イレズミハゼの飼育方法~餌・混泳の注意点

イレズミハゼは小型ハゼの項で紹介したものより少し大きくなるハゼの仲間です。しかし、成長しても5cmほどの小型のハゼなので、小型水槽でも長く飼育することができ、またペアを上手く飼育すれば水槽内で産卵することもあります。

普段は岩の下やくぼみなどに生息し、泳ぐときは他の多くの魚と違い腹を上に向けて泳ぐなどユニークな動きをします。極めて丈夫で飼いやすいので初心者にもおすすめできますが、気性が激しい魚との飼育には向いていません。今回は、このイレズミハゼの飼育方法をご紹介します。

標準和名 イレズミハゼ
学名 Priolepis semidoliata (Valenciennes, 1837)
分類 スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ハゼ亜科・イレズミハゼ属
全長 約3cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッド冷凍イサザアミ
温度 24~28度
水槽 30cm以上
混泳 気が強い魚とは注意が必要
サンゴ飼育

イレズミハゼって、どんなハゼ?

イレズミハゼはハゼ科・ハゼ亜科・イレズミハゼ属のハゼです。体は黄色っぽく、ずんぐりしていて、頭部から体側にかけて明瞭な白い横帯が入ります。背鰭は2基あり、第1背鰭の棘条部は長くのびたりするのが特徴で、ほかの同じ属のハゼと区別することができます。ハゼ科としては小型種で成魚でも3cmほどです。

腹を上にして泳ぐ

▲イレズミハゼは腹を上にして泳ぐことが多い

イレズミハゼは腹部を上にして泳いでいることが多いです。一見泳ぎにくそうに見えますが、それでも岩の隙間などをスイスイと泳ぎ回るのが特徴です。よく死にそうな魚が腹を上にして泳いでいることがありますが、イレズミハゼの場合、これは普通なので心配不要です。このほか、深場のハナダイや深場のヤッコなども、腹を上にして泳いでいることがあります。

イレズミハゼに適した飼育環境

水槽

イレズミハゼは小型のハゼで、30cmほどの小さな水槽でも飼育することができます。ただしこのような水槽は初心者向きとはいいにくいので、初心者であれば45cm、もしくは60cm水槽で飼育するのがおすすめです。ただし大きい水槽で飼育するとどこへ行ったか分からなくなることもありますので、注意が必要です。

水質とろ過システム

水質の悪化には強いほうですが、できるだけ綺麗な水で飼育したい種です。外掛けろ過槽だけでも飼育できますが、できるだけ外部ろ過槽と一緒に使用するのがおすすめです。60cm水槽であれば、上部ろ過槽があればなおよいです。

イレズミハゼはサンゴに無害ですので、サンゴ水槽での飼育もできます。ただしサンゴ水槽に入れてしまうと、なかなか観察ができないということもありますので、注意が必要です。

水温

水温は25℃前後をキープします。大体22~28℃くらいでうまく飼育でき、さらに浅瀬にすむため高水温にも耐えられますが、水温の変動が大きすぎると魚が弱ってしまう(=病気にかかりやすくなる)ので、水温を一定に保ちたいものです。

イレズミハゼ飼育に適した餌

イレズミハゼは自然下では動物プランクトンた底生小動物を捕食していますが、飼育下では小粒の配合飼料にすぐ餌付いてくれます。コペポーダなどのプランクトンフードは栄養強化されていることもあり、与えるのもよいのですが、与えすぎると水質が悪化しやすいので注意が必要です。とくに本種の飼育に適した水槽は小型水槽が多く、外部ろ過槽や外掛けろ過槽といった、能力がやや低めのろ過槽しか選択肢がないため、水質が悪化しやすいといえます。

イレズミハゼをお迎えする

採集する

イレズミハゼは琉球列島の磯で採集することができます。干潮時潮がひくと海面から露出してしまうような場所に転がっている大きなサンゴ岩の下に単独、もしくはペアで隠れていることがありますので、子供でも採集することができます。イレズミハゼの動きはゆったりとしており、腹を上に向けて逃げることが多いですが、動きはそれほど俊敏ではなく、見かけたら網で掬うのは難しくはありません。

