ウツボ飼育初心者に最適!クモウツボの飼い方 | 海水魚ラボ

ウツボ飼育初心者に最適!クモウツボの飼い方

標準和名:クモウツボ
学名:Echidna nebulosa (Ahl, 1789)
分類:ウナギ目・ウツボ科・ウツボ亜科・アラシウツボ属
全長:60cm

ウツボというと「怖い」「凶暴」「海のギャング」という面が強調されがちです。しかしテレビ番組などで強調されるほど、怖い存在でも海のギャングと言えるようなものでもないのです。

もちろん動物食性で夜間に小魚やイカ、タコなどを捕食するのに鋭い歯をもっていて怖いように見えるのは事実ですが、そんなウツボの仲間も世界で200種近くが知られており、すべてがそのような怖い魚というわけではなく、かわいい見た目のウツボというのもおります。ウツボの中でもクモウツボはかわいいだけでなくウツボ飼育初心者向けの魚でもあり、ウツボの仲間をはじめて飼育するのに最適です。

▲ウツボが餌をねだりに来た。凶暴というイメージにとらわれやすいが、案外かわいい。

初心者向けの理由

クモウツボがウツボ飼育初心者向けと言われているのには、いくつかの理由があります。

水温や水質の変化に強い

▲水深1mの場所で採集したクモウツボ

クモウツボはいったいどんな場所に生息しているでしょうか。分布域は和歌山県以南の太平洋岸、琉球列島、海外では南アフリカからメキシコのバハ-カリフォルニアまでおよび、インド-汎太平洋の熱帯域に広く分布すると言えます。

サンゴ礁域を主な生息場所にしているのですが、水深1mを切るような浅瀬にも多数生息しており、水温や比重の変化が激しい潮溜まりにも生息している本種は、水温や水質の変化にもかなり強いといえそうです。

ただし、さすがに汚い水だと拒食になってしまうこともありますので、なるべく綺麗な水で飼育するようにします。死因で一番多いのは飛び出しと、ウツボ同士の無理な混泳によるもので、病気もほとんどかかりません。

比較的おとなしい

クモウツボは動物食の魚ですが、主に甲殻類や小魚を食べ、ウツボの仲間では比較的温和な性格をしています。大きめの魚となら、さまざまな魚との飼育を楽しむことができます。ただ、ハゼの仲間などの小さな魚と一緒に組み合わせると、食べられてしまうことがあり注意します。

ウツボの全長と寿命

クモウツボは最大で1m近くになるとされますが、ふつうは大きくても全長60cmくらいの比較的小型のウツボで、水槽の中ではもっと小さいことが多いです。そのため初心者向けの一般的な60cmほどの水槽でも長く飼育することができます。

ウツボは上手く飼育すれば30年以上生きるものもいるようです。海水魚の中でも寿命は非常に長い種です。

クモウツボの特徴

クモウツボはウツボ科のうちウツボ亜科のアラシウツボ属に含まれます。ウツボ科にはウツボ亜科とキカイウツボ亜科がいますが、観賞魚として流通するのはウツボ亜科のものが多く、キカイウツボ亜科の魚はモヨウキカイウツボなど少数派といえます。

体には黒っぽいアメーバ状の斑紋や黄色っぽい斑点があり、鼻管や眼が黄色っぽいのが特徴です。歯は多くが臼歯状ですが、前上顎の歯は雌雄によって形が異なり、雄は鋭い歯をもちます。雌はほかの歯と同様に臼歯状となっています。

クモウツボに適した環境

水槽

クモウツボのような比較的小型の種であれば60cm水槽でも飼育できます。混泳を考えるのであれば90cm以上の水槽があるとよいでしょう。オーバーフロー水槽で飼育するときは、フロー管からサンプ(水溜め)に落ちないようにフェンスを付けるなどの工夫が必要ですが、水を汚しやすいウツボの飼育に重要な広いろ過スペースを確保できるなど、他の水槽よりも大きなメリットがあります。

ろ過装置

ウツボには生の餌を与えることが多いので、水が汚れやすくなります。ろ過装置はきちんとしたものを選ぶようにします。

外掛け式フィルターは隙間ができやすく賢明な選択とは言えません。上部ろ過槽や外部ろ過槽、オーバーフロー水槽のサンプにろ過槽を設けるやり方が現実的といえますが、外部ろ過槽はパワーがイマイチであることや酸欠が起こりやすいなどの点に注意します。ワンランク上の機種を選ぶようにするとよいでしょう。

