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2018.09.30 (公開 2017.12.08) サンゴ図鑑

シコロサンゴの飼育方法~成長は早く難易度も低い

シコロサンゴはポリプが小さい造礁サンゴの仲間ですが、ミドリイシやハナヤサイサンゴ、コモンサンゴなどよりも丈夫でとても飼育しやすいサンゴです。

将来的にこの仲間を飼育したい方はこのサンゴから経験を積むのもよいでしょう。また成長スピードも早く、サンゴが成長する様子も楽しむことができます。

シコロサンゴってどんなサンゴ?

▲近縁のセンベイサンゴの仲間

シコロサンゴはイシサンゴ目・ヒラフキサンゴ科のハードコーラルです。ヒラフキサンゴ科のサンゴはマリンアクアリウムではメジャーなものではないのですが、センベイサンゴや独特の波のような模様があるリュウモンサンゴなどもこの科に含められており、中にはキクメイシの仲間にそっくりなものもいます。種類も豊富なヒラフキサンゴ科の仲間ですが、その中でもシコロサンゴの仲間は飼いやすいものが多いと言えます。

シコロサンゴはハナサンゴやキクメイシなどと比べてポリプが小さく、ミドリイシと同様にSPS(ポリプの小さなイシサンゴ)とされていることが多いのですが、ミドリイシや、それらに近い条件が要求されるハナヤサイサンゴなどと比べて丈夫でずっと飼育しやすいので、SPS初挑戦に最適なサンゴといえます。

日本にも分布しており、琉球列島や南日本の太平洋岸ではごく普通に見られるサンゴです。海に潜らなくても防波堤の上からでも見ることができます。

シコロサンゴのバリエーション

シコロサンゴには若干のバリエーションがあります。色は茶褐色~灰褐色が多いですが、きれいなグリーンのものもあります。

ポリプをよく伸ばしているものと、あまり伸ばしていないものがいますが、初心者には短いポリプをふさふさに伸ばしているタイプが比較的飼育しやすいように思え、また成長も早めなのでおすすめといえます。

▲ポリプ先端ががよく伸びるタイプ

▲あまりポリプを伸ばさないタイプ。綺麗な水が必要?

もちろん、あまりポリプが伸びない個体も初心者には飼育できないわけではありませんが、筆者の経験上、水質はポリプをよく伸ばしているものよりもきれいな水を好むように思われます。

シコロサンゴに適した環境

水槽

▲90cmオーバーフロー水槽で飼育されているシコロサンゴ

シコロサンゴは小型水槽でも飼育可能ですが、水槽内でも大きく成長することや、小型水槽では水温や水質が安定しにくいことを考えますと、最低でも60cm、欲を言えば90cmオーバーフロー水槽で飼育したいところです。

水質とろ過

シコロサンゴはの飼育においては、ろ材を用いず、生物ろ過がはじまる前にプロテインスキマーを使って残り餌や排せつ物を水槽から取り除くベルリンシステムがおすすめです。

SPSの中では比較的硝酸塩の蓄積に強く、ろ過槽の中でろ材を使用してろ過を行う、強制ろ過での飼育も可能です。その場合プロテインスキマーも併用して魚の残り餌や排せつ物などを、生物ろ過がはじまる前に水槽から強力に取り除くとよいでしょう。

水温

シコロサンゴはきれいな水であれば28℃くらいまで耐えられるのを確認しています。ただし、できればもっと低めの水温で飼育したいサンゴでもあります。

適温は他の一般的な好日性サンゴと同様25℃で、夏はクーラー、冬はヒーター、春と秋は両方を使用して水温の変動がないようにします。

水流

水流については強めを好みますが、シコロサンゴに直接強い水流が当たるのはダメです。複数の水流ポンプを使用し、それによる乱流をあてるとよいでしょう。ウェーブコントローラーを使用するのもおすすめです。

その独特な形状のため、どうしても隙間にゴミなどがたまってしまうこともあります。そのようなときには、スポイトで隙間にたまってしまったゴミを吹き飛ばしたり、吸い込んだりして取り除きます。シコロサンゴの飼育においては長いスポイトを1本手元に用意しておくとよいでしょう。

照明

▲入手しやすいLEDの代表的商品、ボルクスジャパンのグラッシーレディオ

シコロサンゴは蛍光灯多灯でも飼育できますが、同じSPSの仲間であるミドリイシなどと組み合わせることが多く、従来は150Wや250Wのメタルハライドランプの光のもとで飼育されることが多かった種類です。現在はミドリイシを飼育できるようなハイパワーのLEDのもとで飼育されることが多くなったように思います。

