磯採集マニュアル~海で魚を採集しよう!磯へ行く注意点と必要な道具 | 海水魚ラボ

磯採集マニュアル~海で魚を採集しよう!磯へ行く注意点と必要な道具

海で採集した魚を家で飼育するのは本当に楽しいことです。夏から秋には、本来熱帯や亜熱帯に生息する、チョウチョウウオやスズメダイの仲間も磯で採集することができます。

ここでは特に初めて磯採集に臨まれる方のマニュアルとなるような記事を作成しました。採集に必要な道具や、磯の怖さ・注意点、採集できる魚、やって良いこと・悪いこと、などをまとめています。

タイドプールへ行ってみよう

チョウチョウウオなど熱帯性の海水魚を採集する方法には、潜って魚を探す方法や、防波堤などへ出向いて採集する方法もあるのですが、初心者は房総半島以南の太平洋岸にできるタイドプールで採集するのがよいでしょう。

タイドプールとは

▲干潮時に出現したタイドプール

潮の干満により、満潮時に海に沈んでいた磯は、干潮時に海から露出します。その際に岩の窪みに海水が残り、池のようになっていることがあります。これが潮溜まり「タイドプール」です。

タイドプールでは比較的安全に、珍しい魚と出会うチャンスがあるといえ、とくに黒潮に乗り死滅回遊魚が出現する夏から秋の週末には、熱帯性の魚に出会うために多くのアクアリストでにぎわいます。

タイドプール 昼と夜

▲夜のタイドプールで寝ているカエルウオ

潮の干満は通常、1日に2回繰り返します。春から夏は昼の干潮のほうが潮がよく引きますが、晩秋や冬は夜間のほうがよく潮がひきます。

夜間の磯ではチョウチョウウオが眠っていたりするので、昼間俊敏に泳ぐチョウチョウウオも、昼よりは簡単に採集できます。ただし夜間の磯採集は危険ですので、一人ではいかないようにしましょう。

磯採集の季節 採集できる魚

※クリックで拡大できます。

ナベカやアゴハゼなど、周年磯で見られる魚はいますが、その季節独特の魚もいます。チョウチョウウオのような熱帯性の魚で、稚魚が黒潮に乗り関東以南の太平洋側に出現する「死滅回遊魚」を採集するなら夏から秋のはじめがベストシーズンといえます。

冬期や春季にもその時期にしか出現しない魚がいます。そのような魚種にはダンゴウオやメバル類の幼魚など飼育してみたくなるような魚がいますが、冷たい水を好むためクマノミなどの熱帯魚との飼育は難しいので注意が必要です。

死滅回遊魚とは

▲チョウチョウウオの仲間も関東の沿岸で見られる

死滅回遊魚とは、沖縄や東南アジアなどの熱帯・亜熱帯の海域で産まれ、稚魚が黒潮や対馬海流の流れにのって日本沿岸を北上するような魚です。

こうした魚は冬にはぐっと水温が下がる日本近海で生きられないことが多く、ゆえに死滅回遊とよばれ、そのような回遊をする魚を「死滅回遊魚」と呼びます。近年は繁殖はしないものの生き残るものもおり、「無効分散」とか呼ばれています。

死滅回遊魚で多い魚種

  • チョウチョウウオの仲間
  • ニザダイの仲間
  • ベラの仲間

これらの魚は浮遊性の卵を産むことが多かったり、あるいはニザダイの仲間のように稚魚の期間が長いことなどが理由として考えられます。

死滅回遊魚で少ない魚種

  • スズメダイの仲間
  • テンジクダイの仲間
  • アイゴの仲間

これらの魚は卵が浮遊せず稚魚の浮遊期間も短いことなどが理由として考えられます。ただしフグ、カワハギの仲間や、スズメダイ科の魚でもオヤビッチャのように、稚魚が流れ藻や浮遊物につく習性があるものは卵が浮遊しないものでも数多く見られます。

磯採集に持っていく道具リスト

磯採集に持っていくべき「最低限の」道具は以下の通りです。

  • バケツ
  • プラケース
  • 水着と着替え
  • マスク・シュノーケル・フィン
  • エアポンプ・チューブ・ろ過器
  • タオル
  • 懐中電灯

