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2020.09.25 (公開 2019.05.21) メンテナンス

【海水用】水質を測定する水質テスターの種類と使用方法

海水魚やサンゴを飼育するのに重要なことのひとつは、できるだけよい水質をキープすることです。水槽では水が汚くなっても逃げることはできず、水質が悪化すると魚は致命的なダメージを受け、それにより魚が死んでしまうことさえあります。

しかし我々の目ではどのくらい水質が汚れているのか判断することは難しいです。そのため、水質を水質テスターで調べることが重要といえます。特に初心者が水槽を立ち上げたとき、新しい魚を足すときなどは有毒のアンモニアや亜硝酸塩が発生しやすいので、あらかじめチェックしておきたいものです。

水質検査の重要性

私たちは空気が汚いと思えばその場所から逃げるなどして対策ができますが、飼育している魚がいる「水槽」という環境では、水が汚くなったら水槽から逃げることはできません。つまり、水質が悪化するということは魚は致命的なダメージを受けてしまい、それにより魚が死んでしまうこともあります。ですから水質検査を行い水質をきちんと把握しておくことが重要です。もちろん、水かえもきちんと定期的に行うことが大事です。

また、飼育が難しいミドリイシを飼育するときには、上記のような理由のほか、成長に必要な成分を添加するために水質検査を行い、検査結果をもとに適量を添加することになります。このような水質検査を行うのにテスターを使用します。また、pHなど一部の項目はテスターだけでなく機械を使ったり、理科の実験で使用されるリトマス紙のような試験紙を使って計測することもできます。

テスターで測定できるもの

アンモニア

アンモニアは魚の排せつ物などから発生します。魚にとっては有毒な物質ですが、ニトロソモナスというバクテリアが亜硝酸に分解してくれます。

アンモニアが高濃度で検出されるようでは魚は飼育困難です。アンモニアを分解するバクテリアを追加することで濃度を減らすこともできますが、水槽に魚を入れて間もない時期(まだバクテリアが繁殖していない)や、リセットしてすぐの時を除き、アンモニアが検出されるようでは根本的に飼育環境を見直すべきでしょう。

亜硝酸塩

アンモニアがニトロソモナスにより分解されると亜硝酸になります。アンモニアよりも毒性が低いのですが、これも検出されてしまうと魚には有毒ですし、サンゴにとっては生存が危ぶまれることになってしまいます。アンモニアと同様、立ち上げてすぐのときや、ろ過槽などを洗浄したときなどに出てくることが多いです。

硝酸塩

バクテリアの力でアンモニアは亜硝酸塩へ、亜硝酸は硝酸塩へと分解されます。魚は硝酸塩濃度が高くても耐えられますがサンゴ、とくにミドリイシなどのデリケートな種は硝酸塩濃度が高いと弱ってしまうこともあります。この硝酸塩はバクテリアで分解するのではなく、水かえで対応します。またリン酸塩やケイ酸塩同様コケの栄養にもなります。

硝酸塩は通常のシステムではこれ以上分解されませんので定期的に水かえを行うことで水槽外へ取り除くことになります。このほかバイオペレットを回したり、レッドシーの添加剤NO3:PO4-Xなどを使用する必要があります。

pH

pHは「水素イオン濃度」と呼ばれるもので、pH7が中性、それより大きい値では「アルカリ性」で、小さい値が「酸性」となります。海水水槽では8.2前後がふつうです。ただpHは一定ではありません。これは魚やサンゴなど生き物の呼吸や生物ろ過の過程で水槽の水が徐々に酸性化していくようです。また夜間にはpHが下がっていく傾向にあります。

砂を敷かない魚混泳水槽ではpHが下がってしますので注意します。一方サンゴ砂を敷いている水槽ではサンゴ砂の成分が溶け出してpHが安定しやすくなります。

pHを上げるのであればバッファー剤などを使用します。pHを測定するのには水質テスターを使用する方法のほか、テトラから出ている試験紙や、機械などを使用して測定することもできます。

リン酸塩/ケイ酸塩

リン酸もケイ酸もコケの栄養になる成分です。リン酸は魚の餌に、ケイ酸は水道水に含まれているので、なかなか防ぐことができませんが、専用の吸着剤が販売されており、それを使うとよいでしょう。ケイ酸塩を取り除くのであれば専用のRO/DIフィルターの使用も有効です。

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カルシウム

▲ハードコーラル全般に必要な成分だが過多はよくない

ここまでは魚やサンゴに悪影響を及ぼすものを紹介してきましたが、ここからは魚やサンゴの栄養として水槽に添加したい成分で、濃度をチェックしたいものをご紹介します。カルシウムはサンゴにとっては重要で、ミドリイシを飼育するのであれば400~450ppm程度が望ましいとされます。カルシウムが不足するとKHやpHにも影響を及ぼし、ミドリイシは白化してしまうおそれがありますが、過度な添加はイオンバランスを崩すおそれもあるため、添加剤を使用する際にはできればテスターを使用しながら添加したいものです。なお、カルシウムを添加するのであれば添加剤のほかに、カルシウムリアクターを使用して添加する方法もあります。

