フリーワード検索
海水魚の記事
サンゴの記事

2020.09.22 (公開 2019.11.12) 海水魚図鑑

海水のエビが脱皮したらするべきこと

アカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)、シロボシアカモエビ(ホワイトソックス)、各種モエビなどを飼育していると、脱皮している姿を観察することができます。しかし、脱皮というのはエビにとっては大変危険なことです。脱皮不全で死んでしまったり、無事に脱皮できても体がやわらかいうちはほかの生物に捕食されてしまうこともあります。ですから、エビが脱皮していたらより注意深く見守ってあげる必要があります。

エビが脱皮する理由

▲脱皮を繰り返して成長したアカシマシラヒゲエビ

エビやカニ、ヤドカリといった甲殻類を飼育していると脱皮を観察することができます。小型のエビであれば3週間~数か月に一回脱皮します。

エビが脱皮する理由は主に成長のためで、脱皮をしながら大きくなっていきます。エビの体は外骨格に覆われ、脱皮してこれを脱ぎ捨てますがその下には新しい外骨格が出来ています。これを繰り返して少しずつ大きくなっていくのです。脱皮直後はまだやわらかく、後述するようにほかの生物に捕食される危険もありますし、脱皮不全の危険もありますが、成長のためには脱皮は欠かせないのです。

爬虫類のヘビなども脱皮をしますが、これは外骨格を脱ぎ捨てるのではなく、ヒトの垢のように古い表皮を落とすもので、成長が目的ではなく、甲殻類の脱皮とは大きく異なるものといえます。魚の場合はボロカサゴの仲間などが古い表皮を落とす脱皮を行いますが、これも爬虫類の脱皮と似たものといえるでしょう。

脱皮したら気を付けたいこと

ほかの生き物からの捕食

▲脱皮したては体がやわらかい。魚やほかのエビに襲われていないか注意

脱皮したばかりのエビの体はとてもやわらかいです。ですから水槽にエビを食べてしまうような魚、気が強い魚がいるとエビを食べたり、つつき殺してしまうこともあります。エビが襲われそうになっていないか、よく観察しましょう。エビを食べてしまうような魚はこちらにまとめていますが、このまとめのなかに入っていない魚でもエビが弱っているようなときにエビを襲うおそれがあるものもいますので注意します。特に大きめの魚がいる水槽や隠れ家が少ない水槽、エビを複数入れている水槽は要注意です。

余談ですが、ヒト向けの食材としても「ソフトシェルイセエビ」と称して、脱皮直後の軟らかいイセエビを提供しているお店もあるほどです。脱皮直後のイセエビをしめて冷凍したもので、一般的にイセエビは硬い殻(外骨格)をもっており、殻ごと食べることはできませんが、このソフトシェルのものは脱皮直後のため殻が柔らかく、まるごと焼いて食べられる、というものです。

エビが脱皮したあとの抜け殻はどうする?

エビが脱皮したあとの抜け殻は水槽に入れたままで大丈夫です。脱皮の殻がばらばらになっても水質を悪化させることはありません。ただし、散らばってしまうので見栄えが悪いというのであれば網などで取り出してもよいでしょう。いずれにせよ抜け殻はバラバラになり、分解されて消えてしまいます。

ビーシュリンプなど淡水のエビの場合は脱皮殻を食べたりしていますが、海産のアカシマシラヒゲエビなどの場合はそのようなことはあまりないようです。

脱皮不全とその対策

▲脱皮不全の原因となるヨウ素欠乏。ヨウ素は必ず添加する

エビなどの甲殻類の死因の一つが「脱皮不全」です。その名の通り脱皮が上手くいかず、死んでしまうことがあります。脱皮不全の原因の一つとして、海水中の成分が不足するとおこりやすいともいわれています。特にヨウ素は重要で、脱皮不全がおこるようなときはヨウ素が不足している可能性もあります。ヨウ素は魚やサンゴの色彩の維持などにも効果がある重要な成分ですが、各種吸着剤やプロテインスキマーによりすぐに水槽から取り除かれてしまう成分ですので、定期的な添加が欠かせません。またほかの添加剤同様、過剰な添加は害になりますので量を守って添加します。

もちろんヨウ素だけでなく、カルシウムやストロンチウム、マグネシウムなどの主要元素や、その他の微量元素(トレースエレメント)なども補ってあげたいところです。それを考えるとエビの仲間の飼育は魚混泳水槽よりも状態のよいサンゴ水槽での飼育が向いているのかもしれません。状態のよい、という条件をつけたのはアカシマシラヒゲエビなどはサンゴの共肉をむしることもあるからです。

デルフィス ブレンドアイオダイン 250ml

デルフィス ブレンドアイオダイン 250ml

1,870円(11/21 16:19時点)
Amazonの情報を掲載しています

エビの脱皮まとめ

  • 甲殻類は定期的に脱皮をしながら成長する
  • 甲殻類の脱皮では外骨格を脱ぎ捨てる
  • ヘビなど爬虫類は古い皮を脱ぎ捨てるもので甲殻類の脱皮とは大きく異なる
  • 脱皮直後の体は柔らかい
  • ほかの魚に襲われていないか十分チェックする
  • 脱皮後の殻は水槽に入れたままで大丈夫
  • 脱皮不全で死ぬこともある
  • ヨウ素不足が原因で脱皮不全がおこることも
  • カルシウムなどほかの主要・微量元素も添加したい
フリーワード検索
海水魚の記事
サンゴの記事
    もっと読む