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2020.02.01 (公開 2017.08.05) サンゴ図鑑

ハードコーラルってどれくらい難しいの?飼育方法と初心者向きのサンゴ

海水魚とソフトコーラルを飼育するのに慣れてきたら、いよいよ骨格があるハードコーラルが気になるところ。しかし、骨格をもつハードコーラルは飼育がやや難しいものもいます。しかしそのなかにも丈夫で飼いやすいものも多くおり、そのような種類はある種のソフトコーラルよりも飼育しやすいほどです。今回の記事ではハードコーラルの基礎や、初心者向きのハードコーラル、逆に初心者には向かないハードコーラルについて解説していきます。

ハードコーラルとは

▲アワサンゴは六放サンゴ。ポリプ先端に12(6の倍数)の触手がある。

▲ソフトコーラルのスターポリプは八放サンゴ。

ハードコーラルはその名の通り、硬い骨格を持つサンゴのことを指します。それに対しソフトコーラルは硬い骨格をもたない、ふにゃふにゃのやわらかいサンゴです。

ソフトコーラルは多くが「八放サンゴ」ですが、ハードコーラルはほとんどの種類が「六放サンゴ」です。ポリプの先端が8つに分かれているのが八放サンゴ、6または6の倍数なのが六放サンゴです。

八放サンゴにはスターポリプやウミアザミ、トサカの仲間などが含まれ、六放サンゴにはミドリイシやオオバナサンゴ、キクメイシなどが含まれます。ではハードコーラルが六放サンゴ、ソフトコーラルが八放サンゴ、ということでよいかというと、必ずしもそうではありません。例えばアオサンゴはハードコーラルですが八放サンゴ、ソフトコーラルの中に入れられていることが多いマメスナギンチャクなどは六放サンゴである、というようなこともあります。

ハードコーラルはソフトコーラルと比べると硬い骨格があるという違いがあります。そのため欲している成分も異なり、当然難易度も高いものが多くなります。

ハードコーラルに添加した方がよいもの

▲添加剤やリアクターを使って生物に元素を届ける

ソフトコーラルはヨウ素や微量元素を中心に添加し、カルシウムなどは水換えで補うという方法でも飼育することができますが、ハードコーラルの場合は、ヨウ素、微量元素のほかにカルシウムやストロンチウム、マグネシウム、ポタシウム、KHも添加したいところです。

マグネシウムやストロンチウムなどは添加剤で添加してもよいのですが、カルシウムなどはミドリイシを多く飼育している水槽ではカルシウムリアクターを使用したほうがよいかもしれません。カルシウムを添加剤で添加すると水槽内のイオンバランスが崩れやすくなることもあり、KHの安定にも寄与するので予算があればカルシウムリアクターを装備してもよいでしょう。

ただし最近は添加剤もよいものが多くなり、イオンバランスを崩しにくいものもいろいろ出てきました。レッドシーの添加剤の中にはベルリンシステムとして運用している水槽に添加剤を添加するだけで色揚げ効果が得られるものもあります。

ハードコーラル飼育上取り除きたい成分

▲硝酸塩はできるかぎり低く抑えたい

取り除きたい栄養塩、たとえばリン酸、ケイ酸は吸着剤でとりのぞくことができます。このほかサンプ(水溜め)で海藻を飼育し栄養塩を取り除く方法があります。海藻は栄養塩を文字通り「栄養」として育ちます。

もちろん硝酸塩は水替えで取り除きますが、サンゴうまく長期飼育するのであればなるべくプロテインスキマーは設置したいものです。魚の排せつ物や残り餌、微生物の死骸はバクテリアに分解されアンモニア→亜硝酸→硝酸塩に変化されていきますが、プロテインスキマーは分解される前に水槽から取り除いてくれるのです。これはサンゴをうまく飼育するためのベルリンシステムでは心臓部となる機材になります。高価ですが、サンゴのためには設置しておきたいものです。

ハードコーラルは水質と光、どちらが大事?

