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2019.07.24 (公開 2019.07.08) 海水魚図鑑

クモハゼの飼育方法~飼育は容易だが肉食性が強め

クモハゼは関東以南の太平洋岸で見られるハゼの一種です。温帯から熱帯、亜熱帯の浅い海に広く適応し、飼育も非常にしやすい魚といえます。ただし、肉食性が強く、口に入る魚などを食べてしまうことがあるので注意が必要です。その一方大きな肉食性の魚に襲われたり、ゴンベやスズメダイ、ニセスズメなど気が強い魚に襲われることもあります。今回はクモハゼの飼育方法や、クモハゼと間違えやすい魚についてもご紹介します。

標準和名 クモハゼ
学名 Bathygobius fuscus (Rüppell, 1830)
英名 Dusky frillgoby
分類 条鰭綱・スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ハゼ亜科・クモハゼ属
全長 10cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッドなど
温度 20~25℃(対応水温は幅広い)
水槽 45cm~
混泳 小魚や肉食性の魚とは組み合わせられない
サンゴとの飼育 多くのサンゴと組み合わせられる

クモハゼってどんなハゼ?

クモハゼはインド-太平洋(紅海にも分布)し、日本では千葉県・能登半島以南の太平洋岸と日本海岸や琉球列島、伊豆-小笠原諸島に分布するハゼの仲間です。背鰭は2基あり、第1背鰭の縁辺は黄色っぽくその下に黒っぽい帯があります(ただし不明瞭なことも多い)。ただし色彩的にはあまり派手ではありません。丈夫で大変飼育しやすく、人にもよく慣れ飼育していて楽しいハゼといえます。

近縁種たち

▲スジクモハゼ

クモハゼ属は世界で30種ほどがしられ、日本近海にはそのうちの10種が分布しています。そのうちスジクモハゼはクモハゼに似ていて、間違えられることが多いです。スジクモハゼは第1背鰭の下方に黒い縦線があることや腹部に黒っぽい不明瞭な斑点が二つあることでクモハゼと見分けられます。分布域は千葉県以南の太平洋岸、琉球列島、小笠原諸島で、海外ではインド-太平洋域に広く分布しますが、紅海など分布しないところもあります。

▲クロヤハズハゼ

▲クロヤハズハゼの青色斑。明瞭ではない(矢印)

クロヤハズハゼはクモハゼに近い種で、全長10cmを超えることもあります。第1背鰭には太い黄色帯がなく、生鮮時胸鰭基部上方に青色斑があるのが特徴です。ただし、この青色斑は写真で見ると目立たないので注意が必要です。分布域は千葉県館山以南ですが、関東近辺では少ない気がします。一方琉球列島では多く、喜界島など河川がなく、ハゼがあまり生息しないところでも本種は非常に多く見ることができます。

なお、これらのハゼはクモハゼとほぼ同様に飼育することができますが、スジクモハゼはやや小ぶりで、同じ水槽で飼育しているとクモハゼに捕食されるおそれもあるため組み合わせには注意しましょう。

なお、クモハゼ属魚類の同定につきましては書籍「決定版 日本のハゼ」を参考にしました。

クモハゼ飼育に適した環境

水槽

クモハゼだけを飼育ならば35cmほどの小型水槽でも飼育可能です。ただし、初心者の方にはこのような水槽をすすめるわけにはいきません。初心者アクアリストはどうしても魚を沢山いれたいものですし、小型水槽では水質も変動しやすいからです。初心者アクアリストであれば45cm以上、できれば60cm水槽で飼育するのが安心です。

水質とろ過システム

クモハゼは水質の悪化にはある程度耐えられますが、それでもできるだけきれいな海水で飼育するようにしたいものです。そのためろ過システムはしっかり考える必要があります。35cm、もしくは45cm水槽では上部ろ過槽がないか、あっても種類が少ないため、外掛けろ過槽(ワンタッチフィルター)や外部ろ過槽を使用します。これはどうしても外掛けろ過槽ではろ過能力が足りにくいからです。一方外部ろ過槽はろ過能力自体は高いのですが酸欠になりやすいというデメリットもあります。そのため二つ種類が異なったろ過槽を使うなど、互いのデメリットを取り除く工夫をしたいものです。

それ以上のサイズの水槽では上部ろ過槽を使用する、もしくはオーバーフロー水槽での飼育がおすすめです。また、サンゴを飼育するベルリンシステムでの飼育もできますが、この場合は魚は多く入れられません。

水温

水温は20~25℃くらいで飼育するとよいでしょう。混泳する魚によって水温を変えても大丈夫ですが、北方性の魚などとは混泳しにくいです。また急激な水温変動があると、いくら丈夫なクモハゼといえど調子を落とすこともあるため、水温を一定にしておくことが重要です。