購入する

イレズミハゼは横浜の「Kazika」や大阪「ブルーハーバー」など、沖縄産の海水魚に強い海水魚店で販売されていることがあります。そのようなお店で購入するのが確実です。もっとも、あまり多く入荷するような種類ではありませんが…。

入ってくるのは主に沖縄産なので輸送時間は短くてすみ、状態がよいことが多いです。しかし、それでも入荷直後のものは購入しない方がよいでしょう。また、鰭が溶けているようなもの(白いワタをかぶっているようなもの)や白い点が体についているものなどは購入するのを避けた方がよいでしょう。泳ぎ方としてはさきほども述べたように腹を上にして泳いでいても問題ありません。また、岩の下やパイプなどにへばりついているものも大丈夫です。

イレズミハゼとほかの生物の関係

イレズミハゼとほかの魚の混泳

▲イレズミハゼとほかのハゼの飼育例

イレズミハゼはおとなしい性格ですので、混泳相手もおとなしい魚が最適です。小型のカエルウオや同じように小型のハゼ(イソハゼ・ベニハゼなどもよい)、ハナダイなどと組み合わせるのが望ましいでしょう。隠れ家が多い環境ではカクレクマノミなどとの飼育もできます。

もちろん肉食性が強い魚とは組み合わせるべきではありません。バスレットの仲間でも大きな口のヒメスズキ(Serranus)属や、ハムレットなどは危険です。またメギスやゴンベも同様の理由のほか、激しい気性のため一緒に飼うのはやめた方がよいでしょう。写真では同じくイレズミハゼ属のイザヨイベンケイハゼと混泳しています。

イレズミハゼとサンゴ・無脊椎動物との相性について

サンゴや無脊椎動物に対しては悪さをしないので一緒に飼育することができます。ただし大きなイソギンチャクは小型のハゼを捕食する恐れがあるので、あまりおすすめできません。シコロサンゴや枝状のサンゴと飼育するとサンゴの合間に潜み観賞することが難しくなることもありますが、他の魚、とくにカクレクマノミなど大きめで強めの魚がいるときはライブロックやサンゴで隠れ家を作るのが望ましいといえます。

甲殻類は小さいものであれば問題ないことも多いですが、大型のヤドカリ、大型のカニ、大型のエビ(イセエビなど)は魚を襲ってしまうので一緒に飼育しない方がよいでしょう。クリーナーシュリンプは問題ないことが多いですが、オトヒメエビは巨大なハサミでハゼをおそうこともあり、これも避けた方が無難です。

メンテナンス時の注意

飾りサンゴやアクセサリなどを入れた水槽では注意が必要です。これらは美観を保つため定期的に水槽に入れたり出したりしてコケをとったりするものですが、これらを水槽から出すときにその隙間の中にイレズミハゼがいないか、よく確認してから水槽からだすようにしましょう。

取り出したサンゴ岩やアクセサリの中で干からびて死んでしまうことがあります。イソギンポ科のナベカの仲間や、モンガラカワハギの仲間でも、同じような事故が起きることがあります。野外での寿命は不明ですが、水槽の飼育下では寿命が長く、7年は生きます。

さらに深くイレズミハゼ飼育を楽しむ

▲産卵した卵を守る親

▲産まれてから数日後の個体。

イレズミハゼはペアで販売されたりすることもあります。このような個体は長期間飼育していて、栄養豊富な餌を与えていると水槽内で産卵することがあります。卵はライブロックや飾りサンゴなどに産み付けられ、親が卵を保護します。

孵化した稚魚を育てるには生きたワムシが必要であることや、餌を食べ始めるタイミングなどが難しいため育てるのはなかなか難しいのですが、挑戦してみるのも面白いです。

イレズミハゼ飼育まとめ

  • 全長3cm前後の小型のハゼの仲間
  • 腹を上にして泳ぐ習性がある
  • 小型水槽での飼育もできるが初心者にはあまり向かない
  • ろ過槽は上部ろ過槽、または外掛けろ過槽と外部ろ過槽を併用
  • 水温は25℃前後をキープしたい
  • 餌は小粒の配合飼料を与える
  • おとなしい魚との混泳は可能
  • 肉食性の強い魚や大型の甲殻類、気が強いメギスなどとの混泳は避ける
  • サンゴには無害だがイソギンチャクとの飼育は避ける

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