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2020.09.21 (公開 2019.01.31) 海水魚図鑑

ヒトスジギンポの飼育方法~コケはあまり食べてくれないが丈夫で飼育しやすい

ヒトスジギンポ

ヒトスジギンポは小型のカエルウオの仲間です。とても丈夫で飼育しやすい種で、かわいい、安価であることなどから、観賞魚として人気があります。カエルウオの仲間ではありますが、カエルウオやヤエヤマギンポほどのコケ取り能力はないので注意が必要です。

標準和名 ヒトスジギンポ
学名 Ecsenius lineatus Klausewitz, 1962
分類 スズキ目・ギンポ亜目・イソギンポ科・カエルウオ族・ニラミギンポ属
全長 約9cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 海藻70など
温度 22~28度
水槽 45cm以上
混泳 動物食性の魚は避ける
サンゴ飼育 注意

ヒトスジギンポってどんな魚?

ヒトスジギンポ

▲黒い線が途切れることもある

ヒトスジギンポはイソギンポ科・カエルウオ族・ニラミギンポ属のカエルウオの仲間です。特徴は体に黒い一本の横帯が入ることですが、この黒帯はとぎれとぎれで、小さな点列のようになる個体もいます。

分布域は広く、インド洋から西太平洋のサンゴ礁域に生息します。日本でも琉球列島や小笠原諸島のサンゴ礁域で見られる魚で、大きくても全長9cmほどの小型種です。

ニラミギンポ属の魚はフタイロカエルウオ、イシガキカエルウオ、テールスポットブレニーといった小型で飼育しやすい種が多く、本種も飼育は容易です。種類は非常に多く、なかにはハナダイギンポのように藻類をほとんど食べないで動物プランクトンを中心にした食性をもつものもいます。

ヒトスジギンポ飼育に適した環境

水槽

ヒトスジギンポはあまり大きくならないので小型水槽でも飼育することは可能ですが、初心者が安定して飼育できるのは45cm以上の水槽でしょう。ほかの魚と混泳するのであれば60cm以上の水槽がほしいところです。

水質とろ過システム

ヒトスジギンポのベルリンシステムのサンゴ水槽での飼育例

▲ベルリンシステムのサンゴ水槽での飼育例

ヒトスジギンポは比較的水質の悪化には強い魚ですが、できるだけ綺麗な海水で飼育したいところです。ろ材を多く入れられ酸素が供給されやすい上部ろ過槽が理想です。外部ろ過槽や外掛けろ過槽を使用する場合は単用を避けるようにします。これは密閉式のため空気に触れにくい、あるいはパワー不足という欠点があるからです。

サンゴを飼育するためのベルリンシステムで飼育してもよいでしょう。ただしその場合は多くの魚を入れることはできませんので注意が必要です。

水温

22~28℃くらいで飼育できますが、基本的に25℃くらいで飼育します。もちろん温度も常に25℃になるようにします。ヒトスジギンポは病気にかかりにくく飼育しやすい魚ですが、水温が上がったり下がったりするようでは調子を崩すおそれがあるのでよくないからです。

アクセサリ

ヒトスジギンポが隠れられるような場所が必要です。ライブロックの隙間や開いている孔、ハードコーラルの枝間などにかくれますが海水魚混泳水槽でも飾りサンゴやサンゴ岩、土管、パイプなどの隠れ家が必要です。ただし、隠れ家が多くても肉食性の魚には捕食されるおそれもありますので混泳には注意が必要です。

フタ

水槽からの飛び出しを防ぐために確りフタをしておくこともカエルウオの仲間を飼育する上では重要なことだといえます。ヒトスジギンポは結構泳ぐ種類ですので、とくに飛び出しには注意した方がよいでしょう。

ヒトスジギンポに適した餌

サンゴ岩に付着している藻類を食べるヒトスジギンポ

▲サンゴ岩に付着している藻類を食べる

ヒトスジギンポは雑食性ですが、藻類を中心にした食性をもちます。そのため配合飼料を与える場合も「海藻70」など、藻類食性の魚向けの餌をメインに与えるとよいでしょう。多くの場合最初から配合飼料を食べてくれます。ただし藻類を中心に食しているといっても、カエルウオやヤエヤマギンポほどコケは食べてくれないのはちょっと残念なところです。このほか動物プランクトン(コペポーダなど)や、動物食性魚向けの配合飼料(メガバイト レッドなど)もよく食べてくれます。

