ラボックスラスの飼育方法~雌雄の違いとサンゴとの相性

ラボックスラスはイトヒキベラの仲間としては安価で丈夫、しかも小型種で60cm水槽でも寿命・長期飼育が可能であるなど初心者にもおすすめのベラといえます。

ラボックスラスを経験しイトヒキベラの飼育について学ぶのもよいでしょう。

標準和名 なし
学名 Cirrhilabrus lubbocki Randall and Carpenter, 1980
英名 Lubbock’s wrasse
分類 スズキ目・ベラ亜目・ベラ科・イトヒキベラ属
全長 7cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッド
添加剤 アクアギークバイオビタミン
温度 24~26度
水槽 60cm以上
混泳 同種の雄同士、気が強い魚とは注意が必要
サンゴ飼育

ラボックスラスってどんな魚?

ラボックスラスはベラ科のイトヒキベラ属の魚です。イトヒキベラの仲間の雄は腹鰭や尾鰭がよく伸長するのですが、このラボックスラスは雌雄ともに鰭が長く伸びません。同じように鰭が長く伸びないイエローフィンフェアリーラスや、アドーンズフェアリーラス、ワリンディフェアリーラスなどと近縁とされています。

そして一般的に「ラボックスラス」と呼ばれているものでも、二つのタイプがあります。雄の体色は青色や赤紫色ですが、側線に沿う黒色の斑紋の列があるものと、ないものがあります。日本にはどちらのタイプも輸入されており、飼育方法も同様と思われます。

日本では沖縄で採集されておりますが、標準和名はいまだについていません。また和歌山県では雄の個体が撮影されています。和歌山で撮影されたものは、側線の鱗に黒色斑が出るタイプです。

名前の由来は英名・学名ともに人名由来で、魚類学者Roger Lubbockに因みます。彼は1981年に若くして亡くなってしまいますが、クジャクベラなどさまざまな魚種を新種記載しました。

ラボックスラスの雌雄の違い

イエローフィンフェアリーラスの雄。雄の色彩はラボックスラスの雄と大きく異なるが…。

雄の体色は上記のとおりですが、雌や幼魚の体は赤みを帯び腹部が白くなっており、尾鰭の基部付近に黒い点があります。しかしこれらの特徴は近縁種であるイエローフィンフェアリーラスやアドーンドフェアリーラス、ワリンディフェアリーラスにも共通した特徴であり、ラボックスラスの雌はこれらの魚種の雌との区別は難しいといえます。

初心者向けのイトヒキベラ

イトヒキベラ属はインド-中央太平洋域に50種以上が知られており、500種以上が知られているベラの仲間でもホンベラ属に次いで大きなグループです。イトヒキベラの仲間は基本的にどの種も丈夫で飼育しやすいのですが、その中には大型水槽が必要だったり、深場にすむため高水温に弱い種類もおります。

このラボックスラスは比較的浅場にすむため高水温にも強く、初心者の方が使うことの多い60cm水槽でも終生飼育ができるためおすすめといえます。またイトヒキベラの仲間でも安価な値段で購入できるため、その意味でもチャレンジしやすい種です。

ラボックスラスに適した飼育環境

水槽

90cmサンゴ水槽で遊泳するラボックスラス

ラボックスラスはイトヒキベラの仲間としては比較的小型の種ですので45cm水槽でも飼育可能ですが、できれば60cm以上の水槽で飼育してあげたいものです。ほかのイトヒキベラの仲間と組み合わせるのであれば120cm以上の水槽で飼育するのが望ましいと言えます。またイトヒキベラは全般的に遊泳性が強い魚が多いので、大型水槽での飼育が推奨されます。

ろ過槽

硝酸塩の蓄積には強い魚ですがなるべく綺麗な水で飼育してあげたいものです。上部ろ過、上部ろ過と外部ろ過の併用がよいでしょう。オーバーフロー水槽にして、サンプでろ過する方式であれば、安定した状態で飼育できます。もちろんベルリンシステムなどのサンゴ水槽での飼育にも向いています。

水温

水深20m前後に多く生息しているようですが、25℃で飼育しても問題ありません。ただし水温が安定していることが重要です。

隠れ家

▲ライブロックの隙間に眠るラボックスラス

イトヒキベラの仲間は夜間は砂の中に潜って寝ることはありません。岩やサンゴの隙間で眠りますのでサンゴ岩やライブロックを用いて、ラボックスラスの寝床を作ってあげるようにします。

