2020.08.05 (公開 2020.03.31) メンテナンス

危険?安全?ライブロックから出現する生物ガイド

ライブロックは英語で「Live rock」つまり「生きた岩」という意味になります。ライブロックに生きたバクテリアがすむほか、ライブロックに開いた穴の中や、そのすきまにもいろいろな生物が潜んでおり、どんな生き物が隠れているか見るのも楽しみというものです。しかしながらこれらの生物の中には水槽の生物にとって脅威になるものも潜んでいます。今回はライブロックに潜んでいる生物とその対策についてご紹介します。

ライブロックから出現する生物たち

マリンアクアリウムの水槽立ち上げにおいて重要な役割をするライブロックですが、その中から出現する生物は無数に存在します。今回はその中の代表的な生物をご紹介します。

シャコ

有害?無害?

シャコは動物食性が極めて強く魚を襲ったりほかの生物も傷つけるなどします。そのためシャコはほかの魚やサンゴに有害とされています。また大きなものは薄い水槽を割ってしまうこともあるようで、注意が必要になります。

対処法

シャコは甲殻類としては結構頭がいいところがあります。シャコをとるためのワナも市販されていますが、効果は不明です。くぼみの小さな穴の中に潜んでいることも多いので、いないか探してみましょう。結論としては入れないことが重要となります。

カニ

カニもライブロックの中に見られる生物としては多いものです。種類は非常に多く、小さいものから大きく育つものまでいろいろいます。多くはオウギガニ科のカニで、脚部がオールのようになっているワタリガニ科のカニやイソガニ系のカニもたまに見られるようです。ライブロックの中に潜む甲殻類はシャコやカニが多く、エビなどほかの甲殻類はめったに見られません。エビの仲間は体がやわらかいものが多く、つぶれて死んでしまうこともあるからか数は少なめです。

有害?無害?

一般的にライブロックの中にいるものはオウギガニの仲間であることが多く、とくに小型のものはあまり影響をあたえませんが、大型のものは魚を食べたり、岩組を破壊したり、一部のサンゴを食べてしまうようなものもいます。

対処法

昼間は岩の隙間にいることが多く、夜間出てくることが多いです。そこを捕まえるのがいちばん簡単でしょう。ただしはさむ力が非常に強いものもおり、実際につかまえるときはピンセットを使うのがよいでしょう。またカニに限らず甲殻類の仲間はハサミを使ってサンゴを岩組から落下させることもあるので専用の接着剤を使用して岩組に固定するようにします。

ウミケムシ

ウミケムシはゴカイの仲間です。漢字で「海毛虫」と書くように毛虫のような体をしていて不気味がられる生き物でしかも毛には毒があります。ライブロックの中に潜み夜間に活動するようです。

有害?無害?

上述のように毒の毛に触れると痛痒いです。ただし魚を襲ったりするようなタイプではないようです。

対処法

発見次第摘み取り除きます。もちろん手で取り除くのは危険なので、ピンセットなどを使用しましょう。アローヘッドクラブなどの一部の生物が食べてくれますが、入れることによるデメリットもあるので発見次第摘んで水槽から出すのが重要です。体の一部が残っているとまた大きくなったものと遭遇することになりますので確実に取り除くようにします。

ウズマキゴカイの仲間

ライブロックや貝類の殻、水槽の壁面、ガラス・アクリル面にくっつくゴカイの仲間で、筒の中にゴカイの仲間が潜んでいます。水槽内では時に大発生することがありますが、水槽の中が見えにくくなるものの、とくに有害生物というわけではありません。

有害?無害?

魚やサンゴには全く無害な生き物です。ただし水槽の壁面やガラスやアクリル面にくっついてしまい、なかなか取れないこともあります。

対処法

スクレイパーなどを使用し水槽や壁面についているウズマキゴカイを削り取ります。アクリル水槽は傷つきやすいので専用のスクレイパーを使用する必要があります。またゴカイなどを捕食するような魚が中身だけを食べてしまうこともあります。詳しくは以下の記事もご覧ください。

カンザシゴカイ・ケヤリムシの仲間

ライブロックの中に潜むゴカイの仲間です。穴の中から鰓の部分だけをのぞかせていることが多く、大きな魚が通過すると鰓を引っ込めます。この仲間はアクアリストによく飼育されているものを含みます。イバラカンザシなどはとくにカラフルで人気があります。また筒の中に潜み鰓だけを出しているケヤリムシの仲間もゴカイの仲間とは思えないくらい美しい生物です。

有害?無害?

