クツワハゼの飼育方法~磯でみられるかわいいハゼだが混泳は注意

クツワハゼは富山湾以南の日本海岸、千葉県以南の太平洋岸に広く分布するハゼの仲間です。体側に多数の赤い点があったり、鰓蓋に青く輝く斑点があったり、眼の後方から伸びる縦線があるなど美しい色彩のハゼで、丈夫で飼育も容易ではありますが、やや大きくなり性格もきつく動物食性も強いため小魚との混泳が難しいところがあり注意が必要です。今回はクツワハゼの飼育方法をご紹介します。

標準和名 クツワハゼ
学名 Istigobius campbelli (Jordan and Snyder, 1901)
英名 Campbel’s goby
分類 条鰭綱・スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ハゼ亜科・クツワハゼ属
全長 10cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッドなど
温度 25℃
水槽 60cm~
混泳 肉食性が強く小魚とは飼えない。クツワハゼを捕食するような魚とも飼育不可
サンゴとの飼育 多くのサンゴと組み合わせられるが、捕食性のものはだめ

クツワハゼって、どんなハゼ?

クツワハゼは全長10cmほどになるハゼ科・クツワハゼ属のハゼの一種です。特徴としては頭部、眼後方から伸びる赤黒い縦線があること、体側に赤い斑点が多数あること、鰓蓋に輝く青い斑点があることなどがあげられ、よく見れば派手できれいなハゼといえます。眼の下にも大きなX字のような模様がありますが、これは明瞭になったり不明瞭になったりします。分布域は国内では広く、山形県、富山湾以南の日本海岸、千葉県以南の太平洋岸、琉球列島、小笠原諸島父島に分布していますが、海外では朝鮮半島、台湾、中国沿岸に見られる程度で、アジアの大陸棚の魚といえるでしょう。

クツワハゼ属の仲間たち

▲ホシカザリハゼの小型個体

クツワハゼ属の魚はインド―太平洋に10種が知られ、そのうち日本にはクツワハゼのほか、ホシノハゼ、カザリハゼ、オキカザリハゼ、ホシカザリハゼ、マダラカザリハゼ、ヒメカザリハゼが知られています。いずれにせよ観賞魚として出回ることはほとんどなく、沖縄便に強い海水魚店で探すか、採集して飼育するしかありません。これらの種は若干クツワハゼと性格が若干違うようにも思いますので、また別にご紹介していきたいとおもいます。

クツワハゼに適した飼育環境

水槽

クツワハゼは10cmに達し、ハゼ科としてはやや大型の部類です。できるだけ60cm以上の水槽で飼育するようにしたいものです。混泳する魚の種類によってはより大きな水槽が必要になることもあります。

水質とろ過システム

クツワハゼは比較的硝酸塩の蓄積には強いのですが、しっかりろ過された環境で飼育したいものです。外部ろ過槽や外掛けろ過槽ではろ過能力が低いので、60cm以上の水槽では上部ろ過槽で飼育するようにします。もちろんオーバーフロー水槽が用意できるのであれば、オーバーフロー水槽が最適です。サンゴには無害ですので、小型のものはベルリンシステムに代表されるサンゴ水槽に入れることもできます。ハマサンゴなど内湾性の地味なサンゴが似合うでしょう。ただし、サンゴ水槽では魚は多く入れられませんので注意が必要です。とくにベルリン水槽では魚を多く入れると水質の低下につながりやすいので注意が必要です。

水温

温帯に多いのですが比較的高水温に強く25℃でも飼育できます。ただし水温が高くなりすぎると弱りやすいので注意が必要です。もちろん水質も変動しないようにヒーターとクーラーを使用して水温を一定に保つ必要があります。クツワハゼは丈夫で、病気にはなりにくいのですが、それでも水温の変動が大きすぎると病気になってしまいやすいからです。

飾りサンゴ

クツワハゼは海の中では岩やサンゴの下などに隠れています。水槽でも飾りサンゴやライブロックなどを組み合わせて落ち着けるような場所を作ってあげましょう。写真は魚水槽で飼育していた時のもので、底砂を敷いていませんが、砂は敷いても敷かなくても問題ありません。混泳するほかの魚に合わせましょう。チョウチョウウオであれば砂を敷かないほうがよく、ホンベラ属などのベラと飼育するならば細かいサンゴ砂を敷いてあげます。

