キクメイシの飼育ポイント~触手の毒性が強くサンゴ同士の相性に注意 | 海水魚ラボ

キクメイシの飼育ポイント~触手の毒性が強くサンゴ同士の相性に注意

海水魚やソフトコーラルを飼育している方がハードコーラル飼育にステップアップするのに最適なサンゴのひとつといえるのがキクメイシです。

キクメイシの仲間は骨格の形や色彩のバリエーションが豊富で、集めると楽しいサンゴといえます。そして丈夫で飼育しやすいものが多いため、初心者にもおすすめできます。

キクメイシの特徴

キクメイシの仲間は代表的なLPS(ポリプの大きなイシサンゴ)のひとつで、サンゴ礁においてはごく普通に見られる種です。日本でも本州中部以南の太平洋岸で見られます。あまり派手なサンゴではありませんが、こんなサンゴを入れていると本当のサンゴ礁の海らしくなります。

なお、名前に「キクメイシ」とある「カクオオトゲキクメイシ」などはオオトゲサンゴ科という別科のものとされ、育成の方法などもキクメイシ科のサンゴとは違うことが多く、ここでは扱いません。またタバネサンゴなど、名前に「キクメイシ」とつかないのですがキクメイシ科に含まれるサンゴもおります。ただしタバネサンゴについては別に項目を設けてありますので、そちらをご参照願います。

▲カクオオトゲキクメイシは「キクメイシ」の名があるが別の仲間。

▲むしろタバネサンゴのほうがキクメイシに近い仲間。

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キクメイシに適した環境・水槽

水槽サイズ

キクメイシは成長が非常に遅いため、小型水槽でも長く飼育できます。またハードコーラルの仲間としては比較的丈夫なので、これも小型水槽での飼育が可能な理由になります。

ただし初心者の方は小さくても45cm、できれば60cm水槽で飼育することをおすすめします。小さすぎる水槽は初心者には管理が難しい場合があるからです。

適した水質・ろ過

▲水のきれいな90cm水槽で飼育されているキクメイシ

硝酸塩やリン酸塩などの栄養塩の蓄積にはある程度耐えることができますが、なるべく綺麗な水で飼育するようにします。60cmまでの水槽ならば外部ろ過槽、もしくは外掛け式ろ過槽を用い、それより大きな水槽なら上部ろ過槽を使用するとよいでしょう。もちろん、ベルリンなどのナチュラルシステムや海藻によるろ過を用いたシステムもおすすめです。

いずれの方式でも魚の排せつ物などの有機物を取り除くためにプロテインスキマーを併用するのをおすすめします。

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ハードコーラルの仲間は全般的に清浄な水を好みます。プロテインスキマーの使用は、ハードコーラル飼育に最適な環境を生み出す近道になります。「カミハタ 海道河童」のように、ろ過槽とスキマーが一体となっている製品もあります。

適した水流

キクメイシにはある程度の水流が必要です。カクオオトゲキクメイシなどよりやや強い水流を好みます。小型の水中ポンプを二つ、または三つくらい水槽に設置して強めの水流を生み出したいものです。もちろん直接キクメイシに当たるような水流は好ましくありません。

適した光

浅場に生息する種が多く、150WメタルハライドランプやハイパワーLEDを水槽に照射しますが、強すぎる光が直接当たらないように気をつけます。

キクメイシの仲間もタバネサンゴなどと同様にブルーLEDを照射すれば光るものが多く、口の付近が綺麗な緑色をしているような個体ならば、そのような光を照射してみる価値はあります。

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水温

やはり浅場に生息するものが多いのですが、28℃以上の水温が長く続かないように気を付ける必要があります。特にメタルハライドランプを照射した水槽では、水温が上昇しやすいのでクーラーもハイスペックのものを選択したいものです。逆に冬期はヒーターを使用して、春夏秋冬23~25℃をキープします。

キクメイシに必要な餌・添加剤

キクメイシも他の多くのLPS同様に餌を捕食します。魚用のペレットフードも食べますが、LPS専用のペレットフードも市販されているので、使用するとよいでしょう。このほかにコペポーダなどのプランクトンフードもよく食べます。もちろん褐虫藻をもつ好日性ハードコーラルですので餌やりは毎日する必要はありませんが、1~2週間に1回の目安で給餌して下さい。