ゴカイの仲間で魚や甲殻類を捕食することのない、無害な生き物でサンゴ水槽をより華やかにしてくれます。

対処法

とくに害をなすことはないので放置で問題ありません。しかしカンザシゴカイやケヤリムシはヤッコの仲間やチョウチョウウオの仲間、フグ、キュウセン系などのベラにとっては好物なのでやがて消えてしまいます。

ヒトデの仲間

ナマコやウニ同様棘皮動物の一種です。ライブロックの中から大きなものがでることはあまりないのですが、ピンク色や灰色の小さなヒトデが多数出現することがあります。

有害?無害?

ヒトデの仲間は海水水槽で飼育されていることも多いのですが、種類によってはサンゴを食べてしまうこともあるようです。そのためサンゴ水槽には入れにくい生物といえます。

対処法

見つけたらピンセットか手でつまんで水槽から出します。体の一部がちぎれて水槽に残ると、そこからまた元通りになるので注意します。

ウニの仲間

ウニはヒトデの仲間と同じ棘皮動物の仲間です。ウニの仲間もいろいろな種類がありますが、一般的にライブロックから出てくるのは、写真に示したようなナガウニの仲間が多いように思います。この手のウニは沖縄の磯ではごくふつうにみられるウニです。

有害?無害?

ウニの仲間は石灰藻を削るようにして捕食したり、棘や強い歯によりアクリル水槽に傷をつけたりすることがあります。ガラス水槽でもシリコン部を傷つける可能性があり要注意です。このほか死亡すると棘が水槽内に散らばり美観を損ねる、ウニが大きくなると活動によりサンゴや岩組を崩す、などの問題もあります。

しかしながら藻類食のものが多いため藻類対策では重要とされます。シラヒゲウニなど一部の種はアミジグサなどの対策に重宝します。

対処法

ピンセットなどでつまんで取り出します。ナガウニは素手でつかんでも問題になりにくいのですが、ウニの仲間には毒をもつものもいるので、注意しなければなりません。

クモヒトデの仲間

クモヒトデはヒトデ、という名前がついていますが、やや異なる生物で、「腕」の部分がヒトデの仲間よりも細長いのが特徴です。

有害?無害?

ヒトデの仲間とは異なりサンゴを食べることはなく、魚の残り餌などを食べることが多いです。サンゴにも無害で、もっとも海水魚水槽に入れやすい棘皮動物ともいえるでしょう。また魚の残り餌なども食べてくれます。

対処法

岩の下などにいることが多いですが、無害な生き物であり、放置でかまいません。

貝の仲間

ライブロックからは巻貝も多く出現します。丸っこいサザエ系から写真のような正体不明のものまでいろいろ出てきます。正体不明のものはサンゴに悪さをする可能性もあるため、入れないほうが賢明でしょう。またライブロックの中にはカキやウグイスガイ系の二枚貝も出てきます。

有害?無害?

貝の仲間は種類が多く、また有害か、それとも無害なのか、判別するのは非常に難しいところがあります。ホンハナマツムシのような貝はミドリイシなどを主に捕食し、ほかにもサンゴの仲間を食べる貝は多数知られています。見つけ次第取り除いたほうがよさそうです。二枚貝のほうは水質浄化の手助けをしてくれるといわれますが、あまり大きな効果は望めません。ただ魚にもサンゴにも無害です。

対処法

わからない種類の貝は見つけ次第ピンセットなどでつまんで取り出します。サンゴを食われてしまっては遅いからです。二枚貝はとくに悪さをしないので放置でかまいません。ただ小さい水槽に大きな二枚貝を入れると死亡した際に著しい水質悪化を招くことがあるので注意が必要です。

