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2020.02.05 (公開 2019.05.13) 海水魚図鑑

ロイヤルグランマの飼育方法~混泳と病気に注意!

ロイヤルグランマ(ロイヤルグラマ)はカリブ海に生息している、紫色と黄色のツートーンカラーが美しい魚です。大きくても全長は8cmほどと小型で60cm水槽でも終生飼育することができます。しかし性格はややきつめで、60cm水槽ではペア以外の複数飼育はできません。

カリブ海にすむため、水温はやや低めの23℃前後での飼育をおすすめします。また、水質にはやや敏感で常にきれいな水で飼育してあげたいものです。メギスやスズメダイなどと比べると若干白点病にかかりやすい面もあり、温度を一定に保つように心がけます。

標準和名 なし
学名 Gramma loreto Poey, 1868
英名 Royal gramma, Fairy bassletなど
分類 条鰭綱・スズキ目・スズキ亜目・グランマ科・Gramma属
全長 8cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッドなど
温度 23℃前後
水槽 60cm~
混泳 性格がきつい魚、似た色彩や形の魚、肉食魚との混泳は不可
サンゴとの飼育

ロイヤルグランマってどんな魚?

▲ロイヤルグランマ

ロイヤルグランマは、スズキ目・グランマ科の海水魚です。本種は西大西洋に生息しているグランマ科と呼ばれるグループの魚で、見た目は西太平洋に生息するバイカラードティバックなどに似ていますが、異なるグループとされます。分布域は西大西洋、カリブ海から南米北部にかけてですが、ブラジルに生息するものは本種と別種のブラジリアンバスレットという別種とされています。また地域や個体により若干色彩の変異がありますが、基本的に紫と黄色という美しいツートンカラーが特徴です。

口腔内で卵を保護する、とされたこともありましたが、卵はサンゴ岩やライブロックなどに産み付けられます。うまくペアになれば産卵させることはできますが、その後稚魚を育てるのが難しいようです。なお、名称については「ロイヤルグラマ」と表記されることもあります。

グランマ科とは

グランマ科の魚は西大西洋にのみ生息し、本種が含まれるGramma属と、小型で美しいLipogramma属の2属、およそ15種が知られる小さなグループです。一般的な観賞魚店で販売されるのはGramma属の本種、ブラジリアンバスレット、全身紫色で口や眼上方が黒くなるブラックキャップバスレット程度です。Gramma属にはほかに2種、イエローチークバスレットと、キューバ特産の希少種デジョンギバスレットがいますが入荷量は少なく高価です。

Lipogramma属のものは白い体に黒い帯が入るバンデッドバスレット、ロイヤルグランマに似た色彩のバイカラーバスレットなどがいますが、これらの種も入荷は少なく入ってきてもかなり高価です。

似た色彩のバイカラードティバック

▲バイカラードティバック

▲ロイヤルグランマ

バイカラードティバックは体の前半分が紫色、体の後方が黄色っぽい色で、ロイヤルグランマと同じようなカラーパターンをもっている魚です。しかしバイカラードティバックはロイヤルグランマとは異なり、メギス科クレナイニセスズメ属の魚です。クレナイニセスズメの仲間は現在のところ8種ほどが知られますが、ふつうは紫色と黄色の体をしており、この模様の違いで種を同定できるようです。産地はインドネシアからミクロネシアまでの西太平洋ですが、日本には産しません。ロイヤルグランマとは体の黄色と紫の境目の部分の様子や、眼を通る線がないことで見分けられます。

お値段もロイヤルグランマよりは安価です。ただしインドネシアから入ってくることが多いので、入荷時の状態については注意が必要となります。またバイカラードティバックのほうがきつめの性格をしています。

バイカラードティバックについては、こちらをご覧くださいませ。

ロイヤルグランマ飼育に適した環境

水槽

小型種ではありますが水質悪化にはやや弱い面があるので、小さくても45cm水槽で飼育するようにします。初心者であれば60cm水槽が適しているでしょう。水質や水温の安定など、ある程度の水量があったほうが有利といえます。

水質とろ過システム

ディズニー映画「ファインディング・ニモ」ではロイヤルグランマの「ガーグル」というキャラクターが登場しています(歯医者さんの水槽で飼育されていた)。ガーグルは大変な潔癖症とされています。実際に飼育してみると本当にきれいな水でなければ飼えない、ということもないのですが、メギス(ニセスズメ、ドティバック)の類と比べると若干水質の悪化に弱いところがありますので、ろ過槽もしっかりしたものを選ぶようにします。45~60cm水槽でも外掛けろ過槽のみの使用はしないほうがよいでしょう。かならず外部ろ過槽や外掛けベンチュリー式プロテインスキマーを併用するようにします。60cm水槽であれば上部ろ過槽と外部ろ過槽の併用もよいですが、もっともおすすめなのはほかのろ過槽と比べて圧倒的なろ過能力が確保できるオーバーフロー水槽での飼育です。

サンゴにはいたずらしませんのでサンゴを飼育するためのベルリンシステムなどでの飼育も可能です。ただしベルリンシステムで飼育するときは魚を入れすぎないよう注意が必要です。自然の海では岩の下などにいることも多く、強い照明を使用しないLPS水槽などがおすすめです。

