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2020.02.28 (公開 2017.07.13) サンゴ図鑑

ウミキノコの飼育方法~餌・照明・個体の選び方

ウミキノコやその近縁種ウネタケはサンゴ礁の浅瀬で見られる普通種。ポリプが出ていないときは茶色っぽい、名前の通り「海のキノコ」のような見た目で面白みに欠けるのですが、ポリプが開くと、美しいサンゴに変貌します。小さなウミキノコはポリプを閉じるとまさにキノコのような見た目になりユニークです。

写真のウミキノコは我が家で飼育しているもので、ポリプがメタリックグリーン、根本にはキクメイシも付いているめずらしい個体。クダゴンベがちょこんと乗ってかわいらしいです。ものによって色、形が異なるため飼育の楽しみも広がります。

ウミキノコの特徴

▲ウミキノコは八放サンゴ。ポリプの先端が8つに分かれている。

▲まさに海のキノコ

▲ミドリイシが飼育できるような水質の水槽で飼育されているオオウミキノコ

ウミキノコは八放サンゴの仲間のソフトコーラルです。科としてはウミトサカ科となり、カタトサカなどと近縁です。形はいろいろあり、写真のようなキノコ状のものや大きくうねるものなどいろいろありますが、一部はウネタケという別属のサンゴです。オオウミキノコなどは超巨大なもので、まるでイソギンチャクの仲間のようにも見えます。一方色彩的には派手なものはなく、白っぽいもの、ベージュのものが多いですが、濃い蛍光グリーンのものも見られます。丈夫な種類が多く、初心者にも飼育しやすいソフトコーラルといえます。またウネタケの仲間もウミキノコの仲間と飼育方法は同じでかまいません。

ウミキノコ飼育に適した水槽

水槽

ウミキノコの仲間も種類は豊富ですが、小型の群体は小型水槽でも飼育はしやすいものの、オオウミキノコ、あるいはウミキノコに近縁なウネタケなどはかなり大きくなったりするので飼育には大きな水槽がよいでしょう。小さなものは35cm位の水槽での飼育も可能ですがいずれ大きくなることを考えますと、60cm位の中~大型水槽が欲しいところです。

水質とろ過システム

ウミキノコはベルリンシステムでも生物ろ過システムでも飼育できますが、おすすめはベルリンシステムです。ベルリンシステムでは魚は多く入れられないのですが、サンゴを飼うのには最適なシステムです。同じく浅いところに生息するミドリイシなどと組み合わせるとよいでしょうが、初心者にはミドリイシの飼育は難しいところがあります。その一方、栄養塩を極限まで取り除くようなゼオビットには向いていないかもしれません。逆に栄養塩が過剰に蓄積するのもよくないです。飼育しやすいサンゴではありますが、水かえはしっかりしましょう。

水流

ウミキノコの飼育には弱めからやや強めの水流が必要です。小型の水中ポンプで水流を作りますが、ポンプから勢いよく出た水流が直接ウミキノコに当たるのは好ましくありません。強い水流が水槽面や壁面に当たり、拡散された流れをあてるようにするのが望ましいでしょう。このほか水流をつくるポンプを制御するコントローラーをつけるのもよいでしょう。

好む光・照明と置く場所

▲サンゴ礁域の潮溜まりに見られたウミキノコの近縁種・ウネタケの仲間。

従来は蛍光灯よりもメタルハライドランプのほうがよいとされていましたが、最近は蛍光灯やメタルハライドランプよりもLEDでサンゴ飼育を楽しむことが多くなりました。

ウミキノコの仲間はLEDで飼育を楽しむことができます。弱い光でも飼育可能ですが、基本的には強い光を好みます。強力な日光が照らすサンゴ礁の礁湖などにもみられるようなサンゴですので、光がよく当たる場所に置くのがが望ましいといえます。メタルハライドランプや強い光を放つLEDライトであれば水槽の下の方に配置することも可能ですが、そうでないときはライブロックの頂あたりにおいておくようにします。光の種類については強いブルーの光を放つLEDでも飼育可能ですが、生息地はサンゴ礁の浅瀬ですので、浅場の光を再現したものがよいといわれています。もちろんメタルハライドランプやT5でも飼育できますが、メタハラを使用するならば直下にウミキノコを置くのは避けます。

