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2020.09.21 (公開 2017.11.01) 海水魚図鑑

シリキルリスズメダイの飼育方法~性格は強め、混泳には注意

シリキルリスズメダイは、鮮やかな青と黄色という、海水魚らしい色彩をした魅力的なスズメダイの仲間です。

この青色と黄色は普通に飼育している限りでは色褪せません。他の魚と飼育し、カラフルな水槽をつくることもできますが、他の魚、あるいは同種同士の混泳は注意するべきポイントがあります。どのようなところに注意すればよいでしょうか。

標準和名 シリキルリスズメダイ
学名 Chrysiptera parasema (Fowler, 1918)
分類 スズキ目・スズキ亜目・スズメダイ科・ソラスズメダイ亜科・ルリスズメダイ属
全長 6cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 海藻70メガバイトグリーン
温度 22~26度
水槽 60cm以上
混泳 同種同士は注意が必要
サンゴ飼育

シリキルリスズメダイとルリスズメダイの違い・比較

ルリスズメダイ

シリキルリスズメダイは以前紹介したルリスズメダイと同様にルリスズメダイ属のスズメダイの仲間です。日本においては沖縄諸島以南、海外ではフィリピン~パプアニューギニアに至る西太平洋に生息しています。

ルリスズメダイとの最大の違いは「色彩」です。沖縄に生息するルリスズメダイは体が青色で、尾部の色彩は雄が青、雌が透明なのに対し、シリキルリスズメダイは黄色になるのが特徴です。

シリキルリスズメダイとソラスズメダイの違い・比較

ソラスズメダイ

ソラスズメダイも尾鰭が黄色っぽくなるものがおり、よくシリキルリスズメダイと混同されます。しかし、ソラスズメダイは臀鰭や腹部も黄色っぽくなる個体がいるのに対し、シリキルリスズメダイの臀鰭と腹部は黄色くならないので区別できます。非常によく似ている2種ですが、磯採集でソラスズメダイをよく見ていると、シリキルリスズメダイとの違いがそのうちわかってきます。

シリキルリスズメダイの近縁種、よく似た魚

シリキルリスズメダイに似たアーナスダムゼル

シリキルリスズメダイには何種類か「そっくりさん」が知られています。インドネシアからオーストラリアの南太平洋と南東インド洋に生息するロイヤルデムワーゼルはシリキルリスズメダイに似ていますが、お腹まで黄色になります。

また、最近までシリキルリスズメダイとされていたものが、別種とされるケースもでてきました。インドネシアに分布するギッチダムゼルChrysiptera gitiという種は尾鰭だけでなく臀鰭が黄色いのが特徴です。アーナスダムゼルフィッシュC. arnazaeという種はインドネシアやニューギニア島近海のサンゴ礁域にすむ種で、背鰭の後端や臀鰭のほか、腹鰭も黄色なのが特徴です。これらの種類は近年になってシリキルリスズメダイとは別種とされたもので、古い本ではシリキルリスズメダイの色彩変異とされていたことがあります。アーナスダムゼルは日本にも輸入されたことがありましたが、その時もシリキルリスズメダイの変異として入ってきていました。ギッチダムゼルはまだ入荷実績はないようですが、アーナスダムゼルの飼育方法はシリキルリスズメダイとはあまり違いがないようです。

リンク先の本でもこのスズメダイについての解説があります。

シリキルリスズメダイの飼育に適した環境

水槽

シリキルリスズメダイは小型種なので小型水槽での飼育も可能ですが、できれば60cmくらいの大きさの水槽で飼育してあげたいものです。

このくらいの大きさの水槽であれば、他のスズメダイなど強めの魚との混泳も可能です。

ろ過装置

スズメダイの仲間は汚い黄ばんだ水でも生きられますが、それはベストの状態とはいい難いものです。きちんと生物ろ過のはたらいた水槽で飼育してあげましょう。ろ過装置は外部ろ過槽よりも上部ろ過槽の方が酸素がいきわたりやすくおすすめです。外部ろ過槽を使いたい方は、上部ろ過槽と併用して使うとよいでしょう。

水温

サンゴ礁の浅場に生息する魚ですので、22~26℃の水温を保つようにしたいものです。28℃くらいの水温でも飼育可能ですが、褪色しやすくなることもあるので、基本的には25℃前後での飼育を推奨します。

ライブロック

シリキルリスズメダイを大きめの水槽で複数飼育するときには絶対に必要になるのがライブロックです。複数個体を飼育する際には、それぞれの魚が縄張りを主張でき、危急時には隠れることができるようにライブロックを組みます。

シリキルリスズメダイに適した餌

シリキルリスズメダイは配合飼料を最初からよく食べてくれます。ルリスズメダイ属の魚は雑食性で、小型の甲殻類や動物プランクトンのほか、藻類も捕食しています。ですから植物食性の餌も与えたいものです。

