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2020.03.15 (公開 2020.03.12) サンゴ図鑑

アザミサンゴの飼育方法~強い毒性をもつためほかのサンゴとの接触に注意!

アザミサンゴはイシサンゴ目ビワガライシ科のハードコーラルで、よく似た名前でマリンアクアリストにとって人気のあるウミアザミとは大きく異なるサンゴです。飼育は比較的容易なサンゴではありますが、毒性が非常に強いサンゴとしても知られており、触れたサンゴを溶かしてしまうこともあります。そのためほかのサンゴと接触しないように注意しなければなりません。今回はアザミサンゴの飼育方法をご紹介します。

アザミサンゴって、どんなサンゴ?

アザミサンゴは群体を作る好日ハードコーラルであり、分類学的にはイシサンゴ目ビワガライシ科の中に含まれている六放サンゴの仲間です。日本では西表島での群体が有名ですが、1989年、このアザミサンゴの群落に落書きがなされるという出来事が発生し東京の大新聞が取り上げたものの、結局それは新聞カメラマン自らが落書きをする、つまり記事を捏造したことであることが判明するなど、悪い意味でも有名になってしまいました。分布は広いようで、ほかのサンゴ礁域でも見られ、インドネシアなどから入ってくるものが販売されています。色は白っぽいものやグリーンのものなどが多く、特に写真のようなグリーンのものは青色LEDのもとで輝き非常に美しくなります。ただし色は変わってしまうこともあります。私が飼育しているアザミサンゴはグリーンからグレーへと変化してしまいました。

なお、アザミサンゴもフラグ化されているものが販売されることがありますが、珍しいといえます。

名前「だけ」似ているウミアザミ

▲ウミアザミ

マリンアクアリウムでは「ウミアザミ」というサンゴがよく知られており、ウミアザミも「アザミサンゴ」などと一部のアクアリストは使っているようです。しかし、ウミアザミは八放サンゴの仲間で、かたい外骨格を有しないソフトコーラルの一種であり、混同しないように注意しなければなりません。

アザミサンゴは飼育はしやすいですが、ウミアザミは水質にうるさく、しかも水質悪化には弱い面もありますのでやや飼育しにくいといえます。一方ウミアザミはほとんど毒性をもちませんがアザミサンゴは強力な毒をもち触れたサンゴを殺してしまうこともあります。

アザミサンゴに適した飼育環境

水槽

アザミサンゴは水質の悪化にはやや強く飼育しやすいほうですが、それでも水はきれいなほうが当然望ましいです。そうなれば当然水量が多い大型水槽での飼育が有利です。600×450×450(mm)以上の水槽が最適です。

水質とろ過システム

通常ろ過でも飼育できないことはないのですが、ベルリンシステムでの飼育が無難でしょう。そうなるとオーバーフロー水槽での飼育が有利となります。水質はある程度硝酸塩が検出されるような水槽でも飼育できますが、きれいな水を保つようにしましょう。逆に超低栄養塩のシステムでの飼育はあまり向いてないかもしれません。

水温

基本的に25℃をキープするようにしましょう。浅い海に生息するサンゴですので少しであれば29℃などの高水温には耐えられますが長期的な目でみるとあまりよくありません。

水流

水流は強めのものを好みますが、アザミサンゴに直接強い水流が長時間あたり続けるのはよくありません。

照明と配置場所

照明についてもあまり選ばずでT5、メタハラ、LED、いずれでも飼育できます。私はT5蛍光灯の直下に置いていますが、蛍光管やメタハラを使用する場合は経年による劣化に注意します。置き場所としては、メタハラ250Wの直下は避けたいところです。また毒性はつよく、接触してしまったほかのサンゴを溶かしてしまうため、あまりほかのサンゴの近くに置かないほうが望ましいといえます。

アザミサンゴに適した餌と添加剤

基本的に餌は不要なようで、与えるのであれば粉末フードを海水に溶いて与えますが、このようなやり方は水を汚しますので水質悪化には十分に注意しなければなりません。

添加剤

ハードコーラルですので、骨格の成長に添加剤は欠かせません。添加剤はカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、ヨウ素、微量元素などを添加します。カルシウムの添加やKHの維持には添加剤のほかカルシウムリアクターが効果的です。

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アザミサンゴとほかの生物との相性

魚や甲殻類との相性

▲スズメダイの仲間(ヤノリボンスズメダイ)との飼育例

アザミサンゴに限らず、ハードコーラルを飼育するのであれば、どのような種であれ一緒に飼育する魚は少ないほうがよいでしょう。魚種としてはスズメダイの仲間、ハナダイの仲間、遊泳性のハゼの仲間などであれば問題なく飼育できます。一方チョウチョウウオの仲間や小型ヤッコの仲間はサンゴをつついて食べてしまう習性があるので一緒に飼育するべきではありません。ハタなどは大型になり排せつ物も多く水を汚しやすいため、このような魚も不向きです。

甲殻類ではカニやヤドカリと飼育すると、サンゴをひっくりかえしてしまうこともありますので、専用の接着剤を使用して岩組に接着しましょう。また骨格は意外ともろいようで折れやすく、落書きをせずとも傷がつきやすいといえます。しっかり接着してあげることが重要です。

ほかのサンゴとの相性

▲サンゴ同士は離れた場所に配置する

アザミサンゴのふさふさした触手には非常に強い毒があり、触れたサンゴを殺してしまいます。私は大型のウネタケを飼育していましたが、このアザミサンゴに触れた部分が死んでしまい、死んでしまった部分をカットしてしまいました。ウネタケは毒性が弱いとはいえ、ほかのサンゴも触れてしまうと大きなダメージを受けてしまうため、アザミサンゴの触手が触れるところにほかのサンゴを配置してはいけません。

アザミサンゴ飼育まとめ

  • 好日性のハードコーラルでウミアザミとは大きく異なる仲間
  • カラーはベージュやグレー、グリーンなど。グリーンはブルーLEDのもとで美しく輝く
  • 硝酸塩の蓄積には耐えられるがなるべくきれいな水で飼育したい。ベルリンシステムが最適
  • 水温は25℃をキープ
  • 強すぎず弱すぎずの水流が必要
  • LED、メタハラ、T5などの照明で飼育することができる
  • 餌は基本的に不要
  • ハードコーラルなのでカルシウムなどの添加は必須
  • チョウチョウウオやヤッコなどはサンゴをつつくのでアザミサンゴとの飼育不可
  • 甲殻類などに落とされないよう骨格を土台にしっかり接着する
  • 毒性はきわめて強い。配置には注意
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