2020.10.17 (公開 2017.12.30) サンゴ図鑑
オオタバサンゴの飼育方法~丈夫で初心者向けハードコーラル
ハードコーラルの中でもオオタバサンゴは非常に丈夫で飼いやすく、サンゴを食べるような魚がいないのであればハードコーラル初挑戦の初心者アクアリストでも長期飼育が可能です。
ここではオオタバサンゴが初心者におすすめの理由、具体的な飼育方法や注意点などをまとめていきます。
オオタバサンゴってどんなサンゴ?
オオタバサンゴはハードコーラルですが、丈夫で非常に飼育しやすく、すぐ死んでしまうことが少ないサンゴです。さらに美しい色彩で増殖もしやすく、餌も食べるなど、ハードコーラル飼育の醍醐味がぎっしりと詰まっています。
以上の理由からオオタバサンゴはハードコーラル初挑戦の方におすすめのサンゴと言えます。
オオタバサンゴの色彩バリエーション
▲オレンジ色と緑色のオオバナサンゴ
オオタバサンゴは色彩のバリエーションが多いのも魅力的です。鮮やかな赤色、オレンジ色、ピンク、紫、緑色などで、縁辺が赤く中心が緑色など、縁辺と中心の色が違うものも見られます。また薄い色合いのものでも、LEDを使用して色揚げをおこなうこともできます。
近縁のカビラタバサンゴ
▲2012年4月
▲2016年7月
オオタバサンゴに似ているものにカビラタバサンゴというのがいます。色彩バリエーションは若干あるようですがオオタバサンゴほど鮮やかなものは少なく、中心がメタリックグリーンで周辺はベージュか茶褐色という色彩のものが多いです。
カビラタバサンゴは写真のように成長が早く丈夫です。基本的な飼育方法はオオタバサンゴと同じなのですが、オオタバサンゴを含め他のどんなハードコーラルよりも丈夫で飼いやすい種のように思います。
オオタバサンゴに適した飼育環境
水槽
オオタバサンゴの水槽は45cm以上で飼育します。ベテランアクアリストなら、もっと小さい水槽での飼育も可能ですが、初心者は水質が安定しやすい45cm以上の水槽で飼育するのがよいでしょう。できれば60cm以上の水槽がおすすめです。
水質
オオタバサンゴは大変丈夫で飼育しやすく、硝酸塩などの蓄積にも強い種類です。ただしできるだけ綺麗な水で飼育してあげたいものです。
上部ろ過槽、上部・外部ろ過槽の併用でも長期飼育可能で、ナチュラルシステムでなければならない、というわけではありませんが、プロテインスキマーを使用すると水槽内の汚れを強力に取り除くことができますのでおすすめです。
水流
水流は強い流れを嫌い、弱いがランダムな流れを好むようです。水流専用ポンプを複数使用して複雑な流れを作るようにするとよいでしょう。もちろん強い水流が長時間当たり続けるのはよくありません。
光と置き場所
オオタバサンゴは好日性サンゴですので光・照明が重要です。しかし、ミドリイシのようにメタハラやハイパワーLEDでピカピカ照らしたりするのがよいかといえばそうではないようです。
蛍光灯でも飼育できますが、現在の主流は発熱量の少ないLEDです。ディープ系の青みが強いLEDを照射しておけばオオタバサンゴがピカピカに光っている様子を楽しむことができます。
なお、写真のオオタバサンゴは砂の上に直接おいていますが、できるだけ砂の上に置くことは避けたいものです。今は小さなサンゴ岩の上においています。
オオタバサンゴの餌と添加剤
オオタバサンゴはイボヤギやキサンゴなどの陰日性ハードコーラルと異なり光合成を行うサンゴです。そのため「給餌が必須」ということはありませんが、給餌をすることで状態がよくなりますので、餌をあげるのもよいでしょう。
冷凍のコペポーダ、ホワイトシュリンプや、サンゴ専用の粒餌を給餌するとよいですが、冷凍の餌は水を汚すおそれがありますので粒餌をメインに与えるようにします。なお、給餌の間隔は1週間に1回くらいでかまいません。
