2018.11.05 (公開 2017.08.08) サンゴ図鑑
タバネサンゴの飼育方法~給餌・添加剤・水流のポイント
タバネサンゴはポリプが大きなイシサンゴ(LPS)の中でも丈夫で飼育しやすい種類。ある程度の水質変化にも耐えられ魚との相性もよく、ハードコーラルを初めて飼育する方には最適な種類のひとつです。
キクメイシの仲間で丈夫、成長も早いため飼育の楽しみもあります。
タバネサンゴの特徴
▲青緑色のタバネサンゴ。このような色彩や鮮やかな黄緑などの個体が多い。骨格は枝状
色彩は褐色、ベージュ、緑色がベースです。特に緑色の強いものは青色のLEDのもとで光り輝き、美しくなります。周囲が褐色のものでも、口の周辺が緑色のものはやはり青色LEDを照らすと輝きます。
骨格の形は枝状のものと、密集した形のものがありますが、飼育方法についてはどちらも大差ありません。枝状のものはその形からキャンディケインコーラルとも呼ばれたりします。
タバネサンゴ飼育に適した水槽・環境
水槽サイズ
▲90cm水槽で飼育しているタバネサンゴ
ハードコーラルのなかではかなり丈夫で飼いやすいサンゴですが、できるだけ水質を安定させたいことを考えますと、60cm以上の水槽が適しているといえます。これより小型の水槽でも飼育可能ですが、まずは大きめの水槽で飼育の基本を学ぶようにすると、小型の水槽でも上手く飼えるようになるでしょう。
適した水質
比較的水質の悪化に強いサンゴですが、ソフトコーラルと違いハードコーラルなので、硝酸塩などの栄養塩があまり蓄積しないように気をつけます。水槽システムについてはろ過を用いたシステムで十分飼育可能で、酸素供給やろ過バクテリアの負担を減らすことを考えると、プロテインスキマーを併用する方法もおすすめです。
特に酸欠に陥りやすいといえる外部ろ過槽では酸素供給という意味でもプロテインスキマーは重要です。ベルリンシステムなどのナチュラルシステムで飼育することもできます。
適した水流
水流もほかの多くのサンゴと同様に、重要な要素です。強すぎず弱すぎずの水流が必要で、ポンプから直接出てくるような強すぎる水流を当ててしまうと、サンゴの共肉にダメージを与えてしまうので注意します。
適した光
▲光らせたいなら青球をセレクトするとよい
光についてもあまり問いません。メタルハライドランプ、LED、蛍光灯いずれの光でも飼育可能ですが、250wメタルハライドランプの使用時は直下は避けたいところです。底の方や陰に置くなど工夫したいところです。逆に弱めの蛍光灯で飼育するなら上の方へ。
置き場所
強すぎない光が当たり、強すぎず弱すぎずの水流があたるところがおすすめです。強い光の水槽では底の方に置きたいサンゴなのですが、底砂、特にパウダー状の砂の上に直接おいてしまうのは望ましくありません。土台ごとライブロックやサンゴ岩に接着した方がよいでしょう。
水温
他の熱帯・亜熱帯に生息する好日サンゴと同様です。水温は25℃前後に保つようにしたいものです。水槽用クーラーとヒーターを準備して、一定の水温をキープしましょう。温帯にも多く生息し、有るていどは水温の低下にも耐えますが、それでも20℃を切らないようにします。
なお、ハードコーラル飼育の基礎については、こちらも参照してください。
タバネサンゴの餌・添加剤
好日サンゴですので光だけでも飼育できるのですが、餌をやるのもよいでしょう。夜間、広がっているときに細かいプランクトンフードやホワイトシュリンプ(下記動画で解説)、粒状の餌などを与えると食べます。もちろん与えすぎは水質悪化につながりますので気をつけます。
ただし、飼いやすいといってもハードコーラルなので添加剤は必要です。カルシウムやストロンチウム、マグネシウムなどの入った添加剤や、ヨウ素、微量元素をできれば添加したいものです。カルシウムやストロンチウム、マグネシウムの量などはミドリイシほどシビアではありませんので、これらを1本で補給できるリキッドリーフなどを使用するとよいでしょう。
鉄分は光合成をするすべての生物に重要な元素ですが、微量元素添加剤にも含まれているものがあり、微量元素を定期的に添加しているのであれば添加しなくてもかまいません。添加しすぎるとコケが大量発生することもあります。
おすすめの餌
おすすめの添加剤
タバネサンゴの購入時のポイント
▲ダメージを受けて共肉が委縮してしまったタバネサンゴ。回復は難しい。
ハードコーラルはソフトコーラルと違い、一度弱らせてしまうと回復させるのは難しいため、なるべく弱っていないようなものを選びます。たとえば、共肉が委縮してしまっているようなものは避けるようにします。
最初はお店の人に選んでもらえば、間違いは少ないでしょう。病気、寄生虫や付着している生物が気になる、という方は水槽に移す前に「コーラルRXプロ」など、専用の薬剤で薬浴するとよいでしょう。
タバネサンゴと魚・無脊椎動物との相性
▲多くの種類の魚と組み合わせられる。
多くの魚と組み合わせることができますが、チョウチョウウオ、種類によってはヤッコ(キンチャクダイ)もタバネサンゴを食べてしまいます。そのような魚とは一緒にしない方が無難です。
ハゼやカエルウオの仲間のほとんどの種、スズメダイ、クマノミ、ハナダイ、小型のバスレット、ベラの仲間の多くの種などはサンゴに危害を加えないのでおすすめです。
他のサンゴとの相性
▲他のサンゴと触らないように。左のカビラタバサンゴは他のサンゴとの接触に弱く、逆に下のハナガタサンゴの仲間はかなり毒が強い
▲他のサンゴとさわらないように。白い矢印はダメージを受けたところ
他の好日サンゴとは一緒に飼育することができます。しかしタバネサンゴは毒性が強く、オオタバサンゴなど、弱い毒性のサンゴとは触れ合わないようにした方がよいでしょう。逆にキクメイシなどの強い毒をもつサンゴには負けてしまうことがありますので、種類の異なるサンゴを配置するときには、接触しないように気をつけます。
タバネサンゴまとめ
- 丈夫で飼育しやすいハードコーラルのひとつ
- 栄養塩はある程度あっても飼育可能だが、できるだけ少ない方が望ましい
- 光と水流はほどほどを好む
- ブルーLEDライトを照射すると蛍光色を楽しめる
- 給餌はなくてもよいが、夜間に細かい餌を与えるのもよい(与えすぎは禁物)
- 毒性はやや強めでほかのサンゴと触れないように
- チョウチョウウオやサンゴ食の強いヤッコとの飼育は難しい