▲光は重要だが、それよりも水質と水流が重要

光合成をする一般的なハードコーラルにとって光は重要な要素になりますが、それ以上にサンゴにとっては綺麗で必要な成分が溶け込んだ海水、適切な水流が必要となります。これらがないとサンゴの成長が止まったり、デトリタスがサンゴの上にたまって死んでしまうこともあります。個人的にはサンゴにとって重要なのは水質=水流>光と思います。ですが全く光がないとサンゴが死んでしまいますので、弱くても安価なものでもいいからLEDライトをつけてあげたいものです。

初心者におすすめのハードコーラルの条件

ハードコーラルはソフトコーラルよりどうしても飼育が難しくなってしまうものが多いのですが、その中では初心者でも長期飼育が可能なのは、以下の通りです。

丈夫で栄養塩の増加にもある程度耐えられるハードコーラル

▲魚が多いと硝酸塩が蓄積されやすい

初心者におすすめのサンゴは硝酸塩の蓄積に強いサンゴです。初心者アクアリストですと、魚を多めに入れたり、餌を多めに与えることが多く、プロテインスキマーを所持していないことも多いので、サンゴも硝酸塩の蓄積にある程度強い種類をいれるようにしたいものです。

弱い水流でも飼育できるハードコーラル

▲タバネサンゴは弱い水流でも飼育できる

水流は水質や照明以上に難しい要素です。私は水流は水質・光以上に初心者・ベテランの間で差がつきやすい要素と考えています。水流が弱いと水槽にデトリタスがたまることもあり、逆に強い水流が直接四六時中サンゴに当たるようではサンゴは弱って死んでしまいます。適度な強さの水流がサンゴにあたるような工夫が必要です。

複数のポンプから出てくる水の流れをぶつけあい複雑な流れをつくったり、専用のコントローラーを使用して水流を調節したりという工夫が必要になります。最近はやっているDCポンプなどはコントローラーが付属し調整も容易ですがどうしても耐久性が低いということを理解しておく必要があります。

初心者はどうしても弱い水流になりがちですので、弱い水流でも飼育できるサンゴを飼育するのがおすすめです。写真のタバネサンゴやオオバナサンゴ、オオタバサンゴなどはあまり強い水流を好まず、初心者にもおすすめのハードコーラルといえます。

餌と光からエネルギーを得るハードコーラル

▲オオバナサンゴは飼いやすいハードコーラル。餌を食べるが光合成もする。

サンゴが栄養を得る方法は主に、光合成によるエネルギーで栄養を得るもの、光合成をおこなわず捕食によりエネルギーを得るもの、光合成と捕食の両方によりエネルギーを得るもの、の3種類があります。オオバナサンゴなどは光合成からも餌からも栄養を得ています。初心者にはこういうサンゴがおすすめです。一方、光合成しないイボヤギなどは照明が不要な分飼いやすい…というわけではなく、かなりの量の餌を必要とし、水を汚しやすいので初心者向けとはいえません。

初心者に向かないハードコーラル~条件と種類

逆に初心者に向いていないハードコーラルは、以下のような種類となります。なおシャコガイについては、「サンゴに準ずる生き物」として別項にまとめています。

栄養塩の蓄積に弱いハードコーラル

▲ナガレハナサンゴは綺麗な水を好む

ナガレハナサンゴはオオバナサンゴなどよりは綺麗な水を好みます。汚い水には弱く、骨格が見えるようになったりブラウンジェリーと呼ばれる茶色い膜が生えたようになって死んでしまうことがあります。初心者の水槽では魚が多かったりして硝酸塩が蓄積されやすいので注意が必要です。このほか近縁種のコエダナガレハナサンゴやハナサンゴなども水質悪化に弱いので初心者向けとはいえません。

元素の欠乏に弱いハードコーラル

▲コモンサンゴはミドリイシよりは飼いやすいが、カルシウムなどの添加は重要

どのサンゴも元素を必要とします。カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、カリウム、ヨウ素から名前も聞いたことがないような微量元素まで、さまざまな成分を必要とします。これらの成分はサンゴに消費されてしまうので、消費された分を補うために添加剤などで添加してあげる必要があります。とくにミドリイシやコモンサンゴといった「SPS」と呼ばれるサンゴは成長が早く、その分多くの元素を必要としています。そのためしっかり添加しなければいけません。

水流が弱いと飼育しにくいハードコーラル

▲ミドリイシ水槽には水流が重要

先ほどサンゴ飼育には水流が重要と述べましたが、とくに水流が重要なのがミドリイシやトゲサンゴの仲間です。トゲサンゴの仲間など水流が弱いと枝の間にコケが絡まり、増殖してサンゴを覆ってサンゴを殺してしまうことがあります。ただし、細い水流が直接あたるのもあまり望ましくないです。

