コスジイシモチの飼育方法~飼育方法や近縁種との見分け方を紹介!

コスジイシモチはテンジクダイ科の魚で、この科の中でも多くの種が知られるスジイシモチ属の魚です。体には赤みを帯びた色の縦縞が7本と、尾柄部に黒色斑があり、ほかの多くのテンジクダイの仲間と見分けることができます。鮮やかで熱帯性の魚と間違えられやすいのですが、沖縄では少ない温帯性の魚で高水温に弱く、また水質の悪化にも弱い点があります。今回はコスジイシモチの飼育方法をご紹介します。

標準和名 コスジイシモチ
学名 Ostorhinchus schlegeli (Bleeker, 1855) ※後述
英名 Schlegel’s cardinalfishなど
分類 条鰭綱・スズキ目・スズキ亜目・テンジクダイ科・スジイシモチ属
全長 12cm
飼育難易度 ★★★☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッドなど。どうしても餌付かない場合は冷凍フード。
温度 22℃
水槽 60cm~
混泳 性格が強い魚、肉食魚、コスジイシモチの口に入るような魚は不可
サンゴとの飼育 多くのサンゴと飼育できるがSPSとの飼育は不向きかも

コスジイシモチって、どんな魚?

コスジイシモチはスズキ目テンジクダイ科の魚です。体には7本の縦縞模様があり、その帯が赤茶色から濃いオレンジ色になること、尾の付け根に黒い大きな円形斑があることにより、ほかの縦縞のあるテンジクダイの仲間と見分けることができます。これほど美しい色彩をしていますが温帯性の魚で、琉球列島では少ないです。しかし中国やインドネシアには分布しています。生息水深も浅瀬から水深70mにまで達しています。

釣りや定置網などで漁獲され、食用となっていますが、あまりメジャーなものではありません。しかし塩焼きなどにして食べるとおいしいものです。

学名について

コスジイシモチの学名はかつてオランダのピーター・ブリーカーによりApogon schlegeliとして記載されました。その後はApogon endekataenia の異名とされたこともありましたが、現在はそれぞれ別種とされています。なお、従来のApogon属(旧:テンジクダイ属)は大幅に整理がなされ、現在コスジイシモチの学名はOstorhinchus schlegeli (Bleeker, 1855)となっています。学名の種小名はおそらくオランダ・ライデン博物館のヘルマン・シュレーゲルにちなむものと思われます。だとすればカエルの一種であるシュレーゲルアオガエルと同様です。

キンセンイシモチとの違い

キンセンイシモチはコスジイシモチのようなオレンジ色の縦縞があり、たまにコスジイシモチと間違えられることがあります。しかしこの2種は尾柄の部分を見れば簡単に見分けることができます。コスジイシモチは尾柄の部分に暗色斑があるのですが、キンセンイシモチにはそれがありません。たまにキンセンイシモチによく似たもので尾柄部に赤色の円形斑があるのもいますが、これはアカホシキンセンイシモチという別種となっています。

コスジイシモチは本州から九州までの太平洋岸で多く見られます。キンセンイシモチも同様ですが、和歌山や四国などではよく見られるものの、それより北だと近縁種であるスジオテンジクダイと呼ばれる種が多くなります。スジオテンジクダイはキンセンイシモチに似ますが、眼の下から腹部にかけての模様がキンセンイシモチと大きく異なっています。沖縄ではキンセンイシモチが浅場に多いものの、コスジイシモチはほとんど見られないようです。

縦縞模様のあるテンジクダイの仲間

体側に縦縞模様のあるテンジクダイはコスジイシモチやキンセンイシモチのほかにも多数います。とくにこれら2種が含まれるスジイシモチ属の魚はこの傾向が強いです。コスジイシモチに似ていますが縦縞の数が少ないオオスジイシモチやミスジテンジクダイなどは九州以北でもよく釣れたり獲れたりするもので本種と間違えられやすいです。

なお、この海水魚ラボでは、過去に体側に縦縞模様のあるテンジクダイの仲間の見分け方を掲載しています。この手のテンジクダイを釣りなどで採集し、種類がわからないというときは、こちらもご覧ください。

コスジイシモチ飼育に適した環境

水槽

▲コトブキ製60cm水槽を使用したコスジイシモチの飼育例

コスジイシモチは全長10cmほどになるため、それなりのサイズの水槽が必要になります。最低でも60cm水槽で飼育するようにしましょう。ほかの魚との混泳を考えた場合は90cm水槽が欲しくなることもあります。

水質とろ過システム

テンジクダイの仲間はヤッコの仲間よりは水質にうるさい面があります。そのためきれいな水を保つようにしなければなりません。基本的には上部ろ過槽を使用してろ過することになりますが、外部ろ過槽も追加できればなおよいです。しかし他よりも圧倒的に大きなろ過槽スペースをもつオーバーフロー水槽が最適といえます。

コスジイシモチはサンゴに無害なので、ベルリンなどのサンゴ水槽でも飼育できますが、意外と大食いであり餌を絞りにくいため、水を汚しやすくその点は注意が必要です。また生息地的にも浅場のSPS(ミドリイシ)よりはやや深い場所に住むLPSや陰日性サンゴが似合いますが、陰日性サンゴとの飼育はベテランでないと難しいところがあります。

