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2019.07.24 (公開 2019.05.30) 海水魚図鑑

ギンガハゼの飼育方法~やや大きくなりやすい!他の共生ハゼとの混泳は避ける

ギンガハゼはイトヒキハゼ属の共生ハゼで、全身に青白い小斑点が散らばっているのが特徴です。色彩は黄色と灰色のものがあり、アクアリウムの世界では当然ながら黄色い方が人気があります。共生ハゼとしてはやや大きく全長10cmほどになり、性格も共生ハゼの中では強めですので、小型の魚との混泳には向いていないところがありますが、クマノミの仲間などとの混泳も楽しむことができます。

標準和名 ギンガハゼ
学名 Cryptocentrus cinctus (Herre, 1936)
英名 Yellow prawn-gobyなど
分類 条鰭綱・スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・イトヒキハゼ属
全長 10cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッドなど
温度 25℃
水槽 45cm~
混泳 やや気が強くほかの共生ハゼとの飼育は要注意
サンゴとの飼育 テッポウエビがサンゴをひっくり返すこともあり。イソギンチャクなどとの飼育も不可

ギンガハゼってどんなハゼ?

ギンガハゼ

▲ギンガハゼ

ギンガハゼは、ハゼ科イトヒキハゼ属のハゼの仲間です。イトヒキハゼ属のハゼは地味な色彩のものが多く、ほかの共生ハゼと異なりあまり販売されていませんが、本種はその中ではよく流通している種といえます。この属の中にはほかの共生ハゼよりも大きめのものが多く、本種も全長10cmほどになります。

色彩と斑紋

ギンガハゼには体が灰色なものと、黄色いものがあります。当然ながら観賞魚の世界では鮮やかな黄色のものの方が人気があります。体が黄色のものは「コガネハゼ」という別種とされていたこともありましたが、現在ではカラーバリエーションとされています。灰色のものも黄色いものも頭部や体側に水色の小さな斑点があり、これが和名の由来になったと思われます。灰色のものには体側に太い黒色帯も入ることが多いようです。

英語ではYellow prawn gobyと呼ばれています。黄色い体の、エビと共生するハゼという意味です。

よく似ているハゼ

▲ギンガハゼに酷似するウォッチマンゴビー

イトヒキハゼ属の中にはフタホシタカノハハゼという種も知られています。この種も同様に全身が黄色になり、とくに海外のサイトなどではギンガハゼと混同されることがあります。しかし、腹鰭に青色の横線が数本入ること、背鰭の模様がやや異なることなどから見分けられます。フタホシタカノハハゼという名前の由来は、頬に2つの黒色斑があることに因みますが、黄色個体ではこの特徴が出ないことも多いため、注意が必要です。このほかにムラサメハゼやCryptocentrus epakros、ウォッチマンゴビーと総称されるハゼも黄変個体が出たりしますが、中には飼育しているうちに、ノーマルカラーに戻ってしまうようなものもいます。

また、イトヒキハゼの仲間に近縁とされるハゴロモハゼ属のクロオビハゼも黄変個体が知られており、このような個体はヒメコガネハゼと呼ばれていました。クロオビハゼは灰色っぽい体に黒い縦線が入りますが、ヒメコガネハゼは黄色い体に黒い縦線があります(ただしこの縦線が消えている個体も多い)。なお、ギンガハゼが含まれるイトヒキハゼ属の和名の由来となっているイトヒキハゼはハゴロモハゼ属に含まれるべきともされていますが、イトヒキハゼ属やハゴロモハゼ属については今後再検討がなされるべきとされています。

共生関係

▲ギンガハゼとニシキテッポウエビ

サンゴ礁域の砂底でホリモンツキテッポウエビなどのテッポウエビと共生しています。このエビはあまり入荷しませんが、飼育ではニシキテッポウエビやコシジロテッポウエビなどと共生させて問題はありません。ランドールズピストルシュリンプことコトブキテッポウエビはギンガハゼのサイズによっては襲われてしまうこともありますので注意が必要です。

ギンガハゼ飼育に適した環境

水槽

ギンガハゼは小型水槽で飼育することができます。しかしあまりにも小さすぎると水質が急変しやすいなど、初心者には難しいこともありますので、45cm以上が理想的です。理想は60cm水槽です。

水質とろ過システム

小型水槽であれば外掛けろ過槽、45cmの水槽であれば外掛けろ過槽と外部ろ過槽の組み合わせがよいでしょう。外掛けろ過槽を海道河童に変更してもよいですが、外掛けろ過槽を使用すると上部に隙間ができることがあり、飛び出してしまうこともありますので、隙間埋めをしておくとよいでしょう。60cm水槽では上部ろ過槽も選択肢になるため、さらに飼いやすくなります。

ギンガハゼはサンゴにいたずらしないため、ベルリンシステムでの飼育もできますが、砂をまき散らしたり岩組を動かしたりするおそれのあるテッポウエビとサンゴの飼育は要注意です。とくにギンガハゼと共生するニシキテッポウエビは若干大きめになりサンゴをひっくり返すこともあるようで注意しましょう。

水温

水温は原則25℃をキープします。ギンガハゼはたいへんに丈夫で、病気にもかかりにくいといえます。しかし、水温の変動が大きいと病気にかかってしまうこともありますので、水温は常に一定に保つようにしなければなりません。