なお筆者の水槽ではボルクスジャパン グラッシーレディオ RS122シリーズのものを複数、ゼンスイLEDライトを使用しています。これらの比較的安価なLEDを用いても光量不足を感じさせず、イキイキと育っています。

シコロサンゴにおすすめの添加剤

シコロサンゴ丈夫とはいえハードコーラルですので、カルシウム・ストロンチウム・マグネシウム・ポタシウムあたりは添加したいものです。ヨウ素と微量元素、サンゴ用のビタミン剤も添加したいものです。

鉄分は添加してもよいのですが、添加しすぎるとコケの大発生を招くのでブライトウェルアクアティクスの「リプレニッシュ」のように、鉄分を含む微量元素を添加するほうがよいでしょう。

餌は「バイタリス」などの粉末状のSPSフードを使用してもよいのですが、水を汚すことを考えると、初心者の方はは与えなくてもよいでしょう。基本的には光合成だけで十分飼育することができます。

シコロサンゴの選び方

色がしっかりしているもの、ポリプをよく伸ばしているものを選ぶようにします。ただし一部に海藻やべとっとした付着藻類がついているもの、死んでいる(骨格になっている)部分が多いものは避けた方がよいでしょう。もちろん入荷してすぐのものも避けた方がよいといえます。

シコロサンゴを水槽に入れる前に

サンゴに寄生する生物や病気を水槽に持ち込んでしまいサンゴが全滅したアクアリストもいます。対処法としては水槽に持ち込まないようにすることです。必ずコーラルRXプロやリバイブなどでサンゴの薬浴をおこなうようにします。

また海藻が土台などについていることがあります。イワズタの仲間はそれほど警戒しなくてもよいようですが、アミジグサなどのようにすぐ大増殖してしまう厄介な海藻もいます。対処法としてはまだ海藻が成長していないうちに剥がしてしまうことです。イワズタはキイロハギやアイゴなど、藻類を好んで捕食する魚が食べてくれることも多いのですが、アミジグサの仲間は魚があまり食べてくれないので注意が必要です。ある種のウニが食べてくれるのですが、レイアウトを崩したりアクリル水槽だと傷をつけてしまうおそれがあります。

なお、サンゴ薬浴の方法はこちらで解説します。

シコロサンゴと海水魚・他のサンゴとの相性

シコロサンゴと魚との相性

シコロサンゴはチョウチョウウオの仲間との混泳は無理です。ヤッコの仲間もソメワケヤッコやヘラルドコガネヤッコなど、サンゴ食性が強い魚は避けるのが無難といえます。

他にマナベベラやクロベラの類、テングカワハギ、フグの仲間、セダカギンポなども避けた方がよいでしょう。カエルウオの仲間、スズメダイ・クマノミの仲間、バスレットの仲間、ハナダイの仲間、テンジクダイの仲間などとは一緒に飼育することができます。アイゴやハギ(ニザダイ)の仲間も問題ないとは思いますが、シコロサンゴをつついていないか、よく観察しましょう。

シコロサンゴと他のサンゴ・無脊椎動物との相性

▲他のサンゴと触れないように注意

シコロサンゴは毒性がやや強く、強毒をもつ長い触手を出すこともありますのでほかのサンゴ、特にハードコーラルとは触れないようにするべきといえます。甲殻類は多くの種類と飼育可能ですが、サンゴをひっくり返されないようにサンゴ用の接着剤でしっかり固定しておくべきです。

イソギンチャクとの接触に弱いのか、カーリー(セイタカイソギンチャク)と触れると触れた部分が弱ってしまうことがあります。カーリー対策としてはペパーミントシュリンプに食べてもらうのが有効ですが、マメスナギンチャクなどと一緒に飼育している場合、ペパーミントシュリンプがマメスナギンチャクにも害を及ぼすことがあるので注意します。

シコロサンゴの増やし方

シコロサンゴは増やすことも容易です。綺麗でかつ元素がよく溶け込んでいる海水と十分な光量さえあればよく成長します。

また成長しすぎたものはミドリイシなどのように先端を折ってライブロックなどに接着することによっても増やすことができますが、骨格が厚いものよりも薄い方がやりやすいでしょう。

シコロサンゴの飼育まとめ

  • ヒラフキサンゴの仲間で、SPSとしては飼育しやすい
  • バリエーションは意外と豊富。よくポリプを伸ばしているものが初心者向け
  • できるだけ綺麗な水と強めの光を好む
  • 水流は強すぎないように
  • 餌は不要だがハードコーラルなので、カルシウムなどの添加が必要
  • 水槽に入れる前に薬浴を。海藻も取り除く
  • ポリプ食性の魚は注意
  • 毒が強いので他のサンゴとは触れないように
  • 無脊椎動物はサンゴを倒すおそれもある
  • 成長が早く、増やすことも楽しめる
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