フタ

底生のハゼは意外と水槽から飛び出してしまうこともあります。しっかりとガラスフタをして飛び出しを防ぐようにしましょう。

クツワハゼに適した餌

クツワハゼは動物食性が強く、底生の甲殻類やゴカイ類、多毛類などを捕食しています。しかし飼育下では配合飼料をすぐに食べてくれるため、そのような餌は与えなくても大丈夫です。おすすめは粒状の餌で、「メガバイト レッド」や「シグマグロウ」などを与えますが、粒のサイズは飼育しているクツワハゼのサイズに合わせて調整しましょう。幼魚であればSサイズ、やや大きめの個体はMサイズがおすすめです。

クツワハゼをお迎えする

クツワハゼは先述の通り海水魚店で売られていることはほとんどありませんが、本州から九州の沿岸にも見られ、近海魚に強いお店で販売されていることもたまにあります。そのような個体を購入するときは、鰭がボロボロのもの(とくに赤くただれているものはだめ)、体表に大きな傷やただれがあるもの、鰭や体表に白い点がついているもの、眼が濁っているもの、口に傷があるものなどは避けましょう。また入荷直後の個体もできるだけ避けなければなりません。

一方クツワハゼは磯で採集することもできます。浅い磯ややや大きめの潮だまりで出会えます。二つの網を使い、網をセットしておき、もう片方の網に追い込むようにすればうまく採集できるでしょう。また防波堤から釣れることもあり、写真の個体も釣りにより採集したものです。なお太平洋岸に多く、日本海岸には少ない印象です。太平洋岸では広く見られ、筆者は房総、高知、宮崎で確認しています。

クツワハゼとほかの生物との関係

ほかの魚との混泳

▲クツワハゼと小魚の混泳では小魚はだんだん減っていく

クツワハゼはやや大きくなるハゼです。そのため小さな魚とは飼育しにくいところがあります。ほかの魚との混泳は可能ですが、おとなしめのスズメダイや中型のハナダイ、ヤッコなどが無難でしょう。写真の背景にはボラの幼魚がうつっていますが、襲われて食べられてしまいました。そのため小型魚との飼育はNGといえそうです。一方逆に肉食性が強い魚、たとえばハタの仲間やカサゴの仲間などには逆に捕食されることもあるので注意が必要です。このほか性格強めのスズメダイ類やメギスの仲間などはクツワハゼをいじめることがあり、混泳は要注意です。

サンゴ・無脊椎動物との相性

▲小型のヤドカリなどが混泳相手に望ましい

先述のようにクツワハゼはサンゴ水槽でも飼育することができます。ただし、捕食性の強いイソギンチャクなどとの飼育はできません。ハゼなどはイソギンチャクに食べられやすいところがあるからです。

サンゴ以外の無脊椎動物との関係では、甲殻類との関係に注意が必要です。イセエビなどの大型のエビ、大型のカニ、大型のヤドカリに捕食されやすいところがあり、逆に小さな甲殻類は捕食されてしまうおそれがあります。小型のサンゴヤドカリやベニワモンヤドカリ、クリーナーシュリンプとしてもよく知られているアカシマシラヒゲエビなどが無難でしょう。オトヒメエビも大型魚のクリーナーとしても知られているのですが、大きなハサミをもち、ハゼの仲間など動きの遅い魚を捕食してしまうおそれがあり、混泳には向いていないところがあります。

クツワハゼ飼育まとめ

  • 美しい色彩だがやや大きくなる
  • 丈夫で飼育しやすい
  • 近縁種にカザリハゼやホシカザリハゼなどがいる
  • 60cm以上の水槽が欲しい
  • 上部ろ過槽やオーバーフロー水槽が最適
  • 25℃前後の水温で飼育可能
  • 動物食性が強いが配合飼料もよく食べる
  • 販売されていることは少なく採集するのが一般的
  • 小魚などは食べてしまうことがあるので注意
  • サンゴには無害だがイソギンチャクなどに捕食されることも
  • 甲殻類との関係は要注意

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