水温と病気の予防

カリブ海の魚は一般にやや低めの23℃くらいの水温を好みます。一般的なスズメダイの仲間やヤッコの仲間よりもやや低めな23℃ほどの水温で飼育するとよいでしょう。ただうまく飼育していれば25℃くらいの水温でも耐えられるようです。もちろん、水温が一定であることが上手く飼育する条件となります。

また、ロイヤルグランマは白点病にかかりやすい面があるため、水温を一定にしておくことは重要です。病気の予防、というとすぐ「殺菌灯」とか「オゾナイザー」が思いつきがちですが、水温が安定していることが重要といえます。まず水温を安定させたうえで殺菌灯やオゾナイザーの使用をおすすめします。ただし殺菌灯を使用することにより、水温を上昇させることもあるので注意します。クーラーは余裕のあるサイズを購入するようにしたいものです。

隠れ家

▲海藻の茂みに隠れるロイヤルグランマ

ロイヤルグランマは臆病な性格ですので、サンゴ水槽で飼育しない場合でも隠れ家となるライブロックやサンゴ岩などを入れてあげましょう。イワズタの仲間の海藻は栄養塩を吸収したり、水槽に鮮やかな緑を提供するということで入れてもよいのですが、こまめなトリミングが必要なこと、繁茂しすぎると観賞しにくくなることがあるので注意が必要です。

ロイヤルグランマに適した餌

基本的には動物食性です。状態さえまともであれば、「メガバイト レッドS」などの小型魚向け配合飼料をよく食べてくれるはずです。どうしても配合飼料を食べないときはホワイトシュリンプやコペポーダなどの冷凍餌を与えるなどの工夫が必要になることもあります。また気が強い魚がいて怯えて餌が食べられないというときはそのような強い魚を隔離するべきです。

ロイヤルグランマをお迎えする

ロイヤルグランマは西大西洋やカリブ海に生息しています。カリブ海は日本から遠く、その地域の魚はかなり高価なイメージがありますが、ロイヤルグランマはその中ではまだ安価なほうです(ただしキューバ産など、産地によっては高価)。カリブ海産の魚は東南アジアとくらべると比較的状態は良好な状態で来ることが多いです。

ただし東南アジアなどから来る魚同様、入荷直後の個体は購入しないほうが無難といえます。体については体表や鰭に裂けやただれがないこと、また白いちいさな点がついていないこと、口などに目立った傷がないものを選びます。鰭はちょっと裂けているくらいであればすぐに回復しますが、争いでぼろぼろになっているものは避けた方がよいでしょう。

ロイヤルグランマとほかの生物との関係

同種同士の混泳

小型種でかわいらしいのですが、よく似たメギスの仲間同士では争うことがあるのでペアをのぞき、同種同士での混泳は困難ですので、ほかの魚と飼育することになります。

ほかの魚との混泳

▲ロイヤルグランマとブラックテールクロミスの混泳

同じ仲間では争う恐れがあるので、ほかの仲間と混泳するようにします。小型ヤッコ、ハナダイ、ハゼ、ベラ(大きくなるものはだめ)、ハギなどの仲間がよいでしょう。ほかの魚とは協調性があります。スズメダイの仲間はぼろぼろにされることもあるため、デバスズメダイなどおとなしめの種を選ぶなどの工夫が必要になります。

もちろん本種を捕食してしまうような肉食魚、たとえばフエダイ、カサゴ、ハタ、ウツボなどとの組み合わせはいけません。バイカラーバスレットなど、似た色の魚もできるだけ避けるようにします。臆病ではありますが、自分よりも大きめのヤマブキベラなどに対して威嚇するようなこともあります。

サンゴ・無脊椎動物との相性

▲サンゴ水槽で飼育しているロイヤルグランマ

サンゴに対していたずらすることもないため、SPS・LPS・ソフトコーラル問わず一般に販売されるどんなサンゴとも組み合わせられます。サンゴ水槽に最適の魚といえるでしょう。ただし自然界ではやや薄暗い洞窟の中などにすみ、警戒心が強いため、サンゴの隙間などに隠れて観察しにくくなることもあります。

大型のイソギンチャクは魚食性が強いのもいるので避けた方が無難でしょう。イソギンチャク系でもマメスナギンチャクや小型のディスク系は安全です。甲殻類はあまりにも小さいものは食べてしまうこともあり、逆に大きすぎる甲殻類には捕食されることもあります。小型のクリーナーシュリンプや生息地が同じペパーミントシュリンプ、サラサエビの類、小型のサンゴヤドカリなどであれば問題はないでしょう。

ロイヤルグランマ飼育まとめ

  • 西大西洋にのみ生息するグランマ科の魚
  • バイカラーバスレットという魚に色彩がよく似ている
  • 小型種だが60cm水槽で飼育したい
  • きれいな水を好むのでろ過槽もしっかりしたものを使用する。上部ろ過槽・オーバーフロー推奨
  • やや低めの23℃ほどで飼育したい
  • 白点病にかかりやすい面あり。水温を一定に保つようにする
  • 臆病な面もあるためライブロックや岩組で隠れ家をつくる
  • 配合飼料やプランクトンフードなどをよく食べる
  • 入荷してすぐの個体、口や体表に傷があるもの、白い点がついているものなどは購入を避ける
  • ペア以外の同種同士は激しく争う。ほかの魚と組み合わせる
  • 小型のハナダイやハゼ、ベラ、小型ヤッコなどとの混泳に向く
  • 肉食性の魚やメギスの仲間、大型のスズメダイとの混泳は避ける
  • サンゴには無害
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