▲潜って採集するのに適した網

▲熱帯魚用の網は潮溜まりでは役に立つ

長い網は潜って採集するのにはあまり適していません。長いものよりも、短い網を二本持つようにします。長いものは重いので歩きにくいというのもデメリットです。二本の網で魚を追いこむようにして採集するのです。

熱帯魚用の網はごく浅い潮溜まりに生息するカエルウオの仲間やスズメダイの仲間を採集するのに適しますが、深めの潮溜まりで魚を採集するのにはあまり適していません。

バケツ

▲コマセバケツのフタに穴をあける

バケツは採集した魚を持ち帰るのに必要です。釣具屋さんなどで販売されているコマセバケツや、やはり釣具屋さんで売っている生き餌用のバケツがよいでしょう。とくに生き餌用のバケツは、エアポンプのチューブを通す穴があらかじめ開いていて便利です。

コマセバケツを魚の運搬用に使用するときは、あらかじめバケツのふたにチューブを通すための穴と、空気を逃すための穴をあけておくと便利です。さらにこのバケツをゴミ袋に包めば、水が漏れて車や他の乗り物が水浸し…なんて事態も起きず、便利です。サイズについては自動車で持ち帰るのであれば大きめのバケツが水量を多く確保でき便利といえます。

プラケース

小型で軽量なプラケースタイプの虫かごを持っていけば採集時に「小さなイケス」として使うことができます。さらに、採集した魚を真横から観察することができます。籠状の虫かごは水から上げたときに水が全部抜けてしまうのでよくありません。

水着と着替え

水着と着替えは必ず必要になります。水着といっても、岩などにぶつかると怪我をするおそれもありますので、Tシャツのようなものを着ていくようにします。ラッシュガードなどでもよいです。

古い靴・捨ててもよい靴

靴も必ず必要です。磯には何が落ちているかわかりません。ビンの破片や死して打ち上げられたハリセンボンを踏んでしまえば、大けがをする恐れもありますので、絶対にはだしで磯を歩いてはいけません。ビーチサンダルも、滑りやすい磯には向いていません。古い靴や磯足袋などを用意しましょう。

マスク・シュノーケル・フィン

マスク、シュノーケル、フィンは潜って採集するのに必要になります。潮溜まりのような場所ではマスクやシュノーケルは必要ですがフィンは必要でないことも多いです。

エアポンプ・チューブ・ろ過器

磯に電気コンセントはありません。従って、エアポンプは電池で動くものしか使用できません。乾電池で動くエアポンプは、磯採集だけでなく万が一、停電が発生したときや、水槽に何らかの問題が発生して時間がかかるリセット作業が必要になった時にも便利です。

電池で動くポンプは、当然ですが、電池がなければ作動しません。作動しなければただの箱ですので注意が必要です。

チューブはエアポンプに付属していることもありますが、付属していない場合は購入しましょう。エアポンプのエア吐出口に合ったサイズのものを購入します。

チューブの片方をエアポンプの吐出口に接続し、もう片方に投げ込み式ろ過器を設置します。これはキンギョなどを飼育するときなどによく使用される製品です。やはりこれも停電や大規模な水替えやリセットが必要になったときなどにも便利なので、ひとつは持っておきたいものです。

タオル

泳いで海から出た後の体や手を拭いたり、着替えをするのに便利です。さまざまなサイズのものを用意しておきましょう。

懐中電灯

懐中電灯は夜間採集するのに必要ですが、昼間に採集していても、夕方帰るときには薄暗くなっていることがありますので、持っていくようにしましょう。電池が入っていなかったり、切れていたりすると使い物になりませんので注意します。

このほか「必要なもの」リストに記しませんでしたが、エアポンプや懐中電灯を動かすための電池や、食料品飲料水、怪我したときなどのための応急手当セットなども必要になります。携帯電話やタブレットなどを持っていく方もおりますが、盗難には注意しましょう。デジタルカメラを持っていくと、プラケースの中に魚を入れて横から魚を撮影したりすることができます。

磯採集のルール・マナー・注意点

磯採集すると問題になる生物を採集しない

▲採集禁止の生物もいるので要注意(千葉県館山)

漁師さんが糧にしている生物は採集禁止となります。具体的には、サザエ、アワビ、トコブシなどの貝類、イセエビ、食用海藻などです。これらは地域によって対象種が異なりますのであらかじめチェックしておく必要があります。

