ウツボ(種)の飼育方法~給餌と脱走には要注意!

ウツボは、科の標準和名にもなっていることからもわかるように千葉県以南の太平洋岸では広い範囲で見られる魚です。ウツボといえば「獰猛」「凶暴」「海のギャング」的なイメージが強いのですが、実際はそれほど恐ろしい存在ではなく、誇張された表現といえます。しかし鋭い歯をもつ肉食性の魚ですので、咬まれないよう注意が必要です。また脱走して干物になってしまうこともあるのでフタはしっかりしておきましょう。

標準和名 ウツボ
学名 Gymnothorax kidako (Temminck and Schlegel, 1846)
英名 Kidako morayなど
分類 条鰭綱・ウナギ目・ウツボ科・ウツボ亜科・ウツボ属
全長 80cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 イカやタコ、魚の切り身など(本文参照)
温度 25℃前後
水槽 90cm~
混泳 小型水槽ではほかの魚との混泳は避ける。ウツボの仲間同士の混泳も要注意
サンゴとの飼育 困難

ウツボって、どんな魚?

ウツボはウナギ目ウツボ科ウツボ属の魚です。太い体をもつウナギ型の魚で、ウナギやアナゴなどと比べて胸鰭などの鰭を欠くなど鰭の退化が著しい仲間です。細長い体で全長80cmに達し、ウツボ科の魚としては中型の魚ですが、一般的にマリンアクアリウムの中で飼育される魚としては大型です。体は黄褐色で黒い横帯が入り、この仲間では一般的な魚であるもののかなり美しい魚です。

学名と英語名は神奈川や九州での本種の地方名から来ています。神奈川県三崎地方でもキダコというようですが、タイプ標本が採集された長崎の方かもしれません。

なお、「ウツボ」といった場合、ウツボ科の魚類の総称をさす場合と、ウツボ科魚類の一種をさす場合がありますが、この記事で単に「ウツボ」といった場合、本種のことをさすものとします。そのほかのウツボ(ウツボ科魚類)については、ウツボ科の記事をご覧ください。

注意すべき点

▲ウツボの口。鋭い歯が並ぶ

ウツボの仲間は多くの種が鋭い歯をもち、顎の力も強いため、咬まれると大怪我をすることもあります。よくテレビ番組などでウツボを「海のギャング」と紹介し、恐怖を煽る演出をしているものの、実際には動物食性ではありますが、ヒトに向かって襲いかかるようなことはありません。

ただ、自分の身を守ったり、給餌中に指を餌と間違えるなどの理由でかみつくことがあります。そうなると大けがをすることがありますので、ウツボの口のまわりに手をもっていかないように注意しなければなりません。

またウツボの仲間は飛び出したり、フタをしても隙間から脱走してしまうことがあります。

美味しい一面

ウツボは食べても美味しい魚です。干物や唐揚げも美味しいですが、ウツボのタタキはとくに美味しいものです。千葉県、三重県、和歌山県、高知県など太平洋岸では盛んに食べられますが、日本海岸ではウツボが少ないためか、一部の地域を除いて食べられていないようです。沖縄にはウツボは少ないのですが、近縁種であるドクウツボなどは食用となっています。小笠原諸島にも分布していますが、写真からは別の種のような雰囲気もあり、将来的には別種とされる可能性もあるかもしれません。

ウツボ飼育に適した環境

水槽

小型個体であれば60cm水槽での飼育もできますが、長期飼育することを考えると90cm~120cm水槽での飼育が望ましいです。成長するにつてて大型水槽が必要になるということは、必ず頭に入れておく必要があります。

水質とろ過システム

ろ過システムは外掛けろ過槽や外部ろ過槽はおすすめできません。外掛けろ過槽はパワーが低く、水槽の上に隙間ができやすい(脱走しやすくなる)のでどんなウツボ飼育にも向きません。外部ろ過槽は密閉式のため、酸素を水槽に供給しにくいというデメリットがあり、一般的な海水魚であっても淡水魚よりもワンランク上の適合水量のものを買いたいため、水を汚しやすいウツボ飼育には不向きなところがあります。

現実的な選択肢は上部ろ過槽かオーバーフロー水槽です。おすすめはオーバーフロー水槽にしてサンプ(水溜め)でろ過をする方式で、ほかのろ過システムと比べて圧倒的なろ過能力があります。サンゴを飼育するためのベルリンシステムでの飼育は向きません。ウツボはサンゴを食べることはないのですが、岩組を崩したり、生の餌を食べて水を汚してしまうこともありますので、サンゴ水槽での飼育は困難です。

