2019.03.28 (公開 2017.09.13) 海水魚図鑑
ケラマハナダイの飼育方法~おすすめの餌や混泳のポイント
ケラマハナダイはキンギョハナダイに似た、やや大型になるハナダイの仲間です。ハナダイの仲間は全て飼育しやすいといわけではなく、臆病で飼育が難しいものがいますが、ケラマハナダイはたいへん飼いやすく、初心者にもおすすめです。
標準和名 | ケラマハナダイ |
学名 | Pseudanthias hypselosoma Bleeker, 1878 |
分類 | スズキ目・ハタ科・ハナダイ亜科・ナガハナダイ属 |
全長 | 15~19cm |
飼育難易度 | ★☆☆☆☆ |
おすすめの餌 | メガバイトレッドS など |
温度 | 23~26度 |
水槽 | 60cm~ |
混泳 | おとなしい魚との混泳が向く |
サンゴ飼育 | 可 |
ケラマハナダイってどんな魚?
ケラマハナダイは以前紹介したキンギョハナダイに近縁なハナダイの仲間です。ハナダイの仲間といえば、飼育が難しそうなイメージがありますが、このケラマハナダイは丈夫で強健、とても飼育しやすい種類です。雄は全長10cmを超えるので、ナガハナダイ属の中でもかなり大きくなる種と言えます。最大で19cmにも達するようです。
雌雄の違い
▲ケラマハナダイの雌
▲ケラマハナダイの雄
キンギョハナダイの雌はオレンジ色をしていますが、ケラマハナダイの雌は鮮やかなピンク色、もしくは薄いオレンジ色をしており、眼の上方が青いのが特徴です(写真)。雄の背鰭鰭膜には赤色斑(矢印)があるのが大きな特徴です。このほかキンギョハナダイと異なり、背鰭が伸びないのも特徴といえます。
ケラマハナダイに適した環境
水槽
▲60cm水槽で飼育されるケラマハナダイ
本種の飼育については基本的にキンギョハナダイと同様ですが、キンギョハナダイよりも大きくなるようですので、大きめの水槽が欲しいところです。60cm水槽でも飼育は十分に可能ですが、できれば90cmくらいの大きめの水槽でゆったりと泳がせたいところです。
ろ過槽
ケラマハナダイは潮通しのよいサンゴ礁域に群れで生息していますので、きれいな水で飼育することが重要です。ハナダイの仲間は綺麗な水で飼育しないと、色があせたり、病気になる恐れがあるからです。外部ろ過槽よりは上部ろ過槽、もしくは水槽をオーバーフロー水槽にして、サンプ(水溜)でろ過するなどして強力にろ過を行います。もしくはプロテインスキマーを使用し、残り餌や排せつ物の段階で水槽から取り除くのもよいでしょう。
飾りサンゴ
サンゴ水槽であれば危急時はサンゴの合間などに隠れますが、そうでない場合や夜間の睡眠時に隠れられるように飾りサンゴやライブロックを入れておくようにします。しかし、あまりにも水槽内に多量に入れてしまうと遊泳の邪魔になってしまうので注意して下さい。遊泳のための空間に配慮しながら飾りサンゴやライブロックを組みあわせます。
水温
キンギョハナダイ同様、ケラマハナダイも25℃前後の水温をキープするようにします。
水深40m以深にも生息しており、もう少し低めの23℃前後でもかまいません。逆に極端な高水温にならないように注意するべきです。夏はクーラーがあると快適でしょう。
フタ
ハナダイの仲間はたまに水槽から飛び跳ねてしまうこともありますので、フタをしっかりするようにしましょう。
水流
ハナダイの仲間は潮の流れが強いサンゴ礁域に生息し、流れてくるプランクトンを泳ぎながら捕食します。水槽内でも小型の水中ポンプを用意して水槽に水流を生み出すとよいでしょう。もちろんサンゴとともに本種を飼育するのであれば、そのサンゴにあった水流ポンプが必要になります。
ケラマハナダイにおすすめの餌
ケラマハナダイは小さいうちは細かい配合飼料やプランクトンフードなどをまめに与える必要がありますが初心者には向きません。全長5~6cm以上の個体が初心者でも飼育しやすいでしょう。
5cm以上のケラマハナダイは配合飼料をメインに、ホワイトシュリンプやイワシのミンチなどの冷凍フードなどを与えますが、冷凍餌は水質の悪化につながりやすいので注意して下さい。
ケラマハナダイをお迎えする
▲雌の眼は上方が青くなる
観賞魚店では雌の眼の上方が青くなっていることから「ブルーアイアンティアス」という名前で販売されていることもあります。
本種はインド-太平洋のサンゴ礁域に広く分布し、主にフィリピンやインドネシアなどの東南アジア、沖縄で採集されたものが入ってきます。
選ぶ際に注意したいポイントは、入荷して時間がたっているもの、鰭がぼろぼろになっていないもの、ゆったりと泳いでいるものを選ぶようにします。
鰭が腐っているようになっていたり、体表に白色の点がついている個体は、他の個体にもうつるおそれがあるので、同じ水槽で泳いでいる他の個体を含め避けたほうがよいでしょう。
ケラマハナダイの混泳
ケラマハナダイは、口に入らないサイズの魚や他の魚との混泳をたのしむことができます。もちろん、サンゴ水槽での飼育も楽しめます。
ケラマハナダイの同種との混泳
キンギョハナダイと同様、雄同士の複数飼育は争う可能性が高いので避けるようにします。雌同士の複数飼育も可能ですが、90cmほどの水槽では雄1匹、雌2~3匹程度がよいでしょう。
ケラマハナダイと他の魚との混泳
他のハナダイとの混泳はよほどのサイズの水槽でないと難しいです。特にケラマハナダイはハナダイの仲間でも特に大きくなる種類ですので、小型で温和のハナゴイの仲間などを後から追加するのは避けた方が無難かもしれません。
ハナダイ以外の魚との関係は概ね良好で、カクレクマノミなど小型のクマノミ類、スズメダイ類(ただしデバスズメダイなど温和なもの)、小型ヤッコ、同じくらいのサイズのベラ、ニザダイ、アイゴなど色々な魚と飼育可能です。もちろん魚食性のカサゴやアンコウ類などは避けるようにします。
ケラマハナダイとサンゴ・無脊椎動物との関係
サンゴとの飼育については何も問題はありません。特にオオバナサンゴやキクメイシといったLPSとの飼育やトサカなどのソフトコーラルとの飼育はおすすめです。ミドリイシなどのSPSとの飼育も可能ですが、餌のあげすぎで水質が悪化しないように十分注意する必要があります。
小形のサンゴヤドカリ類、サラサエビやキャメルシュリンプの類などはハナダイの食べ残しを食べてくれるのでおすすめです。ただし極小サイズのカクレエビの仲間などはケラマハナダイに捕食される恐れがあります。逆にイセエビの仲間など大型の甲殻類は魚を捕食するおそれもあり、これもすすめられません。
ケラマハナダイの飼育ポイント
- キンギョハナダイの近縁種で、比較的大型になる
- 雌は眼の上方が青く「ブルーアイアンティアス」と呼ばれる
- 丈夫で飼育しやすいが綺麗な水で飼育する。高水温にも注意
- 同種の雄同士は混泳に注意
- 大型になる種なので、後からほかのハナダイを入れない方がよい
- 同じくらいの大きさの他魚との混泳も可能
- サンゴやヤドカリなどとの混泳も可能
- エビは極端に小さなものや逆に大きなものは避ける