2020.12.07 (公開 2020.12.07) メンテナンス
レッドシーソルトの使い方~紅海の天然海水からつくられた人工海水のもと
「レッドシーソルト」は、紅海の海水から作られた人工海水のもとです。紅海の環境は安定しているのが特徴で、高い品質と元素のバランスのよい人工海水となっています。世界の多くの国々で愛用されており、日本でも「ライブシーソルト」や「シーライフ」などと同様によく使用されている人工海水です。今回はこのレッドシーソルトの使い方をご紹介します。
レッドシーソルトとは
レッドシーソルトはイスラエルのレッドシー社が製造する人工海水です。レッドシー(紅海)の名前の通り、紅海の海水から製造しているものです。カルシウム、マグネシウム、重炭酸塩などの元素がバランスよく高い比率で配合されています。アルカリニティは8dKHで、ミドリイシを含めた多くのサンゴ、海水魚、無脊椎動物、イソギンチャクに適しています。日本では多くのアクアリストが使用し、同じくレッドシーが提唱する、サンゴのための色揚げプログラムである「リーフケアプログラム」と合わせて使っているアクアリストも多いです。
紅海の海水の特徴
レッドシーソルトの「ふるさと」である紅海は西をアフリカ大陸、東をアラビア半島に囲まれた海で、北はエジプトのスエズとポートサイドの間にあるスエズ運河の開通により地中海と、南はアデン湾を経てインド洋とつながっています。周囲は砂漠地帯であり、河川の入り込みが少ないため、塩分が高めで比重も高く安定しているという特徴があります(ただしそれにより紅海産海水魚は低比重に弱いといわれているので注意が必要)。陸上は生命の息吹の少ない、厳しい環境ですが、海の中は巨大なサンゴ礁が多くのダイバーを魅了します。
なお紅海のサンゴ礁にはカラフルな海水魚が多数知られ、マリンアクアリストにはお馴染みです。チョウチョウウオはゴールデンバタフライフィッシュを筆頭にホワイトフェイスバタフライフィッシュ、レッドシーラクーンバタフライフィッシュ、レッドバックバタフライフィッシュなど。ヤッコはレッドシーエンゼルフィッシュが固有種。ベラは種類が多くレッドシークリーナーラスやエイトラインラスなど。このほか広い分布の種でもニシキヤッコの黄色みが強い個体や、タテジマキンチャクダイのオレンジテール、黒色斑のないトゲチョウチョウウオなどのバリエーションも見られこれらの種類も輸入されることがあります。なお一部の海水魚は紅海から地中海へスエズ運河を経由し分布を広げています。
レッドシーソルトの使い方
レッドシーソルトはサイズごとに何種類か市販されています。用途に合わせて必要なものを選ぶことができます。
バケツ
よく陳列され見る機会が多いのがバケツです。デバスズメダイがサンゴの中に入っている写真が使われている紺色のバケツがレッドシーソルトで、このバケツも2種類あり、7㎏(210リットル用)のものと22㎏(660リットル)のものがあります。バケツ入りのメリットとしては保管しやすいことや、水かえの時などに使えて便利であること。デメリットとしては場所を取ることです。なお採集した魚をレッドシーソルトのバケツで運ぶなら水量の多い22㎏のバケツのほうが適しているでしょう。
袋
バケツをすでに購入し使い切ってしまったのならあとは袋を購入するだけでよいです。袋入りのものも各サイズがそろいます。一番小さな袋は10リットル用のものであり、小型水槽や非常時にもおすすめです。最も大きなものでは600リットル用のものまであります。大型水槽や頻繁な水かえをするのにあたってはこちらが役に立つでしょう。
便利グッズ
以前はレッドシーソルト専用のメジャーカップが販売されていました。これは簡単にレッドシーソルトやコーラルプロソルトを水に溶かす分量をはかることができるすぐれものです。ただし現在は製造中止のようで、在庫しているお店以外ではなかなか手に入れることができません。
上位アイテム「コーラルプロソルト」との違い
レッドシー社製の人工海水にはベーシックなレッドシーソルトのほか、サンゴの成長に適したコーラルプロソルトも市販されています。レッドシーソルトよりも高めのアルカリニティ(12dKH)で、サンゴの成長を促すのに最適です。バケツはサンゴの合間にナンヨウハギの写真が使用された黒いバケツです。特に高いKHを維持しレッドシーソルトよりも早く成長させることができ、特におなじレッドシーのリーフケアプログラムを使用することにより成長速度を自然の4倍まで早められるといいます。またLPSであってもアザミハナガタサンゴなどは骨格の密度が高く高めのKHで飼育したいサンゴであり、コーラルプロソルトのほうをおすすめします。
一方レッドシー リーフケアプログラムによる色あげ効果を期待するのであれば、レッドシーソルトのほうが向いているといいます。レッドシーのWEBサイトでは、自分の水槽にはどちらの人工海水のもとが適しているか調べることができるようになっています。魚がメインならばレッドシーソルトで全く問題なしです。
実際に使用してみました
今回はレッドシーソルト334グラムの袋を使用します。なお、レッドシーソルトは以前ご紹介しましたライブシーソルトとは異なり、カルキ抜きの成分が含まれていませんので、水道水で溶かすのであれば、別途カルキ抜きを購入しなければなりません。なお飼育する生物にあわせて溶かす量は異なります。海水魚飼育の場合は10リットル(比重1.0215)、サンゴ飼育の場合は8.7リットル(比重1.0255)の真水(RO水、もしくはカルキ抜きをした水道水)に溶かします。
まずは人工海水をつくるまえに10リットル用のRO水を25℃にあたためておきます。これは比重は水温により変動するためです。写真のヒーターは一定の水温にあたためるオートヒーターですが、できればサーモスタットで温度調節できるタイプのヒーターが望ましいです。
レッドシーソルトを25℃に調節した真水に溶かします。溶かすと水が白く濁りますので攪拌を行います。
塩がすべて溶けるまでしっかりと攪拌します。透明になっても底に塩が沈殿している可能性がありますので、しっかりかき混ぜましょう。
比重計で比重をチェックし、適した比重になるまで水やレッドシーソルトを加えて調節します。
水槽に入れます。今回のような少量の場合はプラケースでいれてもよいのですが、大型水槽向けであればポンプとホースの使用が最適です。入れた直後は魚やサンゴに悪影響が及んでいないか、よく観察したいものです。
レッドシーソルトまとめ
- 紅海のきれいな海水から作られる人工海水
- アルカリニティは8dKH
- リーフケアプログラムとの組み合わせによりサンゴの色揚げがしやすい
- 10リットルから660リットル用まで用途別に選ぶことができる
- カルキ抜きは含まれていないので水道水に溶かすときはカルキ抜きが必要
- 10リットル用であれば10リットルの真水に溶かせば比重1.0215の人工海水ができる
- 姉妹品のコーラルプロソルトであればよりアルカリニティの高い人工海水を作ることができる