このほかミドリイシなどのハードコーラル(造礁サンゴ)やウミガメの卵も採集が禁止されているので注意が必要です。

たくさん採集しすぎない

▲必要以上には持ち帰らない

採集しても飼育できる個体数には限度があります。ひとつの水槽に魚をぎゅうぎゅうに詰め込むと、水質悪化を招いたり、魚同士で争うなどして結局少ししか残りません。ですから採集しても飼育可能な数だけ持ち帰るようにします。もちろん、自分のほかに採集しに磯にやってくる人の分も残しておくべきです。

なお、持ち帰らない魚も、念のため写真を撮影することをお勧めします。撮影のための専用ケースも販売されていますが、自分で作ることも可能です。これはまた採集のひとつの楽しみといえるでしょう。

熱中症に注意!身の安全が第一(体験談)

▲海中は涼しいが、潮溜まり採集中は熱中症に注意

夏の磯遊びは魚の種類が多く楽しく遊べますが、海は楽しい遊び場であると同時に、人命を落とすおそれもある危険なところです。

遊泳中に何らかの事故が起こらないなんていう保証はありませんので、無理なことをしないようにしましょう。また事故が発生したらその海岸が封鎖されてしまうおそれもあります。無理して事故が起きてしまうと、多くの人が迷惑してしまうのです。

遊泳していないときであっても、熱中症には注意が必要です。とくに海水から出て潮溜まりで遊んでいるときなど、熱中症のリスクが高まるといえます。筆者は友人二人と遠征採集に行った際に熱中症にかかり病院へ運ばれてしまったことがありました。体がなかなか動かなくなり、恐ろしいものです。慣れていても熱中症はふとした気の緩みで襲ってきます。特に初心者の人は、ベテランの方と一緒に同行してもらうとよいでしょう。

危険な生物に注意する

▲小さいながらも強い毒をもつハオコゼ

磯には危険な生物も数多く生息しています。鋭い棘や、鋭い歯を有する魚には触らないのはもちろんですが、一見、それらの特徴がない魚でも触ると危険な魚がいます。

また無脊椎動物の中にも種によっては人間を死に至らしめるような生物がいますので注意が必要です。危険生物の種類や対策については、また別にまとめます。

できれば以下のハンドブックなどを携帯し最低限の知識は頭に入れて磯へ行くようにして下さい。

磯採集ポイントをインターネットで公開しない

採集ポイントをインターネットなどの媒体を用いて他人に教えるようなことは避けるべきです。採集場所を誰もが見られるような媒体で公表してしまうと、業者などがやってきて多数の魚を採集してしまうおそれがあるからです。

特に淡水魚ではそのようなことが起こると絶滅してしまうおそれもあり生息地公開はご法度ともいえるのですが、海水魚の場合も注意する必要があります。以下は私の別ブログで淡水魚の例について解説している記事になります。併せて参考にしてみて下さい。

今、淡水魚が危ない。最近淡水魚がさまざまな理由で絶滅の危機に追いやられている。これについては最近のマグロ類やウナギ類の報道などもあり、多くの人たちが「乱獲」を理由にあげようとするが、実際には生息環境の悪化によるものが多い。種の保存法という法

しかし、データの量が少なすぎるのも問題と言えます。たとえば「外房」「三浦」「葉山町」など市町村くらいまでは書いてもよいでしょう。

磯採集のまとめ

  • 関東地方の磯でもチョウチョウウオなどを採集するチャンスがある
  • チョウチョウウオは稚魚が流れ着いても関東では越冬不可な死滅回遊魚
  • 死滅回遊魚採集シーズンは夏から秋。冬には死滅してしまう
  • 冬採集できるダンゴウオは冷たい水を好み、クマノミと飼育はできない
  • 網は大きいものは扱いにくい。逆に持ち帰るバケツは大きいものを
  • エアポンプ、懐中電灯は電池が必要
  • アワビやサザエ、テングサなどは採集しないように
  • 飼育できる数には限りがあるので大量に持ち帰らないこと
  • 常に身の安全に注意をはらう。危険な生物にも注意
  • 採集ポイントをインターネットで公開することは避ける
  • 可能な限り初心者はベテランと同行したい

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