フタ

ウツボの仲間を飼育するのに最も大事なのがフタです。観賞魚の飼育ではガラス製のふたが一般的なのですが、アクリル製や塩ビ、プラスチック製のフタが良いチョイスといえます。プラスチック製のふたは加工がしやすいというメリットがあり、外部ろ過槽などのパイプやホースにあわせてカットすればウツボが脱走しにくくなります。

フタに重石をのせて脱走を防ぐようにしたいところですが、あまり重いものだとガラス製のフタが割れてしまうおそれがあります。これもアクリルや塩ビ、プラスチックのフタをすすめる理由です。また、厚いプラ板などを使ったり、プラスチックの板を隙間に置くなどしてウツボの脱出を防ぐようにしたいものです。

クモウツボは砂を掘ったりすることもありますので、サンゴ砂を底に敷いておくことをおすすめします。パウダー状の砂は水中を舞ってしまいやすいので、それよりも粗いサンゴ砂を敷いておけばよいでしょう。

飾り

観賞魚店では塩ビのパイプが入れられていることも多いのですが、パイプでなくても隠れられるようなものがあればよいです。ライブロックや、サンゴ岩などを上手く組み合わせて、ウツボの隠れ家を作りましょう。

クモウツボの餌

▲オキアミを与えている様子。餌の単用は避けたいところ。

基本的に動物食性ですので、餌も動物質のものを中心に与えます。クモウツボの食性は先ほども述べたように甲殻類や小魚なのですが、やはりウツボの仲間ですので、イカやタコも好んで食べます。

イカを丸々1匹買ってきて足の部分だけをウツボにあげたり、アジなどの切り身をあげるのも良いでしょう。ただし生のイカや魚には寄生虫がついていることもありますので、いったん冷凍することをおすすめします。慣れたら配合飼料もたべます。いずれにせよ1種類の冷凍餌だけ与えるのは良くありません。複数種の餌を与えるようにしましょう。

クモウツボの選び方

▲採集してきたクモウツボ

選び方の基本は一般的な他の魚と同様です。入荷直後は避けることと、体や顎に傷がついているもの、顎が赤みを帯びているのは避けるようにします。早く配合飼料に餌付かせたいときは配合飼料を食べているものを選ぶのも手ですが、環境が変わってしまうと一旦餌を食べなくなることもあります。

流通している個体サイズはさまざまで、全長30cm前後のものから、まれに入ってくるものには人間の中指くらいの大きさしかないものまでいます。小さいサイズはとてもかわいいのですが、餌の問題や脱走の問題などもあり、初心者にはあまり向きません。

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クモウツボと他の魚の混泳

▲他の魚との混泳

▲細めのカエルウオの仲間は餌になる恐れあり

比較的温和なクモウツボですが、それでも口に入るような魚や、ハゼの仲間、ギンポの仲間、サンゴアマダイなど細長い体形の魚はクモウツボの餌になってしまうおそれがありますので一緒に飼育することは難しいでしょう。

ウツボの仲間同士の混泳は、本種がウツボの仲間では比較的温和であることを理解しておく必要があります。ウツボ属の魚やトラウツボの仲間など、大きくなる種類との混泳はやめたほうがよいでしょう。とくにドクウツボ、ニセゴイシウツボ、グリーンモレイなどの大型種との混泳はやめましょう。

サンゴ・無脊椎動物の関係

▲クモウツボは甲殻類が大好物

ライブコーラルには害を与えることもありませんので一緒に飼育することができます。体表を掃除するオトヒメエビなどのクリーナーシュリンプも一緒に飼育するのも手ですが、ウツボに食べられてしまうおそれもあります。他の甲殻類は食べてしまうこともありますので、一緒に飼育することはすすめられません。

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クモウツボ飼育まとめ

  • ウツボの中でも温和でやや小型、丈夫で飼いやすい種
  • 脱走と水質悪化に注意
  • 魚の切り身やイカの脚などを与えるが、慣れれば配合飼料も食べる
  • ウツボの仲間では温和だが、他魚との混泳は注意
  • 逆に大型のウツボとの混泳は危険
  • 甲殻類は捕食するおそれあり

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コメント

  1. ナガレホトケドジョウ より:

    いつも読ませてもらってます!魚の採集方法、採った魚の持ち帰り方などを紹介していただくと幸いです!

    • 椎名 より:

      ナガレホトケドジョウさん こんにちは。

      お返事遅くなり申し訳ありません。魚の採集方法などについても、近いうち記事にしたいと思います。お楽しみにしていてください。