水温

他のサンゴ礁に生息する魚やサンゴ同様25℃前後が適温です。水が綺麗な水槽では少なくとも28℃前後まで耐えられますが、基本は25℃をキープするようにします。ウミキノコやウネタケの仲間はサンゴ礁域のごく浅い場所、水温が30℃にもなるような酷暑の潮溜まりでも見られる種類がありますが、水槽では厳しいでしょう。

ウミキノコの餌・添加剤

ディスクコーラルと違い、ウミキノコは餌を与える必要はありません。もし餌を与えたいのでしたら、液状のプランクトンフードや、植物プランクトン(フィトプランクトン)をごくたまに与えるだけで十分です。

添加剤については、カルシウムはミドリイシほど高い数値は必要としませんが、ヨウ素やマグネシウム、ストロンチウム、微量元素など添加しておくことをおすすめします。我が家ではブライトウェルアクアティクス社の添加剤4種を使用しています。これとマグネシウムを添加すればほとんどの好日ソフトコーラルを飼育可能になります。

ウミキノコの選び方

茎の部分が折れ曲がっているもの、白い粘膜がかかっていて腐っているようなものなどは避けます。はじめてウミキノコの仲間を飼育するときは店員さんに見てもらい、大丈夫そうなものを購入するとよいでしょう。

光が当たっているにもかかわらずポリプが開いていない個体は、たまたま脱皮直後のものかもしれません。また結構気まぐれなので時間帯に関わらずポリプが出ないこともあり、必ずしも悪い状態とは言えません。店員さんに普段の様子を聞き、不安な場合は日を変えて再度訪問するのがよいと思います。

もちろんお店に入ってきてあまり時間がたっていないものも購入を避けるようにします。

ウミキノコの購入後

ウミキノコには寄生するウミウシや貝などがついていることがありますので、それらによる影響が心配なら薬浴をします。薬浴にはサンゴ専用の薬を使いますが、使用方法や量は守って使用することが大事です。なお、魚病薬は絶対に使用してはいけません

ウミキノコと魚や無脊椎動物との相性

ウミキノコは多くの魚種と合わせることができます。スズメダイの仲間、ハゼの仲間、ハナダイの仲間、小型ヤッコの仲間、ニザダイの仲間、ベラの仲間、カエルウオの仲間など、多くの種類と組み合わせることができますが、チョウチョウウオや大型ヤッコなどと組み合わせるのは難しいです。クマノミの仲間と大型のウミキノコを飼育していると、クマノミの仲間がウミキノコの中に入ることもあります。

ウミウサギガイという巻貝の仲間にはウミキノコやウネタケに寄生するものがおり、それらのサンゴが大好物ですので、一緒に飼育することはできません。

ウミキノコと他のサンゴとの相性

ウミキノコもウネタケも毒性は非常に弱いです。ウミアザミなどと接触しても問題ないのですが、強い毒をもつハードコーラル(アザミサンゴなど)はウミキノコを触手の強力な毒でダメージを与えることがありますので注意が必要です。またソフトコーラルでも強毒をもつヌメリトサカなどとは触れないようにしなければなりません。なお、ウミキノコ同士はまとめて配置することができます。

ウミキノコの増やしかた

▲ライブロックに固着していたウミキノコがちぎれ、そこから新しい芽が出てきたもの。

ウミキノコは比較的容易に増やすことができるソフトコーラルです。大きくなりすぎた個体は、ハサミやカッターナイフなどでカットして、カットした破片をライブロックやサンゴ岩などに付着させることで増やすことができます。

ハサミやカッターナイフは使用する前に水洗いするようにします。使用後も真水で洗い乾かさないとサビるおそれもあり、要注意です。また、きちんと付着するまで時間がかかることもあり、むやみに動かさないようにします。ブライトウェル「リストア」などサンゴの修復を促す添加剤などを使ってもよいでしょう。

ウミキノコ飼育まとめ

  • キノコのような形が面白いソフトコーラル
  • 飼いやすいが飼育水の水質悪化に注意する
  • 強めの白っぽい光とほどほどの水流を
  • ヨウ素、マグネシウム、ストロンチウム、微量元素を添加する
  • 餌は与えなくても良い。与えるなら液状の餌かフィトプランクトンを
  • 多くの魚と組み合わせることができる
  • カットして増やすこともできる
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