隠れ家

クモハゼは岩の隙間などにいることが多いため、隠れ家を作ってあげるようにしましょう。特に同種同士では争うこともあるため、複数飼育には隠れ家を多数入れることが必須です。

クモハゼ飼育に適した餌

クモハゼは海の中では甲殻類や小魚、幼魚などを捕食する肉食性が強いハゼです。しかし配合飼料もすぐ食べてくれますので、餌の心配はしなくてもよいでしょう。沈降性のペレットフードなどが良いのですが、餌を与える飼い主が来ると水面付近までホバリングしてくるかわいい魚です。生、もしくは冷凍餌(ホワイトシュリンプなど)は水を汚すおそれがあるので与えすぎには注意しなければなりません。

クモハゼをお迎えする

▲クモハゼのすむ潮溜まり(高知県)

観賞魚店で販売されていることはほとんどなく、近海便に強いお店でわずかに販売されている程度ですが、千葉県以南の太平洋岸の潮溜まりでは数も多く、ごく普通に見られるハゼといえます。またアゴハゼやドロメは琉球列島には分布しませんが、クモハゼは琉球列島にも広く分布しています。幼魚は汽水域にもみられるのですが、基本は海水魚ですので、河川がない島でも見られます(ただし、クモハゼ属の中には河川の河口域にみられるものも)。

生息地ではほぼ確実に採集できると思われますが、獲りすぎには注意しましょう。欲張って沢山持ち帰っても、持って帰る途中に死ぬ、もしくは水槽内で争って鰭がぼろぼろになってしまうのがオチです。

クモハゼとほかの生物との関係

同種同士・ほかのハゼとの混泳

▲クモハゼとオニハゼ(奥)の混泳例

クモハゼは同種同士では争うこともあるため、小型水槽で複数個体を飼育しないほうがよいでしょう。60cm以上の水槽で隠れ家が多い、もしくはヤッコなど大きい魚がいる、などの場合は複数飼育も不可能ではありません。

他種のハゼと飼育するときは、クモハゼは貪欲な肉食魚であることを忘れないようにします。口に入るサイズのピグミーゴビーなどとは混泳してはいけません。大きなクモハゼは体の半分くらいのサイズのスジクモハゼを食べてしまったこともあります。このほか臆病なハタタテハゼなども避けた方がよいでしょう。

ハゼ以外の魚との混泳

▲大きく育ったヒメゴンベは気が強い。クモハゼと混泳するは危険

ハゼ以外で混泳できる魚はヤッコの仲間、小ぶりのスズメダイ、カクレクマノミ、ハナダイ、テンジクダイ、ニザダイなどですが、当然クモハゼの口に入るようなものは避けます。

メギス(ニセスズメ)の仲間や、大きなスズメダイの仲間、大きく育ったゴンベの仲間などはクモハゼを襲うことがあるため混泳は避けたいところです。メギスの仲間は小さくても似たシルエットの魚に対して攻撃を仕掛けるため、クモハゼとの混泳にはあまり向いていないといえます。

また、細身の体をしたクモハゼは、ハタやカサゴなど肉食魚にとっては餌になってしまうので、これらの魚との組み合わせは厳禁です。

サンゴ・無脊椎動物との相性

▲オトヒメエビは要注意

クモハゼはサンゴにいたずらすることはないので、多くの種のサンゴと組み合わせることができます。生息環境を考えるとソフトコーラルやSPS、キクメイシなどとの飼育が適しているでしょう。イソギンチャクの仲間はハゼやカエルウオなどはよく食べてしまうのでやめましょう。ただし小型のディスクコーラルやマメスナギンチャクとの飼育は問題ありません。

甲殻類についてはアカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)、シロボシアカモエビ(ホワイトソックス)、サラサエビ、サンゴヤドカリ、ベニワモンヤドカリとの飼育ができます。小さなヨコシマエビやクモガニの仲間はクモハゼに襲われるため一緒にいれてはいけません。逆に大きくなるヤドカリやイセエビなどはクモハゼを食べてしまいます。また、オトヒメエビはクリーナーシュリンプではあるものの、その大きなハサミで動きの遅いハゼの仲間を食べてしまうので、これもだめです。

クモハゼ飼育まとめ

  • 千葉県以南の太平洋岸ではごく普通に見られるハゼ
  • 潮溜まり(タイドプール)でよく見られる
  • スジクモハゼやクロヤハズハゼは本種によく似る
  • 初心者は45cm以上の水槽で飼育したい
  • できるだけ上部ろ過槽、小型水槽では外掛け・外部ろ過槽を併用
  • 水温は20~25℃でよいが常に一定を保つ
  • 配合飼料をよく食べてくれる
  • 販売されていないので自分で採集する
  • 同種同士の水槽は広い水槽で隠れ家を豊富に
  • 口に入るサイズの魚や肉食魚は避ける
  • サンゴには無害
  • イソギンチャクや大型の甲殻類には食べられるおそれあり
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