあまり食用魚としては人気がありません。

ハナヒゲウツボ

ハナヒゲウツボ

▲ハナヒゲウツボ(Pixta)

鼻孔が非常に大きくラッパのような形状をしているウツボです。英語ではリボンモレイ、もしくはリボンイールと呼ばれ、その名の通りリボンのように細長いのが特徴です。和名の由来はその吻の先端の鼻孔の形状によるものでしょう。性転換をすることが知られており、黒→青→黄色と変化します。

美しい色彩のため人気は高いのですがウツボの仲間としてはややデリケートな種類のため飼育は難しく、上級者向けのウツボとされます。また全長1mを超える大きさに育つので、大型水槽が必要になります。

ウツボと間違えられやすい魚

モヨウモンガラドオシ

モヨウモンガラドオシ

▲昔ゴイシウミヘビと呼ばれていたタイプ

モヨウモンガラドオシの尾の先端には鰭がない

▲尾の先端には鰭がない

ウナギ目・ウミヘビ科の魚です。写真のタイプの魚はかつて「ゴイシウミヘビ」(別名アキウミヘビ)とされていましたが、現在ゴイシウミヘビはモヨウモンガラドオシと同種であることが分かり、標準和名はひとつの魚種につき、原則ひとつしか与えられませんので、ゴイシウミヘビの名称は消えてしまいました。体側には黒い斑点がありますがこの斑点には個体差があるようです。

ウミヘビ科の魚類は尾の先端付近に鰭がないのが特徴です(ただし、ウミヘビ科であってもニンギョウアナゴ亜科の魚のように尾鰭がある種もいます)。また胸鰭を有する種が多く、本種も小さいですが胸鰭を有しており、ウツボの仲間と区別できます。この科の魚はほかにシマウミヘビやソラウミヘビなども観賞魚として輸入されています。歯は鋭いですが爬虫類のウミヘビと異なり毒はありません。

ダイナンギンポ

ダイナンギンポ

▲ダイナンギンポ(死後時間が経った個体)

ダイナンギンポ腹面。胸鰭と網目状の側線をもつことがウツボと異なる

▲腹面。胸鰭と網目状の側線をもつことがウツボと異なる

北海道~九州までの磯でよく見られる魚です。スズキ目ゲンゲ亜目・タウエガジ科の魚で、同じように「ギンポ」と名前についている、カエルウオなどの含まれるイソギンポ科などとは縁遠い魚です。ほかのニシキギンポの仲間やタウエガジの仲間と比べて長くて太い体つきで、個体によっては生時、黄色っぽいまだら模様も入るためウツボの仲間と間違えられやすいのですが、腹部に側線が網目のように走ることや、胸鰭があることなどでウツボとは簡単に見分けられます。

ダイナンギンポは飼育自体は難しくはないのですが、温帯性の魚で高水温を嫌うのでクマノミなど熱帯性の魚との飼育には向きません。

ウツボ飼育まとめ

  • 海のギャングとされるが実際には臆病。ただし歯が鋭く取り扱い注意
  • 基本的には海水魚だが、淡水域にすむ種類も
  • 大きく育つので水槽も大きいものが必要
  • オーバーフローや上部ろ過槽がおすすめ
  • 脱走対策は必須。ろ過槽の小さな隙間もふさぐこと
  • フタにもペットボトルを乗せて脱走を防ぐこと
  • 種類によって好む水温が違うので注意
  • 餌はイカや魚の切り身などを与える
  • 水質悪化や水温の急変で拒食におちいることも
  • 初心者にはクモウツボなどがおすすめ
  • モヨウモンガラドオシはウツボの仲間ではない
  • ダイナンギンポもウツボと間違えられることがある

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