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2020.04.15 (公開 2020.04.13) サンゴ図鑑

海藻と海草の違い~アクアリウムでお馴染みのクビレズタやサボテングサはどっち?

海藻と海草、どちらも「かいそう」と読みますが、分類的には大きく異なる生物です。まず、海草というのは、顕花植物で種子で増えていきますが、海藻はコケに近い仲間で胞子を出して増えたり、ランナーを伸ばして増えていきます。さらに海草は陸上の植物同様、葉・茎・根の役目がしっかりしていますが、海藻はそれぞれ機能が分化しているということがないのも特徴といえます。また淡水で飼育される水草はその多くが海草と同様顕花植物です。今回は海藻と海草の違いをご紹介します。

海藻とはなにか

▲千葉県の磯でみられる海藻

▲海藻の中に群れるメジナの幼魚

海藻は根・茎・葉のようにみえるものがありますが、あくまでも「みえるもの」であって、実際にはそれぞれの機能が分化しているということはなく、海草や淡水の水草とはまた別の分類群です。種類が非常に多く、一般に食用としているものはこちらであることが多いです。

海藻が多く生える場所は「藻場」と呼ばれ、魚の稚魚や小魚のすみかになります。またアイゴやメジナ、ブダイといった魚やヤドカリ、ウニの餌場でもあり、またこのような生物を捕食するような大きな生き物もやってきます。ただし高水温には弱いのか、夏になると海藻の量はだんだんと減っていきます。

海藻は大きく「褐藻」「紅藻」「緑藻」の3種に分けられます。食用となるコンブやワカメ、ヒジキ、アクアリウムではありがたくないアミジグサなどは褐藻、オゴノリや一般的に海苔に加工されるタイプのノリ、ほかマクサ、ユカリ、フクロノリなどは紅藻、おなじみのウミブドウことクビレズタを含むイワズタの仲間、ミルの仲間、アオサの仲間、サボテングサの仲間などは緑藻で、アクアリウムでは厄介者扱いされるシオグサやバロニア、ハネモなどもこの仲間です。

なお、海藻の飼育についてはこちらの記事をご覧ください。

海草とはなにか

▲アマモ。茶色いものはウミサボテンと呼ばれる動物の一種と思われる

▲水草もこちらの仲間

海草は顕花植物とよばれ、花をつけるタイプの植物です。淡水に見られる水草のほとんども、海藻よりは海草にちかい仲間です。水草の仲間にもオオカナダモやアヌビアスなどきれいな花をつけますが、アマモもこれらの水草ほどではないのですが小さな花をつけます。海草の仲間も海藻が藻場をつくるようにアマモ場を作り、内湾に住む魚に隠れ場所と餌場を提供しますが、現在埋め立てなどによりアマモ場は減少しており、近年アマモ場の再生事業が日本の各地で行われています。なお、「海藻」「海草」はどちらも「かいそう」と読みますが、混乱を防ぐためあえて海草のほうを「うみくさ」と呼んでいることもあります。アマモは食用とされることがありますが、海藻類とちがい食卓にはなかなかあがらないようです。

アマモなどの海草類は陸上の植物同様、砂の中に根っこを張っており、そこから栄養を吸収しているところは一般的な海藻とことなるところです。海藻は基本的に根が岩などに固着し、流されるのを防ぐためについていることが多いのです。また海草は陸上の植物同様「葉」「茎」「根」の役割がしっかりしていますが、海藻は先ほども述べたように葉や茎の役割がしっかりとわかれていないようです。葉や茎のようなもの全体で光合成をして成長していきます。また海草は顕花植物であり種子で増えますが海藻は胞子で増えたりランナーを伸ばすなどして増えるなど、生態も大きく異なる生物です。マリンアクアリウムにおいては、海藻と海草を合わせたものとして、「マリンプランツ」という用語が使用されていることがあります。

マリンアクアリウムでおなじみの海藻・海草

▲海藻の一種サボテングサ。とても飼育しやすい

一番アクアリストにお馴染みの海藻は食用としても知られる「ウミブドウ」ことクビレズタでしょう。クビレズタは海藻の中でも特に飼育しやすく、じゃまなほどよく増えていきますので間引くのが重要です。また魚やサンゴを飼育する水槽とは別に水槽を設け、その中で海藻を育て栄養塩を吸着させ、適度に間引くことにより水槽内の栄養塩の濃度を減少させることもできます。また取り除いた海藻をニザダイやアイゴ、ヤッコなどの海水魚の餌として利用することもできます。

緑藻の仲間にはほかにもミルやサボテングサなど、アクアリストにお馴染みのものが多くいます。しかしながら紅藻や褐藻などはアクアリウムで飼育されるようなものはほとんどおらず、また飼育もやや難しいとされてますが、それでもアミジグサなどの一部の種は爆発的に増えてしまうことがあります。そうなるとウニに除去してもらう必要が出てきたりします。

海草の仲間は種類は少ないですが、アマモ類やリュウキュウスガモなど一部の種類が入ってくることがあります。なかなか入荷しないのですが、こういうのを育ててみるのも面白いでしょう。ただし飼育については強い光が必要であるなど、クビレズタなど緑藻よりも難しいところがあります。初心者が水槽にマリンプランツを導入するのであれば、クビレズタやスズカケズタといったイワズタの仲間や、サボテングサの仲間が最適でしょう。

海藻も海草も、光合成のために鉄分はかかせません。そのため鉄分の添加もしておきましょう。ただし鉄分は海藻・海草に欠かせないだけでなく、コケにとっても光合成に欠かせないものです。したがって過剰な添加は避けなければなりません。とくにリン酸塩の濃度が高い場合は注意が必要です。

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海藻と海草まとめ

  • 海藻と海草はどちらも「かいそう」と読むが全く違う仲間である
  • 海藻はコケに近い仲間のようで胞子を出すなどして増える
  • 海草は海産の顕花植物で種子を出すなどして増える
  • 海藻は葉・茎・根の役割がしっかり分かれている
  • 海藻・海草をあわせて「マリンプランツ」とよぶ
  • 海藻のほうが種類が多くマリンアクアリウムでも一般的
  • 光合成するため鉄分も必要になるので添加してあげたい
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