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2022.08.09 (公開 2017.10.04) サンゴ図鑑

サンゴ薬浴のススメ~RTN対策!水槽に病気や寄生虫を持ち込む前に

サンゴを購入したら、早速、我が家の水槽に入れて楽しみたいところ。しかし、サンゴをそのまま水槽に入れてしまうのはおすすめできません。

サンゴを水槽にそのまま導入するということは、新しいサンゴだけでなく、従来から水槽にいたサンゴにも危害が及ぶおそれがあります。水槽のサンゴが全滅ということにならないように、薬浴を行うことが大事です。

サンゴをそのまま水槽に入れるリスク

▲コモンサンゴはウミウシに注意

▲コモンサンゴに寄生しているウミウシの仲間

サンゴを水槽にそのまま入れるのは危険です。なぜならば寄生する生物や病気をもっているおそれがあるためです。観賞魚店の販売水槽には世界中からサンゴがやってきます。ひとつのサンゴが寄生する生物や病気を持っているとあっという間に水槽内の他のサンゴにも生物が寄生したり、病気が発生するおそれがあるからです。

筆者も以前飼育していたウスコモンサンゴを失ってしまいました。その理由は、コモンサンゴの仲間に寄生し、捕食するウミウシに寄生されてしまったためでした。新しく購入し水槽に入れた別のコモンサンゴにウミウシが寄生していて、水槽に入れてしまったことが原因でした。

その結果、新しく入れたコモンサンゴだけでなく、前からいたウスコモンサンゴも失ってしまったのでした。それまではサンゴの薬浴をしていなかったのですが、この件でサンゴを薬浴することの重要性を思い知りました。

サンゴの薬浴に使う薬

このような寄生虫や病気の持ち込みを防ぐためにサンゴを薬浴することが重要です。日本においてはLSS研究所から販売されている「コーラルRXプロ」という製品やTwo Little fishesの「リバイブ」という製品が入手しやすく、使いやすいのでおすすめです。

コーラルRXプロの成分は明らかにされていませんが、LSS研究所の商品紹介サイトによれば「天然の素材を使用」しており、リバイブも、松脂、レモンといった植物抽出の原料を使っており、いずれも安心して使うことが出来る商品です。

サンゴを薬浴するのには上記のサンゴ用のものを使用します。グリーンFゴールドなどの魚病薬で魚の薬浴を行う人がいますが、魚病薬のほとんどのものはサンゴに有害ですのでサンゴの薬浴には決して使用しないでください。

どんなサンゴを薬浴するべき?

▲ミドリイシには貝類がつくことがある。また病気をもちこむ可能性も。

ミドリイシのようなハードコーラルから、トサカの仲間のようなソフトコーラルまで、ありとあらゆるサンゴには寄生生物がついているおそれがある、と考えてよいでしょう。

もっとも多いのは貝の仲間で、アワサンゴやイボヤギ、コモンサンゴなどには専食するウミウシの仲間が付着し、トサカやウミキノコ、マメスナギンチャク、ミドリイシの仲間には殻をもった巻貝が付着していることもあります。

このほかにもヒトデ、ヒラムシ、サンゴの病気であるRTNを引き起こすおそれがある菌などが付着している可能性もあるため、どのようなサンゴであれ、薬浴は重要といえます。

コーラルRXプロを使ったサンゴ薬浴~必要なもの

ここではLSS研究所から販売されている「コーラルRXプロ」の使い方をご紹介します。ブルーハーバーから販売されているリバイブについてはこちらをご参照ください。

コーラルRXプロは観賞魚店においてなくても、通販での購入が可能です。楽天市場やアマゾンなどにアクアリウム関連の企業が出店しており購入可能ですが、このほか日本における総輸入ディーラーLSS研究所でも、オンラインショップで販売しています。写真のようなビンに入っているもののほか、1回だけの使い切りの製品もあります。

バケツ×2

釣具屋さんなどで販売されている白い大きなコマセバケツがおすすめです。写真右の大きい方は20リットル入ります。

計量カップ×1

100均で販売されているピッチャーです。写真のもので1リットル入ります。何かと便利なものですので、購入しておくことをおすすめします。

水中ポンプ×1

バケツの水を混ぜるのに使用します。サンゴを使用するときに使う水中ポンプで問題ありませんが、使用後はよく水道水で洗い流すようにします。

サンゴ薬浴の手順

ここでは、コーラルRXプロを使った薬浴の方法をご紹介します。

1.飼育水を汲む

まずひとつ目のバケツに計量カップで飼育水を汲みます。今回は飼育水を4リットル汲みます。

2.薬を滴下

コーラルRXプロについている (使い切り品にはついていない) スポイトで、コーラルRXプロを規定量入れます。4リットルの飼育水に対して30滴を滴下します。

3.かき混ぜてサンゴを導入

コーラルRXプロを滴下した飼育水を水中ポンプでかき混ぜ、サンゴを入れます。

4.再びかき混ぜる

引き続き飼育水を水中ポンプなどでかき混ぜます。今回は水中ポンプが手もとになく、手でかき混ぜました。数分かき混ぜると、バケツの底の方にサンゴに付着していた生物などがはがれおちているはずです。

5.サンゴを移動させる

ふたつ目のバケツに水槽から適量飼育水を汲み、サンゴだけをひとつ目のバケツから移します。写真はサンゴを二つ目のバケツに入れた後。茶色い点々はサンゴからはがれたものです。なおバケツの水は水槽内に戻してはいけません

この中にはサンゴに付着した微生物も剥がれ落ちており、中にはサンゴや魚にも影響を与えるものもおります。

6.サンゴを水槽に入れる

数分後、バケツからサンゴだけを水槽に入れます。バケツの中の水は水槽に戻さず、捨ててください。最初のうちは縮まってしまっていますが、水槽の環境になれたら、写真のように大きく広がってくれるでしょう。

サンゴ薬浴のまとめ

  • サンゴをそのまま水槽に入れると寄生生物や病気の蔓延を招くおそれがある
  • 水槽に入れる前にサンゴ専用の薬で薬浴する
  • 魚用の薬で薬浴してはいけない
  • どんなサンゴでも寄生生物や病原菌をもちこむ恐れあり
  • 薬浴用の薬、バケツ2つ、計量カップ、水中ポンプが必要
  • 薬浴後のバケツの水は水槽に戻してはいけない
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