餌による栄養に頼っているハードコーラル

▲よく開いたイボヤギ。頻繁に餌を与える必要があり飼育しにくい

光合成しないサンゴは光が当たらないぶん飼育しやすいように思われがちですが、常に餌を多く必要としているので飼育しやすいとはいえません。餌をたくさん与えると水を悪くしてしまいやすく、イボヤギなどは比較的きれいな水を好むようで両立させることもしにくいのです。ですが、しっかり開いたイボヤギはたいへん見栄えがよく美しいサンゴです。

そもそも飼育方法が確立していないハードコーラル

▲ハナガササンゴ

海水魚店で販売されるサンゴは何十種もあるとされますが、それらのサンゴすべてが飼育方法が確立しているわけではありません。ハナガササンゴは昔から飼育されてきたポピュラーなサンゴで、短期であればポリプをふさふさ出すため飼育しやすいように思われがちですが、飼育方法が十分確立されているといえないのが現状で、初心者向けではなく、上級者アクアリストも試行錯誤が続いているのが現状のようです。

初心者にもおすすめのハードコーラル

オオタバサンゴ

▲オオタバサンゴ

オオトゲサンゴ科のハードコーラルです。大きなポリプが多数あり、条件があれば徐々に増えていきます。色もオレンジやグリーン、レッド、パープルなどバリエーションがあり、ブルーLEDの下で光り輝くようなものもいます。餌は与えたらよく食べるのでたまに与えるとよいでしょう。大変丈夫で条件が合わなくてもすぐに死んでしまうことは少ないものです。近縁種にはカビラタバサンゴというのがいて、これも非常に丈夫で飼いやすく長生きします。

キッカサンゴ

▲キッカサンゴの一種(リュウキュウキッカサンゴ?)

薄っぺらい形をしたものが多いサンゴで、ウスコモンサンゴなどと見間違うようなものもいます。カラーバリエーションは豊富でフラグサンゴも販売されていますが、初心者はある程度育った個体の方が飼育しやすいでしょう。餌も与えるとよく食べ、大きくなっていきます。

触手に強い毒があり、ほかのサンゴとの接触は避けた方がよいでしょう。

タバネサンゴ

▲タバネサンゴ

キクメイシ科のハードコーラルで、枝状の骨格が特徴的です。色は写真のようなブルーグリーンや、やや緑色が明るいもの、茶色っぽいものなどバリエーションがあります。うまく飼育すれば長生きしてくれますが、なぜか「増える」という印象はあまりないサンゴです。毒性が強いのでほかのサンゴとの接触は避けるべきです。

カクオオトゲキクメイシ

▲オーストラリア産のカクオオトゲキクメイシ

名前にキクメイシとありますが、オオトゲサンゴ科という別の仲間になります。カラーバリエーションはきわめて豊富で、コレクション性が高いサンゴです。餌はよく食べ、餌を与えると成長します。毒性はやや弱めでほかのサンゴと接触させないように注意します。また魚からの食害にも極めて弱いので注意が必要です。

オオバナサンゴ

▲オオバナサンゴ

和名でヒユサンゴと呼ばれる種です。特徴的な形をしており、色彩も極めてバリエーションが豊富です。水流や水質の適応範囲が広く飼育しやすいのですが、ほかのサンゴとの接触に弱く、また魚にもつつかれやすいところは注意しなければなりません。餌は与えるとよく育ちます。

上記のサンゴのほか、キッカサンゴ、タバネサンゴ、オオトゲキクメイシ、ウミバラ、キッカサンゴ、クサビライシ(パラオクサビライシは除く)、ハナガタサンゴ類、カビラタバサンゴ、シコロサンゴなど。

ハードコーラルにおすすめの機材

ここではハードコーラル飼育に適した機材をご紹介します。

プロテインスキマー

▲H&S社のHS850。大型水槽用の代表的なベンチュリスキマー。

微細な泡を大量に発生させ、その泡に汚れを付着させて水槽から汚れを取り除く器具です。エアリフト式、ベケットヘッド式、ダウンドラフト式、ベンチュリ式などがありますが、一般的にベンチュリ式やエアリフト式のものが多く普及しています。小型水槽ではエアリフト式や小型のベンチュリ式のものがよく使用され、オーバーフロー水槽のものはベンチュリ式のものが使用されることが多いようです。

