2020.07.15 (公開 2020.06.29) メンテナンス
レッドシーのpH/アルカリニティテストキットでpHを測定してみました
海水魚飼育で重要な数値のひとつに「pH」があります。このpHは海水魚であれば8.1~8.3くらいを維持するようにしたいところです。そのpHを調べるのには試験紙やpHメーター、そして試薬を用いたテストキットを使って調べる方法があります。今回は海水魚水槽のpHの測定方法をおおまかなご紹介と、イスラエルのレッドシー製のテストキット「pH/アルカリニティてストキット」を用いたサンゴ水槽のpH測定方法をご紹介します。
pHとは
▲海水魚の場合pH8.1~8.5がよい
pHは水が酸性なのか、アルカリ性なのかを示す数値で、とくに淡水魚を飼育しているときはよく聞くものです。海水魚であれば大体8.1~8.3くらいを維持するとよいでしょう。この数値は常に一定ではなく、魚やほかの生き物の呼吸によりどんどんと低下していきます。そのためpHは定期的に計測するようにしましょう。
pHの測定方法
▲マーフィードの「エコペーハー」
アクアリストがとれるpHの計測方法は主に3種類あります。
- 試験紙で計測する方法
- pHメーターで計測する方法
- 試薬を使って計測する方法
試験紙で計測するのは簡易的なもので、小学校の理科の実験で使用したリトマス紙のようなものです。海水魚水槽の場合はpHメーターで計測するか、試薬で計測するかの2択となります。
pHメーターは内外様々なメーカーから販売されています。アクアリウム関連メーカーではニッソーやマーフィードから販売されていて、それを使うことができます。デメリットとしては電池が必要なこと(メーカー指定のボタン電池をつかう必要がある機種も)、落としたら壊れることもあること、経年するとセンサーなどがおかしくなることもあるようで、使い物にならなくなることなどです。
このほか試薬を使って測定する方法もあり、かなり正確に測定することができます。ただしこの試薬にも使用期限があるので注意します。主にレッドシーやセラジャパン、国内のメーカーでもデルフィスがライブシーブランドで出しています。今回はその中でもよく知られているイスラエルのレッドシー製のものを使用して、実際に計測してみました。
レッドシーのテストキット
レッドシーのpHを測定するためのテストキットは「pH/アルカリニティ」という商品で、pHだけでなくKHをも測定できます。KHの値はpHの変動に影響を及ぼすため、KHの維持(7~12dKHが望ましい)もpHの維持のためには重要なポイントのひとつといえるのです。また、KHは造礁サンゴの成長のためにも必要な成分ですのでこまめに計測したいものです。これは頻繁に計測したいもので、できるだけ簡単に測定できるキットが欲しいところですが、そのような意味でもレッドシーのテストキットは優れているといえるでしょう。
なお、ここではpHの測定方法をご紹介します。KHについてはこちらをご覧ください。
パッケージの魚は?
レッドシーのテストキットのパッケージには鮮やかな魚やサンゴの写真が使用されており目を引くものがありますが、その種類はトゲチョウチョウウオ(レッドシー=紅海らしく背鰭の斑がない紅海タイプ)やミドリイシなどが使われているのに対し、pH/アルカリニティのテストキットのパッケージに使われている魚はまさかのアラビアンモノクルブリームScolopsis ghanam (Forsskål, 1775)というイトヨリダイ科の魚です。この魚もインド洋から紅海に特産なのですが、まさかの大抜擢。渋いチョイスが面白いものです。
実際に測定してみました
今回は我が家の90cmサンゴ水槽のpHを計測してみました。ちなみに100回分計測可能です。pHは時間により数値に変動があるのですが、今回計測した時間は大体午前10時くらいです。
レッドシーのマリンテストキット pH/アルカリニティを購入し開封します。
中にはいろいろなものが入っていますが、必要なものだけご紹介します。1がpH計測用の試薬「pH indicator」(以下試薬)、2がガラス管と専用のフタ(レッドシーのタツノオトシゴマークつき)、3が注射器、4がカラーカード、5が取扱説明書です。このほかのもの(スポイトなど)はKH計測には使用しますが、ここでは使用しませんので省略します。このほか、万が一海水をこぼしてしまったときに拭くタオルや、最後に瓶や注射器などを乾燥させるペーパータオル(キムワイプなどがおすすめ)なども用意しておいたほうがよいアイテムです。
使用する前に、ガラス管、ガラス管のフタ、注射器の3つはよく洗浄する必要があります。
注射器を使用し、飼育水を正確に5mlとり、ガラス管に入れます。
海水が入ったガラス瓶の中に試薬を3滴滴下します。
ガラス管にキャップをして10秒間軽く振ります。
10秒間振ったらガラス管のフタを外し、カラーカードの上に乗せどの色が近いか見ます。写真からはわかりにくいのですが、実際の計測結果は大体8.0くらいでした。大体8.1~8.4くらいが適しているといわれています。測定結果がカードの色の中間的な色の場合はおおよその中間値を読み取ります。カラーカードや試薬については、使い終わったらすぐにパッケージの中に入れるようにしましょう。長いこと光にさらされないようにしたいところです。
最後に再度ガラス管、フタ、注射器をよく洗って乾かしておきます。ふたたび使う場合はガラス管やガラス管のフタ、注射器を再度洗ってから測定しましょう。ガラス管の中に残留物が残っている場合はクエン酸などの溶液を使用して洗い流すときれいにとれるようです。
測定結果から考えるべきこと
サンゴ水槽の測定結果は8.0でした。測定したのは大体昼の10時くらいです。pHは時間により変動があり、一般的には夜間に藻類などが呼吸をするようになると低下し、点灯直後に急上昇します。そのため数値は変動しやすいといえますが、pHの変動が大きすぎると魚やサンゴにダメージを与えてしまうのです。そのためにはpHだけでなくKHの値を上げる添加剤も必要になります。KHはpHの変動の緩衝材になり、生き物に与えるダメージを軽減してくれます。pHやKHの値を上げる添加剤もありますが、計測しながら規定量を守って添加することが重要です。そしてpHだけでなくKHの値も測定できるレッドシーのテストキットは非常に優れているといえるでしょう。また魚の数が多いとpHの値は減少していく傾向があるためサンゴ水槽であれば魚の数を減らすというのも対策になりえます。
レッドシーpHテストキットまとめ
- pHはアクアリウムに大きな影響を与える
- リトマス紙のような試験紙は簡易的なもの
- pHメーターは水に落としたりすると壊れる可能性あり。また経年劣化もしやすい
- 試薬を使えば正確に測れるが、薬品には使用期限があるので要注意
- pHとKHは深い関係にありできるだけ両方を計測したい
- レッドシーのテストキットはpHだけでなくKHも計測できるのでおすすめ