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コケを食べてくれるカエルウオの仲間たち

ヒトスジギンポをお迎えする

伊豆諸島以南の太平洋岸に広く分布しているため、採集することも不可能ではないのですが、基本的には観賞魚店で購入することになります。購入するときの注意点はほかのカエルウオの仲間と変わりません。

鰭がぼろぼろのもの、鰭が赤くなっていたり、溶けているもの(感染症にかかっているおそれがある)、痩せているもの(初心者には立て直すことが難しい)、入荷してすぐのものは避けます。概ね2500円前後と購入しやすいお値段ですが、それだけに雑な状態で来やすい(インドネシア産)、またはインド洋などから来るため輸送時間が長い(つかれやすい)魚ですので、状態をよくチェックしておきたいものです。

ヒトスジギンポと他の生物の混泳

ヒトスジギンポと他の魚との混泳

ヒトスジギンポの混泳事例

▲ほかの魚との混泳例

ヒトスジギンポはほかの魚と混泳することができます。しかし同種同士、または同じニラミギンポ属の魚同士では激しく争うことがあり、同種同士で飼うのであれば、それぞれの個体が隠れられるようにサンゴやライブロックがたくさん入っていて、90cmくらいの大きな水槽で飼育するのがベストといえます。ほかの属のカエルウオとはあまり争わないようで混泳も可能ですが、その場合もできるだけ大きな水槽で飼育したいものです。

ヤッコの仲間、ハギの仲間、チョウチョウウオの仲間、スズメダイの仲間(おとなしいもの)、ハナダイの仲間などは混泳できます。ハゼの仲間は大きな口のものは小魚を捕食することもあり、ヒトスジギンポがハゼの口に入らないようなサイズのものを選ぶ必要があります。細長い体のカエルウオの仲間は大型の肉食魚に捕食されることもあり、混泳には十分気をつけなければなりません。

サンゴ・無脊椎動物との相性

ヒトスジギンポとサンゴの相性

▲サンゴの中に隠れるヒトスジギンポ

サンゴのうちハードコーラル飼育では注意が必要です。LPSの一部が死んでしまいコケが生えているとそのコケを食べるときに共肉の一部もかじってしまうことがあるからです。そうなるとサンゴが弱ってしまうことがあります。

ソフトコーラルであればヒトスジギンポに食べられてしまうことはないのですが、大型のディスクコーラルや陰日性のウチウラタコアシサンゴなどには捕食されるおそれがあるのでなるべく避けるようにします。もちろんクマノミの仲間と共生するタイプのイソギンチャクとの飼育にも適しません。ヒトスジギンポに限らず、カエルウオやハゼの仲間、あるいはニシキテグリなどのネズッポの仲間はこのような触手をもつ生物には捕えられやすいので要注意です。ウミキノコやトサカ、小さなディスクコーラルやウミアザミとの飼育は問題ありません。

甲殻類はイセエビ・大型のカニ・大型のヤドカリはもちろん、オトヒメエビにも捕食されてしまうおそれがあるので注意が必要です。その他のクリーナーやサラサエビの類、サロンシュリンプ、ペパーミントシュリンプ、サンゴヤドカリなどの小型種であれば大丈夫です。コケを食べる種類ですがクビレズタ(ウミブドウ)などの海藻は食害することはなく、海藻水槽での飼育も可能です。

ヒトスジギンポ飼育まとめ

  • 黒い帯が特徴のカエルウオの仲間
  • 大きくても全長9cmほど
  •  45cm水槽でも飼育可能
  • 外部ろ過槽と外掛けろ過槽は単用を避ける
  • ライブロックやサンゴ岩で隠れ家をつくる
  • 配合飼料をよく食べるが植物質をメインに
  • 購入する前に状態をよくチェックしたい
  • ほかの魚との混泳は容易だが捕食されるおそれも
  • 同種同士、同属同士で争うこともある
  • ハードコーラルはかじることあり注意
  • イソギンチャクなどとの飼育は捕食されるおそれあり
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