底砂と隠れ家

テッポウエビが巣穴を作れるように砂を入れてあげましょう。砂のサイズはパウダーでもやや粗めのものでもよいのですが、パウダー状の砂をメインにしているときは小さな粗いサンゴ砂を入れておくとテッポウエビが巣をつくりやすくなりますので、おすすめです。

テッポウエビを飼育せず、ほかの魚と一緒の水槽で飼育するのであれば、隠れ家が必要になります。塩ビパイプなどでもよいのですが味気ないのがイヤというのであれば、「ハゼ土管」などのアイテムを使用するのもよいでしょう。

フタ

共生ハゼの仲間は意外と飛び出し事故が多い魚ですので、フタはしっかりしておきましょう。できれば小さな隙間も塞いでおくようにしたいものです。

ギンガハゼに適した餌

ギンガハゼは海中では底生小動物や流れてくるプランクトンなどを捕食しています。状態がまともであれば最初から人工飼料を食べてくれるため問題はなさそうです。どうしても食べない時は大きめのホワイトシュリンプなどの冷凍餌を与えるとよいですが、このような餌は水を汚すため、与えすぎに注意します。

ギンガハゼをお迎えする

ギンガハゼは日本国内では八重山諸島などに生息していますが、数は多くなく採集が難しいため、購入するのが一般的です。ギンガハゼには灰色のものと黄色のものがいますが、地味な灰色をした個体の方が安価です。ただし、流通するのは黄色い方の個体であることが多く、黄色い方の個体が購入しやすいといえます。

西太平洋に生息するほかの多くの海水魚と同様にフィリピンやインドネシアなどから輸入されます。着状態は不安定なことも多いため、入荷してすぐの個体も避けた方がよいでしょう。少なくとも1週間ほど水槽で飼育され、よく餌を食べて太っている個体がおすすめです。

そのほか購入の際に注意すべきことはほかの共生ハゼと同様で、鰭や体表に白い点や傷、赤いただれがあるものや鰭がぼろぼろのものも選んではいけません。このほか痩せて背肉が落ちているものやなども避けた方が無難でしょう。

ギンガハゼの混泳

ほかの共生ハゼとの混泳

ヒレナガネジリンボウ

▲ヒレナガネジリンボウなどの小型種は注意

性格はややきつめなので、小型水槽ではほかの共生ハゼとの飼育はさけたほうがよいでしょう。またサイズ的にもやや大きくなるため、小型の共生ハゼを駆逐してしまうこともあるのでやめた方が無難です。

共生ハゼ以外の魚との混泳

共生ハゼ以外の魚との飼育は比較的容易ですが、ルリスズメダイ、ミスジリュウキュウスズメダイなどのスズメダイや大型ヤッコ、メギス(ニセスズメ、ドティバック)などの性格がきつめの魚はやめましょう。もちろんハタや大型バスレット、カサゴなどの肉食性が強い魚とは組み合わせられません。ベラの仲間もテッポウエビを捕食することがあるので注意します(イトヒキベラやクジャクベラなどとの飼育は問題なし)。逆にギンガハゼの口に入るサイズの魚も混泳不可です。ギンガハゼのサイズに合わせて混泳相手を選びましょう。

サンゴ・無脊椎動物との相性

ギンガハゼはサンゴに悪戯をせず、熱帯性のサンゴであればほとんどのサンゴと組み合わせられますが、大型のディスクコーラルやイソギンチャクには食べられてしまうおそれもあり、一緒に飼育するのには向いていません。ただしマメスナギンチャクや小型のディスクコーラルについては問題ありません。ただしテッポウエビは砂を掘り巣穴を作る際に岩を動かしサンゴを落下させることもあるので、サンゴはしっかり接着させておくようにします。

テッポウエビ以外の甲殻類については、大型のカニ、大型のヤドカリ、イセエビやリーフロブスターなど肉食性が強い甲殻類との飼育は避けます。小型のアカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)やシロボシアカモエビ(ホワイトソックス)などクリーナーシュリンプは問題ありませんが、オトヒメエビは強いハサミで小魚を襲うことがあり、一緒にしない方がよいでしょう。サラサエビ系やサンゴヤドカリ、ヨコバサミの類、ベニワモンヤドカリ、コケ取り貝、マガキガイなどの無脊椎動物は問題ありません。

ギンガハゼ飼育まとめ

  • 全長10cmになるやや大きめの共生ハゼ
  • 黄色または灰色の体に青白い斑点が入る美しい種
  • コシジロテッポウエビやニシキテッポウエビなどやや大きめのテッポウエビと共生させる
  • 45cm以上の水槽で飼育したい
  • 外掛けろ過槽と外部ろ過槽の併用がおすすめ。60cm以上なら上部ろ過槽が最適
  • 水温は25℃をキープする
  • テッポウエビが巣を作れるように砂を敷く
  • すぐ配合飼料を食べてくれることが多い
  • 鰭や体表に傷、ただれ、白点があるものは購入しないようにする
  • 鰭がぼろぼろのものは購入しないほうがよい
  • 性格はきつめでほかの共生ハゼとの混泳は注意
  • ニセスズメ系統や大型ヤッコ、スズメダイとの混泳も避けた方が無難
  • ギンガハゼの口に入るようなピグミーゴビーとの組み合わせも不可
  • サンゴには無害
  • イソギンチャクには食べられてしまうおそれもあるため組み合わせないよう注意
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