カイメン

▲多く見られるグレーのカイメン

▲黄色が美しいカイメン

カイメンの仲間は海綿動物という分類群の生物で、サンゴの仲間のようにも見えますが、サンゴとは関係ない仲間です。体の表面に開いた穴から海水ごとプランクトンや有機物、微生物などをこしとり食べるという変わった習性をもっており、水質浄化に役に立つのではないか、ともいわれます。大型のオレンジスポンジと呼ばれるものは海水魚専門店ではよく販売されていますが、ライブロックに生えているものよりも飼育が難しいとされます。

有害?無害?

カイメンは特にほかの生き物に悪さをするわけではなく無害です。

対処法

無害なカイメンですが、どうしても邪魔というときは手でむしるだけで簡単に取り除くことができます。ただし触っているとかゆくなることもあるので、手袋をつけるのもよいかもしれません。またヤッコ、チョウチョウウオ、フグの仲間などはカイメンを捕食します。

マメスナギンチャク・ディスクコーラル

ライブロックにマメスナギンチャクやディスクコーラルがついていることもあります。このようなサンゴを育てるのは楽しいものです。特にマメスナギンチャクは産地によるバリエーションも多く、コレクションも楽しいです。しかし増殖しすぎることもあるので注意が必要です。

有害?無害?

これらのサンゴは餌をあげたら増殖します。しかし増殖しすぎてもてあますこともあります。

対処法

増えすぎたらつまんで間引いてしまうとよいでしょう。またフラッギングして増えたサンゴを友人と交換するのも楽しいでしょう。

セイタカイソギンチャク

マリンアクアリストには「カーリー」、学名からアイプタシアと呼ばれることもあるイソギンチャクの一種です。ライブロックに付着していたり、サンゴの骨格部にくっついて水槽に入ってくることが多く、一度入ってきたら爆発的に増殖するという特徴があります。そのため駆除が必要になるのです。

有害?無害?

セイタカイソギンチャクはサンゴにとって強い毒があり、サンゴにダメージを与えることもあります。また非常に繁殖力が強く、対策は必須といえます。

対処法

ペパーミントシュリンプなどが食べてくれます。またレッドシーの「アイプタシア―X」のように、駆除するための専用の薬剤も販売されています。詳しくはこちらの記事もご覧ください。

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ホヤの仲間

ホヤの仲間もカイメンほどではないですが、ライブロックにはよくついている生物といえます。写真のホヤは透明感があり、入・出水孔の付近に黄色の斑点があり美しいですが、このようなものは珍しいです。またホヤには餌を与える必要もあり、カイメンと比べて長期飼育は難しくなります。

有害?無害?

特に有害となることはありません。そのまま放置して大丈夫ですが、逆に増やしたい場合は液状のフードなどを与えたいところです。そうしないと消えてしまうことが多いようです。

対処法

とくに害はないので放置して問題ありません。なおヤッコの仲間チョウチョウウオなどは、ホヤをつついて食べてしまいますので、そのような魚を入れているとそのうちいなくなるようです。

イワズタの仲間

ウミズタの仲間はアクアリウムでお馴染みの海藻ですが、これがライブロックについていることもあります。ライブロックについていることが多いのはスズカケズタやタカツキズタ、ヘライワズタなどが多いです。

有害?無害?

クビレズタは別名「ウミブドウ」と称され、食用としてしられる海藻ですが、マリンアクアリストにおいてもよく飼育されているもので、光合成をしたり、栄養塩を文字通り「栄養」とし、増殖していきます。ただし生えすぎると水流を遮るなどのデメリットも出てきます。

対処法

こまめに刈り取るようにしましょう。根絶させたい場合はニザダイ(ハギ)やアイゴの仲間を入れておくときれいに食べてくれますが、個体によってはサンゴを食べることもあり、注意が必要です。

バロニアの仲間

バロニアは緑色の球状の形をした単細胞からなる藻類です。オオバロニアなど鑑賞用として販売されることもありますが、一般的にはサンゴやライブロックを買ったときについてきて水槽に入ってきたというパターンが多いようです。

有害?無害?