マグネシウム

▲マグネシウムもサンゴには必須な成分。添加剤を使用して添加する

マグネシウムもカルシウム同様にサンゴ、とくにハードコーラルにとっては必要な元素です。ミドリイシを飼育するのであれば、1200~1350ppm程度が望ましいです。、マグネシウムの量が少ないとカルシウムは沈殿してしまうので、定期的な添加が必須とされます。

テスターのブランドとラインナップ

レッドシー

▲レッドシーのテストキットで硝酸塩を測定しているようす

イスラエルのレッドシーはさまざまなマリンアクアリウム関連商品を販売していますが、テストキット、つまり水質テスターも多数販売されています。レッドシーはアンモニアや亜硝酸/硝酸塩の計測はもちろんのこと、カルシウムやマグネシウム、KHなどを高精度で計ることができるさまざまなテストキットを用意しています。とくに同社が提唱している添加剤を用いてサンゴの色彩を上げたり、健康管理や成長を行わせる「リーフケアプログラム」ではこのテストキットが重要になります。

レッドシーのテストキットのうち初心者におすすめなのが「マリンケア マルチテストキット」で、アンモニアや硝酸塩など、マリンアクアリウムにおいて基本的な項目をチェックすることができます。このほか、コケの成分をコントロールするための「アルジーマネージメントプログラム」を行うのに必要な「アルジーマネージメントプロ テストキット」では硝酸塩とリン酸塩を計測できます。ほかサンゴの色揚げなどに使う添加剤の添加を行うために水槽内の成分の濃度を測る「アイオディン プロテストキット」「ポタシウム プロテストキット」「コーラルカラー プロテストキット」などもあります。

また各種テストキットには安価な詰め替え用も用意されているというところもうれしいものです。もちろんこの詰め替え用のものだけでは水質を測定することはできませんので、注意が必要です。

テトラ

ドイツのテトラブランドからも水質テスターがいろいろ販売されています。ただしアンモニアのテスターは水酸化リチウムを微量に含んでおり現在は製造終了となっています(これを含んでいると保管などに制約が出てくる)。現在は亜硝酸塩試薬およびKH試薬が販売されています。

また簡易測定用ではありますが、「5in1 マリン試験紙」という製品もあります。これは亜硝酸塩、KHのほか、硝酸塩、pH、カルシウムが測定可能です。これで計測できるもののうちpH、硝酸塩、亜硝酸塩は単品の試験紙も販売されています。また、一部のテスター類は淡水魚専用のものがありますので、注意が必要です。

テトラ (Tetra) テスト 5 in 1 マリン

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そのほか

▲トリトンラボのICP-OES水質検査キット

ドイツの「トリトンラボ」(Triton GmbH)というところが、ICP-OES法という方式の水質測定装置を行い、32の元素を正確に測定することができるキットを販売しています。日本に何店舗かあるトリトンラボ取扱店で容器を購入でき、ユーザーは飼育水をキットの中に入れ、取扱店へと持ち込みます。日本におけるトリトンラボ代理店オーシャンアース(岡山県)経由でドイツのトリトンラボに送られ、水質分析を行うことができるというものです(トリトンラボ社HPでのユーザー登録が必要)。

初心者アクアリストはどれを買えばいいの?

海水魚飼育をはじめるにあたり、少なくともアンモニア、硝酸/亜硝酸はチェックするようにしたいものです。とくに立ち上げたばかりのときはアンモニアと亜硝酸はチェックするようにしましょう。水槽の水質が安定したら硝酸塩を主にチェックするようにしますが、水槽のろ過槽などを掃除したり、大量の水をかえた場合、魚を新たに追加したときなどは、立ち上がった水槽でも念のためアンモニアと亜硝酸塩もチェックしたいところです。

お値段はちょっと高めではありますがレッドシーの「マリンケア マルチテストキット」ではpH、KH、アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩を測定できるのでおすすめです。立ち上げに失敗して海水魚を死なせてしまうと悲しいですので、そうならないためにも最初はこのようなテスターに頼るのがよいでしょう。サンゴを飼育するのであれば、レッドシーの「ファンデーション マルチテストキット」でマグネシウム、カルシウム、KHを計測する必要があります。

水質テスターまとめ

  • 目ではうまく見えない水質をチェックするために重要
  • 水槽を立ち上げてすぐのとき、ろ過槽の掃除後、魚を足した後などは要チェック
  • アンモニアは立ち上げ後、ろ過槽の掃除後、魚を足した後などにチェックする
  • 亜硝酸塩も立ち上げ後、ろ過槽の掃除後、魚を足した後などにチェックする
  • それらのとき以外でアンモニア・亜硝酸が発生したら水質を見直す必要がある
  • 硝酸塩は定期的にチェックしたい
  • pHはとくに魚水槽では要チェック。底にサンゴ砂を敷かないと酸性に傾きやすい
  • リン酸・ケイ酸はコケの栄養になる
  • ミドリイシなどのサンゴを飼育するときはカルシウムやストロンチウムもしっかりチェックしたい
  • レッドシーのテストキットは種類が豊富、詰め替え用も豊富で使いやすい
  • テトラからも水質テスターが販売されている
  • 初心者がテスターを購入するならレッドシーの「マリンケア マルチテストキット」がおすすめ
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