2020.01.30 (公開 2018.03.12) 海水魚図鑑
サラサゴンベの飼育方法~エビとの混泳は不可
標準和名 | サラサゴンベ |
学名 | Cirrhitichthys falco Randall, 1963 |
分類 | スズキ目・スズキ亜目・ゴンベ科・オキゴンベ属 |
全長 | 7cm |
飼育難易度 | ★☆☆☆☆ |
おすすめの餌 | メガバイトレッド、冷凍イサザアミ |
温度 | 24~26度 |
水槽 | 45cm以上 |
混泳 | 甲殻類や小魚は捕食してしまう |
サンゴ飼育 | 可 |
サラサゴンベってどんな魚?
サラサゴンベはゴンベ科の代表的な魚で、体は白っぽく、体側や背鰭、尾鰭に赤色の斑点が多数散らばる美しい海水魚です。写真では分かりにくいのですが、他のゴンベの仲間と同様に白い糸状突起が背鰭の棘条先端にあります。カラフルな色彩でしかもゴンベ科としては小ぶりなので観賞魚として人気がありますが、性格はきつめですのでおとなしい魚とは飼育しにくいところがあります。
サラサゴンベに適した飼育環境
水槽
サラサゴンベはゴンベ科魚類の仲間では比較的小型種です。45cm水槽でも飼育できますが、混泳を考えるのであれば60cm水槽が最適です。
水質とろ過システム
サラサゴンベは丈夫な海水魚で、多少硝酸塩が検出されても調子を崩して死んでしまうなんてことはないのですが、できるだけ水はきれいに保ちたいものです。45cm水槽であれば外掛けろ過槽だけを使うのは避け、できるだけ外掛けろ過槽と外部ろ過槽を一緒に使用するか、種類は少ないですが、上部ろ過槽を使用するようにしましょう。
60cm水槽では上部ろ過槽が使用できるためさらに飼育しやすくなります。外部ろ過槽もいっしょに使ってろ過能力を増強させればさらによいでしょう。もちろんオーバーフロー水槽が使用できるのであればほかのろ過槽よりもろ過能力が圧倒的に高いので、おすすめといえます。
サラサゴンベはサンゴに悪影響を与えにくいので、サンゴを飼育するためのベルリンシステムでの飼育も可能です。しかしサラサゴンベは肉食性が強く本種を入れるとサンゴ水槽に似合う小型の魚や甲殻類を入れられなくなりますし、魚をたくさん入れることもできません。
水温
基本的に25℃をキープします。大体22~28℃くらいの範囲で飼育できます。重要なのは22℃に設定しても25℃に設定してもこの温度でずっと飼育を続けることです。水温の変動が大きすぎると魚は体調を崩してしまいやすく、病気にかかることもあるので、注意が必要です。
フタ
ゴンベの仲間はたまに水槽から飛び出し、干物になって死んでしまうこともあります。必ずフタをしておきましょう。
サラサゴンベに適した餌
サラサゴンベは動物食性が強く、自然下では小動物を捕食しています。水槽でもすぐ配合飼料を食べてくれるので助かります。また場合によっては冷凍のホワイトシュリンプや魚の切り身などを与えてもよいのですが、このような餌を与えすぎると水を汚しやすいので注意が必要です。
サラサゴンベをお迎えする
サラサゴンベは日本国内においては伊豆以南の太平洋岸と琉球列島に生息しています。採集することも不可能ではないのですが、採集には高度な技術が必要ですので観賞魚店での購入にたよることが多いでしょう。購入するときに見る場所は基本的な魚と一緒です。眼が動くものによく反応すること、吻部に傷がないこと、背肉が落ちていないこと、鰭や体表などに赤い爛れや白い点などがついていないことなどです。またサラサゴンベは安価で販売されており、観賞魚として販売されている個体の産地は大体インドネシアやフィリピンなので、雑に扱われていることも多いのです。そのため入荷してすぐの個体は購入しないのが賢明です。
サラサゴンベの混泳
サラサゴンベと他の魚との混泳
▲やや強めの魚との混泳が適している
ゴンベ科はどの種も気が強いため、混泳相手もやや強い魚を選ぶとよいでしょう。写真のヒレナガハギなどのニザダイ科やイトヒキベラ・クジャクベラなどを含めた各種ベラ(極端な小型種や極端な大型種、オグロベラなど臆病な種はN.G.)、ヤッコ、チョウチョウウオ、メギスなどとの混泳がよいでしょう。スズメダイの仲間は極端にデカいのは性格が極めてきついのでなるべく組み合わせない方がよいかもしれません。
組み合わせていけないのは本種を捕食するハタの仲間やカサゴなどの肉食魚、逆にゴンベの仲間に襲われやすいハゼの仲間や小型カエルウオなどです。またゴンベの仲間同士も激しく争うので一緒の水槽で飼育するべきではありません。
サンゴ・無脊椎動物との相性
▲スカンクシュリンプを襲うことも
サンゴ水槽ではゴンベの仲間はサンゴの上に乗っかることもあるためサンゴがストレスを受けていないか、よく観察しましょう。イソギンチャクの上に乗っかったらサラサゴンベが食べられてしまうこともあるため、カクレクマノミがイソギンチャクと共生している水槽でサラサゴンベを飼育するのは困難といえます。
サラサゴンベは甲殻類が大好物ですので、エビやカニなどの甲殻類との組み合わせも困難です。ほかの魚の体表などにつく寄生虫を食べてくれるクリーナーのアカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)が襲われたという例もあるほどです。そのため甲殻類とは組み合わせない方が無難でしょう。
サラサゴンベの飼育まとめ
海水魚図鑑005.サラサゴンベ
ゴンベ科の海水魚は胸鰭の鰭条が肥厚し、背鰭棘の先端に糸状の小さな突起があるのが特徴。鰾を欠き、泳ぎも独特。丈夫で飼いやすいが飛び出しやすいことと小魚やエビを捕食する恐れがあるのでそのような生物がいる水槽では飼いにくい。 pic.twitter.com/KftDN1U6gQ— 椎名まさと (@aquarium_lab) April 27, 2018
- 美しい色彩が特徴のゴンベ科の小型種
- 丈夫で飼いやすいが、気が強く小魚や甲殻類を食べる
- 小型水槽でも飼えるが、他の魚と飼うなら45cm水槽以上で
- 硝酸塩の濃度が高いと色があせることも
- 水温は25℃。飛び出すこともあるのでフタが必須
- 配合飼料もよく食べる
- 鰭や体表に傷があったり、入荷間もないものは避ける
- 水槽になれれば丈夫で病気にもなりにくい
- 温和な魚との混泳は避ける。クマノミなどとは問題ない
- サンゴとの飼育は可能。できるだけ広い水槽で
- イソギンチャクには食べられるおそれもある
- 甲殻類との飼育は不可。クリーナーシュリンプにも危険