特に害はないのですが、見栄えがよくなく、大発生してしまうこともあり、あまり歓迎されません。またつぶれるとリン酸塩の濃度が上がってしまうともいわれ、サンゴ水槽に入れるのは推奨されないようです。海藻用リフュジウム向けといえそうです。

対処法

見栄えが悪いなと思ったらつまんで水槽から出すようにします。ライブロックの上に生えたものはライブロックごと水槽から出して取り除きます。サンゴ岩などについたものはサンゴ岩ごと水槽から出して真水で洗うのもよいようです。エメラルドグリーンクラブなどはバロニアをつぶして食してしまいますが、バロニアはつぶしてしまうと逆に大量発生するので注意が必要です。

シオグサの仲間

▲サンゴ岩に生えるシオグサ

▲顕微鏡で見たシオグサ

サンゴ岩やライブロックに生える海藻の一種です。イワズタの仲間同様緑藻の一種なのですが、イワズタよりも硬くて岩にしっかりと固着しています。顕微鏡でみると細長い細胞が連なって一つのシオグサを形成します。

有害?無害?

魚を襲ったりすることはないのですが、繁殖力が強くライブロックを覆うレベルで増殖することもあります。そのため早いうちに水槽から取り除いてしまったほうがよいでしょう。

対処法

手やピンセットでちぎったり、サンゴ岩を水槽から出したり、暗いサンプ内に入れておくなどして弱らせます。エメラルドグリーンクラブが食べてくれることもありますが、個体差もあり、食べない個体も多いようです。緑藻の仲間なのでカエルウオは食べず、ニザダイやアイゴなどもほとんど効果がありません。

ハネモ

ハネモは緑藻の仲間です。先端部の形状が羽毛のように見えるのが特徴です。写真は砂の上に発生したもので小さいのですが、もっと大きなものがライブロックやポンプなどの器具に生えることがあります。

有害?無害?

大量発生しやすく、サンゴなどを覆ってしまうことがあります。そのため水槽では厄介者になりやすく、できるだけ早いうちに水槽から取り出すようにしなければなりません。

対処法

砂の上に生えたものは砂ごと水槽から取り出しますが、ライブロックに生えているものはゴシゴシ削り取るなどしなければなりません。ハネモにも種類があり、ある種のものはヒフキアイゴが食べてくれることもあるようですが、カエルウオなどは食べてくれません。ちなみに写真のような個体はヤドカリの仲間のヨコバサミ類が食べてくれたのか、これらのヤドカリを入れるとだいぶ減っていきました。このほかレタススラッグというウミウシもハネモを食べてくれるようです。

一方であまりにもひどい場合はライブロックを取り出して天日干しにするしかありません。そうなると当然ハネモだけでなく、ライブロックに付着していた微生物も死んでしまうので、あくまで最終手段として使うようにします。

まとめ

  • ライブロックから出てくる生き物にはほかの生き物に悪さをすることも
  • シャコはほかの生き物を襲う
  • カニの仲間は大きいものほど危険性が大きい
  • ウミケムシは魚などにはあまり害はないが刺されると痛い
  • ウズマキゴカイは水槽壁面に発生したら取り除く
  • カンザシゴカイやケヤリムシは大発生しにくくきれいでかわいい
  • ヒトデの仲間はサンゴに有害なものも
  • ウニの仲間はアクリル水槽では要注意
  • クモヒトデの仲間は無害。掃除屋さんとしても活躍
  • 巻貝の仲間は種類によってはサンゴに有害なことも
  • カイメンの仲間は無害、水槽を浄化する
  • ディスクコーラルやマメスナギンチャクがついていることも
  • カーリーはサンゴ水槽の大敵。毒性が強くサンゴを弱らせる
  • ホヤは無害だが給餌しないといなくなる
  • イワズタの仲間は増殖しやすい。増えすぎそうなら適度に間引く
  • バロニアは間引くときに破らないように注意
  • ハネモは大量発生しやすくサンゴを覆うことも

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