水温

コスジイシモチは高水温に弱いところがあります。20~22℃であれば状態よく飼育できますが、25℃では高すぎるように思え、それ以上では非常に危険です。夏を乗り切るのには水槽用クーラーが必須といえます。もちろん水温は年中一定に保つ必要があります。

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コスジイシモチに適した餌

口が大きく小魚などや甲殻類を捕食する

コスジイシモチは動物食性です。一般的にこのテンジクダイの仲間は配合飼料などをすぐに食べてくれるのですが、このコスジイシモチは特に大型個体は最初から配合飼料を食べてくれるというわけではありません。なかなか餌付かないときは冷凍のホワイトシュリンプや、イカや魚の切り身などを食べさせる必要があります。クリルも食べますが栄養が偏りやすいので注意が必要です。またこれらの餌は水を汚しやすいので、しっかりしたろ過システムが重要になります。また釣り餌のオキアミなどは添加物が含まれていたりして、魚やサンゴに有害あったり、水質を大きく悪化させてしまう可能性もあるので与えないようにします。

配合飼料を食べる個体であればその配合飼料を与えるようにし、先ほど述べたホワイトシュリンプや切り身などはたまに与えるだけで十分です。

コスジイシモチをお迎えする

購入する

一般的な海水魚店ではまず販売されていません。近海魚に強いお店か、自分で釣ってくるのが一番です。海水魚店で「コスジイシモチ」として販売されていることもありますが、大体が海外産の別種です。以前お店でヤクシマダテイシモチをコスジイシモチとして売っていることがありました。購入時の注意点としては、体表や鰭に白点やただれ、傷などがあるもの(とくに鰭がボロボロだったり、溶けているものは危ない)、入荷直後のもの、眼が飛び出ているものは購入しないようにします。

採集する

コスジイシモチは内湾の防波堤などで夕方~早朝にかけて釣ることができます。針はサヨリ針、それにオキアミをつけておくと比較的釣りやすいように思います。ちなみに私が飼育していた個体は愛媛県宇和島市の防波堤で、夕方に釣れました。釣れたら速やかに、なるべく直接魚の体表に触れないように素早く針を外して海水を張ったバケツに泳がせます。

また、釣れて細かい泡が発生するようなエアーストーンを使用するのはいけません。体表が弱いらしくこれで傷つくことがあるようです。また底のほうの汚れが舞いやすく、水質悪化を招くこともあるのです。汚い水で生かしておくと、尾鰭などがぼろぼろになってしまうことがあります。そうなると回復させるのは困難になってしまいます。きれいな水を組むだけにするか、投げ込み式のろ過槽を使用して運搬するとよいでしょう。

コスジイシモチとほかの生物との関係

ほかの魚との混泳

▲コスジイシモチとクロホシイシモチ(奥)

コスジイシモチはほかの魚との混泳ができますが、体表が弱くスレ傷などに弱いところがあります。そのため、気性が激しいスズメダイなどとの混泳はやめたほうがよいでしょう。とくに小型水槽では悲惨な結果になりやすいです。このほか本種を捕食する恐れがあるミノカサゴやカエルアンコウ、ハタの仲間などもいけません。120cm以上の大きな水槽で、ハナダイの仲間やベラの仲間などとであれば飼育できますが、それでもいじめられていないか、よく観察しましょう。なお、同じテンジクダイの仲間であれば問題ないことが多いです。一方でコスジイシモチの口に入ってしまうような小魚も一緒に飼育することはできません。熱帯性の魚との飼育もできますが、あまり似合いません。

サンゴ・無脊椎動物との相性

サンゴとの相性は悪くはないのですが、先述のように大型個体は配合飼料に餌付きにくいことがあったり、大食漢であることから、ミドリイシなどのデリケートなサンゴとの飼育には向かないところもあります。LPSや陰日性のサンゴとの飼育は可能です。ただしイソギンチャクは魚を捕食するおそれがあり、これもおすすめできません。甲殻類はコスジイシモチを傷つけることがあるため避けます。サンゴヤドカリの類、ベニワモンヤドカリなどであれば混泳は可能です。クリーナーシュリンプも可能ですが、オトヒメエビは大きなハサミをもち、魚を襲うこともあるためできるだけ一緒に飼育するのは避けるべきです。逆にサラサエビやペパーミントシュリンプなどは、大きさによってはコスジイシモチに捕食されるおそれもあるため、これもいけません。

コスジイシモチ飼育まとめ

  • 赤身を帯びた縦縞と尾柄部の黒色斑が目印
  • キンセンイシモチに似るが尾柄部に黒色斑がある
  • 全長10cmと比較的大きくなるので要注意
  • 最低でも60cm水槽+上部ろ過槽
  • 高水温に弱いため20~22℃の水温で飼う
  • 配合飼料も食べるがどうしても食わないときは冷凍餌を与える
  • 海水魚店で販売されることはほぼないため釣って採集する
  • なるべく体表に触れないように針をはずし綺麗な水を張ったバケツに入れる
  • ほかの魚や甲殻類との混泳には注意が必要
  • サンゴには無害だがSPSとの飼育には不向き

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