逆にあまりにも大量に、頻繁に与えすぎると消化不良をおこしたり水質悪化を招きますので避けます。

キクメイシの仲間もハードコーラルですので、ヨウ素や微量元素、ビタミン等の他に、カルシウムやマグネシウム、ストロンチウム、ポタシウムなども添加剤で添加したい成分です。ブライトウェルアクアティクスの「リキッドリーフ」などのオールインワンの添加剤を添加したり、カルシウムやマグネシウムなどは専用のリアクターを用いて供給するのもよい方法です。しかし、キクメイシの仲間は骨の密度が大きくそれらを利用してもなかなか成長しません。

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キクメイシの購入時のポイント

キクメイシの仲間は毒性が強いのですが、アザミハナガタサンゴ(一般にこの名前で売られているものとは違う種)など他のサンゴと触れるとダメージを受けることがあります。また輸送中になんらかの問題がありダメージを受けることもあります。

丈夫ですがダメージを受けると治りにくいのもキクメイシの特徴といえますので、そのようなダメージをうけていない個体を選ぶようにします。もちろん他のサンゴと同様、入荷したばかりのもの、共肉が委縮してしまっているものも避けます。

▲ふさふさの触手を出した個体。夜間に触手を伸ばす。

種類によって飼育難易度も若干異なりますが、初めてキクメイシを飼育するならひとつひとつのポリプが大きめで、各ポリプから触手がでているような個体を選ぶとよいでしょう。ただし夜間にならないとポリプを出さないので、お店で判断するのは難しいところです。

キクメイシと魚や無脊椎動物との相性

チョウチョウウオや、サンゴをつつくタイプの小型ヤッコ、テングカワハギなどにとってはキクメイシなど餌でしかありません。これらの魚との飼育は止めておきましょう。

▲アイゴの仲間も注意

小形のハゼやヘビギンポの仲間はキクメイシの上に乗っかっていたりしてかわいいのですが、このような魚を入れると気が強い魚は入れにくいものです。

カエルウオの仲間はセダカギンポなどの一部サンゴ食性の種をのぞき概ね問題はありません。クマノミ、スズメダイの仲間、ハナダイの仲間、バスレットの仲間、ハゼの仲間、多くのベラの仲間などは問題がないものが多いですが、アイゴやニザダイの仲間はキクメイシをつつくことがありますので注意します。特に弱って一部に藻が生えているような状態だと、つつかれやすいようです。

キクメイシと他のサンゴとの相性

▲他のサンゴと触れないように注意

「キクメイシ」の名前で流通されるサンゴには多数の種がおります。毒性もまちまちのようですが、やや強めの毒をもっていることが多いようです。

また長い攻撃用の触手をもつものもいて、触手にふれたサンゴはダメージを受けることがあります。周囲にサンゴを置くときは夜間に他のサンゴを攻撃していないかチェックしましょう。逆に他のサンゴに攻撃されていないかもチェックします。

ヤドカリなどを飼育していると、キクメイシや他のサンゴがおいていた場所から落っこちてしまい、弱いサンゴがダメージを受けることがあります。サンゴは海水魚水槽用の接着剤でライブロックなどに固定してしまうのが安心です。サンゴの接着剤にはパテ状のもの、樹脂を溶かして接着するもの、瞬間接着剤のようなものがありますが、後者の方が使いやすいです。

サンゴを飼育するのに必要な要素は、清浄な海水、成長や健康維持に必要な成分、適した水温、海流を再現した水流、太陽光のかわりの照明......

キクメイシ飼育まとめ

  • 種類が豊富で同定が難しいLPS(ポリプの大きなイシサンゴ)
  • 栄養塩の蓄積に耐性はあるが綺麗な水を好む
  • プロテインスキマーの設置が有効
  • 餌を与えれば食べる
  • ヨウ素・微量元素のほかカルシウムやストロンチウムなどの添加が有効
  • 強い光と強めの水流を好む
  • 成長が遅いのでダメージをあたえないように
  • 毒性が強めなのでほかのサンゴとさわらないように
  • チョウチョウウオやサンゴ食のヤッコに食べられやすい
  • キクメイシが弱っているとアイゴやニザダイに食べられることも

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