水温

温帯性ですが、比較的高い水温にも耐えられるようで、浅い潮溜まりで採集した個体は水温25℃で飼育しても大丈夫です。実際に私も25℃で飼育していますが、それ以上水温が上がらないほうがよいかもしれません。最近は近海魚専門店で深場の筒籠などで漁獲されることもあります。このような漁法で採集されたものは高水温に弱いことがありますので、どのくらいの水深で採集されたか、どのくらいの水温で飼育すればいいのか、あらかじめお店に聞いておくとよいでしょう。

隠れ家

ウツボが落ち着けるような場所を作りたいところです。ライブロックを組み合わせたり、人工の飾りを入れてもいいのですが、崩されるおそれがあることは考慮しなければなりません。塩ビ管などを入れておくとよいでしょう。

脱走対策

ウツボの仲間はフタをしっかりしていないと、水槽から脱走してしまうことがあるため、しっかりした脱走対策が必要です。水槽の上にフタをしっかりするだけでなく、フタの斜めにカットしてある部分に分厚いアクリル板を置いたり、フタにペットボトルの重石をするなど、脱走対策は厳重に行いたいものです。

ウツボに適した餌

ウツボは配合飼料、というよりは生の餌を与えるのが基本的です。我が家では主にイカを与えています。イカはオールシーズン入手しやすく、油が浮いてしまうようなことも少なく、与えやすい餌です。イカは与える前に冷凍しておきます。このほかアジなどの切り身や小さなイワシ、タコなども与えてよいですが、魚は油が浮きやすいので控えめに、タコはイカ同様使いやすいものの販売されているものは大型のもので高価であることが多いです。

なお、餌は必ずピンセットで与えなければなりません。これはウツボに咬まれてけがをすることを防ぐためです。

ウツボをお迎えする

ウツボは採集することも、購入することも可能です。磯は千葉県以南の太平洋岸で見られ、季節により潮溜まりでもみることができます。釣りで釣ることは針をのみこんでしまったり、針を外す際にけがをしてしまうことがあるため、おすすめしません。

購入するときは近海産魚に強いお店で購入するのがおすすめです。このようなお店で販売されている魚については釣りではなくおもにウツボ籠とよばれるもので採集されていることが多いです。釣り針を飲み込んでしまうと飼育下で早いうちに死亡してしまうことも多いのです。漁獲方法や飼育水温などをしっかり聞いておくようにしましょう。

ほかの生物との相性

ほかの魚との相性

▲ウツボ同士の混泳はサイズに注意

ウツボはほかの生き物を捕食してしまうことがあるため、ウツボの仲間以外との混泳はおすすめできません。ウツボ同士であってもサイズの違いによってはほかのウツボを捕食してしまう、もしくは捕食されてしまうこともあるため注意が必要です。写真の水槽では同じくらいの大きさ(太さ)のサビウツボと混泳しています。水族館ではウツボの仲間を何種類も何匹も飼育していますが、家庭の水槽では単独か2~3種が限度でしょう。

写真ではウミヘビ科のモヨウモンガラドオシとも混泳していますが、ウツボは餌を大量に食べるためモヨウモンガラドオシに餌がいきわたりにくいことがあります。しっかりモヨウモンガラドオシも餌を食べているか観察しましょう。

サンゴ・無脊椎動物との相性

サンゴ食べてしまうということはないのですが、岩組を壊したり、水を汚してサンゴを死なせてしまうことがあるので、やめたほうがよいでしょう。無脊椎動物は食べてしまいますので、一緒に飼わない方がよいでしょう。水族館では多くの場合、クリーナーシュリンプと一緒に飼育していますが、水槽内では食べてしまうこともあります。

ウツボ(種)の飼育方法まとめ

  • ウツボの仲間を代表する種
  • 全長80cmに達し、ウツボとしては中型
  • 鋭い歯をもっているため注意しないとかまれるおそれあり
  • 90cm以上、できれば120cm水槽が欲しい
  • ろ過槽は上部ろ過槽、できればオーバーフロー水槽
  • 温帯性だが浅場で採集したものは25℃で飼える
  • 脱走の名人なので対策が必要
  • イカなど生の餌を与える
  • 餌を与えるときは必ず長いピンセットを使う
  • ウツボの仲間以外の魚との飼育はおすすめしない
  • ウツボ同士の混泳も注意
  • サンゴや無脊椎動物との飼育も避ける

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