添加剤はヨウ素、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウムなどを添加します。ここにあげた必要な元素の中でヨウ素以外のものがすべて含まれるオールインワンの添加剤「リキッドリーフ」を添加するのもおすすめです。
オオタバサンゴの入手方法
オオタバサンゴは海水魚専門店では比較的よく販売されているハードコーラルといえます。日本にも分布しますが、観賞魚店にはインドネシアのものが多く入ってきます。最近はオーストラリア産のものも輸入されており、インドネシアのものよりも高価ではありますが、美しい色彩なので人気があります。
見極め方法としては、よく開いているものを選ぶとよいでしょう。委縮していたり、付着生物がついていないものがよいです。従って、いくら丈夫なサンゴとはいえ通販で購入するのはあまりおすすめできません。
オオタバサンゴを水槽に入れる前に
オオタバサンゴは付着生物、特にカーリーに弱いサンゴですので、できれば水槽に入れる前に薬浴を行います。「コーラルRXプロ」などで薬浴を行いますが、これだけではカーリーは落とせないことが多いので、入れる前にプラケースなどにいれカーリーをさがし、付着している場合は「アイプタシア-X」などのカーリー駆除薬を使用するとよいでしょう。
オオタバサンゴと魚との相性
▲チョウチョウウオは厳禁
オオタバサンゴと魚の飼育には注意が必要です。マリンアクアリストに人気の魚といえばヤッコの仲間ですが、ヤッコの仲間はオオタバサンゴをつつくことも多く、あまり向いていません。特にソメワケヤッコやヘラルドコガネヤッコなどは突くことが多く注意が必要です。もちろんチョウチョウウオの仲間を入れるのは厳禁です。
ハナダイの仲間、テンジクダイの仲間、ハゼの仲間、多くのベラの仲間との飼育は問題なく行えます。ただしハゼの仲間のうち、ミズタマハゼやオトメハゼなどは砂を掘るので注意が必要です。
また小型のエビの仲間は餌がないとまれに共肉をむしって食べてしまうことがあるようなので、エビの仲間を入れるときは注意しなければなりません。
オオタバサンゴと他のサンゴとの相性
▲アザミハナガタサンゴなど、他の弱い光を好むサンゴとの飼育例
オオタバサンゴは毒性が弱いため、ハード、ソフトともにほかのサンゴに触れてしまうのは望ましくありません。またカーリー(セイタカイソギンチャク)にもかなり弱く、触れると委縮し弱ってしまうことが多いです。水槽内でカーリーを見つけたらオオタバサンゴに触れて弱ってしまう前に早めにとりのぞくのがベストです。
またやや弱めの光を好むサンゴですので、ミドリイシやコモンサンゴなど強い光を好むサンゴとの相性はあまりよいとはいえません。どうしてもこれらのサンゴと飼育するときは弱い光が当たるような、陰になる場所に置きたいものです。そして餌を与えたいサンゴですので、やはりミドリイシなど水質悪化に敏感なサンゴとの飼育は難しいと言えます。
相性がよいサンゴは、スリバチサンゴ、キッカサンゴ、オオバナサンゴ、コハナガタサンゴ、カクオオトゲキクメイシ、アザミハナガタサンゴなどです。これらのサンゴはあまり強めの光を当てなくてもよく、餌もよく食べる種類ですので、オオタバサンゴと一緒に飼うのに適しています。なおカビラタバサンゴもオオタバサンゴと同様の条件で飼育できます。
オオタバサンゴの飼育まとめ
- 丈夫でハードコーラル初挑戦に最適なサンゴ
- 水流は弱めでランダムな流れを好む。直接サンゴに当たるのはよくない
- 光も弱め。青いLEDを当てるとサンゴが光る
- 餌は与えるとよく食べる
- ヨウ素、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウムを添加したい
- カーリーに弱いので注意
- ヤッコやチョウチョウウオにはつつかれることもある
- 砂を掘るハゼは要注意
- ほかのサンゴと接触しないよう注意