植物食性の餌は色々ありますが、「メガバイト グリーン」や「海藻70」などの配合飼料が手に入りやすくおすすめです。

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シリキルリスズメダイを入手する

シリキルリスズメダイは水深1~16mのサンゴ礁に生息するのですが、ルリスズメダイと異なり、礁湖にはあまり入らないため自分で採集するには難しい種と言えます。そのため観賞魚店で販売されるものを購入するのが一般的な入手方法といえます。

シリキルリスズメダイは1匹数100円前後と安価なので、大きめの水槽で何匹かまとめて販売されていることが多いです。そのためケンカすることもあり、体表に傷がある個体や部分的に白くなっている個体は避けるようにします。鰭が少し切れている個体はあまり問題ないのですが、明らかに鰭が溶けているような感じで無くなっているや、鰭に白い点がついている個体なども避けます。

本種はルリスズメダイと異なり沖縄からはあまり来ず、主にフィリピンやインドネシアからやってきます。便によっての違いもありますが、概ね袋も小さく、到着するまでに死んでしまっていることもありますので、入荷直後の疲れた個体を購入するのは避けるべきです。

またルリスズメダイと同様に、「3匹○○○円!」などとたたき売りのように安価で販売されていることもありますが、一つの水槽に入れるのは1~2匹ほどにとどめておいたほうが無難といえます。

シリキルリスズメダイの混泳

シリキルリスズメダイ同士の混泳

隠れ家が多ければ複数飼育も不可能ではない

シリキルリスズメダイは他のスズメダイと同じく複数で飼育すると争いますので狭い水槽では1匹しか飼育できません。60cm水槽であれば複数飼育も不可能ではないのですが、多くの個体を飼育するのには向きません。多くの隠れ家を入れるようにしましょう。

できればシリキルリスズメダイの他にも、同じくらいの大きさのスズメダイを何個体か飼育すると攻撃対象が分散されるのでよいといえます。

シリキルリスズメダイと他の魚の混泳

▲大きめのヤッコなどとの混泳もよい

シリキルリスズメダイと他の魚との混泳は無理ではありませんが、できるだけ本種よりも大きな魚と混泳させるとよいです。大きめのベラの仲間や、キンチャクダイ類、ハギ(ニザダイ)の仲間などがおすすめです。タフなので大型ヤッコとの飼育も可能ですが、ハタの仲間、ミノカサゴの仲間、モンガラカワハギの仲間のように、スズメダイを捕食してしまうおそれがある魚とは飼育するべきではありません。

小型のハゼの仲間や大人しいハナゴイの仲間などとの混泳は極端に広い水槽ではない限りなるべく避けるようにするべきです。

シリキルリスズメダイとカクレクマノミとの混泳も可能

カクレクマノミもスズメダイの仲間で強めの性格の魚ですが、シリキルリスズメダイとの混泳については比較的うまくいくことが多いようです。ただシリキルリスズメダイよりも小さいカクレクマノミだと(ブリードの2~3cm程度のものなど)、攻撃される可能性が高く混泳は避けた方がよいでしょう。

シリキルリスズメダイとサンゴ・無脊椎動物との相性

▲浅場にすむのでミドリイシ水槽での飼育もよい

シリキルリスズメダイは海の中ではミドリイシやコモンサンゴなどのSPSの間などに生息しており、ミドリイシ水槽によく似合う種類ですが、サンゴにいたずらをするような種ではないので、どんなサンゴとも組み合わせられます。

一方甲殻類はキャメルシュリンプなどをいじめてしまうことがあるのであまり向いていません。逆に大型のイセエビなどは本種を捕食するおそれがあり、これも無理といえます。おすすめなのはスカンクシュリンプやホワイトソックスといった種で、これらの種はシリキルリスズメダイに付着する甲殻類系の寄生虫を食べてくれます。このほかサンゴヤドカリなどとの飼育も可能です。

シリキルリスズメダイの飼育まとめ

  • ルリスズメダイに似ているが尾部が黄色
  • ソラスズメダイに似ているが臀鰭が黄色くない
  • 海外では本種のそっくりさんが何種か知られている
  • 60cm水槽と上部ろ過槽を推奨
  • 25℃の水温を保つ
  • ライブロックを組んで隠れ家を作る
  • 植物食魚用の餌も与えたい
  • 入荷直後の個体や傷のある個体などは避ける
  • 同種だけでなく他の種のスズメダイも一緒に入れる
  • 大型魚との混泳は可能だが肉食魚はNG
  • クリーナーシュリンプやサンゴヤドカリとの混泳は可能
  • サンゴには無害
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