値段はピンキリですので初心者は安価なものから試してみましょう。

殺菌灯

魚の病気予防に役に立つ殺菌灯、といわれますが、実際にはコケの抑制や有機物の分解などサンゴ飼育にも役に立つアイテムです。

ただし殺菌灯も完璧でなく、汚れた水で飼育していると魚もサンゴも病気になりがち。綺麗な水で飼育してさらに病気を防ぐためのものと考えるのが正しいといえます。なおゼオビットなどのシステムでサンゴを飼育する場合は、殺菌灯は原則つけるべきではありません。マニュアルに従うようにします。

カルシウムリアクタ・他

ハードコーラルの骨格の要であるカルシウムを水槽に添加したり、KHを安定して維持するために重要な器具です。仕組みを簡単に言えばカルシウムメディアを二酸化炭素を使って溶解させ、その溶解させた水を水槽に添加させるというものです。

リアクタではなく、計測した上でカルシウムなどの添加剤を用いて添加する方法もとられることがあります。二酸化炭素の入った緑色のボンベやカルシウムリアクタそのものが高価であることも理由のようです。近年はマグネシウムを添加したり、硝酸塩やリン酸塩を除去するためのバイオペレットを入れるためのリアクタも販売されています。

水槽用クーラー

▲クーラーは水槽にあったサイズのものを

クーラーは夏の必需品です。とくに初心者向けのハードコーラルの中には水深10数mなど、やや深場にいるものも含まれますので、必要になってきます。けちらずにメーカーが謳う対応水量よりもワンランク上のクーラーを買うのがコツです。とくにメタハラを照射すると、水温の上昇を招きますのでクーラーは必須になります。もちろんヒーターも必要ですが、この二つはマリンアクアリウムには必要な装置ともいえます。

サンゴ用接着剤

クイックジェルとウォータージェル

ソフトコーラルは岩の窪みに挿すだけで自然に活着するのですが、骨格をもつハードコーラルにそのような芸当は無理ですので、接着剤に頼ることになります。

接着剤には接着パテと、ジェル状のものがありますが、初心者にはジェル状のものが扱いやすいでしょう。サンゴと岩の接着だけでなく、岩同士の接着などにも使えます。格好いいレイアウトに仕上げましょう。

もちろんプラモデルなどの作成に使うような一般の接着剤は絶対に使ってはいけません。

ハードコーラルと一緒に飼育しにくい魚

▲テングカワハギはサンゴをつつく

ハードコーラル、とくにLPSは一緒に飼育できる魚の種類が制限されてしまうという問題があります。小型ヤッコは、サンゴ礁の妖精的な存在で水槽に入れられることも多いのですが、かなりハードコーラルをつついてしまう種類もあります。

チョウチョウウオはサンゴを餌にするものも多く、白点病にかかったら魚病薬も使えないなどの問題もあり、一緒に飼育することは無理といえます。この他クロベラやマナベベラなどのベラ類の一部、カワハギの仲間のテングカワハギ、カエルウオの仲間のセダカギンポなどもハードコーラル水槽での飼育には向きません。

ハードコーラル飼育まとめ

  • 硬い骨格があるサンゴをハードコーラルとよぶ。
  • ヨウ素、微量元素のほか、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、ポタシウムなども添加する
  • 硝酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩を取り除く
  • 好日性サンゴは光が大事だが、水質や水流は非常に重要
  • 初心者向けのハードコーラルはカクオオトゲキクメイシ、オオバナサンゴ、オオタバサンゴ、キッカサンゴ、キクメイシなど
  • 初心者に難しいハードコーラルはミドリイシ、ハナヤサイサンゴ、ハナガササンゴ、ナガレハナサンゴ、パラオクサビライシなど
  • プロテインスキマー、カルシウムリアクタ、殺菌灯、クーラーは重要
  • メタハラを使うならクーラーは必須
  • 小型ヤッコ、チョウチョウウオ、クロベラ、マナベベラ、セダカギンポ、テングカワハギはハードコーラルと一緒に飼育しにくい

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