フタ

ラボックスラスは他のイトヒキベラと争ったり、他の強い魚に追われているときなど飛び跳ねて水槽外に出てしまうことがあります。そうなると死んでしまい、干物になった状態で対面することになってしまうおそれがありますので、フタはかならずしておきましょう。

ラボックスラスに適した餌

ラボックスラスの餌は海水魚用の配合飼料をメインに与えます。キョーリンの「メガバイト」シリーズであればレッドのSサイズが一番適しているといえます。よほど状態が悪い個体でない限り、すぐに餌を食べてくれるはずです。

自然下では動物プランクトンを主食にしているラボックスラスですが、与えすぎは水質の悪化につながるおそれがあるため、冷凍プランクトンフードをメインに与えるのはおすすめしません。おやつくらいに与えるのがちょうどよいでしょう。またビタミンやアミノ酸を餌に添加したり、ヨウ素を飼育水に添加するのもよいでしょう。

おすすめの餌

ビタミン剤

ラボックスラスの入手時の注意点

ラボックスラスの入荷量は少なくなく、入手は容易と言えます。病気にはかかりにくいですが、ひれがぼろぼろに切れていたり、溶けていたりするものは避けるようにします。

変な泳ぎ方をしているものもNGです。海水魚店で長期在庫され、よく餌を食べる個体を購入するのがよいでしょう。

ラボックスラスの病気対策

ラボックスラスはとても丈夫な魚ですのであまり病気の心配はしなくてもよいでしょう。しかし体表に甲殻類系の寄生虫が付着することがあります。そのようなときはクリーナーシュリンプに寄生虫をとってもらうようにします。

ラボックスラスの混泳

ラボックスラスは協調性があり、他の多くの魚と混泳を楽しむことができますが、おすすめできない組み合わせもあります。特に同種の雄同士では争いますので、他魚種と飼育をするようにします。

ラボックスラスと他の魚との混泳

▲モンガラカワハギなどの肉食魚には要注意

ラボックスラスは丈夫で比較的温和なベラの仲間で、ほかの魚との飼育も楽しむことができます。ただし、大型のスズメダイやメギスなどとの混泳は向いていません。カエルアンコウ、ウツボ、ハタ類など肉食性が強い魚には捕食される危険もありますので混泳させてはいけません。

イトヒキベラの仲間は雄同士で争うので雄同士の混泳は難しいです。ほかのイトヒキベラの仲間との混泳は不可能ではありませんが、できるだけ大きな水槽で、それぞれの個体が縄張りを持てるようにします。このほかシルエットがよく似ている小型のキツネベラ類やニセモチノウオなどの魚と争うこともあります。キュウセンの類は、小型の種であれば混泳は可能です。

我が家の水槽ではカクレクマノミやヒフキアイゴ、遊泳性ハゼ、共生ハゼと混泳をしています。

ラボックスラスとサンゴ・無脊椎動物との相性

▲ウミアザミの陰に隠れているラボックスラス

ラボックスラスはサンゴには無害ですので、SPS、LPS、ソフトコーラル問わず、あらゆるサンゴ水槽で泳がせられますが、生息場所を考えると深場系のSPSやLPSとの飼育がよく似合うかもしれません。

ベラの仲間ですが主食は動物プランクトンなので甲殻類との飼育も可能です。スカンクシュリンプ、サロンシュリンプ、サラサエビ、サンゴヤドカリの仲間、ベニワモンヤドカリなどとは一緒に飼育することができますが、グラスシュリンプなどはラボックスラスにつつかれることもあります。またオトヒメエビやイセエビの仲間は逆にラボックスラスを襲うことがありますのでやめたほうがよいでしょう。

ラボックスラスの飼育まとめ

  • 丈夫で飼いやすく、高水温にも強い。イトヒキベラの仲間を初めて飼育するなら本種
  • 雄の色彩には2タイプあり
  • 雌の色彩は近縁種の雌とよく似ており同定は難しい
  • 45cm水槽でも飼育可能だが、できれば60cm水槽が欲しい
  • 水温25℃でもよいが、安定していることが重要
  • フタをしないと飛び出して死ぬことも
  • 夜間は岩の隙間などで眠る
  • 餌は配合飼料
  • 鰭がぼろぼろ、鰭が溶けている、変な泳ぎ方のものは選ばない
  • 状態がいいものを購入すれば病気にはなりにくい
  • 温和なベラで多くの魚と混泳可能。ただし強すぎる魚や肉食魚はNG
  • 甲殻類との混泳も可能。ただし極小のグラスシュリンプなどはダメ
  • サンゴには無害

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